
「十一面観音菩薩の真言のご利益は?」「正しい唱え方や唱える回数に決まりはある?」
十一面観音菩薩への疑問をお持ちの方に、真言の効果や意味やご利益、唱え方や唱える回数をまとめましたので参考にしてください。
あらゆる方向から苦しみを見つめる十一面観音菩薩はたくさんの功徳を授けてくれる仏様です。
スピリチュアルな観点も交えながら、解説いたします。
目次
十一面観音菩薩はすべての方向に手を差し伸べてくれる仏様
十一面観音菩薩は仏教において、観音菩薩の変化身であり、すべての方向に手を差し伸べてくれる仏様です。
梵字「キャ」は、十一面観音菩薩のエネルギーが凝縮されている文字で、真言などに使用されます。
人々の苦しみや願いを見つけて救済する存在で、慈悲の力を体現しています。
また、十一面観音菩薩の象徴は以下の通りです。
- 勢至菩薩について
- 慈悲の拡張性
- 多面的な視点からの救い
- 煩悩を見極めて悟りに導く智慧
現世利益の仏様だともいわれており、信仰深く、厄除けや心願成就の功徳があります。
名前からイメージできるように、頭部に11の顔があるのが特徴。
それぞれの顔によって多方面に目を配れます。
また、十一面観音菩薩と龍神とは深い関係があります。
なぜなら、水や甘えや浄化などの面で共通する役割によって、龍神が観音菩薩の使いや守護神だと語られているところもあるからです。
十一面観音菩薩の真言(マントラ)と意味
十一面観音菩薩の真言(マントラ)を理解すると、信仰や実践に役立ちます。
地域や宗派によって伝わる真言は異なりますが、こちらでは代表的な二つをご紹介します。
それぞれの真言の違いは以下となります。
オンロケイジンバラキリクソワカ
広く現代において普及している十一面観音菩薩の真言は「オンロケイジンバラキリクソワカ」です。
十一面観音菩薩によるあらゆる者を救う力に対して祈りを捧げる真言。
- オン:聖なる始まり
- ロケイ:煩悩に溢れる世界
- ジンバラ:福徳や功徳
- キリク:十一面観音菩薩を象徴する梵字の音
- ソワカ:成就
災難除けや怒りなどの鎮静による精神の安定というご利益があります。
オンマカキャロニキャソワカ
密教系で用いられる十一面観音菩薩のマントラは「オンマカキャロニキャソワカ」です。
「オンロケイジンバラキリクソワカ」との違いは、慈悲と救済の力を呼び起こす点。
- マカ:偉大
- キャロニキャ:観音菩薩の梵名
- ソワカ:成就
ご利益は、浄化や福徳増進や魂の向上となります。
それぞれの違いを理解し、信仰の際に活用しましょう。
十一面観音菩薩の真言の効果
十一面観音菩薩の真言には多面的な功徳があるといわれています。
真言を唱えることで得られるのは、現世のご利益である「十種勝利」と死後のご利益である「四種果報」と分けて考えられます。
それぞれの功徳をご紹介します。
十種勝利(現世のご利益)
まずは現世でのご利益である「十種勝利」についてご説明します。
十種勝利で得られる功徳は以下となります。
- 離諸疾病…健康状態が継続する
- 一切如來攝受…あらゆる全ての如来に受け入れられる
- 任運獲得金銀財寶諸穀麥等…金運や財産運が高い状態で維持される
- 一切怨敵不能沮壞:怨敵からの害を受けない
- 國王王子在於王宮先言慰問…王宮で国王や王子から手厚く扱われる
- 不被毒藥蠱毒。寒熱等病皆不著身…毒や呪いを受けずに健康が損なわれない
- 一切刀杖所不能害…凶器の害を受けずに受傷しない
- 水不能溺…溺れない
- 火不能燒…焼かれない
- 不非命中夭…不慮の事故を避ける
十一面観音菩薩のご利益をみていくと、現世において衣食住に困らない、厄災を避ける特徴があると分かります。
苦しみや悪縁から救い、悲しみや怒りなどから解放するからです。
悪縁は繰り返されることがありますが、それを切ることで人間関係は良好になり、事故や病気などからも守護していただけます
ただ十一面観音菩薩はとても厳しい仏様でもあります。
筋が通らないことは嫌い、間違ったことは許さないという側面もあるので、ご利益を授かりたい時は中途半端な気持ちではいけません。
「手を合わせたから功徳を得る」「願ったから大金持ちになれる」と思わず、普段の生活の中であなたが努力することも必要なのです。
