日本には四季があり、我々日本人は季節の移り変わりをとても大切に考えてきました。
それぞれの季節がもたらす風景や恵みを、生活の中に取り入れ豊かに暮らしてきたのです。
季節を72にも分類した七十二候があることが、春夏秋冬だけでなく、さらに季節を細かく分けて、ささやかな季節の巡りを感じながら生きてきたことを示しています。
立春・冬至など1年を24に分けた二十四節気、それをさらに3つに分けた七十二候。
現代に生きる私たちが忘れがちな、季節の移ろいを今一度大切にしていきましょう。
この記事では、七十二候の第六十五候「麋角解(さわしかのつのおつる)」について、詳しい意味や時期、旬の野菜や果物、魚介類、草花や行事、運気アップの方法についてご紹介していきます。
日本ならではの季節について再認識し、豊かに暮らしていけるようになっていきましょう。
目次
麋角解(さわしかのつのおつる)の意味
麋角解(さわしかのつのおつる)は大鹿の角が落ちて生え変わる頃という意味です。
大鹿というのはヘラジカを指すとされていますが、ヘラジカは日本には生息していません。
大陸から伝え聞いた、冬になると角が落ちる鹿の姿を、かつての日本の人はどう思い描いていたのでしょうか。
日本にいる冬の鹿といえば、ニホンカモシカです。
ニホンカモシカは日本の固有種で、鹿という名前になっていますが牛の仲間です。
そして、角を落とすこともありません。
寒い時期に現れ、早朝に高い岩の上でじっと立っている姿を良く見かけるでしょう。
ニホンカモシカは現在では特別天然記念物に指定され姿を見かけることも少なくなりましたが、かつての日本では冬の風物詩でした。
年の暮れが押し迫ったこの時期のことを数え日といいます。
もうあと少しで一年が終わってしまうこの時期をどんな気持ちで過ごせばいいのでしょうか。
あと〇日と指折り数えてもいいし、やることに追われているうちに過ぎていくのもいいでしょう。
あっという間に過ぎていく年末のこの時期ですが、しっかりと季節を意識しながら過ごしてみてください。
新しい年がくるわくわくは、私たちの毎日をより楽しいものにしてくれるはずです。
麋角解(さわしかのつのおつる)の時期は「12月27日~12月31日頃」
2021年 | 12月26日~12月30日 |
2022年 | 12月27日~12月31日 |
2023年 | 12月27日~12月31日 |
2024年 | 12月26日~12月30日 |
2025年 | 12月26日~12月30日 |
2026年 | 12月27日~12月31日 |
2027年 | 12月27日~12月31日 |
2028年 | 12月26日~12月30日 |
2029年 | 12月26日~12月30日 |
2030年 | 12月27日~12月31日 |
12月31日を大晦日というのは有名ですが、その前日12月30日を小晦日(こつごもり)といいます。
つごもりというのは月が隠れるという意味です。
太陰暦では毎月末は新月のころで、つごもりにあたります。
ちなみにその前日の12月29日には「九」が入っており「苦」を連想させるため、その前日の12月28日までに大掃除は終わらせておくこととされていました。
12月28日が仕事納めである現代において、29日までに大掃除を終わらせることは困難かもしれませんが、そうしたいわれがあることだけは頭に入れておきましょう。
28日までに大掃除を済ませておけば、小晦日のころには大晦日前に少しほっとできる時間を作れるかもしれません。
そんな時間ができたら、ぜひ1年間の振り返りをする時間にしてください。
後悔や反省をするのもいいですが、1年の間に起きた楽しかったこともすべて振り返ってみましょう。
そして、次の1年を始めれば、その1年は前年よりも確実にいい年となるはずです。
年の終わりを噛みしめながら、麋角解(さわしかのつのおつる)の頃を過ごしていきましょう。
麋角解(さわしかのつのおつる)の旬の野菜は「かぼちゃ」
「かぼちゃ」の基本情報
栄養 | 冬至にかぼちゃを食べると風邪を引かないと言われるように、かぼちゃは栄養価の高い野菜です。
かぼちゃにはカロテンやビタミン類が豊富に含まれており、免疫力アップに効果的です。 ビタミンEにはホルモン調整機能があり、更年期障害を改善してくれ血行をよくしてくれます。 他の野菜は新鮮な方が栄養価は高いのですが、かぼちゃに関しては熟した方がいいでしょう。 熟していない内は味・栄養ともに落ちてしまいます。 熟すほどにカロテンは増えていきますので、丸ごと買った場合には熟すまで待ってから使いましょう。 |
選び方 | かぼちゃを丸ごと買う場合は、かぼちゃの外側の凸凹がくっきりとしていてツヤのあるものがおすすめです。
