日本には四季があり、我々日本人は季節の移り変わりをとても大切に考えてきました。
それぞれの季節がもたらす風景や恵みを、生活の中に取り入れ豊かに暮らしてきたのです。
季節を72にも分類した七十二候があることが、春夏秋冬だけでなく、さらに季節を細かく分けて、ささやかな季節の巡りを感じながら生きてきたことを示しています。
立春・冬至など1年を24に分けた二十四節気、それをさらに3つに分けた七十二候。
現代に生きる私たちが忘れがちな、季節の移ろいを今一度大切にしていきましょう。
この記事では、七十二候の第六十二候「熊蟄穴(くまあなにこもる)」について、詳しい意味や時期、旬の野菜や果物、魚介類、草花や行事、運気アップの方法についてご紹介していきます。
日本ならではの季節について再認識し、豊かに暮らしていけるようになっていきましょう。
目次
熊蟄穴(くまあなにこもる)の意味
熊蟄穴(くまあなにこもる)とは熊が巣穴に入って冬眠をする時期という意味です。
冬眠というと冬の間はずっと眠っているようなイメージがありますが、実は熊の冬眠はずっと寝ているわけではありません。
熊の眠りは浅いため、冬眠中も起きることがあります。
さらに、冬の時期に出産もし、子育てをするメスもいるのです。
このことから熊は冬眠をしているのかどうかという議論がなされたこともありましたが、現在では冬眠だという方向で考えられています。
熊に限らず、冬眠をしない人でも冬は家にこもりがちになります。
昔はそのことを冬ごもりと呼んでいました。
昔の人は熊や人だけでなく、植物でさえ冬ごもりをしていると考えていました。
葉っぱを落として、幹や枝だけになった木々は、生命活動を停止し眠っていると考えていたのです。
冬ごもりは冬の季語となっていますが、春にかかる枕詞としても使われています。
枕詞として使用される理由ははっきりとは分かっていません。
ですが、冬ごもりの間人や動物、そして木々たちはずっと春を待ちわびているのでしょう。
その気持ちがあるから、春にかかる枕詞として冬ごもりが使用されているのでしょう。
冬が厳しく辛いものであるからこそ、春になった時の喜びもひとしおです。
昔の人のように春に思いを馳せながら、熊蟄穴(くまあなにこもる)の時期を過ごしてみましょう。
熊蟄穴(くまあなにこもる)の時期は「12月12日~12月16日頃」
2021年 | 12月12日~12月16日 |
2022年 | 12月12日~12月16日 |
2023年 | 12月12日~12月16日 |
2024年 | 12月11日~12月15日 |
2025年 | 12月12日~12月16日 |
2026年 | 12月12日~12月16日 |
2027年 | 12月12日~12月16日 |
2028年 | 12月11日~12月15日 |
2029年 | 12月12日~12月16日 |
2030年 | 12月12日~12月16日 |
熊蟄穴(くまあなにこもる)の頃には、昔の人々は新年を迎える準備を始めていました。
12月13日には正月の事始めとして、すす払いをする日だったのです。
正月の準備をするにあたって、まずは家のけがれを払うことからスタートさせていました。
江戸時代には一般的な行事で、侍であろうと庶民であろうと12月13日に大掃除をしていたのです。
すす払いを手伝うことができない子供や老人は、別室にこもったりよそへ行ったりしたため、そのことを「すすごもり」や「すす逃げ」と呼んでいたそうです。
現代の日本でも昔のままの日付で、すす払いを行う寺院があります。
大掃除といえば現代ではすっかり年末のイメージがありますが、この時期から始めておけば余裕を持って掃除ができそうです。
熊が穴で冬眠するころ、私たち人間も自分の住処をきれいにし居心地をよくして、気分よく家でこもれるようにしておきましょう。
12月は師走と言われるように、あっという間に過ぎてしまいます。
早くから新年の準備を整えておけば、年末になって焦ることはないはずです。
熊蟄穴(くまあなにこもる)の旬の野菜は「ねぎ」
「ねぎ」の基本情報
栄養 | ねぎは昔から薬効成分のある野菜として知られています。
ねぎの白い部分にはビタミンCと硫化アリルが多く含まれています。 硫化アリルはネギの香り成分で、血行をよくする効能があるのです。 ねぎの緑の部分にはカロテンやカルシウムが多く含まれています。 緑の部分にはセレンという成分が含まれており、このセレンは活性酸素の発生を抑制し発がん物質も抑制してくれるとされています。 ねぎには殺菌効果があるため、薬味として使われるほか、肉や魚の匂い消しにも使われているのです。 |
選び方 | ねぎは関西と関東で流通しているものが違います。
