夏が近づいてくると耳にしたり目にすることが多い行事だと思います。特に6月に神社に参拝すると境内の中に大きな輪があることを見かけるでしょう。
意味もよくわからず大人たちの真似をしたりとなんとなく参加してきた行事なのではないでしょうか?
実は、年明けから6月までの半年のケガレや厄を祓うことができる行事でもあるのです。今回は、夏越しの祓について詳しく見て行きたいと思います。
目次
夏越の祓ってどんなことをするの?由来や歴史について
夏越の祓の由来
現代でも12月31日の大晦日は節目とされていますよね。それと同じく、6月30日も節目の日とされてきたのです。
人間は生きている限り、どんなに気を付けていても知らずに罪を犯したりケガレを受けています。
罪の種類も現代でいう法律で裁くことができる罪だけではありません。電車に乗る時に横入りするのも蚊を殺生するのも罪と言えば罪です。
半年に1日を新たな日々を迎えるための物忌みの人定めていたのです。6月は夏を迎えるための節目なので夏越しの祓と呼んでいます。
夏越しの祓はいよいよ夏が訪れるという時期の行事です。夏越しの祓はなごしと呼びますが、和しという読みから当てられた漢字とも言われています。
和しは、邪心を鎮めるという意味を持つ言葉なのです。
現代であればクーラーもスポーツドリンクもあるので夏が訪れても少し辛い程度かもしれません。
いくら温暖化が進む昔と言えどもクーラーやスポーツドリンクがない夏は過ごしにくいですよね。
そんな暑い夏を何事もなく乗り越えるための御祓いという意味あいを持つ儀式でもあったのです。
地方によっては、ケガレを取り除くためにも井戸のそうじや川の神様や田畑の神様のお祭りなども行われていたそうです。
拾選和歌集にも記されている夏越しの祓
そんな夏越しの祓がいつ頃から行われていたのか?ということも気になりますよね。後述しますが、特徴的な茅の輪に関しては「備後の国風土記」に記載されています。
夏越しの祓は、拾選和歌集にも掲載されています。
この和歌集は他の和歌集から漏れてしまった和歌で編纂されているのではっきりとした時代を読むことはできません。
でも、拾選和歌集が編纂されたのが一条天皇の時代の頃なので西暦1,000年頃です。気が遠くなるくらいの昔ですね。
そんな昔の儀式が今も残っていると思うと少しロマンを感じませんか?1,000年前の人と現代の人が6月30日に同じようなことを行っているのです。
また、茅の輪を通る時に唱える和歌もあります。「水無月の夏越の祓する人は千歳の命のぶというなり」というものが有名です。
でも、茅の輪くぐりの和歌も何通りかあるみたいです。
夏越しの祓には穢れ落とし、厄落とし、疫病退散のため
夏越しの祓の意味は、新年からこの半年までのケガレや汚れを落とすという意味を持った儀式となっています。
元々は、知らず知らずに犯してしまった罪やケガレを取り払うという意味ではなかったそうです。
1番最初は疫病退散という意味あいが強かったのが徐々に罪やケガレを取り払うという性格のものになっていったとされています。
現代では、疫病が流行るのは冬の方が多いかもしれません。昔は衛生状態が良くなかったこともあり夏場に原因不明の疫病が流行ることが多かったのです。
その疫病も現代医学にかかれば一瞬で病名がつくようなものも多いのかもしれませんが、当時はそれが命取りになっていました。
なので、夏越しの祓という形の神事が行われるようになったのでしょう。今でも現代医学で太刀打ちできない病気などは御祓いをすることもありますよね。
人は見えないものを怖がるという性質を持ちます。なので、今のようにウィルスも最近も見えず、レントゲンもなく体内を見ることもできなかった時代は怖いことばかりだったのでしょう。
そして、疫病で死が訪れるのであれば神にすがってでも避けたいことですよね。
年越の祓と夏越の祓の違い
実は、夏越の祓と対になる行事があります。それが年越の祓です。漢字の並び方からも想像がつくと思いますが、こちらは年末に行う行事となっています。
前述した通り、昔は半年に1回を節目とし自分たちの罪やケガレを払ってきました。現代は、6月頃に神社に出向く人や信心深い人以外は年末だけの行事となってしまっているかもしれません。
正月からの半年が終わる6月30日と残りの半年の12月31日が物忌み日と呼ばれ、人が無意識に行ってきた罪やケガレを祓う日となっています。
この年2回の行事は、大祓と呼ばれています。どちらもこれからの季節を乗り越えるという意味あいもありますよ。
年越の祓の方は、寒く厳しい冬を乗り越えていくというよりは新年に向けて身を清めるというイメージの方が強くなってしまっているかもしれませんね。
夏越しの祓も年越の祓も演技を担ぐために食べるもの以外は儀式の内容もあまり変わらないと言えます。
茅の輪をくぐるのは同じです。大みそかは仏教の文化となりますが、その後に除夜の鐘を聞いたりと忙しい人も多いでしょう。
1日で神社とお寺の行事に参加するのは日本人らしいと言えばそうですよね。
夏越の祓はいつ行われる?
