日本には四季があり、我々日本人は季節の移り変わりをとても大切に考えてきました。
それぞれの季節がもたらす風景や恵みを、生活の中に取り入れ豊かに暮らしてきたのです。
季節を72にも分類した七十二候があることが、春夏秋冬だけでなく、さらに季節を細かく分けて、ささやかな季節の巡りを感じながら生きてきたことを示しています。
立春・冬至など1年を24に分けた二十四節気、それをさらに3つに分けた七十二候。
現代に生きる私たちが忘れがちな、季節の移ろいを今一度大切にしていきましょう。
この記事では、七十二候の第七十候「款冬華(ふきのはなさく)」について、詳しい意味や時期、旬の野菜や果物、魚介類、草花や行事、運気アップの方法についてご紹介していきます。
日本ならではの季節について再認識し、豊かに暮らしていけるようになっていきましょう。
目次
款冬華(ふきのはなさく)の意味
款冬華(ふきのはなさく)は、フキノトウが顔を出し始める頃という意味です。
この頃になると雪景色に見えても、その下では着々と春の準備が進んでいます。
蕗(フキ)は叩くという意味を持った漢字です。
フキノトウは氷を叩き割るようにして芽を出します。
そのフキノトウの姿から、款冬という別名もつけられました。
款冬華(ふきのはなさく)では、「はなさく」となっていますが、フキノトウの花が咲くのはもっと後になってからです。
ここでの花はフキノトウのつぼみを指しているとされています。
フキノトウの天ぷらといえば春の味覚として有名ですが、味は少し苦みがあります。
このフキノトウの持つ苦みから、厳しい姑のことを蕗の姑などと呼んだりすることも。
フキノトウが雪の中から顔を出すと、いよいよ春の訪れを感じずにはいられません。
雪の中から頑張って顔を出すフキノトウの姿には、私たちも強く勇気づけられるでしょう。
まだまだ冬に思えても、フキノトウだけでなく色々な動植物たちが春の準備を始めています。
私たちも寒くてふるえてばかりいてはいけません。
もうすぐやってくる春に向けて、心も体も準備を始めておきましょう。
準備万端にしておけば、春のスタートはきっと順調になるはずです。
款冬華(ふきのはなさく)の時期は「1月20日~1月24日頃」
2021年 | 1月20日~1月24日 |
2022年 | 1月20日~1月24日 |
2023年 | 1月20日~1月24日 |
2024年 | 1月20日~1月24日 |
2025年 | 1月20日~1月24日 |
2026年 | 1月20日~1月24日 |
2027年 | 1月20日~1月24日 |
2028年 | 1月20日~1月24日 |
2029年 | 1月20日~1月24日 |
2030年 | 1月20日~1月24日 |
款冬華(ふきのはなさく)は二十四節気の大寒と共に始まります。
大寒は1月20日頃のことで、大きく寒いという字の通り一年で最も寒さが厳しい時期です。
しかし、一番寒い季節でありながら、この季節は春への期待の高まる季節となります。
このような寒い季節があるから、私たちは春の温かさをありがたいと感じられるのです。
款冬華(ふきのはなさく)の頃には地域によってはつららも見られるでしょう。
つららはその昔は、垂氷(たるひ)と呼ばれていました。
つららはもともと平面に張った氷を指す言葉で、つらつらという擬態語が変化したものです。
垂氷をつららと言うようになったのは、つららが溶けたり凍ったりを繰り返しながらつらつらと長く凍っていくからでしょう。
こうした氷の様子にも目を配る日本人の繊細さが感じられます。
つららのような寒い景色も目の前に広がりますが、足元からはフキノトウが顔を覗かせています。
寒いけれど春はもうすぐそこという希望を感じる季節となっていくでしょう。
款冬華(ふきのはなさく)の旬の野菜は「小松菜」
「小松菜」の基本情報
栄養 | 小松菜は栄養価の高い野菜です。
特筆すべきなのがカルシウムの豊富さで、牛乳並みの含有量を誇ります。 これは野菜としてはトップクラスです。 鉄分も豊富に含み、育ち盛りの子供におすすめの野菜です。 また、ビタミンCも豊富で、風邪予防や美肌作りに役立ちます。 動脈硬化やがん予防に効果的なカロテンも多く含んでいます。 |
選び方 | 美味しい小松菜を選ぶためには、まず葉を見ましょう。
葉の色は緑色が濃く、肉厚のものがおすすめです。 葉の大きさは大きければ味が濃く、小さいものは柔らかいのでお好みに合わせて選んでください。 茎は太く短く、シャキッとしているものがおすすめです。 しなびているものは古いサインなので避けてください。 |
保存方法 | 小松菜は冷蔵でも冷凍でも保存することができます。
