古代中国では、半年ごとの季節の移り変わりを示すものである「二十四節気(にじゅうしせっき)」があります。
この二十四節気をさらに細かく、5日ごとに分けて気象の変化や動物・植物などのさまざまな変化などを示すものが「七十二候(しちじゅうにこう)」というのです。
江戸時代以降、日本では時代が移り変わるにつれて、中国で作られた七十二候を日本の風土や気候に合わせて改訂されてきた日本独特の七十二候ですが、現在のものは明治時代に改定されたもの。
今ではあまり馴染みのない人も多い旧暦ではありますが、その時期特有の兆しや移り行く季節の変化を感じさせてくれるものなのです。
ここでは七十二候の第十二候「雷乃発声(かみなりすなわちこえをはっす)」の意味・時期・旬の野菜・魚介類・草花・運気アップの方法まで詳しく紹介していきます。
雷が鳴り始めて、春の風物詩とされるものを感じることが出来る時。
雨も多くなってきて、いよいよ春を身近に思う人も多くなってくる頃です。
雨も雷も好きではない人が多いものですが、この季節特有のことがたくさんだと思えばまた、気持ちも変わって感じることが出来るといえます。
日々の暮らしに季節を感じるための、参考にしてください。
目次
- 1 雷乃発声(かみなりすなわちこえをはっす)の意味
- 2 雷乃発声(かみなりすなわちこえをはっす)の時期は「3月30日~4月3日頃」
- 3 雷乃発声(かみなりすなわちこえをはっす)の旬の野菜は「うど」
- 4 雷乃発声(かみなりすなわちこえをはっす)の旬の魚介類は「真鯛」
- 5 雷乃発声(かみなりすなわちこえをはっす)の旬の草花は「モクレン」
- 6 雷乃発声(かみなりすなわちこえをはっす)の旬の行事は「エイプリルフール」
- 7 雷乃発声(かみなりすなわちこえをはっす)の運気アップの方法は「春雨料理を作ってみましょう」
- 8 他の七十二候の意味や時期の一覧
- 9 占い師 RINのワンポイントアドバイス「雨や雷を楽しんでみましょう」
雷乃発声(かみなりすなわちこえをはっす)の意味
「春が来たことを伝える雷が鳴り始める頃」という意味になります。
遠くの方で雷が鳴って、私たちに春が来たことを教えてくれるのです。
雷乃発声(かみなりすなわちこえをはっす)は、二十四節気の「春分」の末候であり、七十二候の第十二候です。
この時期に鳴る雷のことを「春雷」と呼びます。
雷といえば夏のイメージが強いものですが、夏の雷はゴロゴロという音が長時間にわたって鳴り続いていたり、稲光や稲妻が走ったり、どちらかといえば激しいもの。
おまけに急にスコールのような雨が降ってきたり、といったことがつきものです。
最近ではうれしくない夏の風物詩となってしまっている、集中豪雨やゲリラ豪雨などを想像すればわかりやすいといえます。
しかしながらこの時期の雷は、数回鳴ればピタッと止まって、その後は鳴らないといったようなもの。
ただ大気の状態が不安定だということもあり、雨ではなく雪や雹(ひょう)が降ってくることがあります。
本来、農家の人にとっては作物を育てるために雷が鳴ることはうれしいことなのですが、雨ではなく、雪や雹(ひょう)が降ってくるこの時期の雷は、農作物に被害を及ぼしてしまう可能性も高いことから、あまりうれしくない雷だということがいえるのです。
雷乃発声(かみなりすなわちこえをはっす)の時期は「3月30日~4月3日頃」
2022年 | 3月31日~4月4日 |
2023年 | 3月31日~4月4日 |
2024年 | 3月30日~4月3日 |
2025年 | 3月30日~4月3日 |
2026年 | 3月31日~4月4日 |
2027年 | 3月31日~4月4日 |
2028年 | 3月30日~4月3日 |
2029年 | 3月30日~4月3日 |
