古代中国では、半年ごとの季節の移り変わりを示すものである「二十四節気(にじゅうしせっき)」があります。
この二十四節気をさらに細かく、5日ごとに分けて気象の変化や動物・植物などのさまざまな変化などを示すものが「七十二候(しちじゅうにこう)」というのです。
江戸時代以降、日本では時代が移り変わるにつれて、中国で作られた七十二候を日本の風土や気候に合わせて改訂されてきた日本独特の七十二候ですが、現在のものは明治時代に改定されたもの。
今ではあまり馴染みのない人も多い旧暦ではありますが、その時期特有の兆しや移り行く季節の変化を感じさせてくれるものなのです。
ここでは七十二候の第十五候「虹始見(にじはじめてあらわる)」の意味・時期・旬の野菜・魚介類・草花・運気アップの方法まで詳しく紹介していきます。
雨上がりに空を見上げれば、キレイな虹がかかっていることがあるこの時期。
まだまだハッキリとした虹ではなく、すぐに消えてしまいそうな儚さのある虹ですが、見つけるとちょっと嬉しくなります。
とはいえ昔は虹のメカニズムも分かっていなかった頃ですので、現代の私たちとはちょっと違った見方をされていた虹。
日々の暮らしに季節を感じるための、参考にしてください。
目次
虹始見(にじはじめてあらわる)の意味
「長く続いた春の雨が上がって、空に虹を見ることが出来る頃」という意味になります。
これから初夏に向けて夕立が増えてくる時期でもあり、夕方に虹が見えることも増えてくるもの。
虹始見(にじはじめてあらわる)は、二十四節気の「清明」の末候であり、七十二候の第十五候です。
虹が見えるのはそれだけ日の光が強くなってきたということ。
逆に言えば、冬は日の光が弱いから虹が見えづらいということなのです。
この時期は虹が見え始める時ではありますが、まだ薄くすぐに消えてしまうようなはかなさを感じる虹であることが多いもの。
虹は日本では7色だとされていて、赤・橙・黄・緑・青・藍・紫ですが、これは国によってそれぞれ違いがあります。
アメリカでは藍が抜けて、6色だというのが一般的なのです。
またほかの国では5色だとされているところもありますし、3色だったり2色だったりとする国もあります。
黄緑が追加されて8色とされているアフリカが、色数の観点からいえば一番多いとされているのです。
境目の色が追加されたりなくなって、色数が変動するのはわかりやすいのですが、南アジアでは虹は2色とされており、その色が赤と黒というもの。
なかなか虹に黒が入っているというのも、珍しいものです。
私たちは虹イコール7色だとしても、決して世界共通ではないのです。
とはいえ同じ日本人でも7色に見える人と見えない人がいますので、本当の虹の色は何色なのか、誰にも分らないものなのかもしれません。
虹を発見できた時には、何色に見えるか、7色だという固定概念を捨ててみると、毎回色数が変わったりするなど、違った楽しみ方も出来るといえます。
虹始見(にじはじめてあらわる)の時期は「4月14日~4月18日頃」
2022年 | 4月15日~4月19日 |
2023年 | 4月15日~4月19日 |
2024年 | 4月14日~4月18日 |
2025年 | 4月15日~4月19日 |
2026年 | 4月15日~4月19日 |
2027年 | 4月15日~4月19日 |
2028年 | 4月14日~4月18日 |
2029年 | 4月15日~4月19日 |
2030年 | 4月15日~4月19日 |
2031年 | 4月15日~4月19日 |
雨上がりに虹を見つけると、子どものみならず大人でも嬉しい気持ちになる人も多いもの。
今では虹が見えるメカニズムや、虹に関することがいろいろとわかっているので、純粋に「虹ってキレイだな…」と思って眺めることが出来るのですが、昔は虹が何なのかわからなかったこともあり、虹に対する見方は吉凶さまざまでした。
特に日本では、虹はいい印象ではなかったといえます。
虹は池や沼などに住んでいる主だという説や、虹はヘビだと考えられていた説があるのです。
また虹は干ばつの前触れだと思われていたということもあり、日本では不吉なものの象徴となっていたといえます。
虹がヘビだと考えられていたのは、日本だけでなく、世界的に見ても同じような考え方をされていて、中国では龍だと言われていました。
雨上がりに虹が出ることで、雨によって天空と地上が結ばれ、龍が水を飲みに来ているといったもの。
ほかにも戦乱の前触れといった不吉なことの始まりといったものもありますが、虹が出ると聖王を孕むといった幸運の前触れといった言い伝えもあるのです。
海外では幸せの象徴とされていることがほとんどで、日本とは正反対。
虹のふもとには金のカップがあるとされていて、このカップを手に入れると幸せになれる、というもの。
