日本には四季があり、我々日本人は季節の移り変わりをとても大切に考えてきました。
それぞれの季節がもたらす風景や恵みを、生活の中に取り入れ豊かに暮らしてきたのです。
季節を72にも分類した七十二候があることが、春夏秋冬だけでなく、さらに季節を細かく分けて、ささやかな季節の巡りを感じながら生きてきたことを示しています。
立春・冬至など1年を24に分けた二十四節気、それをさらに3つに分けた七十二候。
現代に生きる私たちが忘れがちな、季節の移ろいを今一度大切にしていきましょう。
この記事では、七十二候の第六十三候「鱖魚群(さけのうおむらがる)」について、詳しい意味や時期、旬の野菜や果物、魚介類、草花や行事、運気アップの方法についてご紹介していきます。
日本ならではの季節について再認識し、豊かに暮らしていけるようになっていきましょう。
目次
鱖魚群(さけのうおむらがる)の意味
鱖魚群(さけのうおむらがる)は、鮭が群をなして川を上る頃という意味です。
鮭が川を上るのは卵を産むためです。
鮭の一生はまず冬に川の上流で生まれるところから始まります。
そして、雪解け水とともに川を下り海に出ます。
それから産卵期を迎えるまでの間、一生の大半を海で過ごすのです。
大人になり産卵の準備が整ったら、大きな群れとなって自分の生まれた川へと戻ってきます。
その時期が冬で、ちょうど鱖魚群(さけのうおむらがる)の頃に川を上っていく鮭の姿が見られるというわけです。
鮭は秋味と呼ばれることもあり、秋の味覚の代表です。
歳時記でも秋の季語となっていますが、実は鱖魚群(さけのうおむらがる)の頃の鮭が一番脂がのっていておいしいとされています。
産卵のためのエネルギーを蓄えた鮭は、食べても最高に美味しいのです。
また、いくらや筋子も持っています。
冬に川に戻ってくる鮭ばかりではなく、川へ上る時期を間違えてしまう鮭もいます。
そういった鮭を時不知(ときしらず)と言い、時不知の旬は4月~7月です。
生まれた川を覚えていて、しっかりと戻ってくるイメージのある鮭ですが、中には時期を間違えてしまうおっちょこちょいな鮭もいるのですね。
鱖魚群(さけのうおむらがる)の時期は「12月17日~12月21日頃」
2021年 | 12月17日~12月21日 |
2022年 | 12月17日~12月21日 |
2023年 | 12月17日~12月21日 |
2024年 | 12月16日~12月20日 |
2025年 | 12月17日~12月20日 |
2026年 | 12月17日~12月21日 |
2027年 | 12月17日~12月21日 |
2028年 | 12月16日~12月20日 |
2029年 | 12月17日~12月20日 |
2030年 | 12月17日~12月21日 |
この季節に鮭が川を上ることは、こうして七十二候の名前にもなっていることから分かる通り皆が知っていることです。
ですが、上ってくる鮭を待ち構えていて、下流ですべて取り尽くしてしまったらどうなるでしょうか。
鮭は卵が産めず、中流や上流の人も楽しみにしていた冬の味である鮭がとれなくて困ってしまうでしょう。
こうした事態を防ぐのがアイヌの知恵です。
アイヌの人は下流で鮭を取り尽くしてしまわず、節度のある漁を心掛けています。
いくらこの時期の鮭が美味しくても、鮭をすべて取ってしまえば翌年以降、鮭は帰ってこなくなってしまうでしょう。
アイヌの人たちは川を上る鮭でなく、産卵を終えて川を下る鮭を取ったりもします。
産卵を終えたあとの鮭は脂肪が減っていますが、逆に保存しやすいという利点もあるのです。
川を下る鮭を狙えば、中流や上流の人たちも鮭を取り終えた後で、卵も産み終わっているので誰にも迷惑をかけません。
その場の食糧のことだけでなく、他で暮らす人たちや翌年以降のことまで考えられるアイヌの人の思慮深さに学ぶものは多いでしょう。
鱖魚群(さけのうおむらがる)の旬の野菜・果物は「にら」
「にら」の基本情報
栄養 | にらは漢方薬としても知られる野菜で、栄養たっぷりです。
漢方として使われる時には、冷え性の緩和や整腸剤として使われます。 にらの独特の香りは、硫化アリルという成分です。 硫化アリルはビタミンB1の吸収率を高め、糖の分解を促進します。 また、にらは血行をよくして体を温め、胃腸の働きを助けてくれます。 そのため、風邪の予防や風邪薬としても効果的です。 抗酸化作用も期待できるので、ガンを抑制する効果もあると考えられています。 |
選び方 | にらを選ぶ時には葉の幅が広いものを選ぶようにしましょう。
厚みもある方が美味しいにらです。 色ツヤのいいものは新鮮な証拠なので、色をよく見るようにしてみましょう。 香りを嗅いでみて、香りの強いものがおすすめです。 |
保存方法 | にらにとって大敵なのは乾燥です。
