
弥勒菩薩信仰の人は、弥勒菩薩の生まれ変わりについて興味を持っている人もいるはずです。
現在の釈迦如来であるブッダの次に悟りを開いた弥勒菩薩は、いつ生まれ変わりまた誰が化身といわれる人なのか、気になるところ。
こちらの記事では、弥勒菩薩の生まれ変わりやご利益についてご紹介します。
弥勒信仰について詳しく知りたい方は、参考にしてみてください。
目次
弥勒菩薩が生まれ変わるのはいつ?
弥勒菩薩の生まれ変わりは、釈迦が入滅してから56億7000万年後に誕生するといわれています。
お釈迦様の次に仏の悟りを開いて衆生を救う約束がされており、現在は兜率天(とそつてん)にて修行中の菩薩です。
仏の悟りには全部で52の位(「さとりの52位」という)があります。
弥勒菩薩は「等覚(とうかく)」という位で、「仏覚(仏のさとり)」まで後一段という状態の非常に高い位です。
「弥勒」の語源は「慈しみ」を意味するため、経典には「慈氏菩薩(じしぼさつ)」とされていることも多くあります。
弥勒菩薩は兜率天に生まれ変わっている
弥勒菩薩は現在、兜率天に生まれ変わり修行中です。
お釈迦様が生きていた約2600万年、弥勒菩薩はお釈迦様の弟子として学んでいました。
他の弟子が「弥勒はやがて仏になると説かれていますが、まだそれほどまでの修行は出来ていないように思います。彼は死んだらどうなるのでしょうか」という質問をしたのです。
お釈迦様は、「今から12年後に死に、天上界の兜率天という世界に生まれ変わる」と言われたとされています。
- 兜率天とは、仏教における天界の一つであり、六欲天の第四の天。内院と外院があり、弥勒菩薩は内院で修行をしています。
兜率天では、昼と夜の二回天人たちに教えを説いて導き、その後再び地上に現れる予定です。
そこでの世界は、弥勒は出家したその日に華林園の竜果樹という菩提樹の下で仏のさとりを開きました。
弥勒仏となり3回の説法(「龍華三会」という)のおかげで、多くの人がさとりを得て人々を救うのです。
人間界に生まれ変わるのは56億7千万年後
弥勒菩薩が人間界に生まれ変わるのは、入没から56億7千万年後とされています。
現在は兜率天で修行中の弥勒菩薩ですが、兜率天での時間の進み方は人間界とは少し異なるため、天界ではそこまで時間が長くはないそうです。
天界では、人間界の400年で一日一夜となります。
弥勒菩薩は、仏のさとりをひらくまで後一段というところまでさとりを得ている菩薩です。
あと一段のぼるまでに56億7千万年かかるとお釈迦様が説かれており、修行が終わると人間界に降臨します。
高野山の龍華樹という菩提樹の下に下正して、三度説法をして人々を救うとされているのです。
これを龍華三会(りゅうげんさんえ)といいます。
弥勒菩薩が生まれ変わった後の世界
お釈迦様は、弥勒菩薩が生まれ変わった後の人間界の様子を見せてくださった、とお経にあります。
広大な土地に作物はよく実り、人々は聡明であり健康で心も豊かに暮らしているそうです。
徳のある人ばかりが住んでおり、町は清潔で夜には灯りが不要なほど宝石で出来た街角の柱で輝いています。
砂金で出来た地面には、金や銀が転がっている様子も見られる。
また、八功徳水が湧き出る池や泉があり、その水を飲むとたちまち病気は回復します。
天災も人災もない平和な町は、助け合う人でにぎわっている様子です。
ただ、この時代の人間界にも老いがやって来くることは変わらず、寿命が尽きる時自らの足で墓地に出向き生涯を閉じる世界とされています。
弥勒菩薩の生まれ変わりや化身だといわれる人々
