お寺に行くと見かけたり、道端に置かれていたりするお地蔵さん。
このお地蔵さんに手を合わせてはいけないという話があるのをご存知でしょうか?
なぜお地蔵さんに手を合わせてはいけないのか、そしてどんなお地蔵さんにも手を合わせてはいけないのか、その辺りは気になるところだと思います。
そこで今回は、お地蔵さんに手を合わせてはいけない理由や、手を合わせてはいけないお地蔵さんの種類について紹介していきたいと思います。
目次
お地蔵さんに手を合わせてはいけないって本当?
お地蔵さんと聞くと想像するのは、柔らかな笑顔を浮かべ、目を閉じ、立っている姿でしょう。
神社やお寺、また時として道端や山奥などにぽつんとなっていたり、複数体で並んで立っていたりするお地蔵さんを見たことがある人は少なくないでしょう。
では、まずは、そんなお地蔵さんに“手を合わせてはいけない”という言葉の真意に迫っていきたいと思います。
なぜ手を合わせていけないのか、どんなお地蔵さんにも手を合わせるべきではないのか、確認していきましょう。
基本的には手を合わせて拝んでOK
お地蔵さんは、生きている間はもちろん、死後や生まれ変わるまでの間もずっと、人々を見守ってくれる存在だとされています。
そんなお地蔵さんですから、基本的には手を合わせて拝むことは“してはいけないこと”ではありません。
正式には地蔵菩薩と呼ばれるもので“菩薩”というのは悟りを開くために修行を積み重ねる人のことを指します。
お釈迦様が入滅したあと、次の仏である弥勒菩薩が現れるまでの56億7000万年の間、現世には仏が不在となってしまうため、その期間現世を守るために存在するのが地蔵菩薩なのです。
人に対して28種のご利益を授けてくれるといわれるお地蔵さんですから、拝むことで人々が願うご利益を授けてくれることでしょう。
手を合わせると危険なお地蔵さんもいるので要注意
基本的には手を合わせても良いとされているお地蔵さんですが、中には手を合わせてはいけない、または手を合わせないほうが良いというお地蔵さんも存在するのは事実です。
その理由の最たるものとしては、“悪霊に取り憑かれてしまうから”というもの。
お地蔵さんはすべての人を見守り、救ってくれる存在であるからこそ、誰かを供養するために建てられたものが多いといわれています。
そのためお地蔵さんには悪霊も近寄ってきやすいのです。
そこに何も知らない人が近づき、お地蔵さんに手を合わせてしまうと、お地蔵さんに近寄ってきていた悪霊が手を合わせた人についっていってしまうこととなります。
そのような危険性があるからこそ、“お地蔵さんに手を合わせてはいけない”と言われるようになったのだと考えられます。
お地蔵さんは手を合わせる対象でないという考えもある
お地蔵さんに手を合わせるべきではない…といわれている理由は他にもあります。
それは、“そもそもお地蔵さんは手を合わせる対象ではない”というものです。
お地蔵さんは、あくまで菩薩であり、決して仏ではありません。
そのため、手を合わせる…つまり礼拝する対象ではないから、手を合わせるべきではないといわれるようになったのです。
この場合には、手を合わせてはいけないという意味にはなりません。
“手を合わせてはいけない”といわれる理由は他にあるので、さらに確認していきましょう。
手を合わせてはいけないお地蔵さんとは?
それでは実際に、手を合わせてはいけないお地蔵さんとはどのようなお地蔵さんかということを確認していきましょう。
こちらでは、どのようなお地蔵さんに手を合わせてはいけないのかを解説していくので、参考にしてみてください。
道端で放置されているお地蔵さん
道端に放置されているお地蔵さんは、手を合わせてはいけないとされています。
どこに建てられているのかによって建立された意味に違いはありますが、道端にぽつんと置かれているお地蔵さんはその地域を見守る目的のために建てられていることがほとんどです。
信仰の対象として手を合わせて拝むために建てられたお地蔵さんではないため、手を合わせないほうが良いという考え方と、建てられた目的が明確ではないため、悪霊を含んださまざまな霊が近寄ってきやすいことで手を合わせないほうが良いという考え方があります。
そのような理由から、管理者がいないような、道端のお地蔵さんにはむやみに手を合わせないほうが良いでしょう。
事故現場に立っているお地蔵さん
過去に事故があり、誰かが亡くなっている場所に供養のために建てられたお地蔵さんにも手を合わせるべきではないといわれています。
お地蔵さんは、自身が建てられたその目的を自らの使命として全うしようとしているのです。
事故現場に亡くなった方の供養のために建てられたお地蔵さんは、もちろんその供養のために存在しています。
しかし、ここで人々がむやみに願いを唱えながら拝んだり手を合わせたりしてしまうと、心優しいお地蔵さんは拝んでくれる人に目を向けなければならないので、供養という使命からひと時でも目を逸らしてしまうことになるのです。
簡単にいえばお地蔵さんのお仕事の邪魔をすることになってしまうので、手を合わせてはいけないということになります。
お墓にいるお地蔵さん
お墓に置かれているお地蔵さんも、手を合わせてはいけないお地蔵さんだといわれています。
お墓に置かれているお地蔵さんは、冥界で苦しんでいる人を救うという目的で建てられているものです。
