古代中国では、「二十四節気(にじゅうしせっき)」という半年ごとの季節の移り変わりを示すものがあります。
この二十四節気をさらに細かく、気象の変化・動物や植物などの変化などを5日ごとに分けて示すものが「七十二候(しちじゅうにこう)」というのです。
時代が移り変わるにつれて江戸時代以降、日本では中国で作られたものを、日本の風土や気候に合わせてたびたび改訂されてきた独自の七十二候ですが、現在のものは明治時代に改定されたものになります。
今では旧暦には馴染みのない人も多いといえますが、それぞれの時期の兆しや移り行く季節の変化を感じさせてくれるものなのです。
ここでは七十二候の第八候「桃始笑(ももはじめてさく)」の意味や時期・旬の野菜や果物・魚介類・草花・運気アップの方法まで詳しく紹介していきます。
「桃始笑(ももはじめてさく)」とは、桃の花がほころび、咲き始めるのです。
ピンク色のかわいらしい花がたくさん咲くことで、一気に春めいてきます。
日々の暮らしに季節を感じるための、参考にしてください。
目次
桃始笑(ももはじめてさく)の意味
「桃のつぼみがほころんで、花が咲き始める頃」という意味になります。
少し前の時期から咲いていた梅の花に変わって、今度は桃が花を咲かせ始めるのです。
桃始笑(ももはじめてさく)は、二十四節気の「啓蟄」の次候であり、七十二候の第八候です。
桃が咲き始めるのになぜ「笑」という文字が使われているのかというと、「咲」という字には「笑う」という意味があり、「笑」という字には「咲く」という意味があったといわれています。
現在ではあまり使われることはありませんが、春の季語にも「山笑う」というものがあり、春が訪れて緑や春の花たちに彩られた山のことを表しているのです。
また「花笑み」という言葉もあり、花が咲くことやつぼみがほころぶことを意味していたり、人が微笑んでいることを花にたとえた言葉として使ったりもします。
このようなことから「笑」という字を使って「さく」と読んでいるのです。
梅が咲いている頃は、まだ白い花で控えめなイメージが強かったものですが、梅から桃に変わって、たくさんの花がつき、色もピンクへと変わってくるこの時期。
ますます春の実感が湧き、気持ちもワクワクしてくる人も多くなってくるものです。
花が笑い始めるとともに、私たちにも笑顔が増えてくる季節だといえます。
桃始笑(ももはじめてさく)の時期は「3月10日~3月14日頃」
2022年 | 3月10日~3月14日 |
2023年 | 3月11日~3月15日 |
2024年 | 3月10日~3月14日 |
2025年 | 3月10日~3月14日 |
2026年 | 3月10日~3月14日 |
2027年 | 3月11日~3月15日 |
2028年 | 3月10日~3月14日 |
2029年 | 3月10日~3月14日 |
2030年 | 3月10日~3月14日 |
2031年 | 3月11日~3月15日 |
桃といえば、桃の節句が一番に思い浮かぶ人も多いものです。
今では少し時期がずれてしまっていますが、昔は桃が咲いていた時期だから桃の節句といわれるようになりました。
桃の花には古来から「邪気を払う力がある」とされていて、日本でも、中国でも桃の木は神聖なものとされてきたのです。
中国では桃の実は「不老長寿」ともされていて、お祝いの席で桃の実の形を模った「桃饅頭」を食べる風習が現在でも残っています。
中華料理屋さんに行けば、日本でも食べることが出来るので、知っている人も多いもの。
日本でも桃の実は「子孫繁栄」の意味を持つとされていることも加えて、桃の節句に縁起の良いものとして飾られていたということがいえるのです。
ほかにも「桃が邪気を払う」といわれていることがわかるものがあります。
「古事記」にはイザナギノミコトが桃の実を投げて「鬼」を追い払った、とありますし、民話の「桃太郎」もその一つ。
桃から生まれた男の子・桃太郎は「鬼退治」に出かけていきます。
また中国では神様や仙人と桃の木が強く結びついているところから、「桃源郷」という言葉が出来ているのです。
桃は神聖なものとして考えられていたということが、よくわかります。
桃始笑(ももはじめてさく)の旬の野菜は「新玉ねぎ」
「新玉ねぎ」の基本情報
栄養 | ・硫化アリル:消化液の分泌を助け、新陳代謝をよくしてくれる働きがあります。
血をサラサラにしてくれるので、高血圧・糖尿病に効果があるのです。 ビタミンB1と結合して、吸収を促してくれます。 |
選び方 | 傷がなく、つやつやとしているものを選びましょう。
キレイな丸みや、持った時に重さを感じるかどうかも、良いものを選ぶ基準になります。 柔らかすぎるものは、内部に痛みがある可能性があるので、避けてください。 |
