
輪廻転生の業からの解脱を目的としたインド思想であるウパニシャッド哲学。
今回は、このウパニシャッド哲学の思想はどこからきたものなのか、どのような教えなのか、いつ誰がなぜ作ったものなのかについて説明していきたいと思います。
宇宙の根源と人の根源によって悟りが拓けるという教えが他の宗教とどう違うのかについて説明するので、ぜひ参考にしてください。
スピリチュアルやヨガに興味がある人には特におすすめです。
目次
ウパニシャッド哲学とは?発祥や基本の考え方

まずはウパニシャッド哲学とか一体どのようなものなのかを理解することが必要です。
ここでは、発祥や基本の考え方をわかりやすく、簡単に説明していきたいと思います。
ウパニシャッドはインドの宗教の奥義書のこと
ウパニシャッド哲学は、古代インドの後期にあたる紀元前1000年~500年ほどのヴェーダ時代に存在した奥義書のことを指しています。
一人の著者による作ではなく、仏教が生まれるよりも前からずっと長い年月をかけて完成された著作となっており、バラモン教やヒンドゥー教の教えの原点となっているともいわれる聖典なのです。
“ウパニシャッド”とは“そばに座る”という意味があり、神の啓示とされるこの著作は、インドでも最も権威がある聖典とされています。
編纂され続けてきたため、現在では200以上あるといわれていますが、実際に主要とされているウパニシャッドは12冊、または13冊程度です。
紀元前7世紀頃にバラモン教への批判から生まれた思想

ウパニシャッド哲学は一人の人物が作り出したものではありません。
1000年頃にアーリア人によって生み出されたバラモン教の内部から、ウパニシャッド哲学が生まれたとされており、批判を受けることもあれば、信仰を増やすきっかけにもなったとされているのです。
当時のバラモン教の、形式的な祭祀中心の教えに反発する考えがもととなって生まれたのがウパニシャッド哲学であり、バラモン教の教えの中で内面的な思索を通じて真理を探究しようとした動きがきっかけとなって生まれたとも考えられています。
バラモン教は祭祀を中心とした教えとなってしまっている一方で、ウパニシャッド哲学は宇宙の根源に関する思索や普遍的な真実の探求が主となっているため、“生まれたばかりのバラモン教の教えに近い”と捉える人も少なくなかったようです。
輪廻転生からの解脱を目的としている哲学
宇宙の根本原理である“梵(ブラフマン)”と、人間の根本原理である“我(アートマン)”が本来同じものであるとする考えかたがウパニシャッド哲学の基本的な教えとなります。
この二つが同じであるとされること自体を“梵我一如(ぼんがいちにょ)”と呼び、この真理を悟ることで、生と死の輪廻から解脱することができる…つまりウパニシャッド哲学の真理を知ることができるというのが、ウパニシャッド哲学の教えなのです。
当時のインドでは、生まれることと死ぬことを繰り返す輪廻転生は苦しいことであると考えられていました。
生まれることも苦痛、生きていることも苦痛であると考えられていたのは、現代と違い、飢えや病気、戦争や天災といった不幸に見舞われるからであり、だからこそ“生まれ変わることは苦痛である”とされていたのです。
だからこそ、その生死の繰り返し、輪廻転生から抜け出すこと=解脱は最上の憧れであり、目指すべきものでした。
ウパニシャッド哲学はこの解脱への道を拓くための存在だとされていたのです。
ウパニシャッド哲学の重要な教え「梵我一如」

ウパニシャッド哲学の中で最も重要な教えが、“梵我一如(ぼんがいちにょ)”です。
ここでは、梵我一如の教えが一体どのような意味を持っているのか、何を教えてくれているのかについて説明していきたいと思います。
宇宙と個人は同一であるという教え
ウパニシャッド哲学でキーとなっているのは、ブラフマン(梵)と、アートマン(我)です。
この教えは、宇宙と人はひとつであるという考えのもと生まれたものとなります。
しかしそれを人は理解できていない…だからこそ、宇宙と人はひとつであり、人は宇宙の一部であるのだということを理解できれば、そこで道が拓け、カルマや、輪廻の業から抜け出し、解脱することができるとされているのです。
「梵・ブラフマン」は宇宙の根源
ブラフマン(梵)は、宇宙の根本原理を意味しています。
宇宙に存在しているものすべての根源とされ、すべてがブラフマン(梵)から生まれ、そしてすべてがブラフマン(梵)へ帰すと考えられているのです。
この中にアートマン(我)として人も含まれるという考えが、梵我一如となります。
「我・アートマン」は人間の本質
アートマン(我)は、個の根源であり、人の本質、そして身体や心の変化をも超えた存在、永遠に変わることのない存在と考えられています。
サンスクリット語で“息”や“自我”といった意味を持っており、このアートマン(我)とブラフマン(梵)が同一とする考えがウパニシャッド哲学の教えなのです。
人は宇宙のひとつであり、一種、ブラフマン(梵)にアートマン(我)は含まれているとする考えが梵我一如となります。
梵我一如に至るための方法

