日本には四季があり、我々日本人は季節の移り変わりをとても大切に考えてきました。
それぞれの季節がもたらす風景や恵みを、生活の中に取り入れ豊かに暮らしてきたのです。
季節を72にも分類した七十二候があることが、春夏秋冬だけでなく、さらに季節を細かく分けて、ささやかな季節の巡りを感じながら生きてきたことを示しています。
立春・冬至など1年を24に分けた二十四節気、それをさらに3つに分けた七十二候。
現代に生きる私たちが忘れがちな、季節の移ろいを今一度大切にしていきましょう。
この記事では、七十二候の第六十九候「雉始雊(きじはじめてなく)」について、詳しい意味や時期、旬の野菜や果物、魚介類、草花や行事、運気アップの方法についてご紹介していきます。
日本ならではの季節について再認識し、豊かに暮らしていけるようになっていきましょう。
目次
雉始雊(きじはじめてなく)の意味
雉始雊(きじはじめてなく)は、雉が一年の中で初めて鳴く時期という意味です。
雉が鳴き始めるのは、恋をしたからです。
鳴くのは雉のオスだけで、その鳴き声は大きく目立ちます。
「雉も鳴かずば撃たれまい」という言葉がある通り、オスの雉の鳴き声は自分の居場所を知らせる格好の合図となってしまいます。
日本の国鳥である雉ですが、古くから現代に至るまで狩猟の対象です。
恋する雉が「ケーンケーン」と鳴いたばかりに、射貫かれてしまう。
こんな光景を見たくはありませんが、恋する雉のオスの鳴き声は止められません。
実際に雉の鳴き声が盛んになるのは、もう少し後の3月頃なのですが、この頃から少しずつ雉の鳴き声が聞かれるようになってきます。
現代社会では雉の鳴き声を聞く機会はあまりないかもしれませんが、機会があれば山や動物園に行ってみましょう。
雉の美しい姿と鳴き声を聞けば、季節が進んだことを実感できるでしょう。
まだまだ寒い日が続きますが、この寒さは永遠ではなくいつか和らぐものです。
鳴き始めた雉が盛んに鳴くようになる頃には、すっかり春が訪れているのでしょう。
雉は妻恋鳥と呼ばれる鳥です。
私たちもこの季節には、一緒にいると心まで温かくなるような人と過ごしてみるのはいかがでしょう。
寒い時期でも雉のように恋しい人を思っていれば、心は熱く燃え上がるはずなのです。
雉始雊(きじはじめてなく)の時期は「1月15日~1月19日頃」
2021年 | 1月15日~1月19日 |
2022年 | 1月15日~1月19日 |
2023年 | 1月15日~1月19日 |
2024年 | 1月16日~1月19日 |
2025年 | 1月15日~1月19日 |
2026年 | 1月15日~1月19日 |
2027年 | 1月15日~1月19日 |
2028年 | 1月16日~1月19日 |
2029年 | 1月15日~1月19日 |
2030年 | 1月15日~1月19日 |
雉始雊(きじはじめてなく)の頃、1月15日のことを小正月と言います。
旧暦では小正月の頃に満月を迎えます。
きっと昔の人は新しい年の最初の満月の日を、小さな正月だとしお祝いしていたのでしょう。
本来は小正月までが松の内と呼ばれ、松飾を飾っておきました。
小正月には小豆がゆを食べる風習があります。
お米と小豆を炊いた小豆がゆは、昔から晴れの日の食べ物です。
昔の正月は女の人は大変な思いをしていました。
正月だからといって休むことはなく、むしろ男たちの世話や正月の準備で忙しい日々を過ごしていたことでしょう。
小正月の頃にはやっと正月ムードも落ち着き、女性が一息つける頃でもありました。
そんなことから、小正月のことを女正月と言ったりもするそうです。
男女平等となった現代では女性だけが慌ただしいものではないかもしれませんが、雉始雊(きじはじめてなく)の頃には男女関係なくほっとできるといいですね。
雉始雊(きじはじめてなく)の旬の野菜は「カブ」
「カブ」の基本情報
栄養 | カブは葉まで食べられる野菜です。
カブの葉にはカロテンやカルシウムや鉄分などが豊富に含まれています。 白い根の部分にはビタミンCやカリウムが豊富です。 消化酵素であるジアスターゼが含まれているので、胃もたれを解消する効果が期待できます。 |
選び方 | カブは葉も栄養価が高いので、ぜひ葉が付いた状態のものを選びましょう。
葉は緑が鮮やかで色はまだらではないものを選んでください。 みずみずしくてピンと張りのあるものは新鮮なサインです。 根の部分は傷がないかどうかを見てください。 張りがあってひげ根の少ないものを選びましょう。 |
保存方法 | 葉もぜひ食べたいカブですが、葉つきで買ってきた場合には保存方法に注意が必要です。