関東で流通している白ねぎは、巻きがしっかりしているものを選ぶのがポイントです。 白と緑の境目がはっきりしていて、根の切り口がきれいでみずみずしいものを選びましょう。 関西で流通している葉ねぎは、緑色が鮮やかできれいなもの、そして葉先までピンと立っているものを選んでください。 どちらのねぎも柔らかいと古くなっているので気をつけましょう。 |
保存方法 | ねぎは冷蔵庫に入れるよりもいい保存方法があります。
それは畑を再現してあげるという方法です。 ねぎを新聞紙で包んで冷暗所で保存します。 冷蔵庫に入れても構いませんが、旬の冬は冷蔵庫に入れなくても新鮮さがキープできるでしょう。 また、泥付きのものを買ってきた場合には、日陰の土に埋めるのも一つの手です。 畑に植えられているのと同じなので、新鮮さをキープすることができます。 |
その他、お役立ち情報 | 昔から伝わるねぎの薬効には次のようなものがあります。
ねぎと生姜を水から煮出して煎じて飲めば、頭痛に効くとされています。 発汗・解熱効果があるとされているのです。 ねぎは不眠症の改善にも役立ちます。 刻んだねぎをキッチンペーパーに包み枕元に置くと、よく眠れるようになると言われています。 これは、ねぎの香り成分である硫化アリルにリラックス効果があるからです。 |
「ねぎ」の特徴
ねぎの原産地は中国西部・シベリアでユリ科ネギ属に分類される野菜です。
ねぎにはさまざまな種類があり、春や夏に旬を迎えるものもありますが、やはり冬に旬を迎えるねぎの甘さにはかないません。
甘いねぎの代表格とされるのが下仁田ねぎです。
下仁田ねぎは別名「殿様ねぎ」とも言われ、ねぎの王様とされています。
過熱すると甘く、肉質は柔らかで美味しいです。
下仁田ねぎと同品種のものに、佐久殿様ねぎがあります。
同じく甘く殿様に献上していたことから、こういった名前が付けられました。
西のねぎの代表格といえば九条ねぎです。
京都特産の葉ねぎで、葉と茎の両方を食べることができます。
「ねぎ」のおすすめの食べ方・調理法
ねぎは使い勝手のいい野菜ですが、毎日食べる味噌汁に入れれば簡単に摂取することができるでしょう。
ねぎと豆腐の味噌汁の調理法をご紹介していきます。
まずねぎは刻んでおきましょう。
鍋で出汁を温め、豆腐をカットして入れます。
味噌を適量溶いたら、人を止めてから刻んだねぎをたっぷり入れて完成です。
ねぎの白い部分を使う場合は、ねぎにも少し火を通すと甘くなって美味しいでしょう。
他にどんな食材を入れてもねぎとの相性はばっちりなので、いろいろな具材を試してみてください。
またクックパッドの「ねぎ」に関連するレシピも参考になるので是非ご覧ください。
熊蟄穴(くまあなにこもる)の旬の魚介類は「牡蠣」
「牡蠣」の基本情報
栄養 | 牡蠣は疲労回復に効果的とされています。
それはグリコーゲンを豊富に含んでいるからです。 他にも鉄分やカリウム、ビタミン類を多く含んでいます。 |
選び方 | 牡蠣を選ぶときには、貝柱が大きくふっくらしているものを選びましょう。
むき身の牡蠣を選ぶときには、身に傷がなく粒がそろっているものがおすすめです。 ふっくらとして光沢があれば、なおいいでしょう。 |
保存方法 | すぐに食べ切るという場合には冷蔵保存で大丈夫です。
殻付きの生牡蠣の場合は水洗いをし、塩分濃度3%の水で湿らせたキッチンペーパーで1つずつくるみます。 殻が深い方を下にしてタッパーなどの入れ物に入れ、呼吸ができるようにふたをずらして乗せておきましょう。 むき身の場合は、買ってきた状態の塩水に浸かっている状態で冷蔵庫に入れてOKです。 たくさんもらった場合やすぐには食べないときは冷凍保存を考えましょう。 冷凍保存をする場合、殻付きのものは水洗いし水気を拭き取ったら殻が深い方を下にしフリーザーバッグに入れて冷凍しましょう。 むき身のものは塩水入りパックのまま冷凍庫に入れてかまいません。 |
その他、お役立ち情報 | 牡蠣には生食用と過熱用がありますが、その二つの違いはいったいどんなものなのでしょうか。
生食用は海からとれた後、紫外線殺菌した海水で一定時間殺菌したものを言います。 生食用は殺菌をするときに少しだけ旨味を失うという特徴があります。 過熱用は殺菌しておらず、水揚げしてすぐに出荷したもののことです。 過熱しなければならないというと鮮度が落ちるのかと勘違いされやすいのですが、実はそうではありません。 鮮度の面でいえば、生食用も過熱用もどちらも変わりはないのです。 むしろ、殺菌時に旨味を失っていない分、加熱用の方が栄養・旨味ともに豊富です。 |
「牡蠣」の特徴
牡蠣は北海道を除く各地に生息しています。
日本で食べられている牡蠣はほとんどが養殖もので天然ものはほとんどありません。
そして、日本の牡蠣は世界中で養殖されています。
昔、ヨーロッパやアメリカで牡蠣が一気に死滅してしまうということがありました。
