日本には四季があり、我々日本人は季節の移り変わりをとても大切に考えてきました。
それぞれの季節がもたらす風景や恵みを、生活の中に取り入れ豊かに暮らしてきたのです。
季節を72にも分類した七十二候があることが、春夏秋冬だけでなく、さらに季節を細かく分けて、ささやかな季節の巡りを感じながら生きてきたことを示しています。
立春・冬至など1年を24に分けた二十四節気、それをさらに3つに分けた七十二候。
現代に生きる私たちが忘れがちな、季節の移ろいを今一度大切にしていきましょう。
この記事では、七十二候の第五十五候「山茶始開(つばきはじめてひらく)」について、詳しい意味や時期、旬の野菜や果物、魚介類、草花や行事、運気アップの方法についてご紹介していきます。
日本ならではの季節について再認識し、豊かに暮らしていけるようになっていきましょう。
目次
山茶始開(つばきはじめてひらく)の意味
山茶始開(つばきはじめてひらく)は、山茶花(さざんか)が先始める頃という意味です。
では、サザンカなのにどうしてツバキと呼ぶのでしょうか。
それは山茶が椿の漢名だからです。
山茶始開(つばきはじめてひらく)と呼んでいるのに、ツバキではなくサザンカと呼ぶのも漢名で読んでいると考えればおかしなことではありません。
しかし、サザンカという名前そのものも、山茶に花をつけ足した山茶花です。
今ではサザンカとツバキはしっかりと区別されていますが、その昔は混同されることも多くしっかりと区別はしていなかったようです。
では現代におけるサザンカとツバキはどうなっているのでしょうか。
どちらも品種が増えたため色々な種類があるのですが、一般的には花が落ちるときに違いがあるとされています。
花ごとぽろりと落ちるのがツバキで、花びらが一枚ずつひらひらと落ちていくのがサザンカです。
花はよく似ていますが落ちた花を見れば、その違いは一目瞭然。
もともと中国ではツバキ科の植物を総じて山茶というらしく、どちらの花に季節を感じてもいいのかもしれません。
「道端に咲く赤い花はツバキかな?サザンカかな?」
そんなことを考えながら散歩をすれば、いつもの見慣れた道も特別に感じられることでしょう。
山茶始開(つばきはじめてひらく)の時期は「11月7日~11月11日頃」
2021年 | 11月7日~11月11日 |
2022年 | 11月7日~11月11日 |
2023年 | 11月8日~11月12日 |
2024年 | 11月7日~11月11日 |
2025年 | 11月7日~11月11日 |
2026年 | 11月7日~11月11日 |
2027年 | 11月8日~11月12日 |
2028年 | 11月7日~11月11日 |
2029年 | 11月7日~11月11日 |
2030年 | 11月7日~11月11日 |
童謡の「たきび」を聞いたことがあるでしょうか。
たきびの2番ではサザンカについて歌われています。
『さざんか さざんか さいたみち たきびだ たきびだ おちばたき 「あたろうか」「あたろうよ」 しもやけ おててが もうかゆい』
この歌で歌われているのは、サザンカが咲く頃の様子です。
ルールの厳しくなった現代でたき火を見かけることは滅多になくなりましたが、昔はサザンカが咲く頃は寒くたき火で暖まっていた様子が伺えます。
山茶始開(つばきはじめてひらく)は11月7日頃の立冬を迎えた後の季節です。
サザンカが咲き始める頃というのは、まさに冬の入り口でこれから来る厳しい寒さを思わせる時期なのでしょう。
また、木枯らし1号が吹くのも、ちょうどこの季節です。
木枯らしは10月後半から11月末までの間に吹く北寄りの強い風のこと。