カブは葉にどんどん水分を奪われてしまうため、購入後すぐに切り分けるようにしましょう。 こうすることで、根の水分が失われるのを防ぐことができます。 切った葉は濡れた新聞紙で包み冷蔵庫の野菜室で保存。 なるべく早く食べるようにします。 根の方はビニール袋に入れて野菜室で保存しましょう。 |
その他、お役立ち情報 | カブは栄養豊富ですが、より吸収率を上げるには食べ方がポイントとなります。
葉に含まれているカロテンを効率よく摂取するためには、油炒めにするといいでしょう。 カブは様々な食べ方があり、調理方法によって食感や味がかなり変化します。 焼くと香ばしくなりますし、加熱すると甘くとろけるような食感になります。 カブは葉も根も辛味を持っていますが、その辛み成分グルコシアネートは発がん性物質を解毒し、活性酸素を取り除いてくれます。 雉始雊(きじはじめてなく)の頃のカブは旬なので、甘く生でもおいしく食べられるでしょう。 薄切りにして塩水に漬けると、即席で漬物を作ることもできます。 |
「カブ」の特徴
カブはアブラナ科アブラナ属に分類される野菜で、原産地は中央アジアやヨーロッパ西南部です。
カブにはさまざまな品種がありますが、私たちが普段スーパーで目にするのは小カブです。
他にも地域ごとに在来種があり、有名なのは京都の聖護院カブでしょう。
聖護院カブはとても大きく重さは4~5キロになります。
今日名物の千枚漬けに使われます。
岐阜県高山市では飛騨紅カブ、滋賀県西万木地方では万木カブ、大阪では天王寺カブ…。
といった具合に各地にさまざまな品種があります。
日本国内だけではなく、ルタバガと呼ばれるカブの近種は通称スウェーデンカブと呼ばれています。
カブは世界中で愛されている野菜です。
「カブ」のおすすめの食べ方・調理法
カブの豊富な栄養をしっかりと摂るためには、ぜひ葉の部分を上手に利用したいものです。
そこでカブの葉とじゃこのおきな煮をご紹介していきます。
カブの葉はゆでて、3センチ程度の長さに木っておきましょう。
鍋にごま油を熱し、じゃこを炒めていきます。
じゃこがカリカリになってきたら、水・酒・塩を加えて沸騰したら灰汁を取りカブの葉を入れましょう。
朧昆布を鍋に加え全体を混ぜ合わせたら完成です。
カブにもじゃこにもカルシウムが豊富なので、骨粗しょう症予防に効果的な料理です。
油で炒めているのでカロテンも効率よく吸収することがすることができます。
脳を健康にし、若返り効果も期待できるでしょう。
またクックパッドの「カブ」に関連するレシピも参考になるので是非ご覧ください。
雉始雊(きじはじめてなく)の旬の魚介類は「アンコウ」
「アンコウ」の基本情報
栄養 | アンコウは捨てるところがないと言われるほど、すべてが食べられる魚です。
アンコウの肝臓部分であるあん肝には、豊富なビタミンDが含まれています。 ビタミンDは骨の形成を助けてくれる成分です。 あん肝には他にもビタミンB2も豊富に含まれています。 脂質を分解し、代謝をよくする効果が期待できるでしょう。 ビタミンB12も多く、貧血改善に効果的です。 肝臓という部位は、体に必要なエネルギーを貯め込む器官なので、高エネルギーで栄養豊富なのです。 |
選び方 | アンコウは大きい方が美味しいとされています。
できれば大型で、さわって硬く感じるものを選びましょう。 また、アンコウが美味しいのは秋から冬にかけてです。 春に産卵を終えると、味が変わってしまいまずくなってしまいます。 買う時期にも注意して、産卵前のものを選ぶようにしていきましょう。 |
保存方法 | アンコウは冷凍保存が可能です。
丸ごとのアンコウを冷凍するなら、全体をぴっちりとラップでくるみ袋に入れて空気を抜いて冷凍します。 下処理は不要で内臓ごと、そのまま冷凍可能です。 解凍するときは氷水に入れて行いましょう。 あん肝だけの場合もラップで空気が入らないように包んで、フリーザーバッグに入れて空気を抜いて冷凍します。 |
その他、お役立ち情報 | アンコウはもともと関東だけで食べられていました。
しかし、その美味しさは徐々に広まり、全国区になっていきました。 そのため、供給に対して需要が追い付かず、常に需要が多い状態です。 これを補うためにアンコウは中国からも多く輸入されています。 良質な国産のあん肝は極上の味わいとされており、人によってはフォアグラよりも美味しいとする人もいるそうです。 中国産のものも家庭で食べるには十分美味しく、しかも手に届きやすい値段なので試してみてください。 さばくのが難しいイメージがありますが、下ごしらえは思いのほか簡単です。 |
「アンコウ」の特徴
アンコウは北海道以南の東シナ海に生息しています。
英名はAngler fishといい、これは釣りをする魚という意味です。
アンコウは背びれの一部が釣り竿のような形状となっており、しかもその先端には小魚のような皮弁がついています。
