日本には四季があり、我々日本人は季節の移り変わりをとても大切に考えてきました。
それぞれの季節がもたらす風景や恵みを、生活の中に取り入れ豊かに暮らしてきたのです。
季節を72にも分類した七十二候があることが、春夏秋冬だけでなく、さらに季節を細かく分けて、ささやかな季節の巡りを感じながら生きてきたことを示しています。
立春・冬至など1年を24に分けた二十四節気、それをさらに3つに分けた七十二候。
現代に生きる私たちが忘れがちな、季節の移ろいを今一度大切にしていきましょう。
この記事では、七十二候の第五十六候「地始凍(ちはじめてこおる)」について、詳しい意味や時期、旬の野菜や果物、魚介類、草花や行事、運気アップの方法についてご紹介していきます。
日本ならではの季節について再認識し、豊かに暮らしていけるようになっていきましょう。
目次
地始凍(ちはじめてこおる)の意味
地始凍(ちはじめてこおる)は、大地が凍り始める頃のことです。
霜が降り、氷が張り、いよいよ季節は冬を迎えます。
大地が凍る時、地面では霜柱が生まれます。
まるで地面の中に柱ができたようになってしまう霜柱ができるとき、地中では何が起こっているのでしょうか。
日が沈み気温が下がり、地中の水分は地表で凍り、細い氷の柱となります。
舗装された道路が多くなり、霜柱を見つける機会は減ってしまいましたが、それだけに見つけると嬉しいものです。
霜柱の中には10センチ以上になるものもあるようで、よく冷えた朝には大きな霜柱探しに出かけてみるのもいいかもしれません。
キラキラと輝く大地は、あなたに冬の到来を教えるだけでなく、活力も与えてくれるでしょう。
しかし、霜柱は日が当たると溶けて、霜くずれとなります。
そうすると地面はぬかるみ、足元を悪くしてしまうでしょう。
地始凍(ちはじめてこおる)の頃には、凍った地面が溶けてぬかるむことまで頭に入れておけば快適に過ごせるはずです。
大地までもが凍り始め、いよいよ冬がやって来ることを実感せずにはいられないこの時期。
確かに寒さを感じるでしょうが、震えて小さくなって過ごすのではなく、寒さが生み出す素敵な光景を探して豊かに生きていきましょう。
特に現代に生きる私たちは、地面をじっくり見るなんて機会は滅多になくなりました。
ですが、地始凍(ちはじめてこおる)の期間くらいは、地面を見つめる余裕を持ちたいものです。
地始凍(ちはじめてこおる)の時期は「11月12日~11月16日頃」
2021年 | 11月12日~11月16日 |
2022年 | 11月12日~11月16日 |
2023年 | 11月13日~11月16日 |
2024年 | 11月12日~11月16日 |
2025年 | 11月12日~11月16日 |
2026年 | 11月12日~11月16日 |
2027年 | 11月13日~11月16日 |
2028年 | 11月12日~11月16日 |
2029年 | 11月12日~11月16日 |
2030年 | 11月12日~11月16日 |
冬の景色を思い浮かべる時、真っ白ですべてが静まり返った光景を目に浮かべるのではないでしょうか。
しかし、寒さによって美味しく育つ作物もあります。
冬野菜の代表格である白菜もその一つです。
霜が降りて甘みを増す白菜は、旬である冬に食べたい野菜です。
白菜は鍋の食材として、冬の日本で欠かすことのできない食材ですが、実はそれほど歴史は古くありません。
白菜が日本に伝わったのは明治8年の頃です。
初めは栽培がうまくいかず、全国に普及するようになったのは大正の初めの頃です。
今ではすっかりおなじみの野菜となりましたが、今こうして毎冬白菜が食べられるのは、たくさんの人の苦労と努力があったからだと忘れないようにしましょう。
そうすれば、より地始凍(ちはじめてこおる)の頃の白菜が美味しく感じられ、感謝することができるはずです。
地面が凍ろうとその寒さに負けずに育つ作物がある。
このことを知れば、私たちの毎日にも活力が湧いてくるのではないでしょうか。
旬の冬野菜や食材からエネルギーを得て、この時期を元気に過ごしていきましょう。
地始凍(ちはじめてこおる)の旬の野菜は「ほうれん草」
「ほうれん草」の基本情報
栄養 | 緑黄色野菜の中でも抜群の栄養で知られるほうれん草。
鉄分が豊富なことで有名ですが、その鉄分量は牛レバーに匹敵するほどです。 他にも多種多様なミネラル類やビタミンB・C、カロテン、葉酸が豊富です。 造血作用があるので、貧血気味の人はぜひ食べたい野菜といえるでしょう。 カロテンの抗酸化作用、ビタミンの美容効果を合わせれば、内側からも外側からも美しさを手に入れられます。 |
選び方 | ほうれん草を選ぶ時には、葉に注目しましょう。
まず、葉の色は緑色が濃いものがいいでしょう。 葉先にピンと張りがあり、みずみずしいのが新鮮な証です。 緑が薄く、葉がしおれているものは、古くなってきていますので注意してください。 また、根本が赤いのはマンガンが豊富な証拠で問題ありません。 甘みもある部分なので、赤い部分もなるべく食べるようにしてください。 |