木を枯らすという字からも分かる通り、この風が吹くと木が枯れ始め一気に冬が到来します。
この季節の風にも注目してみると、より季節を感じながら暮らすことができるでしょう。
冷たい風ははるか昔から立冬の頃に吹き、それは時代が移り変わった現代でも変わることがありません。
木枯らしの冷たさに心まで凍りそうになるかもしれませんが、はるか昔から日本に季節を告げてくれた風だと知れば、少しは心が温かくなるかもしれません。
木枯らしが吹くのもこの季節ですが、小春風が吹くのもこの季節です。
冬の初めに春を思わせるような温かい風が吹くことを小春風と呼ぶのです。
まだ完全に冬にはなりきらない山茶始開(つばきはじめてひらく)の頃の風を浴びに外に出かけてみましょう。
山茶始開(つばきはじめてひらく)の旬の果物は「みかん」
「みかん」の基本情報
栄養 | みかんにはカリウム、葉酸、食物繊維が多く含まれています。
水溶性食物繊維のペクチンも含まれており、大腸がん予防や血中コレステロール値を減少させる効果が期待できます。 みかんの皮の白い部分にはビタミンPが含まれており、毛細血管を強くして動脈硬化を予防する効果も。 また、みかんには緑黄色野菜並みのカロテンが含まれており、発がん予防効果も期待できます。 ビタミンCも豊富で、美白や美肌の効果も抜群です。 |
選び方 | 美味しく新鮮なみかんを選ぶには、まず形が重要です。
みかんを上から見た時にきれいな円形で軸が中心にあるものを選ぶようにしましょう。 軸の切り口は小さいものがおすすめです。 皮の色は均一で鮮やかなもの、そして皮のつぶつぶが小さくはっきりしているものがいいでしょう。 みかんに酸味よりも甘味を求める場合は、小ぶりで皮が薄くやわらかいものを選ぶようにしてください。 触ったとときに皮が浮いておらず、ふかふかしないものが新鮮な証拠です。 |
保存方法 | みかんは直射日光の当たらない風通しのよい場所で保存しましょう。
箱で購入した場合は箱の下の方から腐りやすいので、まず箱の上下を逆さまにして下から開けてどんどん食べるのがおすすめです。 下から開ければ、自然と腐りやすい下の方から食べられます。 また、腐ったみかんを見つけたら、速やかに取り除くようにしていきましょう。 腐ったみかんを放置してしまうと、その周りのみかんがどんどん腐っていってしまいます。 |
その他、お役立ち情報 | みかんを食べ過ぎると指先が黄色くなることがあるでしょう。
それは、カロテノイドの一種であるβ―クリプトキサンチンが血中に蓄積されるためだとされています。 β―クリプトキサンチンは発がん予防に有効な成分です。 手が黄色くなるのは一時的なもので、健康に害のあるものではありません。 また、みかんを甘く食べるためには、酸っぱさのもとであるクエン酸を減らすのがポイント。 みかんを揉んだり、日光浴をさせたり、お湯につけたりすると甘みが増すようです。 温めるとクエン酸は減りますが、果物に含まれる果糖は冷やすと甘く感じやすいので、食べる直前には冷やすようにしましょう。 |
「みかん」の特徴
こたつにみかんといえば冬の風物詩です。
みかんは日本の冬に欠かせないものとのイメージがありますが、実は日本で全国的に栽培されるようになったのは明治時代です。
原産国はインドや中国で、漢字では蜜柑と書き読んで字のごとく甘い柑橘のことを言います。
手軽にビタミンCが摂れる果物として、みかんの人気は定着しました。
みかんを1日2つ食べれば、1日に必要なビタミンCを摂ることができるのです。
また、みかんの筋や薄皮を取る・取らないはよく論争のタネにされますが、栄養面で見れば薄皮ごと食べるのがおすすめです。
みかんの筋や薄皮にはビタミンPと呼ばれる成分が含まれており、血管の老化を防いでくれます。
