日本には四季があり、我々日本人は季節の移り変わりをとても大切に考えてきました。
それぞれの季節がもたらす風景や恵みを、生活の中に取り入れ豊かに暮らしてきたのです。
季節を72にも分類した七十二候があることが、春夏秋冬だけでなく、さらに季節を細かく分けて、ささやかな季節の巡りを感じながら生きてきたことを示しています。
立春・冬至など1年を24に分けた二十四節気、それをさらに3つに分けた七十二候。
現代に生きる私たちが忘れがちな、季節の移ろいを今一度大切にしていきましょう。
この記事では、七十二候の第六十一候「閉塞成冬(そらさむくふゆとなる)」について、詳しい意味や時期、旬の野菜や果物、魚介類、草花や行事、運気アップの方法についてご紹介していきます。
日本ならではの季節について再認識し、豊かに暮らしていけるようになっていきましょう。
目次
閉塞成冬(そらさむくふゆとなる)の意味
閉塞成冬(そらさむくふゆとなる)は、重たい灰色の冬雲が空を覆い冬が訪れる頃という意味です。
いよいよ本格的に真冬が訪れ、空は雲で厚く閉ざされてしまいます。
二十四節気でも大雪の頃にあたり、もう雪が降り積もっている地域もあってもおかしくありません。
日に日に寒さが厳しくなり、山ではさまざまな動物が冬眠をする頃でしょう。
しかし、閉塞成冬(そらさむくふゆとなる)の頃によく見る動物もいます。
それは小鷺です。
鷺の仲間は夏鳥が多いのですが、小鷺は冬鳥です。
白い体にくちばしと足が黒く、足先だけは靴下を履いたように黄色いのが特徴となっています。
小鷺が雪の中でじっと獲物を狙って立っている様子は、雪客(せっかっく)と呼ばれ小鷺の姿がまるで雪見をしているお客さんのように見えることから、そう呼ばれたのでしょう。
色を失い、生き物の気配が消えてしまう冬にも、印象的な光景を探して昔の日本人は冬を楽しんでいたのですね。
確かに寒く厳しい冬は気分が滅入ってしまいますが、冬が楽しくないわけではありません。
閉塞成冬(そらさむくふゆとなる)の頃のように雪が積もる頃には、雪を使った遊びを楽しめます。
大人になっても雪が降ると何だか気持ちがわくわくし、雪合戦や雪だるまづくりを楽しんでみましょう。
どんな季節も楽しむ気持ちを持つことが、1年を豊かに過ごすコツだと言えるでしょう。
閉塞成冬(そらさむくふゆとなる)の時期は「12月7日~12月11日頃」
2021年 | 12月7日~12月11日 |
2022年 | 12月7日~12月11日 |
2023年 | 12月7日~12月11日 |
2024年 | 12月7日~12月10日 |
2025年 | 12月7日~12月11日 |
2026年 | 12月7日~12月11日 |
2027年 | 12月7日~12月11日 |
2028年 | 12月6日~12月10日 |
2029年 | 12月7日~12月11日 |
2030年 | 12月7日~12月11日 |
閉塞成冬(そらさむくふゆとなる)の頃には、本格的な冬が訪れ植物たちも枯れてしまいます。
しかし、昔の日本人は枯れた植物にも美しさを見出していました。
その代表的なものが「枯れ尾花」です。
尾花というのはススキのことで、ススキは秋の七草の1つでもある秋を代表する植物です。
お月見の季節にはススキは欠かせませんが、ススキは見て楽しむだけではなく昔の家づくりにも役立っていました。
萱葺屋根と呼ばれる屋根に使われる萱とは、ススキや茅などです。
ススキには魔除けの力もあるため、家を守る屋根の素材としてぴったりだったのでしょう。
旬を過ぎ冬になり枯れたススキは、枯れ尾花と呼ばれます。
ススキは彼て開ききると白くふんわりとし、秋の頃よりも華やかさを増します。
その様子が美しく、人々は枯れたススキのことも大切に考えていたのでしょう。
冬には枯れて寂しくなる印象が大きいですが、枯れることで返って美しさを増す植物があることを知っておけば、冬がより楽しく過ごせるはずです。
閉塞成冬(そらさむくふゆとなる)の頃には、冬ならではの美しいものを探して道を歩いてみましょう。
閉塞成冬(そらさむくふゆとなる)の旬の野菜は「大根」
「大根」の基本情報
栄養 | 大根は葉も根も食べられる野菜です。
根の部分には消化酵素やビタミンCが豊富に含まれています。 ジアスターゼ、カタラーゼ、オキシターゼなどの消化酵素の効果は幅広いものがあります。 胃腸の働きを整えたり、発がん性物質を解毒してくれたり、大腸がんを予防してくれたり…といったさまざまな効果があるのです。 せきやのどの痛みの緩和などにも効果的で、風邪予防や初期の風邪症状に対しても効果てきめん。 |
選び方 | いい大根を選ぶためには、まず根の上方である首の部分を見るようにしましょう。
