
毘沙門天は戦いの神様や勝負運の神様として知られています。
また、七福神の中でも最強の守護神としても有名です。
武運長久や厄除け、商売繁盛などのご利益がありますから、古来よりたくさんの人々に信仰されてきました。
毘沙門天はなにの神様か、起源やご利益、真言、梵字と共に祀られている寺社もご紹介します。
毘沙門天を正しく知りたい方、ご利益を授かりたい方はぜひ参考にしてください。
目次
七福神の一人・毘沙門天は何の神様?
毘沙門天は七福神の一柱として知られ、戦いや財運を司る神様として有名です。
正義を守る毘沙門天について、財運や商売繁盛との関係、戦いの神としての伝承をご紹介します。
仏法を守護する四天王の一尊
天部の守護神の中には、梵天や帝釈天と共に四天王がいます。
毘沙門天はその四天王の一尊です。
四天王は仏法と世界を守護する四方の守護神で、毘沙門天は北方を司る神様。
仏教において天部の守護神は「多聞天(たもんてん)」とも呼ばれています。
多くの教えを聞く者という意味が多聞天にはあり、仏の教えに深く通じています。
戦いや災厄からの守護や福徳や財宝をもたらす神として「最強の守護神」と言い伝えられているのです。
邪悪を打ち払う強力な存在だともいわれており、国家安泰や寺院の守護神としても貴重な存在です。
財福をもたらす神様として人気
毘沙門天は戦いや神様や守護神として信仰されてきましたが、言い伝えや時代の流れと共に財福をもたらす神様としても人気になっています。
日本では、毘沙門天は七福神の一柱だからです。
七福神は福徳や財宝を授ける神で、広く信仰されており、現代に至っても大人気です。
七福神の由来は、毘沙門天が持つ「宝塔」にあるといわれています。
多くの財宝が詰め込まれ、福徳を施す力があるのです。
商売繁盛や金運上昇への祈願をするために、毘沙門天を福の神として信仰してきました。
一説には、インドのクベーラと呼ばれる財宝の神様が、仏教に取り入れられる際に変化した存在が毘沙門天という話だともいわれています。
勝利をもたらす戦いの神としても知られる
毘沙門天は戦いの神様として知られています。
勝利をもたらす戦いとなるからです。
前項にも登場したクベーラは、財宝の神と共に悪を打ち滅ぼす守護神でもありました。
そんな武勇の側面も仏教に取り入れる際に受け継いでいるのが戦いの神といわれる由来です。
四天王の一柱としての毘沙門天の姿はまさしく戦いの象徴で、悪鬼や外敵から仏教世界を守ります。
古代から、武将や戦国武士たちは厚い信仰心を持ち、戦勝祈願の対象として崇められていました。
毘沙門天のご利益「10種の福」
毘沙門天にはあらゆるご利益があるといわれています。
その中でも10種の福というのが有名で、「毘沙門天功徳経」に記されています。
- 延命(寿命が延びる)
- 増益(財産や地位が増す)
- 勝運(勝負運が強まる)
- 除災(災いを退ける)
- 招福(幸福を招く)
- 立身出世(社会的地位が上がる)
- 商売繁盛(事業が栄える)
- 病気平癒(病が治る)
- 子孫繁栄(家系が続く)
- 学業成就(勉学に成果がでる)
毘沙門天のご利益は勝負にまつわるものだけではありません。
もちろん、戦いの際には「勝利」が期待されますが、平時では「繁栄」や「福徳」をもたらすのです。
あらゆるご利益があるからこそ、武士から商人、庶民まで幅広く信仰が深められてきました。
厄除けや勝運祈願もあるため、現代でも受験やスポーツなどの様々な分野で信仰を集めています。
「最強の神様」と呼ばれるのは、ただ勝利にまつわるご利益だけでなく、様々な方にご利益を授けているからかもしれません。
毘沙門天の真言と梵字・手印
毘沙門天の真言
毘沙門天の真言は「オンベイシラマンダヤソワカ」です。
毘沙門天の加護を得るための祈りの言葉です。
- オン:神聖な始まりの音。
- ベイシラマンダヤ:毘沙門天(ヴァイシュラヴァナ)に対して。
- ソワカ:成就。
「毘沙門天様に帰依し、その加護と福徳の成就を願います」という意味です。
毘沙門天に対しての祈りの言葉でもあります。
