日本には四季があり、我々日本人は季節の移り変わりをとても大切に考えてきました。
それぞれの季節がもたらす風景や恵みを、生活の中に取り入れ豊かに暮らしてきたのです。
季節を72にも分類した七十二候があることが、春夏秋冬だけでなく、さらに季節を細かく分けて、ささやかな季節の巡りを感じながら生きてきたことを示しています。
立春・冬至など1年を24に分けた二十四節気、それをさらに3つに分けた七十二候。
現代に生きる私たちが忘れがちな、季節の移ろいを今一度大切にしていきましょう。
この記事では、七十二候の第五十八候「虹蔵不見(にじかくれてみえず)」について、詳しい意味や時期、旬の野菜や果物、魚介類、草花や行事、運気アップの方法についてご紹介していきます。
日本ならではの季節について再認識し、豊かに暮らしていけるようになっていきましょう。
目次
虹蔵不見(にじかくれてみえず)の意味
虹蔵不見(にじかくれてみえず)とは、虹を見かけることが少なくなってくる頃のことです。
11月22日頃の二十四節気の小雪は、雨が雪に変わる頃を指しています。
虹は雨が降ると空に出てくるものですから、雨が雪になってしまうと自ずと虹は見えなくなってしまうということなのです。
この時期の雨はたとえ降っても、夏のような大降りではありません。
しっとりと降る小粒の雨でも、ひょっとしたら虹は出ているのかもしれませんが、私たちが気づくことは滅多にないのでしょう。
雨粒が小さくなってくると、虹は白くぼんやりとしたものになります。
そうした薄い虹を白虹(はっこう)、もしくは霧虹(きりにじ)と言います。
薄くぼんやりとしていて見えるかどうかも分からない。
そんな虹はこの季節にぴったりだと言えるでしょう。
虹蔵不見(にじかくれてみえず)の時期は、虹が見えにくくなってくる時期です。
そんな時期だからこそ、白い冬らしい虹を探してみるのもいいでしょう。
これから先、雪が降るようになれば、ますます虹は見つかりにくくなります。
見えなくなった虹に思いを寄せたはるか昔の人のように、見えないものにまで思いを馳せられる豊かさを持って生きるようにしていきましょう。
目に見えるものや感じられるものにだけ、人は季節を感じるのではありません。
見えなくなったもの、感じられなくなったものなど「不」にも私たちはさまざまなことを感じ取れるのです。
虹蔵不見(にじかくれてみえず)の時期は「11月22日~11月26日頃」
2021年 | 11月22日~11月26日 |
2022年 | 11月22日~11月26日 |
2023年 | 11月22日~11月26日 |
2024年 | 11月22日~11月26日 |
2025年 | 11月22日~11月26日 |
2026年 | 11月22日~11月26日 |
2027年 | 11月22日~11月26日 |
2028年 | 11月22日~11月26日 |
2029年 | 11月22日~11月26日 |
2030年 | 11月22日~11月26日 |
虹蔵不見(にじかくれてみえず)の頃には、各地で初雪の便りも聞こえてくるでしょう。
北国で雪が吹く頃、風下の地域では雪が風に運ばれてきてちらちらと舞うことがあります。
雪が降っているわけではない地域まで運ばれてきて舞うこの雪を「風花」と言います。
雪雲の一部が流れてきて降る小雪や、風邪が吹き始めるときにちらつく雪のことを風花ということもあるようです。
ただでさえ溶けてなくなるはかない雪ですが、風花のように雪のかけらはあっというまに消えてしまいます。
こんなすぐに消えてしまうようなものにも、風花という素敵な名前をつけて楽しむその精神は現代に生きる私たちも真似したいものです。
日本人はすべてのものに命があると考えていましたから、すぐに消えてしまう小さな雪だからこそ素敵な名前を授けたのかもしれません。
この頃には、オシドリが見られるようになります。
オシドリ夫婦の語源ともなっており、オスとメスは仲良く暮らします。
繁殖期以外は似た姿をしていますが、恋の季節を迎えるとオスが華麗に変身します。
虹蔵不見(にじかくれてみえず)の旬の果物は「レモン」
「レモン」の基本情報
栄養 | 酸っぱい果物の代表格であるレモンには、ビタミンCやクエン酸が豊富です。
これらの成分は疲労物質である血中の乳酸を分解してくれるため、疲労回復を早めてくれるでしょう。 豊富なカリウムは、塩分の摂り過ぎを調節してくれる役割してくれます。 レモンの皮に含まれている香り成分のリモネンは、リラックス効果があり育毛効果も期待できます。 ポリフェノールも含まれており、免疫機能向上にも効果的です。 |
選び方 | 美味しいレモンを選ぶには、新鮮なものを選ぶことが大切です。