夏越の祓は、正式には半年が終わる6月30日に行われる行事になっています。でも、最近では茅の輪は6月中おいている神社も多いでしょう。
茅の輪めぐりをして人形を依り代にして自分の罪やケガレを写すのです。そして、その人形をお炊き上げするという形になります。
なので、現代では6月30日ちょうどに神社へ行く必要がなくなっています。あらかじめ6月の好きな日に参拝して人形を預けておくのです。
また、最近では郵送で受け付けられていることも多いのでそこまで負担になることもないでしょう。
夏越の祓の「茅の輪くぐり」とは?意味とやり方
夏越しの祓の茅の輪くぐりとは?
夏越しの祓のメイン行事に茅の輪くぐりがあります。こちらは、夏越しの祓の時期も年越しの祓の時期も同じように設置されます。
現代でも6月に入ると神社の境内のど真ん中に設置されていることが多いので見かけたことがある人も多いでしょう。
今までは何も考えずに習慣だけで行ってきた人も多いかもしれません。茅の輪は、茅という植物を束ねて作られた大きなわっかです。
茅はイネ科の植物で田んぼの近くに生えているので見たことがある人もいるかもしれません。
茅の輪は、多くの人が通り抜けることができるサイズになっているので直径2m~3mとなっています。
初めて見た時は必ず大きいという感想を持つくらいインパクトがあるものになっています。こちらのわっかを儀式の手順通りくぐると身が清められると言われています。
なぜ茅の輪を使う?
夏越しの祓に茅の輪をくぐるのは「備後の国風土記」という書物に記されています。旅に出たスサノオノミコトが宿を探していました。
すると、貧しいながらも蘇民将来という人物が心からおもてなしをし宿を提供したのです。その後、この旅が終わり再びスサノオノミコトがお礼をするために戻ってきました。
その時にスサノオノミコトが蘇民将来に渡したのが茅の輪だったのです。この時の茅の輪は現代のように人がくぐることができるサイズでなく小さなものでした。
スサノオノミコトは茅の輪を渡すと同時に疫病が流行することがあれば、この茅の輪を腰につけておけば疫病を避けることができると伝えたのです。
その後、疫病が流行ることがあり蘇民将来の娘が言いつけ通り腰に茅の輪をつけたところ疫病から逃れることができたという言い伝えがあります。
この話は、備後の国風土記だけでなく日本の色々な場所で伝承として伝わっているそうです。
茅の輪を腰につけて厄払いをするという話から徐々に茅の輪くぐりへと変化していったと言われています。
茅の輪くぐりの方法
茅の輪くぐりも厄払いの儀式の1つとしてやり方があります。でも、そんなに難しいものではありませんので誰でも簡単に行うことができるので安心してください。
まずは、神社の本殿を正面として茅の輪の前に立ちます。次に左にくぐりましょう。そして、右にくぐり、左にくぐってください。
左からくぐり、∞の記号のような形にくぐると表現すればわかりやすいでしょうか?一般的には、3度くぐるべきと言われていますが地方によって違いがあったりもします。
現代では、茅の輪の近くにくぐり方の案内が設置されていることも多いので確認をしながらくぐってください。
そして、その後に人形を依り代とし納めると茅の輪くぐりは終わりです。昔は、境内に設置されている茅を1本持って帰って自分で輪を作り軒先に飾るのが主流だったようです。
現代はマンションやアパートなどの集合住宅で暮らす人が増えたこともあり、軒先に吊るし辛くなったのも見かけなくなった理由の1つかもしれませんね。
北野天満宮には京都最大の茅の輪が!