首が黒ずんでいたり、首にひびが入っているものは、中に空洞があることが多いです。 いわゆる「す」が入っている状態のものになりますので、避けてください。 続いて、大根の下の方も見ていきましょう。 大根の下の方にはひげ根が生えています。 そのひげ根のあとが小さいものを選ぶようにしましょう。 そして、持ったときにずっしり重いものを選んでください。 |
保存方法 | 大根を長期間保存したいのなら、冷凍保存がおすすめです。
冷凍する場合には下処理をしなければなりません。 1センチほどの厚みにカットし、固めに茹でたら、冷まして水気をとりフリーザーバッグに入れて冷凍しましょう。 凍ったまま焼いたり、煮物にしたりと便利に使うことができます。 また、すりおろした状態での冷凍保存も可能です。 大根おろしが少しだけ欲しいときに便利なので、ぜひ冷凍保存を試してみてください。 |
その他、お役立ち情報 | 大根にはたっぷりの消化酵素が含まれていますが、その消化酵素は熱に弱いものです。
だから、大根の効果を感じたいのなら、大根は生で食べるのがおすすめです。 大根おろしをたっぷりと使えば、大根の栄養素を壊さず得ることができるでしょう。 大根おろしはおろしてから時間が経つと、独特の匂いが出てきてしまうので、おろしたてを食べるようにしてください。 また、小さめにカットした大根をはちみつに漬けておくと、大根の中の水分や成分が出てきて風邪症状に効くシロップを作ることができます。 過熱すると大根は甘みが強くなります。 自然な大根の甘さを楽しみたいときには、加熱して食べましょう。 |
「大根」の特徴
スーパーで大根として売られているものは、ほとんどが青首大根という品種です。
首の部分が緑色であることから、青首大根と呼ばれています。
青首大根は首の部分が甘く、下にいくほど辛味が強くなります。
そのため部位を上手に使い分ければ、どんな料理とも相性がいいのです。
大根には青首大根の他にもたくさんの種類があり、中にはおでん大根という品種もあります。
おでん大根はその名の通り、おでんのために作られた品種で繊細な肉質をしています。
円筒形で輪切りをしたときに無駄が出にくいので、コンビニや出来合いのおでん用として使われています。
「大根」のおすすめの食べ方・調理法
大根を食べて健康になりたいのなら、大根は生で食べるのがおすすめです。
大根を生で食すというと大根おろしばかりを想像しがちですが、大根をサラダで食べる調理法をご紹介していきましょう。
大根とリンゴのサラダの作り方は、まず大根を薄いいちょう切りにして塩で揉んで水気を切ります。
リンゴときゅうりも、大根と同じくらいの大きさに切りましょう。
大根・リンゴ・きゅうりをボウルに入れ、ドレッシングで和えたら完成です。
大根とリンゴを食べ合わせると、胃腸の働きが活発になり、ガンの抑制にも効果が期待できます。
またクックパッドの「大根」に関連するレシピも参考になるので是非ご覧ください。
閉塞成冬(そらさむくふゆとなる)の旬の魚介類は「ブリ」
「ブリ」の基本情報
栄養 | ブリはタンパク質や脂質が豊富な魚です。
ブリの脂質には血栓性疾患を予防するEPA(エイコサペンタエン酸)と、脳細胞の働きをよくするDHA(ドコサヘキサエン酸)が多く含まれています。 脂がのって美味しいブリですが、その脂の中には体にいい成分が含まれているのです。 また、魚類としてはビタミンB1・B2が多いのも特徴です。 |
選び方 | 美味しく新鮮なブリを選ぶには、身がふっくらとしていて張りのあるものを選びましょう。
丸々としているブリは、脂がのっているため非常に美味です。 また、エラが鮮やかな赤であれば、それはそのブリが新鮮な証拠となります。 目は澄んでいて曇りのないものを選ぶようにしましょう。 |
保存方法 | ブリをすぐに使わない場合に大切なのは、ブリの身から出た水分を拭き取っておくということです。
キッチンペーパーで押さえて水分をとったら、冷蔵でも冷凍でも保存可能です。 ラップで包んでなるべく空気に触れないようにして、保存しましょう。 すぐに使ってしまうのならいいのですが、買ってきたままの状態で冷蔵庫に入れてしまうとドリップや水分に雑菌が繁殖し悪くなる原因となります。 また、味も落ちてしまうので水分を拭き取る手間を惜しまないようにしてください。 |
その他、お役立ち情報 | ブリは出世魚で、大きさによって呼び名が変わり、味わいも大きく変わります。
地域によって呼び名は異なりますが、関東の例でみてみましょう。 関東では10~20センチ未満のものはワカシ、20~30センチ未満のものはイナダ、40~60センチ未満のものをワラサ、60~70センチ未満をメジロと呼びます。 そして、ブリと呼ばれるのは70センチ以上になってからです。 おいしいといわれているのは、40センチを超えてから。 大きくなればなるほど脂がのっておいしいのです。 |