形がよいレモンで皮にみずみずしさが感じられるものを選びましょう。 ハリとツヤがあるものを選べば、新鮮さに間違いはないでしょう。 逆に皮に弾力がないものは古くなっている証拠なので避けた方が賢明です。 色むらのあるものも避けましょう。 軸は緑色で手で持ったときに、ずっしりと重いものの方がおすすめです。 |
保存方法 | 1週間以内に使い切るのであれば、冷暗所での保存でいいでしょう。
冷蔵庫に入れれば1ヶ月程度は持つので、冷蔵庫での保存がおすすめです。 冷蔵庫に入れる際は、レモンが乾燥しみずみずしさが失われないように注意しなければなりません。 ラップに包むかビニール袋に入れるなどし、皮からの水分の蒸発を防ぎ野菜室で保存しましょう。 カットしたけれど使いきれなかったレモンは、切り口が空気に触れないようにしましょう。 ラップで包んで冷蔵庫に入れ、なるべく早く使いきるようにしてください。 |
その他、お役立ち情報 | クエン酸といえば酸っぱさの元となる成分ですが、実はこのクエン酸の名前の由来はレモンにあります。
レモンの近縁種であるシトロンの別名がクエンであることから、クエン酸は名付けられたのです。 香り豊かなレモンは皮ごと使うこともありますが、外国産のものを使う場合には農薬が気になるでしょう。 そんな場合には、塩を適量手に取り揉むようにレモンを擦り洗いしましょう。 そうすれば、浸透圧で汚れやゴミが落ち、さらには色と香りもアップしていきます。 |
「レモン」の特徴
レモンの原産地はインド北東部のヒマラヤです。
日本に入ってきたのは明治時代で、広島や愛媛などで多く栽培されています。
レモンは調理にだけ使えるのではありません。
レモンに含まれ酸味のもととなるクエン酸には、水垢を落とす効果もあります。
そのため、果汁を絞ったあとのレモンの皮で擦れば、シンクがピカピカに輝くでしょう。
安心安全な天然素材のクリーナーとしても、レモンは利用できます。
「レモン」のおすすめの食べ方・調理法
レモンの意外な食べ方としておすすめしたいのが、焼き芋にレモンをかけるという食べ方です。
実はレモンとさつまいもの相性は抜群で、さつまいものレモン煮という料理もあるほどです。
煮るのはめんどくさいという時でも、焼き芋にレモンをかけるだけなら誰にだって簡単にやることができるでしょう。
焼き芋にレモン汁をかけると、レモンの爽やかな香りが広がり、レモンの酸味がさつまいもの甘味を引き立ててくれます。
そのままで食べても十分に甘いし美味しい焼き芋ですが、レモンをかけることでより美味しく味わえるようになるでしょう。
レモンも焼き芋も冬が旬の食べ物です。
二つが手に入ったら、ぜひ一度試してみてください。
またクックパッドの「レモン」に関連するレシピも参考になるので是非ご覧ください。
虹蔵不見(にじかくれてみえず)の旬の魚介類は「クエ」
「クエ」の基本情報
栄養 | クエの大部分はタンパク質です。
クエは高タンパク低カロリーで、ダイエット中にも適している魚でしょう。 低カロリーではありますが旨味が強く、少量でも満足できます。 コラーゲンをたっぷりと含んでいるので、美肌効果が期待できます。 カルシウムも豊富なので骨や歯を丈夫に保つ効果も。 |
選び方 | クエは大きければ大きいほど美味しいとされています。
そのため、美味しいクエを食べたければ大きなものを選ぶようにしましょう。 小さいクエは味が落ちてしまうので注意してください。 最低でも10キロを超すものがおすすめです。 超高級魚のクエは大きくなればなるほど値段も高額になりますが、せっかくクエを食べるなら美味しいものを選びましょう。 |
保存方法 | 漁獲量が少なく幻の高級魚であるクエをスーパーで見かけることはまずないでしょう。
冷凍でお取り寄せすることがほとんどではないでしょうか。 冷凍で届いたのなら冷凍のまま保存すればOKです。 もし、生の状態のクエが手に入ったのなら、水気を拭き取りラップで一切れずつ包んで空気に触れないようにしましょう。 保存袋にいれ、空気を抜いて冷蔵庫に入れれば、2日程度は保存可能です。 |
その他、お役立ち情報 | クエを食べると腹痛や下痢になると言われていることがありますが、それは全くのでたらめです。
そんな噂が立ってしまったのは、高級魚であるクエだと偽ってアブラボウズを販売していた業者があったからです。 アブラボウズは脂がたっぷりですが、その脂も腹痛を引き起こすほどのものではありません。 ここにさらに勘違いが加わり、事態はややこしくなります。 アブラボウズと似た名前のアブラボウ、この魚の脂質は胃では消化できずそのまま出てきてしまいます。 この二重の勘違いがクエが腹痛を引き起こすという、根も葉もない噂を生んでしまったのです。 クエは安心して食べられる魚なので、腹痛を怖れずにどんどん食べてください。 |
「クエ」の特徴