ご利益だけをいただこうとする邪な気持ちが見透かされるので注意しましょう。
四種果報(死後のご利益)
四種果報とは死後のご利益または来世での果報といわれています。
「誰かのために」と見返りを求めずに善行を積む方が得られる功徳です。
- 臨命終時得見如來…死を迎えた時に如来に会える
- 不生於惡趣:地獄や餓鬼、畜生に転生しない
- 不非命終…長寿でいられる
- 從此世界得生極樂國土:極楽浄土に生まれ変われる
三悪趣と呼ばれる「地獄」「餓鬼」「畜生」から解放されて極楽浄土に生まれ変わるのが四種果報の特徴です。
人生は迷いの世界に入り込むことがありますが、四種果報のご利益を受けると、六道と呼ばれる地獄、餓鬼、畜生、修羅、人間、天上(神)の世界をまわる六道輪廻から解放されます。
十一面観音菩薩の真言の効果的な唱え方
まず、十一面観音菩薩の真言は「オン・マカ・キャロニキャ・ソワカ」(Om Maka Kyaro Nikya Sowaka)です。
真言を唱える前には呼吸を整えて心を落ち着けます。
背筋を伸ばして座り、鼻から呼吸すると精神が落ち着くでしょう。
十一面観音菩薩を唱える回数は108回が基本だといわれていますが、時間がない、慣れていない場合は7回あるいは21回唱えるようにしましょう。
回数を意識するよりも毎日唱え続けることが大切です。
真言の意味を理解し、一音一音丁寧に唱えましょう。
- オン…仏の始まりを示す音で浄化と目覚めの力を持つ
- マカ…偉大な慈悲
- キャロニキャ…観音菩薩の性格を表わす
- ソワカ:成就
数珠を使ったり手印を用いたりすると効果的です。
十一面観音菩薩の手印は「十一面根本印」と呼ばれるもので、上記の画像を参考にしてください。
重要なのは唱える際に、その目的をご自分の中で明確にしておくことです。
十一面観音菩薩の顔の意味
その名の通り、十一面観音菩薩には十一の顔があります。
本面と呼ばれる正面に一つ、周囲に子面が九つ、忿怒面といわれる頭頂にある一つの面です。
それぞれの顔には意味があります。
- 正面の顔…大慈大悲の象徴
- 右側側面の3面…苦しみや悲しみを癒して喜びを与える慈悲
- 左側側面の3面…苦悩する人々を救う非の心
- 後頭部の3面…真理を見極める智慧
- 頭頂の顔…悪を断ち切り煩悩や魔を追い払う正義と怒りの象徴
十一面観音菩薩像によっては、側面や後頭部の彫刻が異なる場合がありますが、その9面は共通して「様々な感情の表現」だといわれています。
正面の顔については、十一面観音菩薩が全ての命を救おうとする願いが込められているそうです。
怒りに満ちた表情をしている頭頂の顔は、裏の顔とも呼ばれています。
慈悲深さの裏にある、愛があるゆえの怒りだからです。
国宝の十一面観音菩薩の仏像はどこにある?
国宝に指定された十一面観音菩薩の仏像は7体でしたが、2024年8月にもう1体が登録されて、現在では8体となっています。
- 奈良国立博物館(奈良県)
- 大御堂観音寺(京都府)
- 聖林寺(奈良県)
- 室生寺(奈良県)
- 法華寺(奈良県)
- 道明寺(大阪府)
- 六波羅蜜寺(京都府)
- 向源寺(滋賀県)
- 千本釈迦堂(京都府)
国宝指定されている十一面観音菩薩の仏像は、お寺によっては普段から拝観できるものではありません。
中には12年毎に公開しているお寺もあり、拝観したい場合はその貴重な機会をうかがわなければならないでしょう。
また、国宝指定の十一面観音菩薩の仏像は、現在は近畿地方にしかないのも特徴です。
日本の歴史に中心地とも呼べる近畿地方に集まっているのも感慨深いものでしょう。
奈良時代に日本にもたらされた後、たくさん作られたのが平安時代という歴史背景も関係していそうです。
占い師sakuraのワンポイントアドバイス「効果はさまざま!十一面観音菩薩の真言を唱えてご利益をいただこう」

十一面もある顔はあらゆる方角を向き、誰一人、何一つ、苦を取り逃すことがありません。
それだけご利益については様々ですから、正しい十一面観音菩薩の真言を唱えて受け取りましょう。
自他の苦しみを手放すことで、心の安らぎと智慧に近づくことも可能ですよ。
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