また、墓地の中に外界から悪霊が入ってこないようにするために墓地を見守ってくれているという役割も果たしています。
つまり、お墓を訪れた人にご利益を授けるために置かれているわけではないのです。
こちらも、お地蔵さんが本来果たそうとしている使命を邪魔してしまうからという理由で、手を合わせてはいけないのだと考えられます。
水子供養のためのお地蔵さん
水子供養のためのお地蔵さんも、手を合わせてはいけないといわれています。
水子とは…流産や中絶によって生まれてくることができなかった子供や、生まれて一年以内に亡くなってしまった子供のこと。
水子供養のお地蔵さんの特徴は、赤い涎掛けをしていることです。
水子供養という目的をもって置かれているお地蔵さんであるため、訪れた人が自分の願いを叶えてほしいと手を合わせるためのお地蔵さんではないというのが手を合わせてはいけない理由だといえるでしょう。
それでも手を合わせた人に対しては、お地蔵さんはちゃんと向き合ってくれてるため、その間は水子供養の使命がおろそかになってしまいます。
お地蔵さんのお仕事を邪魔しないためにも、水子供養のお地蔵さんには手を合わせないようにしましょう。
正しい拝み方は?お地蔵さんのお参りの仕方
お地蔵さんに手を合わせるのが基本的にはOKとされていても、どのようにお参りすれば良いのかが分からない人もいると思います。
ここでは、お地蔵さんを拝む際の正しい方法について紹介していきましょう。
厳格なルールはない。心を込めてお参りする
お地蔵さんを拝むのに、正式なルールのようなものはありません。
そのため、拝みかたというのは基本的に自由であり、お地蔵さんに対して自分が伝えたい感謝の気持ちや敬意の心を持って拝めばそれでOKといえるでしょう。
心がこもっていれば正解・不正解はありませんし、手を合わせてはいけないといわれているお地蔵さんでなければ、きちんと手を合わせて拝むことも問題ありません。
何も考えずに手を合わせるのではなく、しっかりと心で感謝の気持ちや願いを伝えるようにすることを忘れないようにしてください。
神社やお寺にある場合
お地蔵さんが神社やお寺にある場合には、それぞれのお参りの基本的な方法がありますので、それを実行すれば良いでしょう。
神社であれば二礼二拍手一礼すること、お寺であれば合掌して一礼することが、それぞれの寺社仏閣にあるお地蔵さんの正しいお参りの方法となります。
また、神社やお寺にあるお地蔵さんをお参りする際には長居することなく、気持ちを伝えたらすぐにその場を離れるようにしましょう。
忙しい地蔵菩薩様のために、早く世を見守れるようにするためです。
お地蔵さんに唱えるお祈りの言葉
お地蔵さんをお参りする際には、真言を唱えると良いといわれています。
真言とは…嘘偽りのない真実の言葉であり、仏様や菩薩を称える言葉でもある。
お地蔵さんに唱えると良い真言は「オン・カカカ・ビサンマエイ・ソワカ」です。
これを3回唱えた後に、自らの言葉で感謝の気持ちを伝えたり、願いを唱えると良いとされています。
真言はサンスクリット語であり、言葉の中には訳すことができないものもあるのですが、日本語で表現するのであれば「ありがたく慈悲深いお地蔵様を拝ませていただきます」というような意味となるのです。
お地蔵さんを拝む際には、まずこの真言を唱えるようにしましょう。
お地蔵さんへのお供え物
お地蔵さんをお参りする際にお供え物を用意していこうと思っている人も少なくないと思います。
もちろん、お地蔵さんにお供え物をするのは問題ありません。
しかし、お地蔵さんにお供えするのであれば、お花でもトゲのあるものはNG、生ものなど品質の変わりやすいものはNG、ニオイがきついものや辛いものは避けた方が良いなどとルールが存在するのです。
お地蔵様が子供と一緒に食べることができるようにお饅頭などのお菓子を供えるのが良いとか、ジュースや水、お茶などを供えると良いなどといわれていたり、お賽銭を供えれば良いなどといわれています。
お地蔵さんは写真に撮るのもダメって本当?
柔和な表情で置かれているお地蔵さんは時に「可愛らしい」と感じたり、ノスタルジックな雰囲気を感じ、ついつい写真に収めたくなってしまうこともあるでしょう。
お地蔵さんの写真を撮ることは、不敬に当たるなどという考え方もありますが、実際のところは必ずしも写真を撮ることはNGというわけではありません。
写真を撮る際に、撮影する側の人が面白半分で撮影するわけでなければ、不敬に当たることにはならないのです。
しかし、写真を撮る際にも、そのお地蔵さんの写真を撮っても良いのか、撮らないほうが良いのかを個々に自分で考える必要があります。
誰かを供養するために建てられたお地蔵さんであれば撮影すべきではありませんし、お地蔵さんがお墓に建てられているのであればやはりその背景を考慮して撮影すべきではないでしょう。
占い師CRISSのワンポイントアドバイス「手を合わせてはいけないお地蔵さんにも敬意を払おう」
お地蔵さんの中には、手を合わせてはいけないお地蔵さんもいるわ。でも、どんなお地蔵さんにもちゃんと使命があり、お地蔵さんは常に世の中を見守ってくれているのよ。
だから、手を合わせてはいけないお地蔵さんだったとしても、敬意を払うべきなの。
手を合わせて拝むことはなくても、前を通るときにそっと感謝の気持ちを伝えるようにしましょうね。