弥勒菩薩は途方もない年数を経過した後に生まれ変わるといわれる未来仏ですが、生まれ変わりや化身だといわれる人々も存在します。
ここからは、弥勒菩薩の生まれ変わりや化身といわれる人々をご紹介しましょう。
空海
弘法大使の名前もまた有名な空海は、弥勒菩薩の生まれ変わりともいわれている人物です。
高野山奥之院には空海が生きたまま禅定に入られた御廟があり、聖地として大切にされています。
奥之院は、全国の有名な戦国武将や著名人の石塔も並べられている場所です。
この場所は、弥勒菩薩が生まれ変わって説法を説くといわれている龍華樹(りゅうげじゅ)という菩提樹があるところ。
そのため弥勒菩薩の生まれ変わりは、空海という話が信じられています。
弥勒菩薩が下生して生まれ変わる時、空海と共に現れるという同時誕生の説もあり、弥勒菩薩の来生をより近くで見るため奥之院で禅定に入ったという説もあるものです。
イエス・キリスト
イエス・キリストは弥勒菩薩と同じで、再臨すると考えられている人物であるため化身ともいえます。
人間は死を迎えると自分の罪を裁かれるといわれており、キリストは人々の罪を負うために御身を捧げた人物です。
有名なイエスの復活の話では、その40日後に「後にもう一度この世界に栄光の姿で戻ってくる」と約束し、天に帰っていかれたとされています。
二度目の復活である再臨では、人々を救うために戻ってくるというものです。
キリストの再臨は理想社会への転換点であり、弥勒菩薩の多くの人を救うというお役目と同義とも受け取れます。
布袋(七福神)
七福神で知られる布袋も、一説によると弥勒菩薩の化身とされています。
布袋は、七福神の中で唯一実在した人物であり、人々を救って旅をしていたからです。
もともと中国のお坊さんである布袋は、大きな袋をかついで旅をしていました。
旅をしながら、貧しい人に出会うと袋の中にある物を分け与え、救いの旅を続けていたそうです。
救われた人々から感謝やお礼の品を差し出されると、また次の救いの手を待つ人のために袋にしまっていました。
そうして大きく膨れ上がった袋は、感謝と慈しみの心が詰まったものとなり布袋のトレードマークとなっていったのです。
人々を救う徳の高い姿に、中国の一部では布袋の事を弥勒菩薩と呼ぶようになり、「弥勒菩薩の化身」という説が生まれました。
弥勒菩薩を信仰するご利益
弥勒菩薩を信仰すると、どんなご利益があるのでしょうか。
未来仏を信仰する人々が、弥勒菩薩に期待しているパワーをご紹介します。
弥勒菩薩と共に生まれ変わることができる
弥勒菩薩信仰には、「上生信仰(じょうしょうしんこう)」と「下生信仰(げしょうしんこう)」の二つあります。
うち上生信仰では、自分自身が弥勒菩薩が修行をしている兜率天に生まれ変わり、56億7千万年後に弥勒菩薩が人間界に戻ってくる時に、共に生まれ変わることが出来ると信じられている信仰です。
この信仰では、生前に弥勒菩薩の名前を唱えることでご利益を頂けると信じられています。
また上生信仰はとても大変な修行が必要であるため、下生信仰が生まれたのです。
兜率天に生まれ変わることができる
弥勒菩薩を信仰すると、兜率天に生まれ変わる事が出来ると信じられています。
仏のさとりまであと一段にまでさとりの位を取っている弥勒菩薩は、非常に優秀な菩薩です。
全部で52の位がある内、弥勒菩薩は51段目の「等覚(とうかく)」というさとりを得ています。
さとりの位は上に上がるほど得ることは困難であり、かの有名な達磨大師(だるまたいし)は30段くらいだったとされているそうです。
親鸞聖人が「右に出るものはないほど頭が良い」と言っていた天台(てんだい)は9段だったそう。