クエは他の魚と比べても獲れる量が少なく、幻の魚とされています。
見た目の美しさはありませんが、とても美味な高級魚です。
大きければ大きいほど脂がのっており、濃厚な旨味を味わうことができます。
身は白くあっさりした味を思わせるが、コラーゲンが豊富で上品な味わいです。
クエは身だけでなく、胃袋や肝も美味しく食べることができます。
胃袋はコリコリとした食感が楽しめ、肝は濃厚な旨味が凝縮されています。
皮にはゼラチン質がたっぷりで、アラを鍋にすると絶品です。
クエの身・胃袋・肝は三種の神器と呼ばれることもあるほど絶品な部位です。
「クエ」のおすすめの食べ方・調理法
高級魚のクエを味わいつくすには、クエ鍋がおすすめです。
クエのアラは水洗いし、鍋に昆布と水とともに入れます。
沸いてきたら豆腐や水菜、クエの身を入れて弱火で煮ます。
身に火が通れば完成です。
アラからの出汁やコラーゲンでとろとろの汁がたまらなく絶品の一品です。
またクックパッドの「クエ」に関連するレシピも参考になるので是非ご覧ください。
虹蔵不見(にじかくれてみえず)の旬の草花は「野茨」
「野茨」の基本情報
学名 | Rosa multiflora |
科・属 | バラ科・落葉性のつる性低木 |
原産国 | 日本・朝鮮半島 |
別名 | ノバラ |
「野茨」の特徴
野茨は水が多く日当たりがいいところに自生しているバラ科の植物です。
日本では沖縄以外の山や野原で見ることができます。
バラの中でも生命力が強く丈夫で、野茨自体を育てるというよりも、バラの品種改良のための台木として使われることが多いでしょう。
樹高は1~3mで花が咲くのは5~6月です。
虹蔵不見(にじかくれてみえず)の頃に赤い実をつけます。
この実は生薬や化粧品としても利用されています。
「野茨」の花言葉
野茨の花言葉には「上品な美しさ」「才能」などがあります。
上品な美しさは、野に咲く可憐な花の姿が由来となってつけられたのでしょう。
才能の花言葉は、野茨がシューベルトなど有名作曲家にテーマとして取り上げられていることが由来です。
有名な詩人であるゲーテも野茨のことを題材にしています。
虹蔵不見(にじかくれてみえず)の旬の行事は「新嘗祭」
虹蔵不見(にじかくれてみえず)の頃には新嘗祭という行事があります。
新嘗祭というと聞きなれないかもしれませんが、現代では勤労感謝の日となっています。
そもそも11月23日の勤労感謝の日は新嘗祭の祭日だったのです。
秋の収穫に感謝を捧げるため、その年に収穫された新米などを神様に供えます。
この行事は飛鳥時代からあると言われるほど、由緒正しい行事で現代でも行われています。
食物への感謝も勤労への感謝も、忙しく過ぎる日々の中では忘れがちになってしまうものです。
勤労感謝の日には、この日がもともとは新嘗祭であったことを思い出し、収穫への感謝の気持ちを持つようにしていきましょう。
普段食べているものが誰かが収穫したものだという意識を持ちづらい現代ですが、誰かの働きや自然の恵みによって生かされていることを忘れてはいけません。
いつもより食べ物への感謝を増し、勤労している自分を労わってあげましょう。
虹蔵不見(にじかくれてみえず)の運気アップの方法は「美味しいものを食べる」
虹蔵不見(にじかくれてみえず)を運気アップして過ごすためには、何を口にするかということが大切となります。
この時期に口にするものは、これから冬を乗り切るためのパワーとなるものです。
なるべく健康を意識した食事を心掛けるようにしていきましょう。
この時期には、適当に食べるということはやめてください。
食べたいものを食べるということが非常に重要なこととなりますので、自分自身と向き合ってみましょう。
今自分自身が食べたいものというのは、あなたの体が欲しているものということです。
体からのメッセージに気が付き、美味しいものを食べるようにすれば、運気も上昇し健康も手に入れることができるでしょう。
お腹が空いてもいないのに適当なものを食べてしまう。
お腹が空き過ぎて何でもいいからとにかく食べてしまう。
こんなことがないように、今自分が何を欲しているのか体の声に耳を傾けながら過ごしてみましょう。
他の七十二候の意味や時期の一覧
占い師 小鳥のワンポイントアドバイス「空を見上げて」
虹蔵不見(にじかくれてみえず)なんて言われると、思わず空を見上げたくならない?
見えないって言われると探したくなるんだから、人間ってほんとアマノジャクよね。
でも、それでいいの。
この時期の虹は見えなくて当然だし、見つけられたらラッキー!
空を見上げる人には思わぬ幸運が訪れるかもね。
虹を見かけなくなってしまうのは寂しいけれど、それも季節が確実に移り変わっているからなのよね。
寂しがらずに心に虹をかけて、豊かに過ごしていきましょうね。