北野天満宮で行われる夏越の祓の茅の輪が京都で最も大きいと言われています。直径5mもの大きさなので、通常の2倍程度といった規模であると言えます。
神事の内容は、ほかの神社と同じく神職と共に茅の輪をくぐり人形を使って御祓いを行います。
ちなみに授与される小型の茅の輪守りは直径7cm~8cmの大きさです。
身代わりになってくれる夏越の祓の「形代」について
人形が身代わりになってくれる?
https://www.youtube.com/watch?v=kS7qjJ2fGOQ
夏越しの祓で茅の輪くぐりの次に必ず行う儀式があります。それは、人形を依り代に見立てて自分の罪やケガレを写すことです。
その人形は、人形に切られた半紙なので紙です。これに名前と生年月日を書いて、体をなでてからふーッと息を吹きかけるという方法が最もスタンダードでしょう。
自分の体をなでるという作業があることから撫物という呼び方をする場合もあります。これを夏越しの祓の日に神社へ持っていきます。
最近では、事前にあずかってくれる場合や郵送で受けてくれる場合も多いので当日にこだわる必要はないのかもしれません。
ただし、6月30日よりも後になってしまうと意味をなさないので注意をしてください。最後に人形は神事を行った後に川や海に流すそうです。
現代ではお炊き上げをおこなっている神社も多いでしょう。しっかりと自分の罪やケガレを祓うことによって、残りの半年も災いなく過ごすことができるのです。
人形の入手方法
夏越しの祓に使用する人形は、神社で頂きます。6月に入ると神社の境内に設置されていることが多いでしょう。
その神社で御祓いなどを何回も受けている場合は、神社側から郵送で送ってきてくれる場合もあります。
この時の人形は半紙を人の形にカットしたものになります。神社に郵送してもらったときに、家族の人数が多くて足りないときは自分で作っても良いと書いてあります。
なので、自分で紙を使って作成しても良いでしょう。その場合もコピー紙などよりも半紙を切って作る方が良いと言えます。
人形の書き方
https://www.youtube.com/watch?v=rItJ1-GzFOk
夏越しの祓においての人形の書き方を紹介します。人形の書き方は、難しいものではありません。
まずは、自分の名前を書きます。そして、生年月日と年齢を書きます。基本的には縦書きをするので生年月日は元号で表すようにしましょう。
そして、1番間違いやすいポイントは年齢です。現代では、医療機関などで年齢を問われると満年齢を記しますよね。
なので、満年齢を使うということが当たり前になっていると思います。でも、この場面では満年齢ではなく数え年齢を使います。
数え年齢とは昔の日本で使われていた年齢の数え方です。現代では生まれた日は0才ですよね。
0才から1日ずつ数えていくと思いますが、昔は、生まれた日に既に1才と数えていたのです。
元々は、中国で使われてきた数え方みたいですが0という概念がなかったということも理由の1つみたいです。
また、現代では1年後の誕生日が訪れると年齢に1才足しますが当時は新年を迎えた時点で1つ足すという形だったみたいです。
数え年と聞かれると頭がこんがらがってきてしまいますよね。1番簡単なのは、今年の満年齢に1つ足すということです。
まだ、今年の誕生日がきていないのであれば2つ足しましょう。自分で思っている年齢よりも上の年齢になってしまうのでショックを受けることもあるかもしれません。
でも、年齢の数え方って難しいですよね。
夏越の祓でのお祓いの仕方
夏越しの祓の御祓いの仕方についても紹介します。まずは、自分自身が行う御祓いの儀式について説明しましょう。