これはのちに日本でも虹のふもとには財宝が眠っているという言い伝えとして語り継がれることになるのです。
このようにさまざまな捉え方をされていた虹ですが、今では見た人の心を幸せにしてくれる幸運の虹のイメージとして定着しているといえます。
虹始見(にじはじめてあらわる)の旬の野菜は「ミツバ」
「ミツバ」の基本情報
栄養 | ・クリプトテーネン・ミツバエン:ミツバの香りに含まれている成分で、食欲増進・消化を促す効果・神経を安定させてくれてイライラ解消も期待できます。
・カリウム:塩分を排出させる効果があり、高血圧に効果があります。 運動時の筋肉のけいれんを防ぐ効果もあります。 ・βカロテン:抗発ガン作用・動脈硬化の予防に効果があります。 体内ではビタミンAに姿を変えて、呼吸器系統を守ってくれたり、視力の維持や粘膜・皮膚の保護に役立ちます。 |
選び方 | 鮮やかな緑色をしていて、色の濃いものを選んでください。
黄色っぽくなったものは、鮮度が落ちてきている証拠です。 |
保存方法 | 濡らしたキッチンペーパーなどでくるんだものを、袋に入れて冷蔵庫で保存しましょう。 |
その他、お役立ち情報 | ・赤色のミツバも存在しています。 |
「ミツバ」の特徴
ミツバは日本各地の山々に自生していますので、山菜採りに出かけた際には、一緒に探して収穫することが可能です。
日本では和食でのトッピングに使用されたりと、日本人にとってはおなじみの野菜。
ミツバには「根三つ葉」「切り三つ葉」「糸三つ葉」といった種類があります。
「根三つ葉」とは、春から夏にかけて出回っているもので、ゴボウのような根がついているものです。
「切り三つ葉」とは、茎の部分が太く、セロリに似ているものですが、関東で出回っているもので、関西ではあまり見かけることはないもの。
「糸三つ葉」とは、私たちが一番よく目にするもので、年間を通して出回っているものになります。
天然物の三つ葉の旬は3月ごろから初夏にかけてです。
この時期のものは特に香りがよく、食感も楽しめるものになります。
「ミツバ」のおすすめの食べ方・調理法
ミツバといえば、茶わん蒸しやお吸い物にトッピングとして使われることが多く、香りづけや薬味といったイメージが強いものです。
「料理にはあまり使えないのでは?」と思うかもしれませんが、お浸しや和え物などにするとおいしいのでおすすめ。
サラダに使ったり、魚料理や鍋料理に使うと三つ葉の香りを活かすことが出来ます。
ハーブのような使い方で使える、ということです。
ミツバを存分に味わおうと思うなら、ドレッシングやソースとして活用もできます。
このソースでパスタを作ったり、蒸し魚にかけたり、万能ソースとして使えますので、おすすめです。
またクックパッドの「ミツバ」に関連するレシピも参考になるので是非ご覧ください。
虹始見(にじはじめてあらわる)の旬の魚介類は「メバル」
「メバル」の基本情報
栄養 | ・DHA・EPA:高度不飽和脂肪酸と言われるもので、悪玉コレステロール・中性脂肪を減らす働きがあり、動脈硬化の予防と改善・脳卒中・高血圧などといった生活習慣病の予防にも効果があるのです。
・良質なたんぱく質を豊富に含んでいます。 |
選び方 | 目が澄んでいるもの・体に弾力があって、横向きに持った時に尾が垂れないものが新鮮です。
えらの内側が鮮やかな赤色のものも新鮮な証です。 |
保存方法 | 丸ごと一匹を冷凍保存するなら、下処理はせずに袋や容器に水を張って冷凍しましょう。
もしくは、切り身と同じようにラップなどで隙間なく包んで袋に入れて冷凍しても大丈夫です。 |
その他、お役立ち情報 | ・メバルは「春告魚」とも呼ばれていて、この時期の海釣りでは代表的な魚です。 |
「メバル」の特徴
メバルは日本各地の海で獲ることが出来る魚です。
大きな目が特徴で、メバルという名前の由来にもなっています。
もともとはさまざまな種類のことを総称してメバルと呼んでいましたが、「アカメバル」「クロメバル」「シロメバル」は、今では別種類とされているのです。
メバルの種類によって旬の時期は変わってきますが、「ウスメバル」と呼ばれるものが3月の終わりごろから5月に多く出回ります。
「クロメバル」は秋から年明けごろまでがおいしいといわれているものです。
「メバル」のおすすめの食べ方・調理法
メバルは新鮮なものが手に入ったなら、お刺身がおすすめです。
脂がのっていて、甘みがありますが、淡白な味わいで、歯ざわりもあっておいしいもの。
皮を引かずに霜造りにしたものは、食感も変わってまた違ったおいしさがあります。
またメバルといえば煮付けが人気です。
ご飯との相性も良く、和食の王道ともいえます。
一匹丸ごと唐揚げにすると、背骨や中骨以外はすべて食べることが出来るようになり、餡掛け唐揚げなどひと手間加えてもいいものです。
