ユダヤ神秘主義の思想のひとつであるカバラの“生命の樹”。
これは、宇宙と森羅万象の成り立ちを教えてくれるものとされています。
カバラにおいて非常に重要視されているこの生命の樹について、今回はスピリチュアル初心者の方でもわかりやすいよう、説明していきたいと思います。
生命の樹とは何なのかを知りたい方はぜひご覧ください。
目次
生命の樹のカバラとは?わかりやすく解説
まずは、“生命の樹”とは何のことなのかについて知っていきましょう。
宇宙の原理や森羅万象を読み解くための“魂の設計図”ともいわれえる生命の樹が一体どのようなものなのか、知ることでどのようなメリットを与えてくれるのかについて説明していきます。
ユダヤ神秘主義の思想を図案化したもの
生命の樹を読み解くうえで重要なのは、“カバラ”についてです。
カバラとは⇒ヘブライ語で“カバル”…“伝承”を意味する言葉で、ユダヤ教の伝承に基づいた神秘主義思想のこと。古代ユダヤ民族の各家庭において口伝されてきたもの。
生命の樹は、このカバラにおいて非常に大切にされているシンボルであり、カバラの神秘主義思想を目に見える形で分かりやすく図案化したものだといわれています。
複雑に見えてシンプルに宇宙の原理を読み解き、森羅万象の成り立ちを伝えてくれるといわれているのです。
また、この生命の樹は旧約聖書の中の創世記にも登場するといわれています。
アダムとイブがいたエデンの園の中央に位置していたのがこの生命の樹であり、アダムとイブはこの生命の樹に実った果実を食べてしまい、エデンを追放されてしまったとされているのです。
宇宙の原理を表している
生命の樹は宇宙の原理を表しているといわれています。
生命の樹は、11個のセフィラと呼ばれる球体、そしてそこからさらに枝分かれするように伸びるパスと呼ばれる22本の経路によって成り立っています。
生命の樹は“セフィロトの樹”とも呼ばれており、セフィロトというのは神様から流出する力のことを指しているのです。
そのため、生命の樹は神様から流出した力によって成り立つ、宇宙の原理や森羅万象を表した図であると解釈することもできるでしょう。
この世界は神の思考と言葉と行為からできていて、そこから10のセフィロト(セフィラ)が流出し、この世界ができたといわれています。
生命の樹はその神の流出によってできた宇宙や世界を表していることになるのです。
理解することで自分自身を紐解くことができる
生命の樹は人の人生の設計図であり、人の魂の設計図であるともいわれています。
宇宙や森羅万象と一人一人の魂、人生はその規模が違うだけでつくりは同じだといっているのです。
それを念頭に置いたうえで、生命の樹をひとつずつ読み解いていくと、だんだんと自分自身を理解することができ、受け入れることができるようになっていきます。
同時に、自身がたどるべき道や与えられた使命についても気づきを得て理解し、人として成長させてくれるものでもあるといわれているのです。
つまり、生命の樹を読み解き、理解することができれば、今よりさらに一次元上の魂を手に入れることができるといっても良いでしょう。
カバラにおける生命の樹の構成
ここでは、生命の樹の構成と、生命の樹を構成するセフィラについて説明していきたいと思います。
まずは、セフィラとは何なのかを知ってから、生命の樹を構成する10のセフィラのそれぞれの特徴を確認していきましょう。
10のセフィラと意味
それでは早速、カバラの生命の樹を読み解いていきましょう。
重要なキーとなるのが、10のセフィラです。
セフィラは、この世界や宇宙に存在するありとあらゆる存在や森羅万象のことであり、この世のすべてを分類できるといわれているものです。
ひとつひとつのセフィラは22本のパスで繋がれており、順番に読み解くことで理解を深めていくことができます。
1番から10番までのセフィラをたどっていくことで宇宙の原理を理解することができ、反対に10番から1番へ数字を遡るようにたどっていくと、自分自身を知ることができるといわれています。
①ケテル:王冠
すべての始まりとされるのが、ケテルです。
思考や創造を司るとされているセフィラであり、宇宙の因果の原点ともいえます。
自分自身や魂を表すセフィラでもあるため、10番目のセフィラからさかのぼるようにして辿り着いたケテルが、自分自身が何者であるか、自分に課せられた使命が何であるかを分からせてくれるのです。
また、神の意思を表すセフィラでもあります。