それほどまでに位を上げることが難しいさとりを51段目まで得ている弥勒菩薩がいる兜率天に生まれ変わることで、救われると信じられています。
お釈迦様に救ってもらえなかった人も救ってもらえる
弥勒菩薩を信仰することで得られるご利益は、お釈迦様に救ってもらえなかった人でさえも救ってもらえるというもの。
有名な弥勒菩薩像は「どうすれば釈迦の救いから漏れている人々も救うことができるのか」と思索している姿だそうです。
さらに足元はすぐに立ち上がって人々を救うことができるよう、準備している状態といわれています。
弥勒菩薩を信仰していると、日々救済のことを考えられている弥勒菩薩から救いの手を差し伸べてもらえるはずです。
無病息災で長生きできる
弥勒菩薩を信仰していると、無病息災で長生きできるというご利益もあります。
人間は、あらゆる苦しみを抱えて生きるものですが、その全てが四苦八苦に含まれるものであり逃れられません。
弥勒菩薩の弥勒という名前には、「慈しみ」を語源としているため慈氏菩薩とも呼ばれます。
慈悲深い弥勒菩薩は、信仰する人々に健康を平安をもたらしてくれるのです。
また、病気治癒や災難回避のご利益もあり、長寿も授けてくださるといわれています。
罪を浄化し幸福に導いてくれる
弥勒菩薩を信仰すると、生きてきた中で重ねた罪を浄化し人生を幸福に導いてくれるというご利益もあります。
慈しみの弥勒菩薩は、命ある者全てを救ってくれるパワーがある菩薩です。
人間界では、日々罪を重ねて生きています。
生きるためであっても動物や植物を殺生して命を頂いていることも、罪となるわけです。
全ての罪を浄化し救われるという信心を持つことで、人生が幸福になっていきます。
弥勒菩薩の真言と梵字・手印
弥勒菩薩のご利益を頂くためにも大切なのが、真言です。
- 真言:オン・マイタレイヤ・ソワカ
- 意味:「オン」聖なる、お任せします、帰依します
「マイタレイヤ」弥勒菩薩の梵名であるマイトレーヤを示しています
「ソワカ」神聖な願望成就の言葉
滅罪のご利益がある真言であるため、罪を感じた時や罪悪感を抱くことがあった時に弥勒菩薩に感謝の気持ちを持ちながら唱えてみましょう。
空海が弥勒菩薩の化身という説もあることから、梵字は空海と同じ「ユ」という文字です。
弥勒菩薩の姿は、時代によっていくつか種類があります。
半跏思惟像という人々を救う方法を考えている様子の銅像での手印は、「思惟手(しゆいしゅ)」というものです。
弥勒菩薩の手印
弥勒菩薩印
人々を救う役割を担う弥勒菩薩。
弥勒菩薩印は、両手を組んで人差し指をくっつけた状態で他の指を立てて組みます。
開塔印
弥勒菩薩印とは別に開塔印という手印があります。
両手を組んで軽く人差し指を曲げたまま、他の指を立てて組む手印です。
弥勒菩薩をお祀りしているお寺
弥勒菩薩は、お釈迦様の次にさとりを開き衆生を救うことが約束されている菩薩です。
そのため弥勒菩薩信仰も非常に広く伝わっており、多くのお寺でお祀りされています。
ここでは弥勒菩薩を本尊とするお寺をご紹介するので、ぜひ足を運んでみてください。
- 園城寺(おんじょうじ)(滋賀県大津市)
- 施福寺(せふくじ)(大阪府和泉市)
- 宗泉寺(そうせんじ)(岐阜県中津川市)
- 弥勒寺(岐阜県関市)
- 弥勒寺(愛知県東海市)
占い師 tomomiのワンポイントアドバイス「弥勒菩薩は生まれ変わって私たちを救ってくれる」

滅罪のご利益があるため、日々の中で罪悪感や罪の意識が生まれた時にはパワーを頂きにお寺に参拝すると、人生も豊かになっていきます。
ご利益を頂くためにもひび功徳を積んで過ごしましょう。