ですから、にらを保存する時には、紙やラップで巻くようにしましょう。 その上で冷蔵庫に立てて保存してください。 使いやすく保存するのなら、切って冷凍するのもおすすめです。 切ってフリーザーバッグに入れて冷凍するだけで、簡単に長期間保存できます。 使う時は解凍不要で、そのまま調理に使うことができます。 |
その他、お役立ち情報 | にらの根元の白い部分は、ついつい切り離したくなりますが、ちょっと待ってください。
白い部分は葉先と比べると栄養たっぷりなので、切って捨てるのはやめておきましょう。 香りと味のもととなるアリシンという成分が、根元には葉先の4倍も含まれています。 根元部分は食感もシャキシャキしていて美味しいので、ぜひ切り離さずに使ってください。 香りのいい部位は、味噌や醤油に漬けて自家製調味料にするのもおすすめです。 香りと風味がよく、重宝する調味料となるでしょう。 |
「にら」の特徴
にらは滋養強壮効果がたっぷりの野菜です。
日本では古くから食べられており、古事記や万葉集では「みら」と呼ばれています。
古代ではみらと呼ばれていらものが、いつの間にかにらになったようです。
日本国内で生産されているにらは年間約6万トンで、その4割以上を高知県と栃木県が占めています。
高知県はにらの栽培に適した気候をしており、餃子の街として知られる栃木県はにらをよく使います。
中国ではにらは薬膳に利用され、日本でも薬用に使われてきました。
現代でもにらを使った料理はスタミナ料理に分類されることが多いでしょう。
にらの疲労回復や健康増進効果は、昔から現在まで伝わる確かなものなのです。
にらにはさまざまな品種があり、日光をあてずに栽培した黄にらややわらかい花茎とつぼみを食す花にらなどがあります。
どちらも甘みがあり、優しい味わいを楽しめます。
「にら」のおすすめの食べ方・調理法
にらを調理する際に気を付けて欲しいのは、あまり火を通し過ぎないということです。
にらに含まれる香り成分のアリシンは揮発性なので、火を通し過ぎると減少してしまいます。
さっと炒めたることを心がけていきましょう。
にらを使った料理の代表ともいえる、ニラ玉の作り方は次の通りです。
ニラを食べやすい長さに切ったら、フライパンに油を引いて炒めます。
そこに溶き卵に麺つゆで味付けしたものを加え、さっと炒めていきましょう。
卵がほどよい硬さになったら完成です。
卵と合わせることで滋養強壮効果もばっちりの簡単メニューです。
またクックパッドの「にら」に関連するレシピも参考になるので是非ご覧ください。
鱖魚群(さけのうおむらがる)の旬の魚介類は「鮭」
「鮭」の基本情報
栄養 | 鮭の身が赤いのはアスタキサンチンという色素成分が含まれているからです。
アスタキサンチンはビタミンCの6000倍とも言われる強力な抗酸化作用があり、紫外線由来の肌のシワ形成を抑えてくれる働きがあります。 また、鮭にはEPAとDHAというオメガ3系脂肪酸に分類される不飽和脂肪酸が含まれています。 これらは魚類に多く含まれる成分で、中性脂肪を減らし動脈硬化を抑制する効果が期待可能です。 鮭はビタミンが豊富でビタミンB1が糖質の代謝を助け、ビタミンB2が脂質の代謝を助けるためダイエット中にもおすすめの食材です。 さらにビタミンAが肌をキレイに保ち、ビタミンDが骨の健康維持に役立つので、体の内も外もキレイになることができるでしょう。 |
選び方 | 鮭は切り身で売られているものを買うことがほとんどでしょう。
美味しい切り身を選ぶには、まず皮が銀色のものを選びましょう。 切り口にはツヤがあり、身の色は鮮やかなオレンジ色をしているものがおすすめです。 |
保存方法 | 鮭を美味しく長期間保存するためには冷凍保存がおすすめです。
買ってきた鮭をさっと水洗いし水気を拭きましょう。 塩味がついていないものは、ここで塩を振って締めておきます。 酒も合わせて振れば消臭効果も。 塩を振ったら水分が出てきますが、それも良く拭き取ってラップに包みましょう。 フリーザーバッグに入れて空気を抜いたら、冷凍庫に入れてOKです。 調理する時には解凍せずにそのまま使いましょう。 解凍してしまうとドリップが出て、かえって味が落ちてしまうので注意です。 |
その他、お役立ち情報 | 今現在、日本で食べられている鮭のほとんどは外国産のものです。
日本の鮭は脂が少なく、海外の脂がたっぷりのった鮭をたくさん輸入しています。 国産の鮭も漁獲量は多いのですが、缶詰に加工されたり中国に輸出されたりしています。 国産のもので人気の鮭は、夏に獲れる時不知や希少な稚児などの脂の多いものです。 値段も高くブランド化していますが、まだ成熟していない鮭を獲ることは自然保護の観点から見ても問題があります。 冬の旬の時期の国産の鮭の味を見直していきたいものです。 |
「鮭」の特徴
鮭は千葉県の利根川以北と日本海、山口県以北の川に上ります。
時期や場所で味が変わり、一口に鮭といってもさまざまな味を楽しむことができます。
鮭という名前の由来には諸説ありますが、その一つがアイヌ語です。
