日本には四季があり、我々日本人は季節の移り変わりをとても大切に考えてきました。
それぞれの季節がもたらす風景や恵みを、生活の中に取り入れ豊かに暮らしてきたのです。
季節を72にも分類した七十二候があることが、春夏秋冬だけでなく、さらに季節を細かく分けて、ささやかな季節の巡りを感じながら生きてきたことを示しています。
立春・冬至など1年を24に分けた二十四節気、それをさらに3つに分けた七十二候。
現代に生きる私たちが忘れがちな、季節の移ろいを今一度大切にしていきましょう。
この記事では、七十二候の第六十六候「雪下出麦(ゆきわたりてむぎいづる)」について、詳しい意味や時期、旬の野菜や果物、魚介類、草花や行事、運気アップの方法についてご紹介していきます。
日本ならではの季節について再認識し、豊かに暮らしていけるようになっていきましょう。
目次
雪下出麦(ゆきわたりてむぎいづる)の意味
雪下出麦(ゆきわたりてむぎいづる)は、積もった雪の下で麦が芽を出す頃という意味です。
雪の下で芽を出している麦は、私たちの目に見えることはありません。
そうした見えないものにまで思いを馳せる、昔の人々の繊細さが伺えます。
麦は年越え草とも呼ばれ、1年で枯れてしまうのではなく冬を越し、次の年になって実を結びます。
新たな1年を迎える時、私たちは何もかもが終わり新しくなるのだと錯覚してしまうでしょう。
しかし、実はそうではありません。
前の年から次の年へと引き継がれるものも多く、麦も確実に雪の下で芽吹き始めます。
雪の下でも芽を出す麦の生命力を見習って、私たちも麋角解(おおしかのつのおつる)の時期に夢の芽を芽吹かせたいものです。
麦が実りを迎える頃、私たちも夢の実現を迎えているように行動していきましょう。
雪が降り積もってしまうと、 辺りは一面真っ白になり生命は消えてしまったように感じられますが、その下では着実に成長しています。
そうした面を見習い、私たちも寒い時期にも着実に一歩を踏み出していきましょう。
一歩を踏み出すのなら、新しい一年を迎える麋角解(おおしかのつのおつる)の頃は適しています。
新しい目標を立て、ぜひ麦のようにすくすくと伸びていきましょう。
雪下出麦(ゆきわたりてむぎいづる)の時期は「1月1日~1月4日頃」
2021年 | 1月1日~1月4日 |
2022年 | 1月1日~1月4日 |
2023年 | 1月1日~1月4日 |
2024年 | 1月1日~1月5日 |
2025年 | 1月1日~1月4日 |
2026年 | 1月1日~1月4日 |
2027年 | 1月1日~1月4日 |
2028年 | 1月1日~1月5日 |
2029年 | 1月1日~1月4日 |
2030年 | 1月1日~1月4日 |
新年を迎える頃には、お節料理やお年玉など楽しいことがたくさんあります。
お節料理の節とは季節の節目のことで、お節料理は節目の料理だということです。
もともとは五節句の日に神様に食べ物をお供えしたのがお節料理の始まりですが、やがて正月の料理だけを指すようになりました。
お節料理に入れられる料理は現代ではさまざまになりましたが、伝統的なおせちに入れられている料理にはそれぞれ意味があります。
エビを食べるのは腰が曲がるまで長生きできることを願って。
黒豆を食べるのはまめまめしくなれるように。
語呂合わせやこじつけのようなものばかりですが、昔の人は言霊を信じていたため正月に何を食べるかにこだわっていたのです。
私たちもその気持ちを引き継いで、縁起のいいものを食べるようにしましょう。
お年玉はもともと年神さまからの賜物という意味です。
お供えしたお餅をおさがりとして分け合ったのが始まりとされています。
年球を食べることで1年を元気に過ごせると考えられていました。
今ではお年玉はお金を贈るようになりましたが、形は変わっても感謝の気持ちを忘れずに過ごしていきましょう。
雪下出麦(ゆきわたりてむぎいづる)の旬の野菜・果物は「百合根」
「百合根」の基本情報
栄養 | 百合根の栄養として特徴的なのはカリウムです。
野菜の中でもトップクラスの含有量を誇ります。 カリウムは塩分を体外に排出して、むくみを防ぎ血圧の上昇を防止してくれます。 そのほかにはビタミンCも含まれていますが、少量です。 しかし、百合根に含まれるビタミンCはデンプンで守られているため、熱に強く水に溶けだしにくいという特徴があります。 そのため、煮込んでもビタミンCが壊れず溶け出しにくいのです。 それ以外はほとんどが炭水化物で、百合根は高カロリーな食材です。 |
選び方 | 百合根を選ぶ時には白くてツヤのあるものを選ぶようにしましょう。
