
薬師如来のご真言は唱えてはいけないという噂がありますが、本当なのでしょうか。
唱えてはいけないと聞くと、なにかバチが当たってしまうのでは…と心配になってしまうものです。
病気治癒や延命だけでなく現世の幸せにも導いてくれるのが薬師如来ですから、ご真言を唱えてご利益を頂きたいものですよね。
そこで今回は、薬師如来のご真言を唱えてはいけないのかだけでなく、ご真言の意味や効果、正しい唱え方まで詳しく解説。薬師如来のご真言におすがりしたい方はぜひ最後までご覧ください。
目次
薬師如来の真言は唱えてはいけないって本当?
薬師如来は現世利益をもたらしてくれると厚い信仰を集める仏様ですが、真言には「唱えてはいけない」との噂もあるため、唱えるのを躊躇っている方もいるのではないでしょうか。
まずは、薬師如来のご真言は唱えてはいけないのかや、そう言われるようになった理由を紹介します。
薬師如来の真言は唱えて大丈夫!
仏教の仏さまのご真言の中には気軽に唱えてはいけないといわれるものもありますが、薬師如来のご真言は唱えても危険があるようなものではなく、一般の人が唱えても問題ありません。
薬師如来は仏教の仏さまの一尊であり、お釈迦様と同じ如来の地位に就いている、悟りを開いた最高位の仏様。
病気治癒や健康・延命の守護仏であり、現世での苦しみを取り除き、人々を幸福に導いてくれる。
仏様の中には私たちを導くために罰する仏様もいますが、薬師如来はこのように私たちを優しく守ってくれる存在です。
ご利益を頂きたいからとご真言を唱えたとしても、私たちを罰することなんてないので安心してくださいね。
ただし後述しますが、唱えても大丈夫=どんな唱え方をしてもいい、という訳ではないことも覚えておきましょう。
一時的に状況が悪化する可能性はある
唱えてもいいのであれば、なぜ薬師如来のご真言を唱えてはいけないといわれてしまうのでしょうか。
それは、如来という高い地位に就く薬師如来のご真言が、他の仏さまのご真言と比べて強力であることが原因だと考えられます。
強い力が作用するときには、好転反応が出てしまう可能性があるため、ご真言を唱えた後に一時的に状況が悪化することもありえます。
それを罰が当たったと考えた人が、薬師如来のご真言は危険だ、唱えてはいけないというようになっただと考えられるでしょう。
薬師如来の真言を唱えない方がよい3つのケース
最初にお伝えした通り、ご真言を唱えることで薬師如来から罰を与えられることはありません。しかし、唱えない方がよいというケースは存在します。
どんなときには薬師如来のご真言を唱えない方がよいのか、その理由を紹介していきます。
信仰していないのに真言を唱える
信仰していないのに面白半分でご真言を唱えるというのは、仏様に対してとても失礼なことです。
薬師如来は心の広い仏様なので、失礼だからと罰を与えることはありませんが、だからといって、失礼なことをしていいわけではありません。
もちろん普段信仰心がなくても、藁にもすがる気持ちで真摯にご真言を唱えるのは問題ないので、本当に困ったときには薬師如来におすがりしましょう。
人の不幸を願っている
絶対にご真言を唱えてはいけないのは、自分が幸せになるために人を蹴落としたいと思ってしまっているときです。
人の不幸という願いに寄って来るのは、神仏のように尊い心を持った方々ではなく、悪霊のような悪しき存在だけ。
願いを叶える見返りとして、あなたの大切なものが奪われたり、あなた自身が不幸に陥ってしまう可能性があります。
自分のエゴを満たすために唱える
自分のエゴを満たすために薬師如来のご真言を唱えた場合も、あなたが不幸になる可能性があります。
これは薬師如来があなたに罰を与えるからではなく、エゴというネガティブな波動が悪いものを引き寄せてしまうのが原因です。
自分の幸せを祈ることとエゴの境目は曖昧なもの。幸せの本質を見誤り、虚栄心を満たすための願いになっていないか、一度自分を振り返ってみてください。
薬師如来の真言と意味
薬師如来のご真言は唱えても大丈夫なこと、そして唱えない方がいいケースがわかったので、安心して唱えることができますね。
それでは実際に唱えられるよう、薬師如来の真言とその意味を見ていきましょう。
小呪の意味
一般的に薬師如来のご真言として知られているのが小呪です。
薬師如来のご真言は「チャンダーリーやマータンギーの女神よ、病魔を取り払いたまえ」という意味で、病気や厄災を払ってくれる力を秘めています。
「ころころ」は「取り払え」という意味で、「せんだり」や「まとうぎ」はそれぞれ「チャンダーリー」と「マータンギー」という名の病気を取り除いてくれる女神さまの名前です。
「おん」と「そわか」は他の仏さまのご真言にも登場する言葉で、それぞれ帰命の意を表す聖音と、願いが叶うようにと祈りを込めた言葉となっています。
中呪と大呪
ご真言には短く一般的に知られている小呪だけでなく、それよりも長い中呪と大呪もあります。
ご真言は言葉自体の意味はそれほど重要ではなく、大切なのはその言葉に込められた心です。長いご真言は覚えるのが難しく心が込めにくいので、覚えやすい小呪を唱えるのがおすすめですよ。
薬師如来の真言の効果
薬師如来のご真言は病気や厄難を払うという意味ですが、ご真言とはその言葉自体の持つ意味だけでなく、その仏様のお教えやご功徳も込められている言葉です。
そのため、言葉自体の意味よりももっと広い範囲でのご利益が期待できるといわれています。
病気を癒し心身の健康をもたらす
薬師如来のご真言の一番の効果といえるのが、病気の癒しや心身の健康というご利益です。
