毎年2月14日にやって来る、バレンタインデー。
街にはチョコレートの甘い香りが漂い始め、男女ともに、ドキドキわくわくしている人も増えてきます。
「今年のバレンタインはどうしようかな…」と考える人も少なくありません。
ここではバレンタインデーの起源から、日本のバレンタインデーの歴史や習わし、諸外国のバレンタインデーはどんな過ごし方をしているのか、余すところなくお伝えしていきます。
バレンタインデーに関することを、いろいろと知ったうえで迎えるバレンタインデーは、また違ったバレンタインデーを過ごすキッカケになるかもしれません。
目次
バレンタインの起源とは?
聖バレンタイン(ウァレンティヌス)
バレンタインデーの起源をさかのぼっていくと、ローマ帝国の時代にたどり着きます。
当時のローマ皇帝・クラウディウス2世は、結婚を禁じていました。
その背景にあったのは、「結婚をして家族が出来てしまうと、兵士たちの士気が落ちてしまう。」「結婚をすることによって、家族と離れがたくなり、戦争に行きたくないという兵士が増えてしまう。」という考えを持っていたからです。
しかしそんなローマ皇帝・クラウディウス2世の考えに、疑問を持っていたのがキリスト教司祭のウァレンティヌス。
ウァレンティヌスは、結婚が許されないまま戦争へと送られていく若い兵士たちをかわいそうに思って、秘密裏に結婚式を執り行っていたのです。
ところがこのことが皇帝・クラウディウス2世の耳に入ってしまいます。
「二度と法に背かないように。」と命じられますが、ウァレンティヌスは命令に従うことはなく、兵士たちの結婚式を続けていました。
命令に背き続けたウァレンティヌスは、ついに処刑されてしまいます。
このウァレンティヌスが処刑された日が、269年2月14日だったのです。
ウァレンティヌスは処刑後、聖人「聖バレンタイン」としてその名を多くの人に知られることになります。
以降ローマの国民が、ウァレンティヌス(聖バレンタイン)を祭って、毎年2月14日にお祈りをすることになったのが、始まりとされているのです。
ファウヌスとルペルカリア
ローマ帝国では、キリスト教が布教する前、ファウヌスという神の信仰がありました。
ファウヌスとは、田園と牧人の神様で、豊穣と多産を祈る祭が毎年2月15日に行われていたのです。
このお祭りを「ルペルカリア」と呼び、ファウヌスの別名でもある「ルぺルクス」が由来となっています。
ルペルカリアでは、前日に村の女性が自分の名前を書いた紙をツボに入れ、男性がそのくじを引くことでパートナーを見つけるという、縁結び的な日でもあったのです。
ここでカップルとなった二人は、しばらく交際を続けるのですが、後に結婚に至るというカップルも多かったといわれています。
その後ローマでキリスト教が認められ、布教し始め、キリスト教徒が増えてきたことによって、徐々にすたれていくことになるルペルカリア。
しかしパートナーを見つけるという伝統は残っていたことから、前日の2月14日の、「聖バレンタイン」の日と結びつき、バレンタインデーという日が出来たということなのです。
「愛の日」は大切な人に贈り物をする日
「聖バレンタイン(ウァレンティヌス)」が恋人たちのために結婚式を秘密裏に執り行って、愛のために処刑されることになってしまったことと、「ルペルカリア」では男女の縁結びともいえる伝統があったことが所以となって、「恋人たちの日」「愛の日」として世界に浸透していったバレンタインデー。
日本では、バレンタインデーといえば、「女性から男性にチョコレートを贈る日」と認識されているのが一般的なイメージだといえます。
とはいえバレンタインにはチョコレートを贈るというのも、女性から男性に贈るという風習も、実は日本だけのことであって、世界的には「大切な人に贈り物をする日」というのが、一般的な認識となっているのです。
プレゼントを贈る対象も、何を贈るのかも、国によってさまざま。
もちろん恋人や夫婦に贈る人は多いのですが、家族や友達など、自分が大切に思っている人であればプレゼントを贈る対象になります。
チョコレートを贈る人もいますが、お菓子や花束、メッセージカードやちょっとしたプレゼント、アクセサリーや特別なディナーやお出かけなど、千差万別だといえるのです。
日本のバレンタインの発祥は神戸!日本におけるバレンタインの歴史
モロゾフが昭和11年に作った日本のバレンタイン
日本で「バレンタインにはチョコレートを贈ること」が定番となったキッカケは、あのチョコレートショップで有名な「モロゾフ」だといわれています。
1936年(昭和11年)、当時神戸で発行されていた英字新聞の「ジャパンアドバタイザー」に広告を掲載したのが始まりです。
その広告に書いてあった言葉は「バレンタインデーにはモロゾフのファンシーチョコレートを贈って愛を伝えましょう」というもの。
バレンタインにチョコレートを贈ろうというスタイルを確立することになる言葉を、初めてアピールした広告だったといえるのです。
これは、モロゾフの創業者が「バレンタインデーには欧米では愛する人に贈り物をする」という習慣があることを知り、「日本でも贈り物文化を広めたい」と考えたことが、キッカケだといわれています。
バレンタインの日に贈るためのチョコレートとして、ハートや花束をモチーフとしたバレンタインギフトを商品化したモロゾフは、広告を掲載して、人々にアピールしたのです。
1936年(昭和11年)以降、6年間にわたってバレンタインに広告を掲載し続け、日本での「チョコレートを贈る」というスタイルが定着していったということ。
「モロゾフ」なくしては、日本のバレンタイン事情は違ったものになっていたかも知れません。