前述した通りに最初に茅の輪をくぐって、半年の罪やケガレを祓います。その次に人形に名前、誕生日、年齢を記入します。
全て記入が終わったら、その人形で自分の体を撫でます。気になる部分があれば重点的に撫でても良いでしょう。
そして、最後に人形に対して自分の息をふーッと吹きかけます。これで自分で行う御祓いの儀式は終わりです。
終わったあとは所定の場所に人形と初穂料を納めておきましょう。郵送の場合は、この時点で封筒に詰めてポストに投函します。
郵送の場合の初穂料は振込の場合が多いです。
ここから先は神社で行う御祓いの儀式となります。神社ではたくさんの人の人形を集めて、夏越しの祓の日に「大祓いの祝詞」を読み上げ神事を行います。
その後に人形を川や海に流したりお炊き上げするのです。神社によっては、お守りや供物などのおさがりが渡されることもあります。
お守りはこの先の半年間はしっかりと思っておきましょう。供物のおさがりは積極的に食べて取り入れてください。
本格的に厄落とししたい!
新年始まってからの半年の間が例年よりも不幸なことが続く…などと感じている人もいるかもしれません。
その場合は、残りの半年も同じく運が悪いと思いながら過ごすのは嫌ですよね。そんな方は個別に祈祷をしてもらいましょう。
基本的に夏越しの祓という名目のご祈祷を用意している神社は少ないかもしれません。なので、自分の希望に合う項目を選びご祈禱をしてもらってください。
厄除けが1番ぴったりであるように感じてしまいますが、厄除けは厄年のみの御祓いと言われています。
なので、除災招福という項目を選ぶと良いでしょう。ほかに健康祈願や縁結びと言った具体的な願いがあるのであればそちらを選んでください。
ご祈祷を申し込む場合は、神社の社務所で申し出てみましょう。多くの神社では申し込み書を渡されます。
名前、生年月日、住所などを書く項目があるのできちんと埋めてください。全てを読み上げながらの儀式となるのでフリガナもわかりやすくつけておきましょう。
その後は、神社の方の言う通りにすれば問題ないです。とりあえず、事前に行うことはスマホの音を切っておくことくらいでしょう。
初穂料は、平均すると5,000円からの神社が多いです。場所によっては、3,000円から始まる神社もありますが5,000円からを想定しておきましょう。
最低金額だけが決まっており上限は決まっていない場合が多いので自分で考えてみましょう。
特に財布に余裕がない場合は最低金額でも問題ありません。
また、郵送で夏越しの祓を申し込む場合は別に初穂料やご祈祷料の記載がある場合も多いです。
その場合は、その説明をきちんと読み指示通りに初穂料を納めるようにしてください。少し割高に感じてしまうかもしれませんが、お守りやおさがりがついてくることの方が多いです。
遠方の神社であったり、自ら足を運ぶことが難しい状態であれば郵送も気軽に利用してみましょう。
神社へ自ら出向かないことよりも御祓い自体を止めてしまう方が問題だと言えます。神様を信じる心が最も大事なので失礼には当たらないでしょう。
夏越の祓ってどの神社でできる?東京や京都全国の神社の夏越祭
東京 神田大明神
東京では、神田大明神で夏越しの祓が行われています。最寄り駅が秋葉原駅もしくは御茶ノ水駅なのでアクセスは悪くないでしょう。
最近では密を避けるために事前に人形を納めておき、神事の様子をyoutubeで眺めるということもできるようになっています。
初穂料の金額により、お守りやおさがりにバリエーションがあります。1,000円以上は大祓神札、2,000円以上は大祓神札と茅の輪御守、3,000円以上は大祓神札と茅の輪御守、おさがりです。
郵送であっても同じなので無理して神社へ参拝する必要はありません。茅の輪は、事前に設置されているので先にくぐっておきましょう。