この形状を活かし、アンコウは小魚が泳いでいるかのように擬態し、近づいてくる魚を飲み込んでしまうのです。
アンコウの身は淡泊で、内臓や皮の方が味も価値も上だと評価されています。
身を肝と合わせたものを「とも和え」といい、美味しくて人気があります。
「アンコウ」のおすすめの食べ方・調理法
雉始雊(きじはじめてなく)の頃のアンコウを美味しく食べるならアンコウ鍋がおすすめです。
鍋ならアンコウの身や内臓や肝など多くの部位を楽しむことができます。
注意しなければならないのは、アンコウの臭みをしっかりととっておくことです。
それさえ注意すれば、あとは簡単で美味しい鍋を味わうことができます。
アンコウは湯通しをして臭みを取ります。
ボウルに入れたアンコウの上から熱湯を注ぎ、冷水にとって汚れなどをきれいに取り除いてあげましょう。
あとは、鍋で好きな味でことこと煮込めば完成です。
東京では醤油味、常磐では味噌味が主流です。
肝をスープに溶かし込んでも、美味しいスープができます。
またクックパッドの「アンコウ」に関連するレシピも参考になるので是非ご覧ください。
雉始雊(きじはじめてなく)の旬の草花は「アオキ」
「アオキ」の基本情報
学名 | Aucuba japonica |
科・属 | アオキ科・アオキ属 |
原産国 | 日本 |
別名 | アオキバ・ヤマタケ |
「アオキ」の特徴
アオキは漢字で書くと青木。
その名の通り一年中青々として常緑で、枝まで緑なことからその名がつけられました。
日陰でもよく育ち、とても丈夫なので庭木としても重宝されています。
花をつけるのは春で雌雄異株の低木です。
雌株の方にだけ赤い実がなります。
赤い実は鮮やかで美しく、人の目を惹きます。
冬でも青々と美しいその姿は、庭づくりに重宝されるのはもちろん、冬の日本人の心に勇気を与えていたことでしょう。
「アオキ」の花言葉
アオキの花言葉は「若く美しく」「永遠の愛」です。
若く美しくは冬になっても緑の葉を落とさず、いつでもきれいな姿を見せてくれることが由来となっています。
永遠の愛も季節が変わろうと色あせることのない、アオキの姿から花言葉がつけられました。
他にも「初志貫徹」や「変わらぬ愛」という花言葉も持っています。
雉始雊(きじはじめてなく)の旬の行事は「冬土用」
雉始雊(きじはじめてなく)の頃には、冬土用がやってきます。
土用といえば夏が有名ですが、それぞれの季節に土用はあるのです。
冬土用は1月17日ごろから始まり2月2日ごろに終わります。
雉始雊(きじはじめてなく)の頃には冬土用の入りがあるというわけですね。
土用は次の季節の準備をする期間だとされており、土用入りを迎えた雉始雊(きじはじめてなく)の頃は春の準備をする期間となります。
夏の土用にはうなぎを食べる習慣が有名ですが、冬土用には何かを食べる習慣はありません。
ただし、土を掘ってはいけないとされているので注意するようにしましょう。
土用の期間に土を掘ると神様の怒りに触れるとされてきました。
土用は火水木金土の5つの元素の内、土が支配する期間です。
土は私たちの足元を支えてくれる大事なものです。
この期間は大地のパワーを意識して感じるようにしていきましょう。
今では意識することの少なくなった夏以外の土用ですが、昔の人は季節の変わり目を大事にし四季の土用も気にしながら生きてきました。
現代に生きる私たちも、そういったものがあることは覚えておき土のエネルギーを感じながら生きてみましょう。
雉始雊(きじはじめてなく)の運気アップの方法は「ウォーキング」
雉始雊(きじはじめてなく)の頃を運気アップして過ごしたいのなら、ウォーキングをすることがおすすめです。
一駅分を歩いてみたり、いつもよりも少しだけ多く歩くことを意識するといいでしょう。
歩くということは、体の健康を助けるだけでなく、気分まですっきりさせてくれます。
考えがまとまり、歩いているだけで悩みがなくなるということもあるでしょう。
できれば地面の上を歩きたいものですが、歩くのはどこでも構いません。
いつもはエレベーターを使ってしまうところを歩くなど、自分で取り入れやすい運動習慣を何か一つ初めてみてください。
運気が上がりいいアイデアがあなたの元に舞い降りてくるはずです。
他の七十二候の意味や時期の一覧
占い師 小鳥のワンポイントアドバイス「愛を求めて」
これは雉の求愛行動なの。
雉の愛を求めての行動に私たちは季節を感じていたってわけね。
雉が恋し始めるこの季節、私たちも愛を求めて行動しましょ。
今いるパートナーを大事にするもよし、恋人がいないのなら出会いを求めて動きまわるもよし。
愛を求めて行動すれば、あなたに愛が与えられるはずよ。