メリーチョコレートが昭和33年に作ったスタイル
バレンタインデーは、「女性が男性へ気持ちを伝える日」というスタイルを確立したキッカケとなったのは、「メリーチョコレート」だとされています。
「メリーチョコレート」の社員が「バレンタインデーには花やカード、チョコレートといった贈り物をする習慣がある」と知ったことで、バレンタインデーをチョコレートのイベントとどうにか結びつけることが出来ないか、と考えたことが始まりです。
ところが1958年(昭和33年)に日本で初めてとなったバレンタインフェアでは、バレンタインデーの認知度がまだ低く、思ったようにはいきませんでした。
翌年の1959年(昭和34年)、ハート型のチョコにメッセージを書くことが出来るチョコレートを発売したのですが、このアイディアが当時斬新だとされ、注目を集めることになったのです。
その後1959年(昭和35年)・1960年(昭和36年)には、「メリーチョコレート」のキャッチコピー「女性が男性に1年に1度愛の告白が出来る日」が、女性の心に響いたことで、「女性から男性に気持ちを伝える日」というスタイルが出来ていったということ。
「メリーチョコレート」が現在のバレンタインフェアの原点だったということがいえます。
昭和30年代はデパートや企業広告が動き出す
「モロゾフ」と「メリーチョコレート」のアピールから、「バレンタインデーには女性から男性へチョコレートを贈って、愛の告白をする」というスタイルが定着してきていた昭和30年代。
ほかのチョコレート企業やお菓子企業でも、バレンタインデーに売り出す動きが始まったのは、昭和30年代後半です。
ハート型のチョコレートをこぞって発売したり、バレンタインデーの商品を買えば劇場への招待券をプレゼントするなど、数々の新聞広告を打ち出しました。
企業は「バレンタインデーにはチョコレートで愛の告白を」「愛する人にはチョコレートを贈りましょう」などさまざまなキャッチコピーを掲げて、新聞や広告・ポスター・カタログ・雑誌などの媒介を使ってメッセージを発信したのです。
それに伴いデパートではバレンタインフェアを開催するなど、現在のバレンタインのスタイルとなっていきました。
昭和50年代に始まった「義理チョコ」
「女性が男性にチョコレートを贈って愛の告白をする日」というスタイルが定着してきた昭和50年代。
これまでいわゆる本命チョコが主流となっていた、バレンタイン文化に「義理チョコ」という存在が出てきたのです。
本命チョコ以外にも、大切な家族にもチョコレートをプレゼントする人が増えてきたことで、恋人のみならず、大切な家族を対象としたチョコレートも発売されていました。
バレンタインに贈る人の対象が広がってきたことで、昭和50年代後半になると、「義理チョコ」を贈るというスタイルも始まったのです。
これはOLたちが職場の同僚や上司などの男性に対して、バレンタインチョコレートを配り始めたことがキッカケだといわれています。
バレンタインに、遊び心をくわえた女性の心理から生まれとされる「義理チョコ」という存在。
告白をする相手がいない女性でも、バレンタインを楽しむことが出来るようになってきたことから、企業も工夫を凝らしたチョコレートを発売するなどして、バレンタインデーが拡大していくキッカケにもなったということがいえるのです。
平成4年に神戸市に贈られた「愛の像」
1992年(平成4年)、バレンタインの起源ともなっている「聖バレンタイン(ウァレンティヌス)」が亡くなったとされている、イタリアのテルニ市から日本の神戸市に、「愛の像」が贈られました。
「愛の像」は「神戸布引ハーブ園」に設置されています。
これは「モロゾフ」がバレンタインを日本に広めるキッカケとなったこと、「モロゾフ」がバレンタインのルーツであるテルニ市と、日本のバレンタイン発祥の地である神戸市の交流をサポートしてきたことで、友好の証として贈られることになったのです。
「愛の像」は母と子が見つめ合う姿をしていて、恋人たちだけでなく、世界中の人にとって愛の象徴となっています。
現在では、「神戸布引ハーブ園」で、グラスハウスに設置されていて、色とりどりの花や果実に囲まれながら、訪れる人に大人気のフォトスポットとしても親しまれているのです。
平成30年・ゴディバが伝えたこと
日本でさまざまな変化を遂げてきたといえるバレンタインデーですが、その歴史にまた一つ動きがあったのが、2018年(平成30年)のことです。
経済紙に載っていた全面広告は、淡いピンクの紙面に「日本は、義理チョコをやめよう」の文字。
この広告を掲載したのは、あの高級チョコレートで有名な「ゴディバ」でした。
「ゴディバ」の社長であるフランス人ジェローム・シュシャンさんがいうには、「チョコレートを贈ることが苦痛になるのなら、そんな悲しい習慣はなくした方がいい。義務感を感じることなく、贈りたい人に贈る、楽しめるバレンタインデーであってほしい。」という想いがあってのことだそうです。
実際に毎年バレンタインデーが近づくにつれて、「誰に義理チョコを渡そうか…」「会社の人にあげるのに、いくつ用意しなければいけないのか…」「周りは上げるのに、私だけ何もしないのは心情的に…」というような悩みを持っている女性は少なくありません。
昨今の風潮から、バレンタインに義務を感じることは、セクハラ・パワハラだと捉える人も出てきているのは事実です。
そんな「義理チョコ」スタイルに警鐘を鳴らすこととなった、この広告掲載。
この先のバレンタインのスタイルに、変化をもたらすことになるのかもしれません。
海外のバレンタイン事情は?チョコはあげる?あげない?
