日本には四季があり、我々日本人は季節の移り変わりをとても大切に考えてきました。
それぞれの季節がもたらす風景や恵みを、生活の中に取り入れ豊かに暮らしてきたのです。
季節を72にも分類した七十二候があることが、春夏秋冬だけでなく、さらに季節を細かく分けて、ささやかな季節の巡りを感じながら生きてきたことを示しています。
立春・冬至など1年を24に分けた二十四節気、それをさらに3つに分けた七十二候。
現代に生きる私たちが忘れがちな、季節の移ろいを今一度大切にしていきましょう。
この記事では、七十二候の第五十四候「楓蔦黄(もみじつたきばむ)」について、詳しい意味や時期、旬の野菜や果物、魚介類、草花や行事、運気アップの方法についてご紹介していきます。
日本ならではの季節について再認識し、豊かに暮らしていけるようになっていきましょう。
目次
楓蔦黄(もみじつたきばむ)の意味
楓蔦黄(もみじつたきばむ)は、紅葉や蔦が色づく頃を指しています。
草木が紅葉していくことを、もみつと呼んだのが語源だそうです。
秋が過ぎ冬が来ると、山の木々はすっかり禿げ上がり寂しいものとなってしまいます。
その前の紅葉は、しっかりと楽しんでおく必要があるでしょう。
四季の山々の様子は次のように表すことができます。
草木が芽吹く春の山は山笑う、夏の青々しい山は山滴る、秋の紅葉した様子は山粧う(やまよそおう)、冬の寂しい山は山眠る。
山の表情は四季を感じるのに欠かせないもので、山を見ていれば紅葉が深まっていくのを感じられるでしょう。
忙しい現代社会では山をゆっくり眺めるということも難しいかもしれませんが、ぜひ紅葉や蔦が色づくさまを確認してほしいものです。
自然の中に身をおけば、心もゆったりとでき最後の秋を楽しめるでしょう。
楓蔦黄(もみじつたきばむ)の「もみじ」は「揉み出(もみず)」が変化した言葉です。
揉み出は木々の葉の色が揉みだされてくるという意味で、初めは特定の植物を指してはいませんでした。
ですが、次第に美しい紅葉で目を惹く楓のことを指すようになったとされています。
楓の色づきは現代の日本でも多くの人が楽しみ、紅葉狩りも現代にも残っています。
楓蔦黄(もみじつたきばむ)の時期は、秋から冬に移り変わる季節で、同じように移り変わる葉の色を見ながら過ごしてみましょう。
自然が作り出す燃えるような赤は、あなたにも強いエネルギーを授けてくれるはずです。
楓蔦黄(もみじつたきばむ)の時期は「11月2日~11月6日頃」
2021年 | 11月2日~11月6日 |
2022年 | 11月2日~11月6日 |
2023年 | 11月3日~11月7日 |
2024年 | 11月2日~11月6日 |
2025年 | 11月2日~11月6日 |
2026年 | 11月2日~11月6日 |
2027年 | 11月3日~11月7日 |
2028年 | 11月2日~11月6日 |
2029年 | 11月2日~11月6日 |
2030年 | 11月2日~11月6日 |
紅葉と聞くと、燃えるような木々を思い浮かべますが、黄色く色づく木々も多くあります。
昔はイチョウのように黄色く色づく葉のことも「もみじ」と言っていました。
そして、黄色く色づいた葉が落ちることを黄落と言います。
楓蔦黄(もみじつたきばむ)の頃にイチョウ並木の下を歩けば、まさに黄落であると実感できるでしょう。
この時期ならではの黄色いじゅうたんは、今しか楽しめない美しい季節なのです。
木々たちが秋の終わりに赤や黄色といった華やかな色で楽しませてくれるのは、これから来る寂しい季節を乗り切るためではないでしょうか。
楓蔦黄(もみじつたきばむ)の頃は、美しい紅葉の景色を目に焼き付けておきましょう。