またヘタの茎は枯れていると完熟の証拠となりますので、注目してみてください。 カットされたかぼちゃを選ぶときには、種に注目です。 種がかたいものは完熟しており、種の間に隙間があると熟し過ぎの合図となります。 |
保存方法 | カットされたかぼちゃは傷みやすいので保存方法には注意が必要です。
買ってきたものをそのまま野菜室に入れてしまうのではなく、まず種の部分をくりぬいておきましょう。 その状態でラップをして野菜室で保存します。 冷凍保存をする場合は軽く茹でてから、フリーザーバッグに入れて冷凍庫に入れれば使い勝手もいいでしょう。 |
その他、お役立ち情報 | かぼちゃは栄養価が高くカロテンの宝庫です。
かぼちゃに含まれる赤い色素カロテンと黄色い色素キサントフィルはどちらも脂溶性です。 そのため、脂質といっしょに食べると吸収率が高まります。 かぼちゃは油で炒めたり、ドレッシングやマヨネーズをかけたりするのがおすすめです。 そのほかにもグルタミン酸を含む食材と食べ合わせると、脳を健康にするのに役立ちます。 鰹節などと合わせてもいいでしょう。 |
「かぼちゃ」の特徴
冬至にはかぼちゃを食べる風習があるので、かぼちゃは古くから日本にあったと思われがちですが、日本にやってきたのは江戸時代のことです。
かぼちゃの原産国は中南米ですが、カンボジアを経由して長崎にやってきた船によって伝えられたのでカンボジアが変化してかぼちゃという名前になりました。
ウリ科の野菜なので、南から伝わった瓜=南瓜と呼ばれることもあります。
かぼちゃは実は夏野菜ですが、長期間保存することが可能です。
保存ができて野菜が少なくなる冬の季節まで持つことから、重宝されてきました。
値段も安いため庶民の健康維持には欠かすことのできない野菜だったのです。
冬至にかぼちゃを食べる風習は江戸時代に始まり、現代でも続いています。
ですが、食べられるメニューは地域によって違っています。
かぼちゃぜんざいを作る地域もあるようです。
自分の住む地域以外のかぼちゃ料理も試してみたくなりますね。
「かぼちゃ」のおすすめの食べ方・調理法
かぼちゃをグルタミン酸と合わせて食べると、脳を健康にしてくれる効果が期待できます。
そこでグルタミン酸豊富なゆばとかぼちゃを炊き合わせるメニューをご紹介していきましょう。
かぼちゃは種とワタを取り、一口大に切っておきます。
しめじは食べやすい大きさに分け、ゆばも切っておきます。
鍋に出汁と調味料を入れ火にかけたら、皮を下にしてかぼちゃを並べましょう。
かぼちゃに火が通り柔らかくなったら、しめじとゆばを加えて煮詰めれば完成です。
この料理は脳を健康にするだけでなく、老化を防止しスタミナをアップしてくれます。
またクックパッドの「かぼちゃ」に関連するレシピも参考になるので是非ご覧ください。
麋角解(さわしかのつのおつる)の旬の魚介類は「コイ」
「コイ」の基本情報
栄養 | 鯉は昔から滋養強壮にいい魚だとされてきました。
鯉にはビタミンB1が豊富に含まれ、炭水化物をエネルギーに変換する大事な役割を担っています。 ビタミンB1が不足すると体の倦怠感や手足のしびれを引き起こします。 鯉には赤いビタミンと呼ばれるビタミンB12も多く含まれているのが特徴的です。 貧血予防や神経機能の正常化に効果的です。 また、ビタミンDを多く含んでおり、丈夫な歯や骨を作るのをサポートしてくれます。 カリウムが多く含まれているので、むくみを解消し体内の塩分を排出してくれます。 |
選び方 | 鯉は昔はよく食べられていた魚ですが、現代ではそれほど食べられることはなくなりました。
鯉を選ぶ時には生きているものを選ぶようにしましょう。 1キロ以上の大きなものを選べば、小骨を取るのが比較的楽です。 生きていない鯉を選ぶ時には、表面が色鮮やかでツヤがあり、エラがきれいなものを選んでください。 |
保存方法 | 鯉を食べる風習のある地方では、どのように鯉を保存しているのでしょうか。
鯉で有名な長野県の佐久地方では、鯉を生のまま丸ごと味噌につけておいて、後から焼いて食べます。 しかし、生のまま漬けたものは、あまり長期間の保存には向きません。 長期間保存をしたい場合には陣中漬けが、優れた保存方法です。 陣中漬けは鯉を油で揚げてから味噌漬けにしたもののことです。 鯉が手に入ったら、味噌漬けを試してみましょう。 |
その他、お役立ち情報 | 鯉は日本では縄文時代から、食用とされてきました。
宮中の儀式にも使われるほど伝統的な魚なのです。 鯉が魚偏に里と書くのは、鯉のうろこが縦に36枚並ぶことから1里=36町になぞらえているとされています。 コイという音の由来は、黒い色合いが濃いためとも、雌雄が愛し合って離れない習性から恋だともいわれています。 縄文時代から食べられてきた伝統的な食材である鯉を、機会があれば食べてみましょう。 |