そもそも薬師如来はその名の示す通り「薬の師」であり、「医王如来」という別名も持つ仏様。仏教における医学の守護者として知られているように、病を癒すご功徳をお持ちです。
心を込めてご真言を唱えることで、心身に巣食った厄を払ってくださるので、病気治癒や体の健康を維持できるだけでなく、心の健康も守ってくださることでしょう。
延命や長寿が叶う
病気を癒して健康をもたらしてくれるということは、長生きができるということ。そのことからも、薬師如来のご真言には延命や長寿の効果もあるといわれています。
そして薬師如来は現世利益の仏さま。死後の世界ではなく、現世での安らぎを私たちに与えてくれる仏様でもあります。
つまり、薬師如来のご真言を唱えることで、ただ長生きできるだけでなく、病に苦しむことなく、健康で安らかに長寿を全うできるご利益が期待できるのです。
現世での幸せを与えてくれる
薬師如来が私たちに望んでくださるのは、健康や長寿だけでなく、現世で幸せに生きること。幸せに生きることは心の健康、ひいては体の健康にも繋がっていきます。
心を込めて薬師如来のご真言を唱えることで、現実世界の苦しみを取り除き、幸せに生きるために必要なものを授けてくださるでしょう。
まだまだ悟りとは遠い私たちは、衣食住が満たされてこそ、幸せを感じられるようになるものです。
そんな未熟な私たちに、薬師如来は幸せを感じられる心の余裕が得られるよう、満たされた環境を与えてくださるのです。
悟りの道へ導いてくれる
薬師如来は私たちを仏の道へ、そして悟りへと導いてくださる仏さまでもあります。ご自身の悟りというご光明によって、間違った道へ進みそうになる私たちに、正しい道を照らしてくださっているのです。
そして薬師如来は、間違った行いをした人に罰を与えることはありませんし、見捨てることはありません。
ご真言を唱えて真心をお伝えすることで、誤った道から救い出し、正しい道へと戻してくださることでしょう。
薬師如来の真言の正しい唱え方
ご真言は口にするだけでもご利益が期待できる力を秘めた言葉ですが、正しく唱えることでより効果が得られるようになります。
薬師如来に願いが届くように、ご真言の正しい唱え方をお伝えします。
自分だけでなく人々のことを願う
ご真言を通して薬師如来に願い事をするときは、自分だけではなく、世界の人々の幸福を願うようにしましょう。
薬師如来は生きとし生ける全てのものを救おうとしている仏様です。人々のために祈ることは、薬師如来の御心に適う行いであるため、あなたの願いはきっと叶うことでしょう。
そして薬師如来が幸せにしてくださる世界の人々の中には、当然あなたも含まれています。人々のために祈ることが、巡り巡ってあなたの元にたどり着いてくれるのです。
心を落ち着けて真言に集中する
薬師如来のご真言を唱えるときは、心を落ち着かせて邪念を振り払い、ご真言にだけ集中して唱えることが大切です。
エゴや他者へのネガティブな感情などを持ったままご真言を唱えるのは、悪いものを呼び寄せることに繋がります。
ご真言を唱えたいけれど雑念が消えないときは、深い深呼吸や瞑想で心を落ち着かせるようにしましょう。
真言は3回・7回・13回繰り返す
薬師如来のご真言を唱えるのは一度だけでなく、数回繰り返すことでより効果があるといわれています。
繰り返す回数は仏教で重要視される数字と同じで、3回・7回・13回のいずれか。回数が多い方が効果があるのですが、心を込めないまま回数をこなしても意味がありません。
ご自分が集中して、そして心を込めて唱えられる回数を選んでください。
サンスクリット語のまま発音する
ご真言は元々の言語である、サンスクリット語のまま唱えるのがおすすめです。そして発音の日本語表記を棒読みするのではなく、高低やリズムにも注意して発音しましょう。
それによって、サンスクリット語が持つエネルギーが正しく発揮され、薬師如来の元に願いが届きやすくなります。
正しい発音がわからない方は、YouTubeなどの動画を確認してくださいね。
薬師如来の梵字と手印
梵字とは一文字で神仏をあらわす神聖な文字で、薬師如来の梵字は「べい」もしくは「ばい」と発音します。
ご真言と同じように、薬師如来のご功徳が込められているので、病気治癒や延命など同じ効果が期待できるといわれています。
薬師如来の手印は左手に持つ薬壷を示す薬壺印。病気平癒や災厄除けを祈る意味が込められている印です。
もうひとつは薬師法界定印で、両手の親指を合わせた状態で、残りの左手の指の上に右手指を重ねる印。清浄な状態を象徴する印であり、薬師如来が私たちを病苦から救い、悩みを取り除いてくれること表しています。
薬師如来をお祀りしているお寺
最後に薬師如来像をお祀りしている有名な寺社をいくつか紹介します。ご真言はどこで唱えてもよいものではありますが、仏さまを前に唱えるとご利益も強まるといわれているので、ぜひ参拝してくださいね。
寺社ではありませんが、有名な国宝の薬師如来像は博物館にも納められています。
薬師如来は仏教が日本に渡来した初期から信仰されている仏様なので、歴史ある有名な像も多く残っており、参拝する人も多いのが特徴です。
お参りして真言を唱える際は、他の方の邪魔にならないよう脇に寄り、小声で唱えるようにしてくださいね。
ワンポイントアドバイス「薬師如来の真言を唱えてご利益を頂こう」
薬師如来のご真言を唱えることで、病気を治して健康な生活が送れるだけでなく、幸せな毎日をもたらしてくれるありがたいご利益があるといわれています。
正しい効果を得るためにも、薬師如来への感謝と真心を込めてご真言を唱えるようにしてください。
清い心を持ってお祈りすれば、あなたの願いはきっと薬師如来まで届くことでしょう。