日本には四季があり、我々日本人は季節の移り変わりをとても大切に考えてきました。
それぞれの季節がもたらす風景や恵みを、生活の中に取り入れ豊かに暮らしてきたのです。
季節を72にも分類した七十二候があることが、春夏秋冬だけでなく、さらに季節を細かく分けて、ささやかな季節の巡りを感じながら生きてきたことを示しています。
立春・冬至など1年を24に分けた二十四節気、それをさらに3つに分けた七十二候。
現代に生きる私たちが忘れがちな、季節の移ろいを今一度大切にしていきましょう。
この記事では、七十二候の第六十八候「水泉動(しみずあたたかをふくむ)」について、詳しい意味や時期、旬の野菜や果物、魚介類、草花や行事、運気アップの方法についてご紹介していきます。
日本ならではの季節について再認識し、豊かに暮らしていけるようになっていきましょう。
目次
水泉動(しみずあたたかをふくむ)の意味
水泉動(しみずあたたかをふくむ)は、これまで凍っていた泉が動き始めるという意味です。
昔の日本では寒い時期の水には、特別な力があるとされていました。
酒造りや餅つき、料理や薬を飲むのに使っても、薬のような効果があると思われていたのです。
特に寒の入りから九日目の水は寒九の水と言われ、その効果を増すと信じられてきました。
この日に雨が降ることを寒九の雨といい、寒九の雨が降ると豊作になると言われていたのです。
水泉動(しみずあたたかをふくむ)は、水面は凍っているように見える泉もこの頃になると中では動いているという意味ですが、実は地中の水は凍ってしまうことはありません。
地下水は一年を通して気温の変化が少なく、凍ることなくむしろ冬ほど温かく感じられるでしょう。
冬は周囲が寒い分、地下水の温かさを感じられやすいので、その温かさに春が来たと思わずにはいられなかったのでしょう。
奥底まで凍っていると思われた氷が、中では動いているように感じられるこの季節。
まだまだ気温は寒く厳しいですが、そろそろ春がやってくることを感じられるようになり、毎日が楽しく過ごせるでしょう。
寒い季節の中にも、希望はあります。
あなたが思わず春を感じられるような景色を探して、寒い時期も心は温かく過ごしていきましょう。
水泉動(しみずあたたかをふくむ)の時期は「1月10日~1月14日頃」
2021年 | 1月10日~1月14日 |
2022年 | 1月10日~1月14日 |
2023年 | 1月10日~1月14日 |
2024年 | 1月11日~1月15日 |
2025年 | 1月10日~1月14日 |
2026年 | 1月10日~1月14日 |
2027年 | 1月10日~1月14日 |
2028年 | 1月11日~1月15日 |
2029年 | 1月10日~1月14日 |
2030年 | 1月10日~1月14日 |
水泉動(しみずあたたかをふくむ)の頃、動き出した水中で獲れるとされていたのが氷下魚(こまい)です。
冬はすべてが凍ってしまい、魚もいなくなる時期です。
しかし氷下魚は凍らずに冬でも生き続けています。
水温が氷点下となっても凍ることがないから、氷の下の魚と書いて氷下魚。
氷下魚が凍らない秘密は、氷下魚の血液中に氷点下でも凍らない成分があるからだそうです。
冬に旬を迎える氷下魚は、干物としてヒメダラという名前で市場に出回っています。
お茶漬けにも合うし、酒の肴としてもいいでしょう。
寒い時期を過ごす私たちも、凍るような温度の水の中でも元気に生きている氷下魚のことを思えば、自然と元気が出てくるのではないでしょうか。
寒い季節は自然と体が縮こまり、視野を広げることを忘れてしまいがちですが、この季節ならではの景色を探すことを忘れずにいましょう。
そうすれば、季節が進み行くことを感じられ、豊かにこの時期を過ごしていけるはずです。
水泉動(しみずあたたかをふくむ)の旬の野菜は「春菊」
「春菊」の基本情報
栄養 | 春菊は栄養価の高い緑黄色野菜です。
特徴的なのはカルシウムの豊富さで、その含有量は牛乳以上となっています。 他にも、ミネラル類を豊富に含み貧血や骨粗しょう症の予防に効果的です。 香りが特徴的な春菊ですが、その香り成分には自律神経に作用する成分が含まれています。 春菊の香りを嗅げば、食欲増進や咳を鎮め、胃腸の働きをよくしてくれるでしょう。 |
選び方 | 美味しく新鮮な春菊を選ぶためには、まず葉の色を確かめましょう。
緑色が濃くみずみずしいものがおすすめです。 葉が根元の方まで密集して生えており、香りの強いものがいいでしょう。 また、茎は細く短めの方がやわらかい食感を楽しめます。 切り口もチェックして、新しくきれいなものを選ぶようにしてください。 |
保存方法 | 春菊を保存するときは、洗ってから保存するようにしましょう。