秋の深まりを冷たくなった風と、美しい景色によって感じられるはずです。
楓蔦黄(もみじつたきばむ)の旬の果物は「りんご」
「りんご」の基本情報
栄養 | 欧米では昔から「1日1個のりんごは医者を遠ざける」ということわざがあるほど、りんごは栄養豊富な果物です。
皮の近くに多く含まれるリンゴポリフェノールは、抗酸化作用があり血流改善や美白効果が期待できます。 水溶性食物繊維のペクチンは、腸内環境を整えてくれ便秘解消に効果的です。 不要性食物繊維のセルロースも便秘解消に役立ちます。 りんごに含まれるビタミンCは酸化型で過熱しても壊れにくい特徴を持っています。 肌荒れ改善や美肌効果が期待できるでしょう。 |
選び方 | 美味しいりんごを選ぶには、りんごをすみずみまでよく見るようにしましょう。
りんごの下の部分まで色づきがいいものを選んでください。 上から見た時にきれいな円形をしていて軸が中心にあるもの、お尻の中心の花の後はキュッと締まっているものにしましょう。 持った時にずっしりと重いものほど果汁がいっぱい詰まっています。 枝がついている場合は枝が干からびているものは避けましょう。 手に取れるなら香りを嗅いでみて、香りの強いものを選んでください。 |
保存方法 | りんごの保存は低温で行うのが基本です。
りんごの保存に適しているのは0℃~10℃で、冷蔵庫で保存するのがおすすめです。 乾燥もりんごの大敵なので、冷蔵庫に入れる前に乾燥対策を行っていきましょう。 むきだしのまま冷蔵庫には入れずに、必ずビニール袋に入れるようにしてください。 そうすれば保存期間の目安は2週間~1ヶ月程度です。 大量にもらって冷蔵庫に入りきらない場合は、なるべく低温で温度変化の少ない場所に置いておきましょう。 |
その他、お役立ち情報 | りんごといえば、表面がツヤツヤして油っぽい手触りのイメージがあると思います。
そのツヤを農薬やワックスだと考える人も多いのですが、実はりんごから分泌された成分である場合はあるのです。 品種によっては完熟すると表面を保護するために、ろう物質を分泌するものがあります。 りんご表面のツヤは農薬やワックスではない場合もあるのです。 |
「りんご」の特徴
りんごは人類が食した最古のフルーツとされており、期限はおよそ4000年前にあります。
日本に入ってきたのは鎌倉中期だそうですが、その頃のりんごの果実は小さく苦みがあったため一般に広がることはありませんでした。
今のような果実の大きなりんごが栽培され始めたのは明治初期です。
最初はアメリカから75品種の苗木を輸入し始まった日本のりんご文化ですが、その後品種改良を重ね、今では世界で認められる味となっています。
現代ではりんごは旬の季節に限らず一年中おいしく食べられます。
それは貯蔵法が変化したためです。
CA貯蔵法で保存すれば長期間経過しても品質や風味が変化しません。
CA貯蔵法とは収穫後の果実の呼吸を抑えるため、空気を調整する技術のことです。
この技術があるから、日本ではりんごが一年中食べられるのです。
楓蔦黄(もみじつたきばむ)の頃は、りんごが旬を迎えますから、貯蔵していない採れたての味を楽しんでみましょう。
それほど昔から親しまれてきたフルーツだからこそ、りんごはさまざまな
「りんご」のおすすめの食べ方・調理法
りんごを食べるのなら、ぜひ皮ごと食べるのをおすすめします。
皮や皮の近くに栄養がたっぷりなため、皮をむいてしまうと栄養素的にはもったいないのです。
りんごを無駄なく食べ尽くすには、りんごの輪切りがおすすめです。
良く洗ったりんごを好みの厚さに輪切りするだけでOK。
輪切りにすると皮の食感が気にならずに、実とともに美味しく食べることができます。