毘沙門天をサンスクリット語で記すと「ヴァイシュラヴァナ(Vaiśravaṇa)」となり、その頭文字が由来。
本質や力を象徴しています。
毘沙門天の手印
毘沙門天の手印は「毘沙門天印」です。
真言を唱えながら手印を組むと、よりご利益を授かります。
神仏と心を通じ合わせることができるから。
毘沙門天の力を呼び込めます。
毘沙門天の真言の唱え方とお参りの仕方
毘沙門天の真言を唱える際には、静かな場所で心を落ち着けます。
なかなか落ち着かない場合は、深呼吸をして心を鎮めてください。
可能ならば上記でご紹介した「毘沙門天印」を結び、集中力とご利益を高めます。
真言を唱える際にはゆっくりと、ご自分に合った回数を意識しましょう。
一般的には7回、21回、108回が最適だといわれています。
回数や唱え方よりも、実は継続して心を込めることが重要です。
短時間でも構いませんので、毎日続けてみましょう。
- 強い願望を持ち過ぎない
- 雑念を払う
- 清浄な気持ちで行う
また、毘沙門天のお参りの仕方についてです。
寺社の場合は、入口で清めてから本堂や毘沙門天像の前に進みます。
お線香やお賽銭などを備えて合掌して祈りましょう。
この際に真言を唱えたり手印を組んだりするととても丁寧なお参りとなります。
一礼して退きます。
毘沙門天の姿や特徴
毘沙門天の姿ならではの特徴があります。
- 忿怒の表情をしている
- 右手に三叉戟(さんさげき)など、左手に宝塔(ほうとう)を持つ
- 邪鬼を踏みつけている
- 火焔光背(かえんこうはい)
- 虎とムカデが使い
- 甲冑
毘沙門天は七福神の一柱ですが、正義が悪を圧倒する姿を現すので忿怒相となっています。
右手に持つ武器には、勝利や正義や魔除けという意味があります。
左手の宝塔は、財福や繁栄などの意味を持ちます。
特徴的なのは邪鬼を踏みつけている姿でしょう。
まさしく悪を圧倒する姿を象徴しており、忿怒の表情と共に厳しく守護する神であるとわかります。
毘沙門天のお使いはなぜムカデ?
毘沙門天の使いをしているのは「虎」と「ムカデ」です。
虎は勇猛さや威厳を象徴し、毘沙門天の戦の神様としての側面を表しているといわれています。
中国やインドの神話をみていると、虎は神を乗せていたり、守護獣だったりするのです。
ムカデが使いになっているのには意味があります。
ムカデは前進しかできない生き物であり、足が多くて機動力の象徴だからです。
また、見た目はとても不気味で、それが魔除け効果に繋がるといわれています。
武田信玄の旗印や兜にムカデ紋が使用されているのをご存じでしょうか。
武田信玄は毘沙門天を深く信仰していたため、ムカデ紋を使用したり、「毘」の一文字旗を使っていたしします。
毘沙門天のご加護を受けて勝ち続けることを目指していたのです。
毘沙門天像をお祀りしている寺社
- 信貴山朝護孫子寺(奈良県)
- 三熊野神社(岩手県)
- 善國寺(東京都)
- 多聞天神社(京都府)
- 多門天社(福岡県)
奈良県にある信貴山朝護孫子寺は毘沙門天信仰の総本山だといわれています。
七福神の中でも特に毘沙門天のご利益を授かりたい方におすすめです。
三熊野神社には、国指定重要文化財にしてされている高さ4.73mの兜跋毘沙門天立像が祀られていることで有名です。
毘沙門天を祀る神社は、上記でご紹介した寺社以外にも全国各地にあります。
七福神巡りの寺社には、毘沙門天を祀る場所も含まれている場合が多いようです。
お住まいのお近くの寺社や、参拝に人気な場所など調べてみましょう。
占い師sakuraのワンポイントアドバイス「毘沙門天は幅広いご利益のある護法善神」

甲冑をまとい宝塔と武器を携えて悪を退けて正義を貫く姿が有名でしょう。
勇敢果敢な武神であり、厄除けや勝負運などのご利益とともに10種の福を授かります。
毘沙門天は幅広いご利益のある護法善神ですから、真言の意味を理解し、梵字や印字を活用して唱えるなどして信仰してみるのもいいですね。
全国各地にある毘沙門天を祀る神社に足を運ぶことでも、加護や福徳を得られます。