たっぷりの水に浸して洗い、よく汚れを落としてください。 そして軽く水を切ったら、新聞紙で春菊全体を包みましょう。 さらにポリ袋に入れて、冷蔵庫の野菜室で保存します。 もっと長く保存したいときには、冷凍保存することも可能です。 その場合は、サッとゆでてから冷凍すると使い勝手がいいでしょう。 |
その他、お役立ち情報 | 春菊は苦みのある野菜として有名ですが、生食だと苦みをあまり感じません。
特に水泉動(しみずあたたかをふくむ)の頃の旬の春菊は生で食べると、葉も茎も柔らかく香りがいいでしょう。 これまで春菊が苦手だった人でも、生の春菊であれば食べられるという人も多いので、生で食べたことがない人はチャレンジしてみてください。 生で食べる場合は新鮮なものを使うこと、水にさらしてシャキシャキにすることを意識してみましょう。 また、味付けは食べる直前にするのがポイントです。 味付けをしてから時間が経つと、春菊から水分が出てしなっとしてしまいます。 |
「春菊」の特徴
春菊は秋から冬にかけて旬を迎える野菜です。
豊富なカロテンを含むため、美容に効果的な野菜だと言えるでしょう。
カロテンは皮膚や粘膜の保護に役立ち、生活習慣病の予防にも効果的です。
このカロテンを効果的に摂取したいのなら、春菊は茹でて食べましょう。
茹でるとカロテンの吸収率が上がり、春菊の持つ薬効が高まるとされています。
春菊の葉の濃い緑色はクロロフィルという成分で、これはポリフェノールの一種です。
この成分は血中コレステロール値を下げてくれ、さらにビタミンB群と合わせると美肌作りにも効果を発揮してくれます。
集中力を高めてくれる野菜でもあるので、大事な日にはぜひ食べたい野菜だといえるでしょう。
日本では千葉・茨城・大阪が主な生産地です。
「春菊」のおすすめの食べ方・調理法
水泉動(しみずあたたかをふくむ)の頃の春菊を美味しく食べるには、サラダがおすすめです。
旬だからこそ味わえる、春菊の柔らかな食感と香り高さを楽しみましょう。
春菊は良く洗い、食べやすいサイズにカットします。
玉ねぎも薄くスライスし、春菊とともに氷水にさらしシャキッとさせておきましょう。
油揚げを細切りにし、トースターで焼いてカリっとさせます。
水気をよく切った野菜と油揚げをかけて、好きなドレッシングをかければ完成です。
カリっとした油揚げの食感が面白いサラダとなります。
また、春菊は油っぽいものとの相性がいいので、油揚げとの食べ合わせはばっちりです。
またクックパッドの「ふきのとう」に関連するレシピも参考になるので是非ご覧ください。
水泉動(しみずあたたかをふくむ)の旬の魚介類は「コマイ」
「コマイ」の基本情報
栄養 | コマイは漢字で書くと氷下魚ですがその名の通り、氷の下で生きる魚です。
寒い中でも生き抜くため、脂肪分が豊富に含まれています。 そのため白身魚のわりには高カロリーという特徴を持つ魚です。 カルシウムを豊富に含んでいるので、葉や骨を丈夫に保ち、イライラを抑えてくれる効果が期待できるでしょう。 コマイには他にも、すぐにエネルギーとなってくれるグルタミン酸や、体の調整を行ってくれるグリシン、視力低下を予防し粘膜の保護に役立つビタミンAが含まれています。 |
選び方 | コマイを選ぶ際には、目の済んでいるものを選ぶようにしましょう。
体にはツヤがあり、きれいなものを選んでください。 干物として売られていることも多いコマイですが、干物を選ぶ時にはあまりきれいすぎないものを選ぶのがポイントです。 きれいな干物には酸化防止剤や発色剤が使われており、それらは味にも影響を及ぼします。 まったくの無添加のものを探すのは難しいのですが、冷蔵保存されていてきれいすぎるものは添加物が必要以上に使われていると考えられます。 自分で生のコマイを買って、一夜干しを作れば、一番確実に美味しいコマイの干物が手に入るでしょう。 |
保存方法 | コマイの干物を保存するには、冷蔵と冷凍の方法があります。
冷蔵保存する時には、一枚ずつラップで包み保存袋に入れておきましょう。 干物は匂いが強いので、この方法で保存すれば匂いもれを防ぎ、鮮度も保つことができます。 温度が低いチルド室での保存がおすすめです。 冷凍保存する場合は、ラップでくるんだコマイをさらにアルミホイルでくるみましょう。 フリーザーバッグに入れ、冷凍庫に入れて保存します。 冷蔵保存では2週間、冷凍保存なら一ヶ月程度保存可能です。 冷凍しても味が落ちることはないので、すぐに食べない場合は冷凍保存がおすすめです。 |
その他、お役立ち情報 | コマイは匂いに特徴があります。