薄皮が嫌いだという人は、薄皮ごとジャムにするなどの工夫をして、ぜひみかんの栄養素を余すことなく摂ってみてください。
「みかん」のおすすめの食べ方・調理法
そのまま食べることも多いみかんですが、スイーツづくりに使うときには薄皮をむくと口当たりがよく、見た目もきれいに仕上がります。
栄養的には薄皮ごと食べてほしいのはやまやまですが、見た目重視のときにはきれいにむきたいものです。
そこでおすすめの調理法として、薄皮をきれいにむく方法をご紹介していきます。
鍋にお湯を沸かし、そこにみかんを入れます。
再び沸騰したら火を止め、浮いてくるみかんを抑え、湯につけたままの状態で5分ほど置きましょう。
お湯からあげて少し冷ましたら、ヘタの方から皮をむいていきます。
こうするだけで、ある程度、薄皮をきれいにむくことができるのです。
お湯だけで簡単にできるので、薄皮をむきたい時には試してみてください。
またクックパッドの「みかん」に関連するレシピも参考になるので是非ご覧ください。
山茶始開(つばきはじめてひらく)の旬の魚介類は「ハマチ」
「ハマチ」の基本情報
栄養 | ハマチは青魚の中でも、非常に優れた栄養を持つ魚です。
DHA(ドコサへキサエン酸)とEPA(エイコサぺンタエン酸)を多く含んでいて、学習・記憶力の向上に役立ったり、中性脂肪を減らしたりしてくれます。 動脈硬化・心筋梗塞 ・脳梗塞・糖尿病などの生活習慣病の予防にも効果的でしょう。 これらの成分は天然物よりも養殖物の方が多く含んでいます。 ビタミンD、ビタミンB1・B2が豊富で、骨の形成を促し、疲労回復、筋肉の働きを正常に保つ効果があるので、ハマチは体づくりには欠かせません。 また、ナイアシンを多く含んでおり、お酒のアテにぴったりです。 ナイアシンはアルコール分解を助け、二日酔いを起こすアセトアルデヒドの分解も助けてくれるのです。 |
選び方 | ハマチは切り身で売られていることがほとんどでしょう。
そんな中で美味しいハマチを見分けるには、切り身の色を見るのが肝心です。 なぜならハマチは色がすぐ変わってしまうため、色を見ることで新鮮さを見分けやすくなっているからです。 血合いが黒くなく、身に透明感のあるものが新鮮な証となります。 ハマチを1匹買う時には、目の色が赤くなっておらず、エラが真っ赤なものを選ぶようにしましょう。 |
保存方法 | 冷蔵保存では2~3日しか持たないハマチですが、冷凍保存をすればもっと長持ちさせられます。
買ってきてすぐに使うのでなければ、冷凍保存をするのがおすすめです。 冷凍保存をする場合は、まず切り身の水分をキッチンペーパーで押さえるようにして取り除いていきます。 そして、一切れずつ隙間なくラップでくるんでいきましょう。 あとはフリーザーバッグに入れて冷凍庫に入れるだけです。 下味をつけた状態で冷凍しておけば、焼くだけで料理が完成するのでおすすめです。 調味液をフリーザーバッグに入れ、その中に切り身を入れて冷凍しましょう。 いずれの場合も使う場合は解凍せず、凍ったまま調理をしてください。 |
その他、お役立ち情報 | ハマチは地域によって呼ばれ方が違い、イナダと呼ばれることもあります。
出世魚で体長が20~30センチの時にはハマチ、70センチを超えるくらいに成長するとブリと呼ばれるようになります。 どの魚も成長はするのに、成長とともに名前を変える出世魚がいるのはどうしてなのでしょうか。 それは、味や見た目の変化が大きく、まるで別の魚のようだからです。 |
「ハマチ」の特徴
ハマチは白身魚にも赤身魚にも属さない不思議な特徴を持っています。
白身魚か赤身魚かを決めるのは、血中のヘモグロビン濃度です。