冷蔵で保存する場合には、しっかりと乾燥対策をしておきましょう。 買ってきたまま冷蔵庫に入れるのではなく、湿らせた新聞紙で小松菜を包んでください。 そして立てた状態で野菜室に入れれば、2~3日は新鮮さがキープできます。 冷凍する場合は茹でてから冷凍するようにしましょう。 冷凍保存の場合は固めに茹でておいて、使いやすい大きさにカットしておくと使いやすいです。 |
その他、お役立ち情報 | 小松菜は緑がきれいな野菜ですが、変色し色が悪くなってしまうことがあります。
せっかくきれいな小松菜はきれいなまま食べたいものです。 変色の原因は茹ですぎで、茹ですぎると緑が茶色になってしまいます。 それを防ぐためには、茹でた後冷水で冷やしていきましょう。 さらに小松菜の色にこだわるのなら、調味料の色にも注意が必要です。 醤油の黒さは小松菜の色を悪く見せてしまうので、塩や出汁を使って味付けすると鮮やかなまま食卓に出すことができます。 |
「小松菜」の特徴
小松菜は今では全国で食べられている野菜ですが、そもそもは江戸野菜の一種です。
江戸時代に茎立菜を改良して生まれたのが小松菜で、江戸生まれ江戸育ちです。
生まれた土地である東京を中心とした関東地方で育てられていますが、現在では関東地方以外でも多く育てられています。
大阪や京都、福岡も小松菜の産地です。
小松菜の品種の中には、あえて款冬華(ふきのはなさく)の頃の寒さにさらしたものがあります。
それがちぢみ小松菜です。
寒い季節に寒い風に当てながら育てることで、うまみや甘みが増します。
葉が寒さに縮んでいますが、寒さを耐え抜いた分、味は美味しくなっています。
「小松菜」のおすすめの食べ方・調理法
小松菜のおすすめの調理法としてレンジを使ってできる一品をご紹介していきます。
茹でるよりも栄養素が流出しにくい上に、簡単にできるのでおすすめです。
まず小松菜は食べやすい大きさにカットし洗っておきましょう。
レンジで二分温め、水気を切ります。
油を切ったツナ缶、マヨネーズと塩コショウを加え和えるだけで完成です。
小松菜は栄養豊富なので積極的に食べたい野菜の一つです。
レンジを使った簡単調理で、まめに食べていきましょう。
またクックパッドの「小松菜」に関連するレシピも参考になるので是非ご覧ください。
款冬華(ふきのはなさく)の旬の魚介類は「赤貝」
「赤貝」の基本情報
栄養 | 赤いほど高級とされている赤貝の赤は、ヘモグロビンという成分がもととなっています。
栄養価は高く、鉄分・カルシウム・ビタミンを豊富に含みます。 良質なたんぱく質を含み、血や肉を作る助けとなってくれるでしょう。 赤貝には貝類に豊富なタウリンも含まれています。 タウリンは肝機能を助けてくれ、アルコール分解も助けてくれるので、酒の魚として食べるといいでしょう。 鉄分とビタミンB12を豊富に含むので、貧血予防に効果的です。 人間の血と同じくヘモグロビンを含むので、造血作用や赤血球増加など血液の健康に役立ちます。 |
選び方 | 赤貝は新鮮なものを選ぶのが一番のポイントです。
貝の状態で買うのなら、貝と貝を叩き合わせると硬そうな音のするものが新鮮です。 貝の口が開いているときに触ると、すぐに閉じるものは新鮮でしょう。 むき身の状態で売られているものは、赤が濃く鮮やかなものを選んでください。 触ると縮むくらいの活きのよさがあれば、新鮮であることは疑いようもありません。 身はふっくらと厚いものを選ぶようにしていきましょう。 |
保存方法 | 貝殻の状態で赤貝を手に入れたなら、生きたまま保存することを考えましょう。
3%の濃度の塩水につけたまま冷蔵庫に入れておけば、3日ほどは生きたまま保存することができます。 毎日塩水は取り換えるようにしてください。 冷凍する場合は、貝殻から取り外しむき身の状態で一つずつラップをしフリーザーバッグに入れて冷凍庫で保存します。 使う時は解凍せずに、そのまま調理して大丈夫です。 冷凍したものを生食することは避けた方がいいでしょう。 |
その他、お役立ち情報 | 赤貝は寿司として有名で、江戸前を代表するネタの一つでした。
少し前までは東京湾で獲ることができ、東京で獲れる赤貝こそが最高級品でした。 しかし、今では東京湾で獲れる数は減り、宮城県閖上のものが国内の最高級品とされています。 最高の二枚貝と言われており、関東の市場で赤貝を見かけない日はありません。 しかしながら国産品はそれほど流通しておらず、1つ500円以上はする高級品となります。 輸入物が多く出回っています。 酢との相性が抜群で、酢と和えたり寿司のネタとして定番です。 |
「赤貝」の特徴
赤貝は冬から春が旬の魚介類です。
旬を過ぎ初夏になると卵を持ち始め、夏になると身がやせてしまい味も落ちてしまいます。
赤貝の語源は、身の色が赤いことです。
赤貝にそっくりな貝として猿頬貝やサトウガイがあります。