ブラフマン(梵)とアートマン(我)は同一であるとする考えが梵我一如となりますが、ブラフマン(梵)の一部にアートマン(我)が含まれていると考えることがウパニシャッド哲学の基本的な教えです。
個々に存在しているブラフマン(梵)とアートマン(我)を合体させるというよりは、アートマン(我)をブラフマン(梵)に吸収してもらうようなイメージがウパニシャッド哲学の理想としているところであり、これこそがウパニシャッド哲学でいうところの解脱に繋がるとされています。
そのためには、ヨガや断食といった苦行を行うことが有効とされており、それによってアートマン(我)を捨て、ブラフマン(梵)に吸収させ同一化できるようになるのです。
ウパニシャッド哲学がその後の宗教に与えた影響と違い

ウパニシャッド哲学は、バラモン教に対するさまざまな宗教が生まれるきっかけとなったとされています。
ここでは、ウパニシャッド哲学が他の宗教へ与えた影響や、ウパニシャッド哲学とそれぞれの宗教の違いについて説明していきましょう。
ウパニシャッド哲学と仏教
仏教の開祖はゴータマ=シッダールタ。
“ブッダ”という名前のほうが分かるという人も少なくないのではないでしょうか。
輪廻転生と解脱の概念に関しては共通しており、苦しみに満ちている現世から解放されることを目標としている部分も共通していると考えることができるでしょう。
ただ、仏教はあくまでブッダが開祖となる独自の教えであり、ウパニシャッド哲学はバラモン教から生まれた思想であるという点では違いがあります。
また、ウパニシャッド哲学はアートマン(我)にあるように人間の内面を重視する哲学を持っているのですが、仏教においては自分の理性を信じることがないように…という教えもあるという点では、違いが大きいと考えられるのです。
ウパニシャッド哲学とジャイナ教

約2500年前にインドで生まれた宗教・ジャイナ教。
生き物を傷つけないこと、不殺生(アヒンサーという戒律)が特に強い教えとなっており、生命の尊重を最重要視している宗教でもあります。
不殺生の他にも、嘘をつかない、盗みをしない、性的な行為を行わない、所有しないという5つの戒律を根本としているという点も挙げられます。
輪廻転生を苦としていること、解脱を目指している部分や、バラモン教の祭祀中心主義への反発という点は、ウパニシャッド哲学と共通している点だといえるでしょう。
大きな違いはありませんが、ウパニシャッド哲学が解脱を第一の目的としている一方でジャイナ教は不殺生に重きを置いているという点で違いがあると考えられます。
ウパニシャッド哲学とヒンドゥー教
インドを起源とする世界最古級の宗教がヒンドゥー教です。
特定の教祖がいないという点や輪廻転生の思想を持っている点では、ウパニシャッド哲学と共通していると考えられるでしょう。
ブラフマー(創造)、ヴィシュヌ(維持)、シヴァ(破壊)という三神を中心とし、他にも多くの神様が存在するとされているのがヒンドゥー教であり、インドの古くからの文化やインド社会にちなんだ考え方と深い関わりがあるのです。
その一方で、ヒンドゥー教はウパニシャッド哲学を根源的な思想体系としており、そこからさらに広げていったという歴史を持っています。
大きな違いはないものの、ウパニシャッド哲学を基盤として発展していった宗教がヒンドゥー教であると解釈することができるでしょう。
占い師CRISSのワンポイントアドバイス「ウパニシャッドは自分を見つめ直す大切さを教えてくれる哲学」
生きることが苦痛、生まれ変わることもまた苦痛…そう考える人は現代ではかなり少ないかもしれないわ。
恋愛でも「生まれ変わっても一緒に…」なんてセリフが生まれるくらいだからね。
でも、古代のインドではそうではなかった…生まれ変わることは苦しみであり、そこから解放されるために生まれた教えがウパニシャッド哲学だった。
現代とは違う状況から生まれた考え方だからこそ、現代を生きるあなたを見つめ直し、新しい気持ちで生きるきっかけを与えてくれるはずよ。
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