自分の頭で考え、自分の足で行動することの大切さを学ぶことができるのがケテルです。
②コクマー:知恵
知恵を司る2番目のセフィラがコクマーです。
調和やバランス、母性や女性性といったものとも関わりが深く、人との関わり合いかた、人と接する際に何を重んじるのかについて教えてくれるセフィラであるといえるでしょう。
優しさや愛情など、柔らかいイメージを持つ言葉を司るコクマーですが、同時に知恵を司っていることで、「何をするにも知恵をy使わなければ大切な物を守れない、失ってしまうかもしれない」と注意してくれていると受け取ることもできるのです。
③ビナー:理解
新しいものを創り出していく力の象徴であり、同時に知性や理解、相手への尊重といった意味を持っているのが、3番目のセフィラであるビナーです。
理解し、相手を受け入れる懐の深さの重要性を学ばせてくれるセフィラだといえるでしょう。
同時に、ただ相手を見守るのではなく、自ら足を踏み出して積極的に人や物事と関わり合い、目の前の出来事や人を理解し、尊重し、受け入れていくことを教えてくれています。
④ケセド:慈悲
4番目のセフィラであるケセドには、慈悲という意味があります。
これは、人の弱さや強さを知り、見返りを求めない愛を持つことの大切さを教えてくれています。
損得勘定なく、自分にとって見返りがあるかどうかなども考えず、ただ人のためになりたいという直感的な本能のみで行動することが重要であると伝えてくれているのです。
そんな慈悲に溢れた美しい心を持つことが、自身を幸せへ導いてくれるのだとケセドから学ぶことができます。
⑤ゲブラー:峻厳
5番目のセフィラであるゲブラーは調和と正義を表しています。
力強さを感じさせる男性性の強いセフィラのように思わせる反面、調和を重んじ女性的なイメージを抱かせる部分もあるのです。
これは、人が持つべき強さの中には暴力や単純な力ではなく、人を守るため、時には自分を守るために人を傷つけずに行動できる芯の強さを表しているからだと考えることができます。
ゲブラーが教えてくれるのは、愛のため、平和のため、より良い世界のために時に弱くなってしまう人間を守るための強さを持ちましょうということなのです。
⑥ティファレト:美
セフィラの中で美を意味しているのが、ティファレトです。
生命の樹の心臓部、中枢ともいえるセフィラであり、現代を生きる人類に最も必要なセフィラであるという声も存在しています。
すべての物事のバランスをとるために中心に存在しているものを意味しているともいわれるティファレトですが、例えば女性と男性、内と外、上と下といった対照的なものの間に存在することで、それぞれのバランスを保ち、平等や平和を保つ考え方の重要性を説いてくれているのです。
外見の美しさという意味の“美”ではなく、世界や宇宙で均衡の取れているバランスの良い“美しさ”の意味を持っていると解釈してください。
⑦ネツァク:勝利
勝利を意味する7番目のセフィラがネツァクです。
ネツァクには、勝利以外にも感情という意味が持たされており、何にでも感情を持って向き合うことの大切さを学ぶことができます。
一瞬の勝利ではなく、物事を長い目で見たときの永続性のある勝利を意味しており、長く勝ち続けるためには、それに伴った感情も重要となってくるという勝利と感情の繋がりについても教えてくれています。
自分の勝利のため、周りの人の勝利のために感情を込め、相手に気持ちを寄り添わせて向き合いましょうという意味を持っているのです。
⑧ホド:栄光
8番目のセフィラ、ホドが意味するのは栄光です。
また、思考や名誉といった意味も持っているため、考えて手にする栄光、名誉を表していると捉えても良いでしょう。
じっくりと考えて、確実に基盤を築いたうえで手にする名誉や栄光であれば信頼に足るもので、自分だけでなく周りにも良い影響を及ぼすことができることを教えてくれているのです。
ただ栄光を手にするために考えて行動するのではなく、人のためを思って行動した先に栄光が待っていることを伝えていると捉えることもできます。
⑨イェソド:基礎
基礎という意味を持っている9番目のセフィラ、イェソドが意味しているのは基礎です。
また、潜在的な力や精神世界、未知の世界などを表しているといわれており、危機的な状況に陥ったときや、人生においてここぞという決断をするときに役立てることができるセフィラだといえるでしょう。