保存方法 | 水分が多く痛みやすいため、袋に入れて野菜室で保存してください。 |
その他、お役立ち情報 | ・玉ねぎが持つ辛味や香り、涙を出させる原因は、硫化アリルという成分によってのことなのです。
この成分は上記の効果以外にも、肉や魚のにおいを消してくれる働きもあります。 |
「新玉ねぎ」の特徴
一般的な玉ねぎに比べると、新玉ねぎは水分が多いので、みずみずしいことが一番の特徴です。
これは一般的な玉ねぎが収穫後に一カ月乾燥させてから出荷するのに対して、新玉ねぎは収穫後すぐに出荷されるため。
水分が多いので、一般的な玉ねぎと比べて辛味や苦味が少なく、生のままで食べても甘みを感じます。
新玉ねぎの旬といわれる時期は、3月から4月です。
この時期に出荷される早撮りの玉ねぎのことを総称して「新玉ねぎ」と呼んでいますので、新玉ねぎという品種があるわけではありません。
「新玉ねぎ」のおすすめの食べ方・調理法
新玉ねぎは辛味が少なく、甘みがありますので、生で食べるのがおすすめです。
オニオンサラダなど、サラダにすると熱によって成分が変わってしまう硫化アリルの栄養をそのまま摂取出来ます。
また生のままの新玉ねぎを活かすなら、ドレッシングなどにしてもいいもの。
自然な甘みが、ドレッシングの味を引き立ててくれるのです。
加熱するなら、炒め物・煮物・蒸し料理など何でも合うので玉ねぎは料理に欠かせない野菜だといえます。
一般的な玉ねぎでは味わうことが出来ない、新玉ねぎならではの甘みとみずみずしさを、楽しんでください。
またクックパッドの「新玉ねぎ」に関連するレシピも参考になるので是非ご覧ください。
桃始笑(ももはじめてさく)の旬の魚介類は「サヨリ」
「サヨリ」の基本情報
栄養 | ・ビタミンB12:DNAの合成や調整に関わる、大切な成分です。
正常な細胞の増殖を促す効果があります。 |
選び方 | サヨリは長い下あごを持っていますが、下あごの下部が赤いものが新鮮です。
尾びれや背びれが乾いているものは、おすすめできません。 腹が白くて硬さのあるもの、エラのなかが鮮やかな赤色をしていることも新鮮さの判断基準です。 |
保存方法 | そのまま保存をするなら、下処理をせずに、袋や容器に水を張って凍らす氷漬け冷凍をしましょう。
またはフィレを保存するのと同様に、ラップ等で隙間なく包んで冷凍庫へ保存してください。 |
その他、お役立ち情報 | ・脂質の少ない白身魚なので、消化しやすく、高齢者や小さな子ども、病中・病後にも食べやすい良質なたんぱく源です。 |
「サヨリ」の特徴
サヨリの特徴は、何と言ってもその細長い体です。
口の先はとがっていて、下あごは長く突き出ています。
下あごの先が赤く、背びれはかなり後方にあり、短いのも特徴。
ウロコはとてもはがれやすいので、私たちがスーパーで見かける時にはほとんど剥がれ落ちていることが多いといえます。
一年を通して出回っていますが、サヨリの旬は冬から春にかけてです。
サヨリは「腹黒い人」に例えられることがありますが、これはサヨリのはらわたを出したあとも、真っ黒な薄膜があることが所以となっているからなのです。
「サヨリ」のおすすめの食べ方・調理法
新鮮なサヨリはお刺身やお寿司のネタとしていただくのが、食感も楽しめておすすめです。
酢との相性がいいので、マリネにしたり、酢締めにしてもおいしいといえます。
天ぷらや唐揚げにしたり、唐揚げにしたものを南蛮漬けにしたりすると、ご飯との相性も良いものです。
南蛮漬けにしておくと数日持ちますので、一品追加したいときなどに便利なもの。
お吸い物に入れると、身が真っ白になって味だけではなく、見た目も楽しめます。
またクックパッドの「サヨリ」に関連するレシピも参考になるので是非ご覧ください。
桃始笑(ももはじめてさく)の旬の草花は「モモ」
「モモ」の基本情報
学名 | Amygdalus persica(Prunus persica) |
科・属 | バラ科・モモ属 |
原産国 | 中国中北部 |
別名 | 花桃(ハナモモ)・毛桃(ケモモ) |
「モモ」の特徴
モモは大きく分けて花を観賞するための「花桃(はなもも)」と、実を食べるための「食用桃(しょくようもも)」の二種類があります。
「花桃」につく実は食べることが出来ませんが、キレイな花を咲かせ、種類によっては1本のモモの木で2色のモモの花を楽しめるのです。
たくさんの品種改良がされていて、「食用桃」だけでも100種類以上あります。
モモは成長が早く、数年でたくさんの実をつけるようになりますが、虫が付きやすい木なので、おいしい実を収穫しようと思えば、害虫駆除や摘果、実に袋をかけたりと手間や技術が必要です。
モモは昔から厄除けの力があると信じられてきました。
そのため原産国の中国では、お祝いの席で桃の形をしたお饅頭を食べる習慣があります。