東京 東京大神宮
なので、1度は目にしたことがある人も多いでしょう。元々、東京大神宮は東京の伊勢神宮だったと言われている神社です。
今でこそ新幹線や飛行機を乗り継げば簡単に伊勢神宮へ参拝することが叶います。でも、それらの便利な交通手段がない時代は伊勢神宮へ行くことさえままならなかったのです。
大げさでもなく命がけでした。なので、伊勢まで行かなくても東京で伊勢神宮の神様に参拝できるようにという意味を持つそうです。
なので、霊験あらたかな神社なのです。東京大神宮は飯田橋にありアクセスも簡単ですよね。そんな東京大神宮でも夏越しの祓は行われています。
他の神社と同じく6月に入ると神社の境内に茅の輪が設置されるのでくぐって、人形に自分の罪やケガレを移しましょう。
2021年は6月10日から茅の輪が設置されていたそうです。出かける前は公式HPで最新の情報をチェックしてみてください。
京都 北野天満宮
市営バスや嵐電、地下鉄を乗り継いでいってみましょう。茅の輪をくぐって、人形にケガレや罪をうつすという点はほかの神社と同じです。
ちなみに、お守りの初穂料は茅の輪守りが500円、悪疫除札が8,00円、2つがセットになっているものが1,200円です。
京都 西院春日神社
こちらの神社もほかの神社と同じく境内の中に茅の輪が設置されています。また、夜に1時間ほどの祭典が開催されるので地元の方が参加されています。
どちらかというと、地域密着という形の神社なのでしょう。
京都 上賀茂神社
京都には、賀茂神社が2つあります。上賀茂神社と下鴨神社です。元々は、周辺一帯にすんでいた賀茂一族の神社だったそうです。
上賀茂神社も市営バスを使えばそこまでアクセスも悪くないと言えます。観光名所としても人気がある神社ですよね。
上賀茂神社の夏越神事は午前中から行われます。神職が茅ノ輪くぐりをし、その後に参拝者もくぐることができます。
夜には夏越大祓式という儀式が行われます。ほかの神社と同じく、人の形をした紙に罪や穢れをうつした人形を川に流す人形流しを行います。
境内では、夏越しの祓の儀式だけでなく賀茂なすやトマトなどを販売する夏越市が行われたり楽しいイベントも開催されています。
ほかにも夏越豆腐が無料で配布されるので楽しみにしている人も多いはずです。
京都 下鴨神社
下鴨神社の夏越神事は、少しほかの夏越しの祓とは形が違います。別名を矢取りの神事と呼ぶ神事となっています。
開催時期は、毎年立秋前日の夜です。ここでは、半年でなく一年の厄払いを行い無病息災を祈ります。
斎竹を立てて清めた御手洗池の中央に斎矢(いみや)を立てます。そして、厄除けの人形を流すのです。
最後に氏子の男が池に勢いよく飛び込み、矢に見立てた斎串を奪い合うという儀式になっています。
一般的な夏越しの祓とは、形が違って面白いですね。
滋賀 賀茂神社
実は、滋賀県にも賀茂神社という神社があります。こちらは、公共交通機関でのアクセスは少し不便です。
でも、近くにクラブハリエのラコリーナがあるので観光のついでにはぴったりだと言えます。
こちらの神社は陰陽道で言う日本の中心に建立された神社です。日本の気が集まる場所とされているパワースポットです。
夏越しの祓は、ほかの神社と同じく茅の輪をくぐり人形を納めます。ただし、時期が7月末と少し遅くなっているので注意しましょう。
奈良 春日大社
春日大社の夏越の祓も茅の輪をくぐり、人形に罪やケガレをうつして払うのです。また、春日大社の近くには氷室神社という神社があります。
古くは、そこに氷室があり氷を保管していたと言われています。水無月の和菓子が登場する前は貴族は氷室の氷をなめて邪気を払っていたそうです。
三重 伊勢神宮