2030年 | 3月31日~4月4日 |
2031年 | 3月31日~4月4日 |
この時期に降る雨のことを「春雨(はるさめ)」と呼んでいます。
その名の通り、この時期春に降る雨のことを指しているもので、雷乃発声(かみなりすなわちこえをはっす)の時期に降るような雨や曇りが続いている、ぐずついた天気のことです。
こんな天気を指す言葉には「春雨」以外にも「菜種梅雨(なたねづゆ)」や「春時雨(はるしぐれ)」「桜雨(さくらあめ)」「春霖(しゅんりん)」、また「花の雨(はなのあめ)」「春の長雨(はるのながう)」「花散らしの雨(はなちらしのあめ)」などというさまざまな呼び方があります。
「菜種梅雨」は天気予報でもよく聞く言葉ですが、菜の花が咲くころに梅雨のような空が続くことを指していて、この時期が過ぎると本格的な春を迎えるのです。
春の雨については呼び方はたくさんありますが、どれにもちょっとした違いがあって、雨一つを表す言葉の多さにも日本人の感性が感じられます。
「春雨」と言えば、料理に使うあの春雨を思い浮かべる人も多いもの。
実は雨の「春雨」と食べる「春雨」には繋がりがあるのです。
食材の春雨の名前がついた由来は、雨の方の「春雨」にちなんでいるとされています。
一般にはあまり知っている人がいないかもしれませんが、食材の春雨の作る工程にその理由があるのです。
小さな穴の開いた機械に春雨の元となる生地を流し込んで、高いところから熱湯に落として作られている春雨ですが、その生地が熱湯に落ちていく様子が春に降る「春雨」に似ていることからつけられたもの。
食材の春雨が、天気の春雨と繋がっているなんて不思議なものです。
雷乃発声(かみなりすなわちこえをはっす)の旬の野菜は「うど」
「うど」の基本情報
栄養 | ・カリウム:体の中の塩分を排出する働きがあります。
・クロロゲン酸:抗酸化作用を持っているので、老化防止の予防・生活習慣病の予防に効果があります。 |
選び方 | 茎が白くて、太く、まっすぐとしていて、穂先がピンッとしているものが新鮮なもの。
うぶ毛が全体的ついていて、触った時にチクチクと痛いものも新鮮さの基準になります。 |
保存方法 | 光に当たると硬くなってしまいますので、新聞紙などに包んで冷暗所に保存してください。
冷凍保存する場合は、アク抜きなどの下処理をしてから冷凍庫へ入れましょう。 |
その他、お役立ち情報 | ・「東京ウド」と呼ばれるものは、「江戸東京野菜」という東京の伝統野菜の一つになっています。 |
「うど」の特徴
ウドは穂先・茎・皮などすべて、捨てるところが一切なく、丸ごと一本を食べることが出来る春の山菜です。
ほろ苦さがあり、シャキシャキとした食感をしています。
ウドには二種類の栽培方法があり、片方は光を当てないようにして栽培されている「軟白ウド」と呼ばれるもので、もう片方は光を当てて緑化させた「山ウド」と呼ばれるものがあるのです。
まず前者である「軟白ウド」というのは、柔らかくて苦みやクセが少ないのが特徴で、食べやすいといえます。
一方で「山ウド」というのは、ウドの持っている独特の香り・風味が強く、大人の味です。
食感もシャキシャキとしています。
ウドは山の斜面に自生していますが、見つけるのが困難だといわれていますので、山菜採りで見つけるのも、難しいものです。
「うど」のおすすめの食べ方・調理法
ウドは味噌との相性がいいので、酢味噌和えやぬたがおすすめ。
天ぷらやサラダ、お吸い物にしていただくのもおいしいです。
子ども向けには軟白ウドをグラタンなどに入れると、お子様でもおいしくいただけます。
ウドは料理をする前の下処理が大切です。
しっかりと水洗いをして、うぶ毛を流します。
アクが強い山菜のウドですから、アク抜きをしなければいけません。