日本でも、「桃の節句」には欠かせない花ですし、「古事記」にはイザナギノミコトが桃の
実を投げつけて鬼を退散させた、有名な「桃太郎」も桃から生まれた男の子が鬼退治をする民話もあるなど、モモは邪気を払うとされているのです。
「モモ」の花言葉
モモの花の花言葉は、「私はあなたのとりこ」「気立てのよさ」「恋のとりこ」「チャーミング」です。
またモモの実にも「天下無敵」「あなたの素質はあなたの魅力のように比類がない」という花言葉があるのです。
この「天下無敵」という花言葉は、モモが邪気を祓うといわれていることに加えて、イザナギノミコトがモモの実を投げて鬼を追い払ったという「古事記」になぞらえてつけられたもの。
フランスでは「辛抱」「忍耐」といった花言葉もあり、これはフランスの厳しい寒さに耐えて花を咲かすことに由来しています。
フランスでのモモの実の花言葉は「制御された幸福のシンボル」「妨害は私の熱情を燃え立たせる」というものです。
桃始笑(ももはじめてさく)の旬の行事は「ホワイトデー」
この時期の行事といえば、3月14日のホワイトデーが有名なものです。
2月14日のバレンタインデーのお返しとして、「男性が女性にお菓子を送る日」というのがもともとのホワイトデーの始まりでした。
お返しに送るお菓子としては、ホワイトチョコレートやキャンディ、マシュマロが一般的なものです。
しかし現在では、バレンタインデーが多様化してきたのと同じで、ホワイトデーも多様化してきています。
日本ではバレンタインデーとホワイトデーといえばセットのようなものですが、実はホワイトデーは日本が発祥のもので、海外には存在しません。
最近でこそアジア圏ではホワイトデーも定着してきたといえますが、これは日本の「人に物をもらったらお返しをする」という文化や国民性が生んだ行事だといえるのです。
今では多様化してきたので、当てはまらないものですが、もともとのホワイトデーに送るお菓子には、それぞれ意味がありました。
バレンタインデーに「好きです」と告白をしてきた女の子に、お菓子で返事をするといったもので、キャンディには「あなたのことが好きです」という意味、クッキーには「友達でいてください」という意味があります。
マシュマロには「あなたのことが嫌いです」という意味、マカロンには「あなたのことは特別」という意味、チョコレートは「あなたの気持ちは受け取れません」という意味になるのです。
ほかにもバームクーヘンは「二人の愛が続きますように」、マドレーヌには「あなたともっと仲良くなりたい」といった意味もあります。
お返しするお菓子の意味を知らなければ、告白してきた女の子の気持ちを振り回してしまうことにもなりかねないもの。
今ではお菓子の意味を考えて贈るといったことはなくなってきたので、相手に喜んでもらえるものを返すことが一番のお返しになるのです。
アジア圏で定着し始めたホワイトデーも、日本のホワイトデーとは変化していて、「恋人と過ごす日」となっていることが多いといえます。
桃始笑(ももはじめてさく)の運気アップの方法は「桃の花を飾ったり、桃のお酒を飲みましょう」
この時期の運気アップを狙うなら、お部屋に桃の花を飾って下さい。
お花屋さんに行って買ってきましょう。
桃の花は邪気を払うとされていますので、春が始まるこの時期に桃を飾ることで、部屋の中に滞留しているマイナスの空気を、外へと出してくれます。
そしてプラスの空気を、取り入れてくれるのです。
悪いものを跳ね除け、不運を遠ざけてくれるので、全体的な運気アップが望めます。
桃を食べて身体に入れることでも、その効果はさらに強くなるのです。
桃の実を食べたり、桃ジャムを塗ったパンを朝食に食べたり、桃ジュースを飲んだり。
お酒が飲めるならぜひ、白桃酒を飲んでください。
アルコールと桃を一緒に摂ることで、その効果は強くなるのです。
昔の人みたいに、白酒に桃の花びらを浮かべて飲んでも風流でいいもの。
また人と過ごす時間を大切にすることです。
この時期に家族や友達との絆を強くすることで、人間関係を良いものにすることが出来るようになります。
一緒に桃のお酒を飲むことが出来れば、最高の運気アップになるといえるのです。
他の七十二候の意味や時期の一覧
占い師 RINのワンポイントアドバイス「笑顔で過ごしましょう」
白く控えめに咲いていた梅の花に変わり、ピンク色のきれいなモモの花がたくさん咲き始めます。
見た目にも春を感じて、気分がワクワクする人も増えて、花だけではなく、私たちも笑顔でいっぱいになってくるのです。
一人の時間も、楽しいことを考えたり、人と接するときも、笑顔を絶やさないようにすることで、気分良く過ごすことが出来ます。
あなたが笑顔でいれば、きっと周りの人もつられて笑顔になってくれるはずです。