傷や黒ずみがあるものは避けてください。 また、実が締まっていて、りん片が大きいものが甘みが強いです。 全体的に紫っぽいものは苦みが強くなっています。 |
保存方法 | 百合根は長期保存が可能な食材です。
おがくずに入っている状態で購入した場合は、おがくずに入ったまま冷蔵庫の野菜室で保存できます。 おがくずの中に完全に隠れるようにするのがポイントです。 百合根は乾燥に弱いですが、濡らしても傷んでしまいます。 おがくずが乾燥してきたら、霧吹きなどでおがくずを湿らせて、百合根に水分がつかないように注意しながら湿度を保っていきましょう。 この状態で1ヶ月程度は保存することができます。 おがくずがない場合はラップに包んで保存します。 |
その他、お役立ち情報 | 百合根は百合の球根です。
ユリ科の植物の球根には、毒を含むものがあります。 売られているものは安心して食べられますが、そこら辺に咲いている百合を掘り返して食べると危険なので絶対にやめておきましょう。 食用として適しているのはオニユリ、ヤマユリ、カノコユリなどです。 |
「百合根」の特徴
百合根は中国や日本で古くから薬用として珍重されてきました。
その効能は幅広く、滋養強壮、利尿、咳どめ、精神安定、イライラの解消などの鎮静作用です。
百合根の栽培にはとても時間がかかります。
畑に植え付けるまでに3年、畑に植えてから3年、計6年かかると言われているのです。
また、一度植えた畑は7年空けないと植えてはいけないとされており、栽培の手間がとてもかかる野菜です。
日本での主な産地は北海道の真狩で、北海道全体で日本の収穫量の95%を占めています。
「百合根」のおすすめの食べ方・調理法
百合根は茶わん蒸しに入れられていたりしますが、それ自体が主役となることは少ない食材です。
ここでは百合根が主役となる百合根のバター炒めについてご紹介していきます。
百合根は外側からはがしてキレイに洗っておきましょう。
フライパンを温めバターを溶かしたら、百合根を入れ炒めていきます。
百合根が透き通ってきたら、軽く塩コショウをして醤油を回し入れれば完成です。
百合根のホクホク感がたまらない料理です。
またクックパッドの「百合根」に関連するレシピも参考になるので是非ご覧ください。
雪下出麦(ゆきわたりてむぎいづる)の旬の魚介類は「伊勢海老」
「伊勢海老」の基本情報
栄養 | 伊勢海老にはタウリンが豊富に含まれています。
タウリンには心筋梗塞を予防し、血圧を正常に保つ働きがあります。 伊勢海老は抗酸化作用が強いのも特徴です。 強い抗酸化作用のあるビタミンB1が多く含まれているため、生活習慣病を予防してくれます。 また、伊勢海老は茹でると赤くなりますが、これはアスタキサンチンと呼ばれる成分のためで、この成分にも強い抗酸化作用があります。 血液をサラサラにし、発がんを抑制してくれるでしょう。 高たんぱく、低脂肪なので体に優しい食材です。 |
選び方 | 伊勢海老を選ぶときには生きているものを選んでください。
死んでいるものはいつ死んだかも分からず、刺身に使うことはできません。 死んでいるものを選ぶくらいなら、新鮮なうちに冷凍されてものを選ぶ方がいいでしょう。 生きているものの中では、元気があるものを選びましょう。 ずっしりと重く甲羅がかたいものがおすすめです。 甲羅がやわらかいものは脱皮したてで身が痩せていて美味しくありません。 |
保存方法 | 伊勢海老は暖かい海に生息しているため低温が苦手です。
生きているものを買ってきても冷蔵庫に入れておくと死んでしまうので注意してください。 もみ殻に入れたまま、暗いところに置いておくと長生きします。 さらに長持ちさせたい場合は、塩分濃度3%の水を作りその中に入れておきましょう。 ただしエアーポンプがなければ生きていけないので気をつけましょう。 |
その他、お役立ち情報 | 現代ではエビにもいろいろな種類がありますが、昔はエビといえば伊勢海老のことを指しました。
古代からめでたい食材とされており、儀式や祝いの場には欠かせない食材です。 伊勢海老は見た目は立派ですが、実は可食部分は全体の4割ほどしかありません。 半分以上は食べられない箇所なのです。 しかし、味が良くひげの長さや腰の曲がったような姿が不老長寿に通ずるので、日本では古くから現代に至るまで愛されています。 |
「伊勢海老」の特徴
伊勢海老はその名の通り、三重県の伊勢地方でよく獲れるエビのことです。
今でも伊勢で伊勢海老はたくさん獲れますが、伊勢以外で獲れたものも伊勢海老と呼びます。
千葉や静岡、長崎で獲れることが多く、市場に出回っているものは100%天然物です。
国内での水揚げ量は乱獲や自然破壊で減ってきています。