皮をむいてしまう場合でも、むいた皮や芯はアルミ鍋の黒ずみ落としに使えます。
アルミ鍋にりんごの皮や芯を入れ水を入れて15分煮てから冷ませば、黒ずみはすっかり落とすことができるでしょう。
いつもは捨ててしまうりんごの皮ですが、実は食べても他のことに利用してもいいものだということを知って有効活用してみてください。
またクックパッドの「りんご」に関連するレシピも参考になるので是非ご覧ください。
楓蔦黄(もみじつたきばむ)の旬の魚介類は「ひらめ」
「ひらめ」の基本情報
栄養 | ひらめには良質なタンパク質が含まれており、アミノ酸バランスが良好です。
養殖物のひらめにはタンパク質・ビタミン類・脂質が多く含まれています。 ひらめは高タンパクで消化がいいため、ダイエットや筋トレ後の食材としておすすめです。 高血圧や動脈硬化を防いでくれるタウリンも豊富に含んでいます。 ひらめの周囲であるエンガワの部分にはコラーゲンが豊富で、美肌や若返り効果が期待できます。 |
選び方 | ひらめには天然物と養殖物があり、その二つは簡単に見分けることができます。
天然物は裏が真っ白で、養殖物は黒や茶がまだらです。 ですが、現代のひらめは天然物と養殖物で味の差がそれほどありません。 しっかりと魚自体の鮮度を見極めて選ぶようにしていきましょう。 表面が乾いておらず、指で押した時にしっかりとした硬さを感じるものが新鮮です。 肉厚なものはいいのですが、お腹の部分だけが厚くふくらんでいるものは腐りやすいので注意をしてください。 エラの中が赤い色をしていると、そのひらめは新鮮です。 |
保存方法 | ひらめの鮮度を保つには空気に触れさせないことが重要です。
買ってきたパックのまま冷蔵庫に入れるのではなく、ラップで隙間なくくるみ空気が触れないようにしてから冷蔵庫に入れましょう。 また、美味しさを増しつつ保存期間も伸ばせるのが昆布締めです。 ひらめの切り身を水分を拭き取り、昆布で上下を挟めば、冷蔵庫で一週間ほど保存することができます。 保存している間に昆布の出汁や旨味がひらめに移り、味わい深いものとなります。 |
その他、お役立ち情報 | ひらめとカレイはよく比較されることもある似ている魚です。
その見分け方は「左ひらめ、右カレイ」です。 ひらめは表が左側、裏が右側で目が左だけについています。 常に左側だけを上に向けて泳いでいるのがひらめなのです。 ひらめの旬は秋~冬ですが、最近は養殖が盛んになっている上に輸入物もあるので、それほど旬を気にせずとも美味しく食べることができます。 |
「ひらめ」の特徴
竜宮城を訪れた浦島太郎が見たものとして「タイやひらめの舞い踊り」があります。
乙姫が浦島太郎をもてなす演目として用意したであろう舞い踊りに出てくる魚は、竜宮城だけあってどちらも高級魚です。
昔話の中にすでに高級な印象で出てきたことからもわかる通り、ひらめは古くから親しまれてきた日本を代表する高級魚です。
白身の刺身では間違いなくトップの座を得ているでしょう。
透き通った身の美しさは他の魚にはないもので、過去から現代に至るまでもてはやされています。
左に目があるとされているひらめですが、じつは目は成長に伴って移動します。
はじめは普通の魚のように目がついていますが、徐々に右目が左目に移動していくのです。
これは海底に住むひらめにとって有利な変化です。
「ひらめ」のおすすめの食べ方・調理法
新鮮なひらめが手に入ったら、ぜひ生で刺身で食べてほしいものです。
最上級といわれるひらめの刺身を味わいつくしましょう。
刺身が余ったらこぶ締めやカルパッチョを楽しんでみてください。