「ブリ」の特徴
ブリの旬は冬ですが、養殖技術の発達によって年間を通して食べることができるようになりました。
養殖物は脂がたくさんのっており、白っぽい身をしており安定していつでも食べることができます。
養殖物も十分に美味しいのですが、やはり最も美味しいのは天然物のブリです。
天然物のブリは余分な脂がついておらず、身の色は赤っぽくなっています。
もちろんブリなので他の魚と比べれば脂はのっていますが、それでもクセがなくあっさりとした味わいを楽しむことができるでしょう。
天然物も多く出回っていますので、ぜひ閉塞成冬(そらさむくふゆとなる)の頃には天然ブリを味わってみてください。
「ブリ」のおすすめの食べ方・調理法
ブリにはたくさんの食べ方がありますが、ここでおすすめしたいのは同じく閉塞成冬(そらさむくふゆとなる)の頃が旬の大根と食べるブリ大根です。
ブリ大根はブリのアラと大根を使った料理です。
まず、大根は下ゆでし、ブリはさっと湯通ししておきましょう。
鍋に水と酒、砂糖と醤油を入れ、薄切り生姜とブリと大根を入れ落とし豚をして煮汁が少なくなるまで煮込みます。
煮込む時間はかかりますが、手順は少なく簡単に旬の味が楽しめます。
またクックパッドの「ブリ」に関連するレシピも参考になるので是非ご覧ください。
閉塞成冬(そらさむくふゆとなる)の旬の草花は「プリムラ」
「プリムラ」の基本情報
学名 | Primula |
科・属 | サクラソウ科・サクラソウ属 |
原産国 | 日本・ヨーロッパ |
別名 | オトメザクラ |
「プリムラ」の特徴
プリムラにはたくさんの種類があります。
寒さに強く冬にたくさんの花をつける一年草です。
花の形や色もさまざまで、ピンク、白、赤、黄、紫があります。
花の色も一色だけとは限らず、バイカラーになっているものもあり冬の景色に彩を加えてくれるでしょう。
冬でも懸命に咲く花たちはたくさんあります。
寒いからといって目線を下にばかり向けていないで、まわりを見渡す余裕を持って暮らしていきましょう。
「プリムラ」の花言葉
プリムラの花言葉は「青春のはじめ」「あなたなしではいられない」です。
他にも色ごとに花言葉があります。
赤いプリムラは「後援のない功績」、紫のプリムラは「信頼」です。
青春のはじめという花言葉の由来は、プリムラが寒い季節に花を咲かせ夏を待たずに枯れてしまうことだとされています。
閉塞成冬(そらさむくふゆとなる)の旬の行事は「お歳暮」
閉塞成冬(そらさむくふゆとなる)の頃には、お歳暮を贈る慣習があります。
もともと、歳暮とは年の暮れという意味の言葉でした。
この1年が終わるという時期に、贈り物をすることで1年の感謝を伝えることを「歳暮祝」や「歳暮の礼」などと昔は呼んでいたのです。
この行事が今では略されて、現在におけるお歳暮となりました。
本来の歳暮祝は年末にご先祖様を祭るためのお供えを贈り合っていたそうです。
現代に生きる私たちも、日ごろの感謝の思いをお歳暮で伝えていきたいものですね。
一昔前まではお歳暮といえば上司や仕事でお世話になった人に贈るのが主流でしたが、最近では両親や友人など身近な人にも贈るようになりました。
感謝の気持ちは持っていても、なかなか伝える機会のないものです。
閉塞成冬(そらさむくふゆとなる)の時期には、日頃伝えられていない感謝の気持ちをお歳暮によって伝えていきましょう。
閉塞成冬(そらさむくふゆとなる)の運気アップの方法は「天気予報をチェック」
閉塞成冬(そらさむくふゆとなる)の頃を運気良く過ごすには、天気予報のチェックを怠らないでください。
地域によっては雪が降り始めてもおかしくないこの時期、冷たい雨や雪に濡れるのは運気の面でも健康面でもおすすめできません。
だから、思わぬ天気に驚いてしまうことがないように、いつも以上に天気予報に気を配ってみてください。
そうすれば、自然とこの季節に合わせた行動や服装ができるようになります。
そして、準備の整ったあなたのところには思わぬラッキーがやってくるでしょう。
毎朝の天気予報チェックを忘れずに、閉塞成冬(そらさむくふゆとなる)を過ごしてみてください。
他の七十二候の意味や時期の一覧
占い師 小鳥のワンポイントアドバイス「本格的な冬到来!」
雪も降り始めるような天気も増え、寒さにふるえて毎日を過ごすようになるかもね。
日本に住む以上、冬が寒いというのは変えられない事実よ。
だから、楽しく冬を乗り切っちゃいましょ!
おしゃれなコートを新調したり、カラフルなマフラーを巻いて見たり…。
そんなことで簡単に気分は上げられるのよ。
冬に負けずに楽しく毎日を過ごしていきましょうね。