
帝釈天は守護神の一柱で、インド神話の雷神である「インドラ」が起源だといわれる天部の神様です。
厄除けや勝負運などのご利益があり、それは戦いや正義や仏法などの守護を司っている存在だからです。
帝釈天の名前の意味や別名、マントラと呼ばれる真言、さらに阿修羅との戦いの神話エピソードまで解説します。
帝釈天に興味がある方、ご利益を授かりたい方、祀られている寺社の参拝を予定されている方はぜひ参考にしてください。
目次
帝釈天とは何の神様?
帝釈天は仏教の守護神で、もとはインド神話の神インドラ。
正義と戦いを司り、厄除けや勝負運などをもたらす帝釈天について詳しくみていきましょう。
帝釈天は何の神様なのかがはっきりします。
帝釈天は慈悲深い護法善神
帝釈天は仏教において天部に属する神様です。
仏法を守護する強力な神様は守護神とも呼ばれます。
帝釈天の起源は、古代インドの雷神「インドラ」にあります。
日本に伝承される過程において、帝釈天として再解釈されたのです。
正義や秩序や戦法などを象徴するため、悪をくじき、善を守る存在です。
昔から今に至るまで多くの方に信仰されている神様でもあります。
また、帝釈天はお釈迦様に仕える護法善神でもあり、宇宙の秩序と仏法の正しさを体現する存在だといわれています。
護法善神とは、釈迦の説法を助ける存在、仏教徒を守護する存在でこれらの重要な役割を担っている神です。
梵天と並ぶ天部の二大護法神
梵天と帝釈天は、天部で情意の存在で二大護法神だといわれています。
天部とは、毘沙門天が一柱でもある四天王や帝釈天や梵天などの神々のグループであり、仏や菩薩を守り、現世利益をもたらします。
天部を語る際に、帝釈天と一緒に登場しやすいのが梵天なのです。
梵天は宇宙の創造や調和を象徴する神様だといわれており、お釈迦様が初めて説法するように勧めた存在。
帝釈天は天部のリーダー的な存在だといわれている一方で、梵天は慈悲と智慧の象徴として語られます。
このような神々を信仰して手を合わせることによって、現代人は日々の安心や繁栄の祈りとなります。
もともとは古代インドの武勇の神インドラ
先にお話したように、帝釈天は仏教に取り入れられる前はインド神話に登場する「インドラ」として信仰されていました。
インドラとは、雷や嵐や戦いを司る神様であり、古代インドでは「神々の王」「英雄神」として知られていたようです。
武勇の神インドラの主な性質をご紹介しますので、帝釈天との繋がりを感じてみましょう。
- 雷の神として嵐や雷を操る自然神として恐れを抱かれていた
- 戦いの神として神々の軍勢を率いて悪神や阿修羅との戦いで勝利した
- 酒を愛する豪快な神
- 天界に君臨する神様の中でも特に高位な存在で支配者
帝釈天の名前の意味と別名
帝釈天の読み方は「たいしゃくてん」で、サンスクリット名は「śakro devānām indraḥ」(シャクロー・デーヴァーナーム・インドラハ)です。
サンスクリット語は梵語であり、そのまま漢字にすると「釈迦提婆因陀羅」となりお釈迦様との関連も分かります。
- 帝:男性名詞の単数主格、みかど(王)
- 釈:力強い、さとす、解き明かす
- 天:神を意味する男性名詞の複数所有格
有力や勇決という意味もあり、帝釈天は「天上の王、秩序や正義を解き明かす神」とも読み解けます。
また、帝釈天には様々な別名があります。
- インドラ
- 忉利天王(とうりてんのう)
- 天部大将(てんぶたいしょう)
- 三十三天王(さんじゅうさんてんのう)
- デーヴァラージャ(Devarāja)
- 帝釈
- 釈提桓因
- 釈迦提婆
- 釈迦因陀羅
帝釈天の姿は甲冑や白象が特徴
帝釈天は、外見的特徴があり、描かれている際には共通するものがたくさんあります。
- 鎧兜を身につけた戦神の姿
- 右手に武器(雷や金剛杵)を持ち、悪を打つ姿勢をしている
- 気高く威厳ある顔立ちと体格
- 白象(エラヴァータ)にまたがる像も多く見られる/li>
- 宝冠をかぶり、天衣(てんね)をまとう貴族風の姿である場合も
勇壮な姿をしており、武将のような甲冑をまとって描かれることが多いようです。
力強さを感じることから「力」「王権」「智慧」が象徴されているとわかります。
帝釈天のご利益は何?