生の状態でもさまざまな味わいを楽しむことができます。
余った刺身は漬けにすることもできます。
漬けの作り方は簡単で、醤油2:料理酒2:みりん1を混ぜ煮切ったタレに漬けるだけです。
ご飯の上に乗せて漬け丼を楽しみ、だし汁をかければ漬け茶漬けとしても味わいを変えることができます。
美味しいひらめはさまざまな味わい方を楽しんでみてください。
またクックパッドの「ひらめ」に関連するレシピも参考になるので是非ご覧ください。
楓蔦黄(もみじつたきばむ)の旬の草花は「イチョウ」
「イチョウ」の基本情報
学名 | Ginkgo biloba |
科・属 | イチョウ科・イチョウ属 |
原産国 | 中国 |
別名 | ギンキョウ・ギンナン・ギンナンノキ |
「イチョウ」の特徴
イチョウは古くから日本で街路樹として親しまれてきました。
街路樹として採用されるのは、イチョウの繁殖力の強さと栽培しやすさに理由があるでしょう。
育てやすいイチョウですが、実は17種あったイチョウ科の他の植物は絶滅してしまいました。
イチョウ科の唯一の生き残りであるイチョウは絶滅危惧種にも指定され、生きた化石とも言われています。
イチョウは樹高が20メートルほどになり、春に花を咲かせます。
燃えにくく寒さに強いので、室町時代には既に観賞用に栽培されていたそうです。
「イチョウ」の花言葉
イチョウの花言葉は「荘厳」「長寿」「鎮魂」です。
荘厳という花言葉は、イチョウが神社によく植えられていることが由来となっています。
長寿はイチョウを植えてから実がなるまでに長い時間がかかることや、イチョウの木の寿命の長さが由来です。
楓蔦黄(もみじつたきばむ)の旬の行事は「文化の日」
11月3日は文化の日で、国民の祝日です。
もともと11月3日は、明治天皇の誕生日でした。
明治時代には天長節、昭和時代には明治節と呼ばれていました。
昭和23年からは、日本国憲法が11月3日に公布されたのを記念して文化の日と改められました。
ただの祝日だと思って過ごすのではなく、歴史の変遷に思いを巡らせれば充実の祝日を送ることができるでしょう。
文化の日は自由と平和を愛し文化をすすめる日です。
楓蔦黄(もみじつたきばむ)の時期には、木々の色に季節を感じつつ文化を愛するようになっていきましょう。
文化という言葉はもともと、権力や罰を与えずに導き教えるという意味でした。
何かを教えたり教えられたりという体験をするといいかもしれませんね。
楓蔦黄(もみじつたきばむ)の運気アップの方法は「深呼吸」
楓蔦黄(もみじつたきばむ)を運気アップして過ごすには、深呼吸をしてください。
深呼吸をして肺に秋の空気をたくさん取り入れることで、あなたの運気は上昇します。
なかなか日々の忙しさに追われていると深呼吸をする余裕もないかもしれません。
しかし、運気アップやあなた自身のために意識して深呼吸の時間を作り出すようにしていきましょう。
深呼吸はリラックスを生み出してくれます。
これによってあなたの精神状態は良好に保たれ、秋の深まる時期を身も心も健康に過ごしていけるでしょう。
楓蔦黄(もみじつたきばむ)の季節には、外で季節を感じながら深呼吸をしてみるのもおすすめです。
呼吸があなたに幸運をもたらすことを忘れないでください。
他の七十二候の意味や時期の一覧
占い師 小鳥のワンポイントアドバイス「紅葉」
はるか昔から私たち日本人は紅葉を愛してきたわ。
それが楓蔦黄(もみじつたきばむ)という名前にも表れているわよね。
いくら文明が発展しようと、紅葉に心を動かされるのは変わらないのよ。
この季節には周りを見渡す余裕を持ち、いち早く色づく葉や蔦に気づいてちょうだい。
そうすれば心豊かに毎日過ごすことができるはずよ。