すべてのセフィラからの流出をイェソドが受け止め、検閲して外の世界に流していくような役割を担っているので、すべての物事の基礎という意味があるのだと考えられます。
⑩マルクト:王国
王国・地球という意味を持っているのが10番目のセフィラ、マルクトです。
1番目のケテルから順にセフィラを辿り、最後に行き着くのが私たちが暮らす地球となります。
また生命の樹から流出したものはひとつ前のイェソドの検閲を受けてマルクトに流されてくるともいわれている、最後の受け皿となるセフィラでもあるのです。
ある種の終着点でもあり、そして始まりの場所でもあるからこそ、人が自分を知るためには今度は10番目のセフィラであるマルクトから順にセフィラを辿っていくことになります。
3本の柱と意味
生命の樹には三本の柱が存在します。
生命の樹に並べられたセフィラは、その配置が3本の線上に存在しているようになっており、真ん中に1,6,9のセフィラ、左側に3,5,8のセフィラ、そして右側には2,4,7のセフィラが縦に並ぶ形となっており、これが三本の柱と呼ばれるものです。
①慈悲の柱
生命の樹の中で、一番右に存在している柱は慈悲の柱と呼ばれます。
2番のコクマー、4番のケセド、7番のネツァクから成る慈悲の柱は、強い男性性を表しています。
人々に癒やしや楽しさを与え、哀れみの心を持ち、愛を持って接するという意味を持っている慈悲の柱ですが、そこに強い男性性をプラスすることで、優しさと強さのバランスを取り、本当に大切なものを守れる強さを与えてくれているのです。
②均衡の柱
中心に存在している柱は均衡の柱と呼ばれます。
三本の柱の中では男性でも女性でもなく、子供の柱であるともいわれているように、バランスを重視した柱となっています。
1番のケテル、6番のティファレト、9番のイェソドと10番のマルクトの4つから成っており、右にある慈悲の柱と左にある峻厳の柱のバランスを保つ役割を担っているのが、この均衡の柱なのです。
③峻厳の柱
非常に厳しい様を意味する名を冠している柱が一番左にある峻厳の柱です。
女性性の強い柱とされており、慈悲の柱にはもともとある慈悲に男性性の力強さ、峻厳の柱にはもともとある厳しさに女性の優しさを加え、バランスを保っていると考えられます。
女性性や与えられるものを待つ受動的な力を司っているといわれており、3番のビナー、5番のゲブラー、8番のホドから成り立っているのが峻厳の柱です。
22本のパス
生命の樹には、10のセフィラをそれぞれ繋ぐ22本の直線があります。
これは“パス”と呼ばれるもので、22のヘブライ文字と対応しており、それぞれがセフィラの流出の経路となっているのです。
セフィラの流出の通り道となっているため、パスのことを“22の小径(こみち)”といった表現をすることもあります。
セフィラ単体では宇宙の原理、森羅万象を理解するのは難しく、パスがあって初めて、すべてが繋ぎ合わさり、あらゆる真実や知識を得ることができるとされています。
生命の樹のカバラとタロットの関係
生命の樹のセフィラやパスが表す思想…カバラは、タロットの元となっているといわれています。
中でも、22のパスはタロットカードの大アルカナに対応しているといわれているのです。
これは19世紀に詩人であり、思想家でもあったエリファス・レヴィという人物がタロットの絵柄がカバラの生命の樹を表しているのではないか?という見解を示したことが始まりとなっています。
エリファス・レヴィは当初、マルセイユ版のタロットを見てそのような見解を示しましたが、この見解が広まるにつれて徐々にタロットカードが生命の樹に寄せられるように変化させられていき、19世紀末にはより生命の樹との繋がりが深くなったウェイト版タロットが生まれたのです。
では実際に、生命の樹の22のパスが大アルカナのどのカードと対応しているのかについて確認していきましょう。
1 アレフ(Aleph) | 大アルカナ・0愚者
正位置:冒険心・可能性 ケテルからコクマーを繋ぐ |
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2 ベート(Beth) | 大アルカナ:1魔術師
正位置:知性・始まり ケテルからビナーを繋ぐ |
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3 ギーメル(Gimel) | 大アルカナ:2女教皇
正位置:直感力:洞察力 ケテルからティファレトを繋ぐ |