でも、日本を代表する神社なので昔の人でなくても一生に1度は行ってみたいですよね。伊勢神宮では夏越の祓以外にもたくさんの神事が行われています。
白い衣装を身にまとった神職が神事を行います。神宮の職員全員の心身を祓い清めます。現代の伊勢神宮では、ほかの神社のように参拝者は参加しません。
茅の輪も立てられませんし、人形にケガレや罪を移すという作業も行いません。神社の人が神社の人のために行う行事という形で行われます。
でも、文献にはみんなで茅の輪くぐりを行っていたという記録も残っています。不思議ですよね。
元々、個人の欲望や祈願のためでなく日本の平和や国家安寧を願うために作られた神社ということも理由の1つかもしれませんね。
福岡 太宰府天満宮
夏越の祓が行われるのは、東京や関西だけではありません。福岡を代表する神社である太宰府天満宮でも行われています。
太宰府天満宮は北野天満宮と共に祀られている神様が同じという共通点があります。なので、同じような形で神事が行われています。
太宰府天満宮も誰でも参加をすることができる形のスタイルです。なので、境内の茅の輪をくぐり人形に罪やケガレを移します。
こちらでは、最後にお炊き上げを行います。遠方の方でも参加しやすいように郵送での受付もあるので参考にしてみてください。
夏越の祓に食べたい行事食とは?
夏越しの祓では水無月を食べる
夏越の祓に食べたい行事食は和菓子の水無月です。元々、京都だけで食べられていた行事食でしたが現代では広く広まってきています。
6月30日になると東京の百貨店でも特集が組まれるようになりましたよね。元々、旧暦の6月1日を氷の節句や氷の朔日と呼んでいました。
御所では、その時期に氷室から氷を取り寄せて口に含むことで厄払いを行っていたのです。でも、今と違い冷蔵庫がなかったこともあり昔は氷がすごく貴重でした。
氷室の中の氷の解け具合でその年を占ったりもしたそうです。それだけ神秘的な存在だったということもありそうですね。
なので、それほど貴重な食材だったこともあり庶民がそれを口にすることはできなかったのです。そこで生み出されたのが和菓子の水無月です。
よく見ると氷のようにも見せませんか?水無月を氷と見立てて夏越の祓の日に食べることで庶民は厄を払っていたのです。
水無月の三角形は氷室の氷を表しています。そして、上にトッピングされた小豆は悪魔払いの意味を持っているのです。
簡単に言うと三角形のういろうに小豆をトッピングした和菓子です。ういろうなのでもちもちして食べ応えもあります。
最近では、ノーマルの白い水無月だけでなく抹茶味なども登場しバリエーションも増えてきています。
水無月を見かけると夏の始まりを感じますね。最近では、京都の百貨店でも当日に特設コーナーが作られており、各和菓子屋さんの水無月を食べ比べることも可能です。
老舗和菓子屋の虎屋でも販売
羊羹で有名な虎屋でも水無月の取り扱いがあります。例年、6月25日あたりからの販売となっています。
虎屋の水無月は水無月と白水無月の2種類です。白水無月は、一般的なういろうの水無月となっています。
水無月の方は、白下糖でコクのある味わいがあり黒い色をしています。並べると目にも美味しいですよね。
ただし、販売店舗は限られており東京近郊と京都のみの取り扱いになっています。
基本的には、普段から生菓子を扱っているお店であれば間違いないと思われます。店舗によっては、水無月だけ取り扱っていることもあるので確認しておきましょう。
京都の老舗の鶴屋吉信では変わり種も
京都で人気の和菓子屋さんである鶴屋吉信の水無月は、一般的なういろうの上に小豆がトッピングされているというスタイルの水無月です。