このそっくりな外洋性のサトウガイと赤貝を区別するために、赤貝のことをホンアカと読んだりすることもあります。
赤貝よりも軽く見られている猿頬貝やサトウガイですが、味は引けをとらず安価なため味比べしてみるのもいいでしょう。
地方によって呼び名はいろいろあり、東京ではもともと獲れていた場所である「検見川」と呼ばれることも。
赤貝を開くと赤い血が流れるように見えるので、チガイと呼ばれることもあります。
「赤貝」のおすすめの食べ方・調理法
新鮮な赤貝が手に入ったらお刺身で食べるのがおすすめです。
殻から取り出した赤貝をお刺身用に調理する方法についてご紹介していきます。
まず殻から取り外した赤貝から、ヒモと貝柱を切って外していきましょう。
身は観音開きにして、ついているワタを包丁で丁寧にこそげ落とします。
貝柱の方もワタを取り除いていきましょう。
その後はよく水で洗えば、刺身として食べられる状態になります。
生で赤貝を食べれば、貝の風味と旨味をダイレクトに感じることができるでしょう。
赤貝を煮て調理するときにはワタも利用できますので、覚えておいてくださいね。
またクックパッドの「にしん」に関連するレシピも参考になるので是非ご覧ください。
款冬華(ふきのはなさく)の旬の草花は「ネズミモチ」
「ネズミモチ」の基本情報
学名 | Ligustrum japonicum |
科・属 | モクセイ科・イボタニキ属 |
原産国 | 日本・台湾 |
別名 | タマツバキ |
「ネズミモチ」の特徴
ネズミモチは黒い小さな実をつける植物です。
なぜネズミモチという名前がつけられたかというと、その実がネズミのふんを連想させるからでした。
そして、モチノキと姿が似ていることからモチもつけられ、ネズミモチという名で呼ばれることになったのです。
8mほどの大きさにまで育ち、初夏には小さくて白い可憐な花をたくさん咲かせます。
冬の寒さに耐えるネズミモチの姿は、よく女性に例えられることがあります。
ネズミモチも漢字で書くと女貞という字で、他にも椿姫と呼ばれたりもしているのです。
「ネズミモチ」の花言葉
ネズミモチの花言葉は「名より実」です。
ネズミモチの黒い実は、古くから強壮剤として使われてきました。
名前の由来はネズミのフンという不名誉なものですが、その実が役立つということが花言葉の由来となっています。
款冬華(ふきのはなさく)の旬の行事は「二十日正月」
款冬華(ふきのはなさく)の頃には、正月の祝い納めの日として二十日正月があります。
現代ではその頃になるともうすっかり正月気分は抜けてしまっています。
しかし、かつては1月20日には仕事を休む習わしがありました。
それほど二十日正月は重要な行事だったのです。
この日には正月で忙しくしていた女性たちが休む日でした。
里帰りをしたりするのもこの頃が多かったようです。
なかなか現代では二十日正月に仕事を休むことは難しいかもしれませんが、この里帰りの風習は真似してもいいかもしれません。
正月に乗車率がすごいことになる交通機関を避けられてゆっくりできていいでしょう。
昔の人のように二十日正月にゆっくりしてみるのはいかがでしょうか。
この日には正月に使った魚の残りで鍋や団子を食べていたことから、骨正月や団子正月と呼ばれることも。
この日までには、正月のために用意したごちそうや餅などを食べ終えてしまう風習があります。
正月のものは食べ残してはならないという、食べ物への感謝の気持ちが垣間見える行事です。
今では意識することのなくなった二十日正月ですが、ぜひ頭の片隅にでも入れておいてください。
そして、この日が過ぎたらもう正月のことは引きずってはいけません。
款冬華(ふきのはなさく)の運気アップの方法は「よく食べよく寝る」
款冬華(ふきのはなさく)の頃を運気良く過ごすためには、食と眠りが重要となります。
よく食べよく寝ることで、あなたの体調が整うだけでなく運気まで上昇してしまうでしょう。
まだまだ寒い日々、あなたの体は冬を乗り越える最後の体力を求めています。
だからこそ、よく食べて栄養を獲る、よく寝て体力の回復をはかることが大切となるのです。
食と眠りが満たされたあなたには、エネルギーがみなぎってくるはずです。
自分でも内なるエネルギーが高まっていることを確かに感じられるでしょう。
どんなに忙しく過ごしていたとしても、食と睡眠はおろそかにしないように気を付けてください。
他の七十二候の意味や時期の一覧
占い師 小鳥のワンポイントアドバイス「春は必ず来る」
でも、そんなことは絶対にないの。
必ず春はやって来るから、希望を持って生きてちょうだい。
その証拠に地面を見てちょうだいな。
款冬華(ふきのはなさく)の季節には、雪の中からフキノトウが顔を出しているはずよ。
他にも雪の下でさまざまな動植物がうごめいているの。
あなたも負けずに春の準備を進めていきましょ。