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4 ダレット(Dalet) | 大アルカナ:3女帝
正位置:母性・豊かさ コクマーからビナーを繋ぐ |
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5 ヘー(He) | 大アルカナ:4皇帝
正位置:プライド・統率力 コクマーからティファレトを繋ぐ |
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6 ヴァヴ(Waw) | 大アルカナ:5法王
正位置:社交性・誠実 コクマーからケセドを繋ぐ |
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7 ザイン(Zayin) | 大アルカナ:6恋人
正位置:安心・共感 ビナーからティファレトを繋ぐ |
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8 ヘット(Cheth) | 大アルカナ:7戦車
正位置:野望・克服 ビナーからゲブラーを繋ぐ |
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9 テット(Teth) | 大アルカナ:8力
正位置:忍耐・信念 ケセドからゲブアーを繋ぐ |
||
10 ヨッド(Yod) | 大アルカナ:9隠者
正位置:内観・思慮深さ ケセドからティファレトを繋ぐ |
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11 カフ(Kaph) | 大アルカナ:10運命の輪
正位置:チャンスの到来・好転 ケセドからネツァクを繋ぐ |
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12 ラメド(Lame) | 大アルカナ:11正義
正位置:バランス・正当性 ゲブラーからティファレトを繋ぐ |
||
13 メム(Mem) | 大アルカナ:12吊るされた男
正位置:忍耐・献身 ゲブラーからホドを繋ぐ |
||
14 ヌン(Nun) | 大アルカナ:13死神
正位置:運命・方向転換 ティファレトからネツァクを繋ぐ |
||
15 サメフ(Samech) | 大アルカナ:14節制
正位置:柔軟性・平和的な解決 ティファレトからイェソドを繋ぐ |
||
16 アイン(Ayin) | 大アルカナ:15悪魔
正位置:本能:快楽主義 ティファレトからホドを繋ぐ |
||
17 ペー(Pe) | 大アルカナ:16塔
正位置:葛藤:浄化 ネツァクからホドを繋ぐ |
||
18 ツァディー(Sadhe) | 大アルカナ:17星
正位置:才能・可能性 ネツァクからイェソドを繋ぐ |
||
19 コフ(Koph) | 大アルカナ:18月
正位置:見えない敵・用心 ネツァクからマルクトを繋ぐ |
||
20 レーシュ(Resc) | 大アルカナ:19太陽
正位置:解決・成果 ホドからイェソドを繋ぐ |
||
21 シン(Sin) | 大アルカナ:20審判
正位置:復活・意識改革 ホドからマルクトを繋ぐ |
||
22 タヴ(Tau) | 大アルカナ:21世界
正位置:最高点に到達・統合 イェソドからマルクトを繋ぐ |
タロットを使った生命の樹のカバラを読み解くには、10枚のカードを使用します。
これを、生命の樹のセフィラと同じ形に並べていくのです。
カードを並べていくときには、上から順に、そして右から左へと並べていくようにします。
セフィラと同じ位置に置かれたそれぞれのカードには以下の意味が込められており、それぞれのメッセージを読み解くことでリーディングを行うのです。
- ①ケテル:目標とする到達点や理想
- ②コクマー:自身が情熱を抱ける物事は何か
- ③ビナー:この先にある乗り越えるべき試練
- ④ケセド:自身の強み
- ⑤ゲブラー:手放すべきもの
- ⑥ティファレト:達成できる目標・目的
- ⑦ネツァク:周囲の人との関係について
- ⑧ホド:仕事や勉学の成果
- ⑨イェソド:トラウマや恐れているもの
- ⑩マルクト:現在置かれている状況について
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