空気に触れることで変色してしまいますので、皮をむいたら酢水にさらしておくことが重要です。
10分ほどつけておくと、アク抜きが出来ますので、キッチンペーパーなどで表面の水分をしっかりとふき取ってください。
下茹でをする時には、まずウドの皮をむいたあとに、酢を入れたお湯で2分ほどゆでて冷ましましょう。
またクックパッドの「うど」に関連するレシピも参考になるので是非ご覧ください。
雷乃発声(かみなりすなわちこえをはっす)の旬の魚介類は「真鯛」
「真鯛」の基本情報
栄養 | ・グルタミン酸:うま味成分で真鯛のおいしさに繋がっています。
・アスパラギン酸:疲労回復・新陳代謝を促す効果があります。 ・ロイシン:インスリンの分泌を促し、筋肉の成長・修復・強化にも役立ちます。 ・リジン:タンパク質の合成に関わる大切な成分です。 |
選び方 | 体の色が鮮やかで、目が澄んでいるものを選びましょう。
目の上のブルーがハッキリとしているものは新鮮です。 エラの中が鮮やかな赤色をしているかどうかも、新鮮さの基準になります。 |
保存方法 | 丸ごと保存したい場合は、冷蔵庫でも冷凍庫でも、下処理をした後にラップに包んでください。
切り身の場合は、キッチンペーパーで水気を取ったものを一つずつラップに包んで、冷蔵庫のチルド室で2・3日です。 冷凍保存をする場合は、一度氷水にくぐらせたものを、一つずつラップで包んで冷凍庫で保存してください。 |
その他、お役立ち情報 | ・脂質が少なく、良質なたんぱく質が多いので、高齢者や赤ちゃん・病中病後にも良いとされています。
・真鯛は、消化吸収もいいものです。 |
「真鯛」の特徴
真鯛は大きいものになると、1メートルを超えるサイズのものもいます。
しかし日頃私たちが目にしているものは、30センチから70センチほどのものが多いものです。
背中がやや盛り上がったような形をしていて、光沢のある薄紅色をしています。
真鯛は目にブルーのアイシャドウを塗っているような模様があり、よく見ると体にもコバルトブルーの斑点がついているのです。
尾びれの縁が黒いということも、真鯛の特徴の一つ。
背びれと尻びれには固くて長い、トゲ状になった骨があるので、調理をする時や、食べる時には注意が必要です。
「真鯛」のおすすめの食べ方・調理法
真鯛はお刺身にして食べるのが一番のおすすめですが、調理をするなら煮物がおすすめ。
クセがない魚なので、いろいろな味付けで楽しむことが出来ます。
蒸し料理でも、ほかの食材との相性も良いものです。
冬なら、鍋物に入れるとおいしくいただけます。
注意点としては、どの料理に使っても火を通しすぎないことです。
脂分が少ないので、パサパサとした食感になってしまいます。
調理して時間が経った後も、同じようにパサパサとした食感になってしまいますので、調理後は早めに食べましょう。
またクックパッドの「真鯛」に関連するレシピも参考になるので是非ご覧ください。
雷乃発声(かみなりすなわちこえをはっす)の旬の草花は「モクレン」
「モクレン」の基本情報
学名 | Magnolia liliiflora(Magnolia quinquepeta) |
科・属 | モクレン科・モクレン属 |
原産国 | アジア・北米 |
別名 | シモクレン・マグノリア |
「モクレン」の特徴
モクレンは、花の内側が白い色をしているのに対して、花の外側はピンクや紫色をしています。
開花と同時に葉が出てくるという特徴があり、成長が早いのです。
モクレンの旬は4月。
モクレンの花の香りは、香料としても人気があり、エッセンシャルオイルやポプリ、香水やルームフレグランスなど、幅広く使われています。
日本には平安時代から栽培されており、もともとは漢方のために育てられていたものです。
「辛夷(しんい)」と呼ばれ、つぼみを頭痛・鼻炎の薬として使われていました。