アイヌ語の「シャケンベ」や「サクイベ」から鮭となったとする説があります。
他にも身が裂けやすいことが名前の由来だとする説もあります。
東京などではシャケと呼ぶことも。
近年の鮭市場は養殖物が席巻しています。
サーモントラウトは人気で、日本国内でも養殖が盛んです。
サーモントラウトには旬はなく、一年を通して味わいも大きさも一定です。
養殖のための品種がたくさん開発され、市場に出回っています。
「鮭」のおすすめの食べ方・調理法
鮭の味を楽しむ食べ方としておすすめなのが、鮭のムニエルです。
作り方は簡単で、まず鮭に塩を振ってしばらく置いておきます。
出てきた水分を拭き取り、塩コショウを振って小麦粉を薄くつけましょう。
フライパンに油を熱し、鮭を入れて両面を焼き更に盛ります。
鮭を焼いたフライパンの油を拭き取り、バターを入れて火を点け軽く焦がしてから鮭にかければ完成です。
小麦粉が鮭の旨味を閉じ込めてくれているので、鮭本来の味を楽しむことができるでしょう。
またクックパッドの「鮭」に関連するレシピも参考になるので是非ご覧ください。
鱖魚群(さけのうおむらがる)の旬の草花は「シャコバサボテン」
「シャコバサボテン」の基本情報
学名 | Schlumbergera truncata |
科・属 | サボテン科・スクルンベルゲラ属 |
原産国 | ブラジルリオデジャネイロ州のオルガン山脈など |
別名 | クリスマスカクタス |
「シャコバサボテン」の特徴
シャコバサボテンはシャコのような形をしているサボテンです。
葉のように見える部分は実は茎で、華やかで美しく鮮やかな花を咲かせます。
クリスマスの時期に花を咲かせることが多いので、海外ではクリスマスカクタスと呼ばれることも。
カクタスはサボテンのことなので、クリスマスのサボテンと呼ばれていることが分かりますね。
サボテンといえば暑い季節が似合うイメージがありますが、冬に花を咲かせる種類もあるのです。
鮮やかな花を楽しんでみてください。
「シャコバサボテン」の花言葉
シャコバサボテンの花言葉は「一時の美」「美しい眺め」です。
一時の美という花言葉は、花が咲いていない時の武骨な印象が花が咲くことでガラリと変わってしまうことが由来とされています。
美しい眺めは、花が咲いた時の美しい姿が由来です。
鱖魚群(さけのうおむらがる)の旬の行事は「忘年会」
年末のおなじみの行事といえば忘年会です。
忘年会は中世の頃にはもうあったようで、「年忘れ」と呼ばれていました。
現代と同じく、一年の苦労を忘れるための宴を催していたのです。
一年を過ごすというのは、並大抵のことではありません。
喜びもあったでしょうが、苦労もひとしおであったことでしょう。
そんな苦労は一年が終わるまでに忘れてしまわなければなりません。
皆で美味しい食べ物やお酒を飲めば、どんな苦労も忘れられるでしょう。
今では年忘れではなく忘年会と呼ばれるようになりましたが、それでも意味は同じです。
はっきりと時期が決まっているわけではなく、会社によっては早々に済ませることも多くなってきました。
年末になるとより忙しくなってきて忘年会どころではなくなってしまいますから、鱖魚群(さけのうおむらがる)の頃には行っておきたい行事です。
忘年会を嫌がる人も増え、開催されないこともあるらしいですが、気の合う人と数人でといった形でも、ぜひ忘年会はやりたいものです。
中世の頃から人々は忘年会をして、新しい年を迎える準備をしていました。
気が進まない場合は一人きりでも構いませんから、一年の苦労を忘れるという意識を持って、美味しい食事を楽しむ機会を作ってみましょう。
一年の苦労が忘れられれば、まっさらな状態で新しい年を迎えることができます。
鱖魚群(さけのうおむらがる)の運気アップの方法は「夜空を見上げる」
鱖魚群(さけのうおむらがる)の頃は、寒くて視線もうつむきがちです。
しかし、運気アップを目指すのなら、視線を上に向けるようにしていきましょう。
おすすめは夜空を見上げることです。
冬は空気が澄み、星がいつも以上にきれいに見えます。
この時期には、オリオン座が見えるので探してみてください。
オリオンはギリシャ神話に出てくる狩人のことですが、オリオン座には和名もあります。
和名はいろいろなものがありますが、その中に鼓星というものがあります。
確かに言われてみれば、オリオン座は鼓のようにも見えてくるでしょう。
昔の人と同じように夜空を見上げながら、星の形に思いを馳せてみましょう。
他の七十二候の意味や時期の一覧
占い師 小鳥のワンポイントアドバイス「高みを目指す」
だから、この時期は私たち人間も上っていっちゃいましょ。
この一年、思う存分力を発揮することはできたかしら?
できていないと思うなら、まだ間に合うわ。
今からでも全力で取り組んで高みを目指して行動していきましょ。
そうすれば、鮭が川に上って産卵するように、あなたも高いところへ上り詰め目的を達成できるはずよ。