年間で1200トンほどしか国内での水揚げ量はなく、ほとんどが輸入に頼っています。
養殖技術も研究されていますが、クルマエビと違いまだ養殖法は確率されていません。
古くから日本人の生活に欠かせなかった国産の伊勢海老は、現代ではとても貴重なものなのです。
「伊勢海老」のおすすめの食べ方・調理法
伊勢海老は高級食材なので、無駄なく食べ切りたいものです。
身を刺身で使ったのなら、頭は味噌汁に入れてしまいましょう。
伊勢海老の出汁が出て、味噌汁がとても美味しいものになります。
伊勢海老の味噌汁を作るには、頭を半分に割り、水から火にかけます。
あくをすくいながら沸騰させ、数分煮たら味噌を溶き、ねぎを散らせば完成です。
伊勢海老はあまり手をかけない方が美味しいとされているので、簡単な味噌汁をぜひ試してみてください。
またクックパッドの「伊勢海老」に関連するレシピも参考になるので是非ご覧ください。
雪下出麦(ゆきわたりてむぎいづる)の旬の草花は「フクジュソウ」
「フクジュソウ」の基本情報
学名 | Adonis ramosa |
科・属 | キンポウゲ科・フクジュソウ属 |
原産国 | 日本などの東アジア |
別名 | 元日草 |
「フクジュソウ」の特徴
フクジュソウは漢字で書くと福寿草で、とてもめでたい植物です。
花の名前には幸福と長寿の願いが込められており、黄金色の花の色が福、花期が長いことを寿になぞらえています。
もともとは旧暦の正月の頃に咲いており、別名元日草と呼ばれて正月飾りにも使われていました。
現在のフクジュソウは、新暦の正月の頃に咲くように調整され、今でも正月を象徴する花となっています。
縁起が良くめでたい花なので、正月の景色の中で見つけたい草花の一つです。
「フクジュソウ」の花言葉
福寿草の花言葉には、「幸福」「幸せを招く」「永久の幸福」「回想」「思い出」「悲しき思い出」などがあります。
フクジュソウが縁起のいい花であることから幸福という花言葉がつけられ、寿の長生きのイメージから思い出という花言葉がつけられたとされています。
日本ではいいイメージのあるフクジュソウですが、実はヨーロッパでは悲しい伝説があるのです。
それはギリシャ神話に出てくる美少年アドニスに由来します。
アドニスが狩りをしているときに流した血から、フクジュソウが咲いたとされています。
それで、フクジュソウの学名はアドニスとなっているのです。
雪下出麦(ゆきわたりてむぎいづる)の旬の行事は「お正月」
雪下出麦(ゆきわたりてむぎいづる)の頃の行事はお正月です。
さまざまな生き方をするようになった現代においても、やはりお正月は特別な日となります。
昔の日本では1月のお正月と7月のお盆の頃、半年に1度収穫に感謝し豊作を願い、先祖を敬う儀式がありました。
正月には年神さまをお招きするのですが、この年神さまは田んぼの神様でもありご先祖でもあります。
昔の人が食物が収穫できることやご先祖様への感謝を忘れずに生きていたことが分かるのではないでしょうか。
現代に生きる私たちは収穫への感謝という気持ちが薄れがちですが、お正月という特別な日には昔の人のように感謝を忘れずにいたいものです。
美味しい食べ物が毎日食べられることへの感謝、そして今自分がここにいるのはご先祖様のおかげなのだという感謝。
お正月にはぜひそんな素敵な気持ちを思い出してください。
雪下出麦(ゆきわたりてむぎいづる)の運気アップの方法は「お参り」
雪下出麦(ゆきわたりてむぎいづる)の頃の運気をアップさせるには、お参りに出かけてください。
いわゆる初詣をきちんとすることで、あなたの運気はアップします。
1年の始まりにはやはり神社に出かけて、神様にご挨拶をすることからスタートしなければなりません。
といってもかしこまる必要はなく、気軽な気持ちで出かけてください。
神様にお参りするということは、自分の中の新年に対する気持ちを新たにするということです。
「何をお願いしようか」と考えるときには、自ずと新しい年をどんな1年にしようかと考えることになります。
初詣に出かけて、良い1年を始めていきましょう。
そして、おみくじも忘れずに引いてみてください。
いい結果が出た場合は信じ、悪い結果が出たら気にしない心づもりでOKです。
他の七十二候の意味や時期の一覧
占い師 小鳥のワンポイントアドバイス「気持ち新たに」
そのワクワクする気持ちを大事にしてちょうだい。
もしこれまでがどんなにひどい1年だったとしても、そんなことはもう忘れてちょうだい。
気にすることはないわ。
だって新しい1年が始まるんだもの。
反省は大切だけど、過去を引きずるのはダメよ。
気持ち新たに、1年のスタートを切っていきましょ。