常に泳ぐ回遊魚は、全身に酸素を送るためヘモグロビン濃度が高くなり身が赤くなります。
居つきの魚は泳がず留まっていることが多いので、ヘモグロビン濃度は低く身が白くなります。
ハマチは泳いでいることも止まっていることもある中間の魚なので、身も赤いところもあれば白いところもあるのです。
「ハマチ」のおすすめの食べ方・調理法
刺身として食べるのも美味しいハマチですが、少し変わった食べ方をしたいなら唐揚げがおすすめです。
作り方も簡単で、ご飯に合うおかずになってくれます。
一口大に切ったハマチをポリ袋に入れ、醤油・生姜・ニンニクと共に揉みこみます。
そこに片栗粉を入れまんべんなく行き渡ったら、カラッと揚げれば完成です。
またクックパッドの「ハマチ」に関連するレシピも参考になるので是非ご覧ください。
山茶始開(つばきはじめてひらく)の旬の草花は「サザンカ」
「サザンカ」の基本情報
学名 | Camellia sasanqua |
科・属 | ツバキ科・ツバキ属 |
原産国 | 日本 |
別名 | イワハナビ |
「サザンカ」の特徴
サザンカは日本の固有種で、ツバキとよく似ています。
ツバキと違って新梢と葉柄、葉の裏表の中央脈、子房に短い毛がある点が特徴です。
花びらは基部で合着していないので散る時には、1枚ずつパラパラと散ります。
ツバキは春に咲く花ですが、サザンカの野生種は10月から12月に咲きます。
古くから日本では、晩秋の花として親しまれてきました。
耐寒性は弱いため四国・九州・沖縄で良く見られます。
「サザンカ」の花言葉
サザンカの花言葉は「困難に打ち勝つ」です。
これはサザンカが寒さが強まる季節に咲くことが由来となっています。
また、花の色別にも花言葉があり、赤いサザンカは「謙譲」白いサザンカは「愛嬌」ピンクのサザンカは「永遠の愛」です。
山茶始開(つばきはじめてひらく)の旬の行事は「紅葉狩り」
山茶始開(つばきはじめてひらく)の頃の旬の行事は紅葉狩りです。
燃えるように赤く色づいた山の景色を楽しむことを紅葉狩りといい、古くから日本人は紅葉狩りを楽しんできました。
この時期には京都の嵐山でももみじ祭が開催されます。
渡月橋の上流に船を浮かべ、平安時代の衣装に身を包んだ人々が船上で狂言や舞を楽しみます。
こうした祭の様子を見ていると、はるか昔から日本人が季節を楽しみながら過ごしていたことが分かるでしょう。
平安衣装を着るまではいかなくとも、ぜひこの季節には近くの山に出かけ、木々の色の変化に思いを感じとってください。
山茶始開(つばきはじめてひらく)の運気アップの方法は「散歩」
山茶始開(つばきはじめてひらく)の頃を運気良く過ごしたいのなら、散歩をしてみましょう。
忙しくても少しの時間で構いませんから、日中に外に出かけてみてください。
そして、この季節の空気を大きく肺に取り込んでみましょう。
冷たく新鮮な空気はあなたの気持ちをフレッシュにしてくれるでしょう。
あなたの目には色づいた秋の景色が飛び込んでくるはずです。
色の少なくなってしまう冬が本格的にやってくる前に、この季節の色を楽しんでおきましょう。
そうすれば、寒い冬に心が凍ってしまうことなく過ごせるはずなのです。
他の七十二候の意味や時期の一覧
占い師 小鳥のワンポイントアドバイス「木々を見上げよう」
山茶始開(つばきはじめてひらく)の頃には、ぜひとも周りの木を見るようにしてちょうだい。
どんな都会でも、秋に色づく木の1本や2本は植えられているはずよ。
紅葉やイチョウ、赤や黄色に色づく木々を見上げて過ごせば、あなたの気分も自然と上がるの。
より深まる秋を感じたいのなら、山にも出かけてみてね。
昔からずっと日本人が心を動かされてきた風景を楽しめるわよ。