仏教の守護神であり、戦いや正義などのご加護を象徴する帝釈天ですから、多くの現世利益があるといわれています。
力強い性質からも、そのご利益は相当なものだと噂されています。
- 厄除けや災難除け
- 勝負運や成功運
- 開運招福
- 病気平癒や健康祈願
- 家内安全
- 国家安泰
- 戦勝祈願
帝釈天は古くから国家の守護神でもありました。
そんなにも深く信仰されているのは、ご利益をしっかりと授かる証拠です。
邪気などの災いから身を守り、心身の不調を正して健康を保つことができます。
家庭の平穏や家族の無事を祈っている方、仕事や試験やスポーツなどで価値を求めている場面に差し掛かっている方にも祈願して欲しい神様です。
帝釈天の真言と梵字・手印
帝釈天の真言
帝釈天の真言は「オン インドラヤ ソワカ」です。
帝釈天の真言を唱えると、仏の加護を得られます。
それだけ神聖な言葉ですから、しっかりと意味を理解して、修行や祈願などに役立てましょう。
- オン:神聖な音。宇宙の根源、すべての始まりを象徴
- インドラヤ:「インドラ(=帝釈天)に対して」という意味
- ソワカ:「成就あれ」「どうか加護をたまわらんことを」「ささげます」という意味
また、帝釈天を象徴する梵字は「「इं」(イン)」で、エネルギーや本質を凝固した神聖な文字です。
帝釈天の真言を唱える際の手印
帝釈天の真言の意味をしり、唱える際には心を落ち着けて行うと同時に手印を用いるとより効果的です。
帝釈天の手印は「帝釈天印」です。
身体と心の結びつきを高める働きがあります。
修羅場の語源に!帝釈天と阿修羅の戦い
帝釈天には勇ましい逸話がたくさんあります。
その中でも有名なのが阿修羅との戦いでしょう。
この戦いは「修羅場」という言葉の語源にもなったものです。
仏教やヒンドゥー教の神話に登場する戦いで、正義や怒りや秩序などの象徴的な対立です。
戦いの原因は様々な説がありますが、一般的には「権力争い」「不公平な扱い」「娘をめぐる足り立」だといわれています。
帝釈天が支配する天界の権力に反発していた阿修羅。
神々との争いによって追放されたための帝釈天を憎んでいた。
帝釈天が阿修羅の娘を奪ったことが直接的な戦いになったようです。
阿修羅たちは帝釈天が支配している天界に攻め入った際、帝釈天は天部の神々と力をあわせて応援します。
天界と阿修羅界で何度も戦いを繰り返しましたが、最終的に神々の強力を得たことで優位に立ちました。
しかし、完全に阿修羅は滅ぼされることはなく、決定的な勝敗はついていません。
何度も争いは続いて、永遠に継続されていくといわれているのです。
また、帝釈天と阿修羅の闘いの性質からは、六道の一つである「修羅道」が形成されました。
戦いが象徴するのは、人間の中にある怒りや嫉妬や執着などを表し、それが苦しみとなり、荒さ老いが引き起こされるという教訓です。
帝釈天をお祀りする寺社
- 題経寺(東京都)
- 広島安産神社(広島県)
- 宝戒寺(神奈川県)
- 帝釈寺(岐阜県)
- 東大寺法華堂(奈良県)
帝釈天を祀る寺社で有名なのは東京都にある題経寺で、柴又帝釈天とも呼ばれています。
こちらは、「男はつらいよ」の舞台としても知られている場所です。
広島安産神社には、安産の守護神として帝釈天が祀られており、宝戒寺では創建当初から伝わっている像があって神奈川県の指定文化財となっています。
帝釈天を信仰している方が参拝する寺社で、観光客にも人気があるスポットも多くあるようです。
占い師sakuraのワンポイントアドバイス「帝釈天は仏教を信じる人を守り救ってくれる」

「天界を支配する王」という名前の意味があり、真言は「オン・イシヤク・ソワカ」で、心願成就が期待されます。
帝釈天と阿修羅の闘いは、怒りの闘い、執着の象徴として語られることが多く、たくさんの教訓を感じ取れるでしょう。
帝釈天は仏教を信じる人を守り救ってくれる神様ですから、祀る寺社を参拝する方々は心の平安を求めていらっしゃいます。