保存方法 | ほうれん草の新鮮さをキープするのに、一番の敵となるのは乾燥です。
乾かないようにすることでほうれん草の新鮮さを長く保つことができます。 湿らせた新聞紙でくるみ、ビニール袋に入れましょう。 そして、冷蔵庫に入れる向きにもポイントがあります。 ほうれん草は立てて冷蔵庫に入れてください。 畑に植えられていたとき同様、立てて保存することで、ほうれん草は長持ちするようになります。 |
その他、お役立ち情報 | ほうれん草には独特のえぐみがあります。
せっかく栄養豊富なのに、えぐみが苦手で食べられないなんてもったいありません。 このえぐみを抑えるには、油を使って調理したり、じゃこなどのカルシウムと合わせるのがいいでしょう。 また、品種を変えるのも効果的です。 生食用のサラダほうれん草や、寒い中で育て甘みを増したちぢみほうれん草、アクの少ない赤茎ほうれん草などがあります。 |
「ほうれん草」の特徴
ほうれん草といえばポパイを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
ポパイはほうれん草を食べた途端、マッチョになりすごいパワーが湧いてきて強くなります。
これは、ほうれん草が栄養豊富な野菜であることを表しています。
ヨーロッパではほうれん草は胃腸のほうきと呼ばれ、便秘解消してくれる野菜として知られているのです。
タンパク質、食物繊維、鉄分が豊富で、一年中安価に手に入れることができるので、世界的に重宝されています。
いつまでも健康でいたいなら、ほうれん草は欠かせない野菜です。
「ほうれん草」のおすすめの食べ方・調理法
ほうれん草が苦手な人にもおすすめの食べ方は、ほうれん草としらすのバター炒めです。
油とカルシウムと合わせることで、ほうれん草のえぐみが薄れ食べやすくなるでしょう。
まずはほうれん草を湯がいておきます。
ちょうどいい大きさに切ったら、あとは炒めるだけです。
フライパンにバターを溶かし、しらすとほうれん草を入れましょう。
ゴマと塩コショウで味を整えたら完成です。
この調理法だとほうれん草独特のえぐみが消えるので、ほうれん草が苦手だという人も一度試してみてください。
またクックパッドの「ほうれん草」に関連するレシピも参考になるので是非ご覧ください。
地始凍(ちはじめてこおる)の旬の魚介類は「毛ガニ」
「毛ガニ」の基本情報
栄養 | 毛ガニの身の赤色はアスタキサンチンという色素です。
アスタキサンチンには抗酸化作用があり、血管の健康を保ち免疫力を高めてくれますが、殻に多く含まれています。 毛ガニはほとんどが水分で、低カロリー食材です。 しかし、それでも美味しい食材として知られているのは、グルタミン酸やアスパラギン酸をなどのアミノ酸がたっぷりと含まれ、旨味が強いからなのです。 カルシウムやリン、マグネシウムも豊富で、骨を健康に保ってくれます。 |
選び方 | 毛ガニは身よりもミソが美味しい食材です。
美味しい毛ガニを選ぶ際には、毛ガニを持ってみましょう。 ずっしりとして重く大きなものだと、たくさんミソが入っていることが期待できます。 そして毛ガニを裏返してみてください。 裏返してみて外側に出ている卵が多いものは避けましょう。 オスと比べてメスは身も美味しいですが、脚が細く食べ応えがありません。 しかし、メスには内子と呼ばれる卵巣があります。 内子は身以上に美味しく、内子があることからメスの方が価値が高くなっています。 |
保存方法 | 活きた状態で毛ガニを手に入れたのなら、当日か遅くとも翌日までには茹でて食べるようにしましょう。
外気10℃以上になると毛ガニは死んでしまいますので、冷暗所での保存が基本です。 それ以上の保存が必要な場合には冷凍保存をしてください。 生の状態では冷凍せず、茹でてから冷凍をしましょう。 身もほぐし、食べられる状態にしてからラップに包み冷凍庫に入れましょう。 |
その他、お役立ち情報 | 毛ガニは北海道では最も好まれているとされるかにです。
そもそも、毛ガニは昔は全国に流通しておらず、北海道でしか食べられませんでした。 それが全国で楽しめるようになったのは、1960年代半ばの頃です。 今でこそ、スマホでぽちっと買える毛ガニですが、その歴史は意外と浅いのだと言えるでしょう。 産地によって旬が異なり、卵を持っている時期にも違いがあります。 そのため一年を通して、旬のものを味わうことができます。 |
「毛ガニ」の特徴
毛ガニの最大の特徴はその見た目にあります。
毛ガニの表面には全体的に細くてふわふわの毛が生えています。
これが毛ガニと呼ばれる所以です。
色は薄茶色ですが、茹でると真っ赤になります。
甲羅の直径は8センチ以上で、8センチ未満のものは海に返されるため市場に出回ることはありません。