またモクレンは恐竜が生きていた時代の地層から、化石となった種が見つかっていて、約1億年前からあった花だとされているのです。
「モクレン」の花言葉
モクレンは、「持続性」「自然への愛」「威厳」「崇高」といった花言葉があります。
「持続性」は、モクレンが1億年も前から存在していて、今もきれいな花を咲かせ続けていることに由来しているのです。
「自然への愛」は、春になっていろいろな花が咲き誇るなか、モクレン自身も大きな花をつけて自然を謳歌しているような姿にちなんでいます。
「威厳」は、モクレンはしっかりと根付いて幹が丈夫だ、というところからきていて、「崇高」は、仏教と関係していることからついたもの。
雷乃発声(かみなりすなわちこえをはっす)の旬の行事は「エイプリルフール」
この時期にある行事といえば、誰しもが周知している「エイプリルフール」があります。
欧米が発祥のもので、4月1日は嘘をついてもいいというもの。
嘘といっても、相手のことを傷つけたり、陥れるような悪質なものではなく、いたずらのようなものだったり、誰が聞いても嘘とわかるような冗談のようなもので、みんなで笑い合おうというものです。
エイプリルフールの始まった経緯については、ハッキリとしたことは分かっていないので、いくつかの説があります。
しかしどの説を辿っても、もともとは「いたずらをする日」というお祭り的な要素が基となっているといわれているのです。
日本に伝わってきたのは、大正時代だといわれています。
当時日本では4月1日は「不義理の日」というものが浸透していて、エイプリルフールはなかなか受け入れられなかったのです。
「不義理の日」というのは、中国から伝わってきた風習の一つで、日頃なかなか会えていない人など、義理を欠いている人に対して、お詫びの手紙を書いて送るといったもの。
現在のエイプリルフールは、個人的に楽しむだけではなく、企業なども積極的に参加する様子も見られるなど、大きなイベントとなっています。
「不義理の日」というものが衰退してしまったことは残念でもありますが、毎年楽しみにしている人の多いエイプリルフール。
ルールを守って嘘をつくからこその面白さがあるといえますので、人に嘘をつく際には、ルールを守って楽しみましょう。
雷乃発声(かみなりすなわちこえをはっす)の運気アップの方法は「春雨料理を作ってみましょう」
この時期に運気アップを狙うなら、春雨料理を食べましょう。
多くの使い道がある春雨なので、バリエーションも豊富にあります。
メイン料理に使っても、サラダにしても、スープにしてもおいしくいただけますし、何より調理方法も簡単です。
さらなる運気アップなら、季節のものと一緒に調理をすること。
季節ならではの食材で、パワーアップを狙って春雨料理を作ってみてください。
真鯛がおいしい時期ですので、まだ少し夜が寒い日にお鍋にして食べて、身体の中から温めるなどすれば、身体にも嬉しいものです。
作り置き料理にも使えますので、毎日食べることが出来れば、その分効果も期待が出来るものだといえます。
他の七十二候の意味や時期の一覧
占い師 RINのワンポイントアドバイス「雨や雷を楽しんでみましょう」
遠くの方で雷が数回鳴ると、春が来たと感じることが出来るもの。
またこの時期の雨には呼び方がいろいろありますので、ひと言で「雨」と終わらせてしまうのではなく、雨の呼び方を変えてみて風情を楽しんでもいいものです。
その場の情景にあった雨の呼び方を考えるだけでも、うっとおしいと思いがちな雨も違った姿で見ることが出来て、気分も上がります。
雨も雷も一般的に「好きだ」という人は少ないものですが、ちょっと角度を変えて捉えることで、全く違った感じ方が出来るもの。
これを機に、雨も雷も好きになる人が増えるかもしれません。