メバルのアラからは、おいしい出汁が取れるので、お味噌汁や澄まし汁・雑炊などにも使うことが出来ます。
またクックパッドの「メバル」に関連するレシピも参考になるので是非ご覧ください。
虹始見(にじはじめてあらわる)の旬の草花は「フリージア」
「フリージア」の基本情報
学名 | Freesia |
科・属 | アヤメ科・フリージア属 |
原産国 | アフリカ南部ケープ地方 |
別名 | アヤメスイセン |
「フリージア」の特徴
フリージアは12種類の野生種、150種類以上の園芸品種が確認されています。
6輪から12輪の花を連なるように咲かせ、一重咲き・八重咲きがあるのです。
花の色は、白色・赤・ピンク・オレンジ・黄色・紫・複色などと豊富で、強い香りを放ちます。
黄色と白色の花は、なかでも香りが強いといわれているのです。
旬の時期は、3月中頃から5月の中頃までが最盛期。
切り花としての人気も高く、フラワーアレンジメントに使われることも多いもの。
また香水などの香料としても人気があります。
「フリージア」の花言葉
フリージアの花言葉は、「あどけなさ」「純潔」「親愛の情」といったものです。
「あどけなさ」「純潔」という花言葉は、フリージアのさわやかなイメージと甘酸っぱい香りが純真無垢なイメージと結びついたことからつけられたもの。
フリージアの花の色別にも花言葉があり、黄色のフリージアには「無邪気」、白色のフリージアには「あどけなさ」、赤色の花には「純潔」、紫色の花には「憧れ」となっています。
海外ではこれ以外にも「友情」「信頼」といった花言葉もあるのです。
虹始見(にじはじめてあらわる)の旬の行事は「茶摘み」
この時期の行事といえば、「茶摘み」が始まるころ。
地域によって始まる時期に多少の違いはありますが、九州南部では4月の上旬から、お茶で有名な静岡では4月中旬から、京都では4月下旬からと、南からだんだんと茶摘みが始まっていきます。
そもそも茶摘みというのは、八十八夜が目安とされていました。
子どもの頃に手遊び歌で遊んだこともあるかもしれませんが、「夏も近づく八十八夜 野にも山にも若葉が茂る…」という歌。
この歌にもあるように、茶摘みは八十八夜が目安ですが、地域や気候などによって時期に違いが出てきますし、最近では温暖化が進んでいることから、茶摘みの時期も早まってきているのが事実なのです。
茶摘みが始まって一番最初に摘むお茶を「新茶」と言います。
新茶はこの時期に、一年に一度しか摘むことが出来ない、大切なもの。
新茶のおいしさは格別ともいえますが、それもそのはず、お茶農家の人が一年間かけてきた努力はこの新茶のためといっても過言ではないのです。
お茶農家の人にとっては、この新茶を摘むということは、特別なものだともいえます。
私たちにとってお茶とは、日常から飲んでいる身近な飲み物です。
一年に一度、お茶農家の人の想いを感じながら、新茶を味わってみるもの風流だといえます。
虹始見(にじはじめてあらわる)の運気アップの方法は「虹を探してみましょう」
この時期に運気アップするためには、虹を見つけることです。
虹は幸運の象徴の一つでもありますし、何より虹を見つけただけでも幸せな気持ちにさせてくれます。
普通の虹でもいいのですが、二重に見える副虹、いわゆるダブルレインボーを見つけたら幸運の兆しともいえます。
ダブルレインボーはきれいな虹の外側に、もう一つ虹が見えますが、よく見てみると色の並び順が逆になっているのです。
ダブルレインボーはなかなか見ることが出来ないので、見つけた時には虹の色も良く見てみてください。
もっと大きな幸運の兆しには「白い虹」があります。
これはあまり見ることが出来ない、とても貴重だといえるもの。
白い霧のような虹を見ることが出来たなら、幸運はすぐそこまでやってきていますので、期待が出来るのです。
雨上がりには空をよく観察してみてください。
他の七十二候の意味や時期の一覧
占い師 RINのワンポイントアドバイス「虹が何色に見えるか確認してみてください」
冬の間には光の強さが足りず、雨上がりに晴れても見ることが出来なかった虹ですが、この時期からはだんだんと光が強くなってきますので、キレイな虹を見ることが出来ます。
とはいえまだ光は弱く、見える虹はハッキリとしたものではなく、色もぼやけていたりと、すぐに消えてなくなってしまうような儚さがあるのです。
現代ではきれいな虹として認識されていますが、昔は違った捉え方をされていたり、現代でも国によっては7色ではなかったりと、不思議なもの。
その時の虹の見え方によっては、何色に見えてもおかしくない虹ですが、この時期の虹がみんなには何色に見えるのか、話のタネにして盛り上がってみてもいいものです。