重さは400g~600gがいちばん美味しいとされているので、通販で買う場合には重さにも注目してみましょう。
毛ガニの特徴は身の甘さと、ミソの濃厚さです。
甲羅にたっぷりと詰まったカニミソは、他のカニでは味わえないクリーミーなものです。
そのため、毛ガニはミソだけを目当てにされることもあるほどです。
「毛ガニ」のおすすめの食べ方・調理法
産地以外で毛ガニを購入する場合は、冷凍された状態で届くことが多いでしょう。
そんな冷凍毛ガニを上手に食べる方法をご紹介していきます。
まず冷凍毛ガニを冷蔵庫に移し、24時間程度置いておき半解凍状態にします。
出汁に食べやすく切った白菜とネギを入れ沸騰させたら、火を止めそこに毛ガニを入れましょう。
蓋をして強火で再沸騰したら、弱火にして5分蒸すように過熱します。
火を止めてから10分放置すれば出来上がりです。
余熱で火を通しているので、過熱し過ぎておらず柔らかい身を楽しむことができるでしょう。
またクックパッドの「毛ガニ」に関連するレシピも参考になるので是非ご覧ください。
地始凍(ちはじめてこおる)の旬の草花は「茶の花」
「茶の花」の基本情報
学名 | Camellia sinensis |
科・属 | ツバキ科・ツバキ属 |
原産国 | インド・ベトナム・中国西南部 |
別名 | オチャノハナ |
「茶の花」の特徴
茶の花は秋から初冬にかけて咲く、白い小さな花です。
1mほどの低木で、寒さや乾燥には弱いのが特徴です。
茶の花の葉は、緑茶や紅茶などに加工され親しまれています。
茶の花の新芽にはカテキン・カフェイン・アミノ酸が含まれており、飲用に利用されます。
紅茶・ウーロン茶・緑茶などお茶の種類はたくさんありますが、実はどれも茶の花の葉から作られています。
発酵させたり、煎ったりと作り方によって、できるお茶の種類が変わってくるのです。
茶の花は葉ばかりが注目され、あまり花は知られていませんが、この季節にかわいらしく咲き季節を告げてくれます。
お茶を飲むときには、その可憐な姿を思い出してみてください。
「茶の花」の花言葉
茶の花の花言葉は純愛です。
白くて素朴な花の印象が、純愛という花言葉の由来となっているとされています。
茶畑では葉の成長のため、花を咲かせることは滅多にありません。
地始凍(ちはじめてこおる)の旬の行事は「七五三」
地始凍(ちはじめてこおる)の頃に行われるのが七五三です。
七五三は数え年で男の子は3歳と5歳、女の子は3歳と7歳のときにお参りをする行事です。
今ほど医療の整っていなかった昔は、子供が成長することは当たり前ではありませんでした。
そのため、健やかな成長を祝うために七五三があるのです。
この行事は古くは別々の行事でした。
3歳で剃っていた髪を伸ばす、5歳で初めて袴をはく、7歳で帯を使い始めるといった成長に関する行事が1つになったのが現代の七五三です。
七五三が11月15日になったのは、陰陽道での吉日であるということと徳川綱吉の子供の祝いを行ったからだとされています。
七五三に欠かせない千歳飴は、子供が無事に成長しますようにとの願いが込められたものです。
この願いは医療が進歩した現代でも共通のもの。
遥か昔から受け継がれてきた行事を大事にし、昔の人と同じように子供の無事を願いたいものですね。
千歳飴のはじまりは江戸時代で、浅草寺の境内で売られたものが始まりだとされています。
江戸時代に生まれたものが今でも受け継がれているなんて、ロマンを感じられますね。
地始凍(ちはじめてこおる)の運気アップの方法は「大地を踏みしめる」
地始凍(ちはじめてこおる)の頃の運気をアップするためには、地面からのエネルギーをしっかりと感じ取ることが大切です。
大地は私たちにエネルギーを与えてくれる存在です。
凍り始めたからといって、そのパワーが弱まることはありません。
むしろ、氷の下にある閉じ込められたパワーをしっかりと受け止めようと意識すれば、より高いエネルギーを得ることができるでしょう。
大地を踏みしめることを意識して、生活してみましょう。
大地といっても土の地面を踏む必要はありません。
アスファルトの道であっても、しっかりと踏みしめている意識を持つことが大切なのです。
一歩一歩を大事にしながら、冬の始まりを前進で感じ取ってみましょう。
大地に意識を飛ばしていれば、霜柱を見つけられて冬の訪れを実感できるかもしれません。
他の七十二候の意味や時期の一覧
占い師 小鳥のワンポイントアドバイス「冬が来る」
地始凍(ちはじめてこおる)になると、いよいよ冬がやって来ることを実感出来るんじゃないかしら。
これまでの季節もなんとなく風の冷たさを感じていたり、冬の気配を感じることはあっても、まだまだ冬ではないという意識があったはず。
でも地始凍(ちはじめてこおる)の頃には、もう冬に目を背けることはできないわ。
寒くて厳しい冬がやってくるけれど、そんな中でも自然が見せてくれる景色を楽しみながら暮らしていきましょ。
霜柱はあなたの近くにもきっとあるはずよ。