臭みがあって苦手だという場合には、コマイを干してから食べるのがおすすめです。 関東地方では生でコマイが売られているということはほとんどなく、干物として売られていることがほとんどでしょう。 干したコマイはヒメダラという名前で呼ばれ美味なことで有名です。 コマイの干物は自分でも簡単に作ることができます。 生のコマイが手に入ったら、頭と内臓を取り除き、5%の濃度の塩水に半日~一日漬けておきましょう。 それを干せば、コマイの一夜干しは簡単に完成します。 簡単に作れて臭みが気にならなくなるので、ぜひ作ってみてください。 |
「コマイ」の特徴
コマイはタラの仲間の魚で出世魚です。
15センチ未満のものを「ごだっぺ」、15~25センチまでのものが「こまい」、25センチ以上のものを「おおまい」と呼びます。
最大で40センチほどにまで成長するでしょう。
コマイは細い身が特徴的で、マダラに似ていますが細さで見分けます。
漢字では氷の下の魚と書きますが、それはコマイの血液中に温度がマイナスになっても凍らない成分を持つためだと言われています。
また、氷を割って釣り上げるからだという説もあります。
味は淡泊なのが特徴的で、煮たり焼いたりして食べるのが一般的です。
コマイは中骨が太く、調理前にはキッチンバサミで取り除いておくといいでしょう。
「コマイ」のおすすめの食べ方・調理法
コマイは干物として食べられることの多い魚ですが、生の状態で手に入ったら煮つけにするのがおすすめです。
コマイは頭を落とし内臓を取り除いておきましょう。
水、酒、しょうゆ、みりん、生姜、砂糖を煮立たせたら、コマイを入れ落としぶたをして20分ほど煮ていきます。
煮ている最中は煮汁を上からかけながら様子を見て進めていきましょう。
美味しく、生姜を入れているので臭みも気になりません。
またクックパッドの「コマイ」に関連するレシピも参考になるので是非ご覧ください。
水泉動(しみずあたたかをふくむ)の旬の草花は「ヒイラギ」
「ヒイラギ」の基本情報
学名 | Osmanthus heterophyllus |
科・属 | モクセイ科・モクセイ属 |
原産国 | 日本・台湾 |
別名 | 疼木 |
「ヒイラギ」の特徴
ヒイラギは昔から魔除けとして使われてきた植物です。
トゲトゲの葉は鬼も避けてくれると信じられていたのです。
そのため、日本では庭にヒイラギを植えるといいとされており、庭木として一般的に広まりました。
ヒイラギは秋の終わりに小さな白い花を咲かせて、周囲に甘い香りを漂わせます。
ヒイラギの語源はヒリヒリと痛むという意味の「ひひらく」です。
「ヒイラギ」の花言葉
ヒイラギの花言葉は「歓迎」です。
この花言葉の由来は、ヒイラギの花の甘い香りにあります。
花が咲く時に周囲に甘い香りを漂わせているのが、まるでみんなを歓迎しているようだとして花言葉となったとされています。
水泉動(しみずあたたかをふくむ)の旬の行事は「鏡開き」
水泉動(しみずあたたかをふくむ)の頃の行事といえば鏡開きです。
鏡開きは1月11日に行われ、これまで神に供えていた鏡餅を下げる日です。
もともとは20日に行われていた行事なのだそうですが、この日が徳川三代将軍である家光の月命日だったため11日に変更されたという流れがあります。
鏡餅は手や木づちで割ります。
刃物は縁起が悪いためで、また割るという言葉も演技が悪いので、鏡割りと言わず開くと言っているそうです。
今では本当のお餅を飾る家も減ってきましたが、簡単なものでもいいので鏡餅を飾り、1月11日にそれを食べ1年の健康を願うことを忘れずにいたいものですね。
餅を食べるそもそものいわれは、力持ちになるからだそうで、武家に伝わる風習だったようです。
水泉動(しみずあたたかをふくむ)の運気アップの方法は「新たなことを始める」
水泉動(しみずあたたかをふくむ)の頃の運気を上げるには、新しいことを始めるのがおすすめです。
この頃になるとようやく新年のペースがつかめてきた頃ではないでしょうか。
年末年始の喧騒も落ち着き、普段通りの生活が戻ってきて少しした頃。
こういった時に新しいことを始めると、そのことが身になりやすいのです。
ここで何かを始められるかどうかで、この1年がどうなるか決まるといっても過言ではありません。
きっと新しい1年が始まる頃には、どんな年にしようという抱負を決めたはずです。
その抱負を叶える新しい何かを、この時期にぜひスタートさせてみてください。
そうすれば、この1年は実りの多い1年となるでしょう。
他の七十二候の意味や時期の一覧
占い師 小鳥のワンポイントアドバイス「あなたも動き出して」
だから、あなたもぜひ動き出してちょうだい!
まだまだ寒い毎日だけれど、こんな時に行動が出来る人にはきっとリターンも多いはず。
まだ冬景色で、世界は凍り付いたままだと思っていたら大間違い。
この時期に動き出す人は結果を残せる人なの。
あなたも積極的に自分から行動することを忘れないでね。