「鯉」の特徴
鯉は淡水魚で日本全国に生息し、河川の中や湖沼、ダム湖などに生息しています。
日本では鯉を始めとする淡水魚を日常的に食べることは、あまりなくなってきています。
鯉も身に独特のクセがあるため、近年では食べることは減っています。
一般に流通することはなくなりましたが、地域によっては日常的に食べられているところも。
長野や茨城、琵琶湖周辺では、他の地域に比べると鯉が日常的に食卓に上ります。
島根県の津和野では鯉が街のシンボルになっています。
これはもともと飢饉に供えた非常食として用いられていたことが由来です。
古くは真鯛以上に重宝されていた鯉を、現代に生きる私たちもぜひ味わってみましょう。
「鯉」のおすすめの食べ方・調理法
淡水魚の独特な臭みや風味を苦手とする人でも食べやすい料理としておすすめできるのが「こいこく」です。
こいこくなら誰にでも食べやすく、鯉を食べ慣れない人でも食べることができます。
こいこくを作るためには、うろこつきの切り身を用意してください。
鯉をまず熱湯にくぐらせて冷水にとり、きれいに洗いましょう。
味噌・水・鮭を合わせた汁を煮立てて、そこに鯉を入れていきます。
うろこが柔らかくなり食べられるようになれば完成です。
粉山椒を振って食べるのがスタンダードです。
またクックパッドの「鯉」に関連するレシピも参考になるので是非ご覧ください。
麋角解(さわしかのつのおつる)の旬の草花は「シクラメン」
「シクラメン」の基本情報
学名 | Cyclamen persicum |
科・属 | サクラソウ科・シクラメン属 |
原産国 | 地中海地方 |
別名 | カガリビバナ(篝火花)・ブタノマンジュウ(豚の饅頭) |
「シクラメン」の特徴
シクラメンは冬に見かけることが多い植物ですが、春の季語となっています。
しかし、シクラメンは花期が長いので、花の少なくなる冬に出荷されるようです。
炎が燃え立つような花びらの形をしているので、カガリビバナと呼ばれることもあります。
今では品種改良が進み、さまざまな色の花が出回っています。
冬の寂しい景色をシクラメンは温かく彩ってくれるでしょう。
「シクラメン」の花言葉
シクラメンの花言葉は、遠慮、内気、はにかみなどです。
他にもシクラメンには色別に花言葉があります。
白いシクラメンの花言葉は清純で、白の持つイメージが由来でしょう。
ピンクのシクラメンの花言葉は憧れで、人に贈るのに適しています。
麋角解(さわしかのつのおつる)の旬の行事は「除夜の鐘」
麋角解(さわしかのつのおつる)は年によって大晦日を含んだり含まなかったりしますが、年末の欠かせない行事といえば、やはり除夜の鐘でしょう。
除夜の鐘とは大晦日の夜から新年にまたがってつく鐘のことです。
108つあるとされる人間の煩悩を鐘の音が決してくれるとされており、1年を締めくくり新しい1年を始めるのにぴったりの行事です。
除夜の鐘を聞いていると、1年間の思いが次々と浮かんでくるでしょう。
そして、心新たに新しい年を迎えることができるでしょう。
人として生きる以上、煩悩を捨て去ることはできませんが、除夜の鐘を聞いている時くらいは清らかな気持ちでいたいものです。
近年では除夜の鐘が騒音とされ、街中では除夜の鐘が聞かれないことも増えてきました。
しかし、1年の終わりという特別な夜には、何か特別な感情が湧き上がるはずです。
例え鐘の音が聞こえなくても、自分の心を鎮めて厳かな気持ちで過ごしてみましょう。
そうすれば、新しい年は良い1年となるはずです。
麋角解(さわしかのつのおつる)の運気アップの方法は「服を買う」
麋角解(さわしかのつのおつる)の頃の運気を上げるには、服を新調するのがおすすめです。
鹿にとって角が落ちるのは着替えるのと同じことです。
私たちもこの時期に服を買って、運気を上げていきましょう。
そして、ポイントは新調した服を着るのは、年が明けてからということです。
麋角解(さわしかのつのおつる)の頃には、新しい年のことを考えながら自分の着たい服を購入しましょう。
適当な服ではなく、自分の心がわくわくするような服を買ってください。
そうすれば、運気は上りいい1年の終わりを迎えられます。
他の七十二候の意味や時期の一覧
占い師 小鳥のワンポイントアドバイス「1年を振り返って」
鹿が角を脱ぎ捨てるように、私たちも古いものは全部捨ててしまいましょ。
そして、気分新たに新しい年を迎えるの。
次の年をいい年にしたければ、1年を振り返り何が足りなかったのか見つめることも大切よ。
考えた上で足りないものを補充し、新しい1年をとびきりいい1年にしていきましょうね。
この1年はあなたにとっていい1年だったかしら?次の1年はどんな年にしたい?
この時期にはぜひじっくりと考えてみてちょうだいね。