貴重な上質の馬路産大納言を使っており、大粒の小豆が美味しさを高めてくれます。こちらの水無月は本店と一部店舗のみの取り扱いになります。
そして、少し変わり種の和菓子の夏越川というものもあります。こちらは、上賀茂神社の清流をイメージした琥珀糖です。
見た目には氷にも見えるでしょう。シャリシャリとした食感の中につるんとした食感を味わうことができます。
材料もシンプルに上質な砂糖、寒天、柚子のみとなっています。無病息災で夏を超すことができるようにという願いが込められています。
こちらは、本店のみでの販売となっています。
新しい行事食!夏越ご飯
最近では、6月30日は夏越の祓だけでなく暑い夏を元気に過ごすために食べるご飯として夏越ご飯が登場しています。
古くからある行事食を水無月とするのであれば、夏越ご飯は新行事食と言えるでしょう。この新行事食は、公益社団法人 米穀安定供給確保支援機構が提唱しています。
公益社団法人 米穀安定供給確保支援機構が提唱していることもあり、お米が使われています。
でも、そもそもお米は日本人のソウルフードでもありますよね。昔からお米を大切にしてきたこともあり、神様に備えたりしたことも多い食べ物です。
さらに、税金として納めてきたこともあり日本人とは切っても切れない縁があるとも言えるはずです。
現代でも豊穣祈願や新嘗の行事に欠かせないものですよね。夏越ごはんは、雑穀ごはんをベースにします。
その上に夏越の祓でくぐる茅の輪をイメージした輪を夏野菜で作りのせます。
雑穀を使うのは、スサノオノミコトが宿探しをしていた時に蘇民将来が粟飯を出しておもてなしをしたという言い伝えに基づいています。
この話は、茅の輪をくぐるようになった元になっている伝説のエピソードとなっています。
ごはんと茅の輪のように丸い食材の2つの要素があれば夏越ごはんです。かき揚げ丼、夏野菜カレー、ビビンバなどレパートリーも豊富です。
あなたらしいメニューで夏越ごはんを作って楽しみましょう。ご飯を作る楽しみもありますよ。
また、公式サイトにはレシピも掲載されているので参考にしてみてください。
夏越ごはんを家で作ろう!
新行事食の夏越ごはんは、ベースに雑穀米を使います。その中でも特に小豆を使って炊いたご飯がおすすめです。
行事食の水無月のトッピングにも小豆が使われていますよね。古くから小豆は邪気除けに良いとわれている食材です。
何でも小豆の赤い色が邪を払ってくれるそうです。それだけでなく、小豆は体の中の老廃物の排出を高めてくれる効果もあると言われていますよ。
なので、伝承抜きにしても季節の変わり目に取りたい食材でもあると言えるでしょう。小豆ご飯の作り方は意外と簡単です。
赤いご飯と言えば、赤飯を思い浮かべる人も多いでしょう。でも、本州でいる赤飯で使われている豆はささげです。
北海道で食べられている赤飯は小豆となっています。多くの人が想像する赤飯と小豆ご飯は違う食べ物なのです。
きちんとご飯を炊く前に浸水させるのが美味しく炊き上げるコツです。炊飯器で簡単に作ることができるのでレシピを参考にしてみてください。
占い師秋桜のワンポイントアドバイス「夏越の祓は古来から続く歴史あるお祭り!夏も健やかに過ごそう」
けど、よく調べるとこの半年の罪やケガレを払い新たな気持ちで半年を過ごす行事でもあったのよ。
まぁ、今どきの考え方にすると半年たったけどまだまだ今年は残ってる!かもしれないわね。
あとは、クーラーなど便利アイテムがない時代の夏を乗り越えるための儀式だったのかもしれないわ。
現代では昔ほどでもないかもしれないけど気を付けた方が良いかもしれないわね。暑く厳しい夏を乗り越えるには必要な行事だったのかもしれないわよ。
古臭いとか言わずに次の6月は夏越の祓を意識しながら行事に参加してみない?