その時に、日本の牡蠣を提供したため、現在日本の牡蠣は世界中で養殖されているのです。
牡蠣という字は、その昔すべてオスだと考えられていたことからつきました。
しかし、牡蠣は雌雄同体でオスとメス両方の役割を果たします。
牡蠣という音の由来は、石から掻き落とす、殻を欠いて取る、貝殻が欠けやすい、身を掻き出して食べるというところから来ています。
「牡蠣」のおすすめの食べ方・調理法
牡蠣を食べる場合の調理のコツは、生で食べる場合も過熱して食べる場合もよく洗うことです。
大根おろしで揉み洗いをすると汚れがよく落ちますが、ない場合には塩水を使いましょう。
牡蠣と豚肉を合わせると、豚肉のビタミンB1と牡蠣のグリコーゲンが同時に食べられ疲労回復に効果的です。
鍋物にすれば、他の野菜やきのこなども食べられていいでしょう。
殻をむけない場合には、蒸すだけでおいしい蒸し牡蠣が出来上がります。
牡蠣から出る水分が美味しさの秘訣なので、水分を足さずに鍋に敷き詰め10分程度蒸すだけでOK。
またクックパッドの「牡蠣」に関連するレシピも参考になるので是非ご覧ください。
熊蟄穴(くまあなにこもる)の旬の草花は「南天」
「南天」の基本情報
学名 | Nandina domestica |
科・属 | メギ科・ナンテン属 |
原産国 | 中国 |
別名 | ナツテン・ナルテン |
「南天」の特徴
赤い実が可愛らしいのが南天の特徴です。
南天は「難を転じる」に通ずることから、縁起が良いとされてきました。
正月飾りには南天とフクジュソウを使い、難を転じて福となすという縁起物の飾りとなっています。
縁起がいいだけではなく、南天の赤い実は咳止めとしても使われます。
葉っぱは防虫・不敗帽子の効能があり、米びつに入れられていました。
可愛いだけでなく、優れた薬効もある南天をこの時期には探してみてください。
赤い南天を見かければ、寒い季節でも心に灯がともるでしょう。
「南天」の花言葉
南天の花言葉は「私の愛は増すばかり」です。
この花言葉の由来は、初夏に白い花を咲かせた南天が冬に真っ赤な実を実らせる様子からきています。
次第に赤が濃くなる実の様子が、愛が増していく様子に見えるというわけですね。
南天の白い花の花言葉は、「機知に富む」「募る愛」です。
赤い実をつける前の、秘められた情熱が表現されています。
熊蟄穴(くまあなにこもる)の旬の行事は「神楽」
熊蟄穴(くまあなにこもる)の頃には、宮中の賢所で御神楽が行われます。
この御神楽は古くは神遊びと言われており、神様自身が現れて自ら舞うことを指していたそうです。
だんだんと冬至が近づき、陽が短くなり太陽の力が衰えるこの季節。
かつては、太陽だけでなく魂の力も弱ってしまうと考えられていました。
だからこそ、昔の人たちは神楽を行い踊ることで、力をつけようと考えていたのです。
現代では太陽とともに魂の力が弱まりはしないことは分かっていても、それでもやはり陽が短くなると心まで弱ってしまうもの。
神楽に参加してもいいし、自分自身で何か楽しいと思えることを見つけてもかまいません。
気持ちの落ち込みやすい冬だからこそ、楽しいことをして自分の気持ちを盛り上げてみることを心掛けていきましょう。
神様は現代でもきっといて、この季節を元気に生きようとするあなたの傍にいてくれるはずです。
熊蟄穴(くまあなにこもる)の運気アップの方法は「掃除」
熊蟄穴(くまあなにこもる)の時期の運気を上げたければ、掃除をするのがいいでしょう。
昔から、この時期に人々は大掃除を開始していました。
それは、これから来る正月を良い運気で迎えるためだと言えるでしょう。
この時期に行われるのはすす払い。
すすの溜まったところに良い運気が訪れるわけはありません。
だから、新しい年を迎える前に、すすを払っておくのです。
現代に生きる私たちも同じようにすれば、良い運気をゲットすることができます。
部屋をきれいに片づけ、普段は掃除しない場所のほこりや汚れを取り除きましょう。
そうすれば、気分もすっきりして良いことが起きるはずです。
運気アップのポイントは、高いところを掃除することです。
台に乗らなければ届かないようなところを、丁寧に掃除してみてください。
そうすれば、熊蟄穴(くまあなにこもる)から年末までの間を良い運気で過ごすことができるでしょう。
他の七十二候の意味や時期の一覧
占い師 小鳥のワンポイントアドバイス「元気を出して」
私たち人間だってできれば眠っちゃいたいわよね。
でも、人は冬眠することはできないから、元気に生きていかなくっちゃね。
この時期には、意識し元気を出して楽しく過ごすことが大切よ。
熊も眠っちゃう季節だからこそ、起きていられる人間の暮らしを楽しむようにしましょ。
これから先、街はクリスマスを迎え、年末年始がやってくる楽しい季節になるわ。
寒さになんて負けないで、健康に楽しく過ごしていきましょうね。