アメリカのバレンタイン
アメリカのバレンタインは、日本とは違っていて、男女・年齢関係なく大切な人にプレゼントを贈る日です。
どちらかといえば「男性から女性に」プレゼントを贈ることが主流となっています。
もちろん、女性から贈ることもありますが、アメリカでは多くの男性が、彼女やパートナーに花やカード、アクセサリーを贈ることが多いのです。
ロマンチックなシチュエーションをセッティングしたり、男性にとっては女性の期待にプレッシャーを感じることもある、責任重大なイベントでもあるといえます。
日本とは違って、男性がソワソワしだす時期なのです。
またプレゼントと一緒にバルーンを贈ることが多く、ハート型の大きさも色もさまざまなバルーンがたくさんお店にも並びます。
日本では考えられないことかもしれませんが、アメリカの小学校ではバレンタインが通例行事の一つになっているところもあって、クラス全員分のバレンタインのプレゼントを用意しなければいけない、なんてこともあるのです。
子どもの数が多ければ、用意するプレゼントの数も多くなりますので、小学生の子供を持つ親としては、バレンタインは大変な日でもあります。
しかし小学生用に小分けパックにされた商品の販売もありますし、安全面・衛生面の観点から手作り品は禁止で、市販品で準備してくださいという指定をされたりしますので、子どもたちにとってはうれしいバレンタインになるのです。
フランスのバレンタイン
フランスのバレンタインは、「恋人たちの日」で、カップルにとっては、「バレンタインを一緒に過ごす」こと自体が大切なことです。
一緒にディナーを食べたり、コンサートや劇場に行ったり、休日の関係ではちょっとした旅行に出かけたりなんてこともあります。
フランスはとにかくムードが甘く、ロマンチックなシチュエーションは欠かせないもの。
バレンタインデーにプロポーズすることが多いのは、フランスのバレンタインの特徴の一つだといえます。
日常的に情熱的な愛を伝えるフランスですが、バレンタインにはさらにロマンチックなムードを作ってプロポーズをするのです。
プレゼントで圧倒的に多いのは、愛の象徴でもある赤いバラ。
アクセサリーや香水、メッセージカードも多いですが、ちょっとびっくりするのは、セクシーな下着。
女性側からのプレゼントとしては、お酒などの嗜好品も候補に入ります。
また夫婦の場合、バレンタインには、子ども抜きでデートに出かける人も多いもので、恋人気分で過ごす日でもあるといえるのです。
イタリアのバレンタイン
バレンタインの起源でもある、イタリアのバレンタインは、恋人たちが一緒に過ごす日です。
プレゼントは、ほとんどが「男性が女性に」贈ることが主流なので、女性側から贈ることもありますが、少数派だといえます。
男性が女性にプレゼントするものは、愛の象徴である「赤いバラ」です。
イタリアでは、バレンタインに限らず、男性が女性に贈るプレゼントといえば「花束」が定番になっています。
バレンタインの日にはイタリア中の町で、赤いバラの花束を持った男性をたくさん見かけることが出来るのです。
花束だけでなく、アクセサリーや香水、お菓子を一緒にプレゼントする男性もいます。
フランスと同じで、セクシーな下着を贈る男性も。
情熱的な愛を伝える国ならではのプレゼント、ということができます。
イタリアはバレンタインの起源になっている場所ですが、街でバレンタインを祝っている音はなく、個人で楽しむものとして浸透しているのです。
イギリスのバレンタインはチョコレートを贈る発祥
イギリスのバレンタインは、「男性から女性」にプレゼントを贈ります。
花束やメッセージカードを贈ったり、一緒にディナーに出かけるなどしてバレンタインを過ごす人が多いもの。
もちろんイギリスの恋人や夫婦にとってバレンタインは、大切なイベントの一つです。
しかし相手がいない人もソワソワするのが、イギリスの特徴でもあります。
その理由は、メッセージカードを贈るのは、恋人に対してだけではないのです。
愛の言葉を書き綴ったメッセージカードに、送り主の名前は書きません。
そのためメッセージカードをもらった人は、送り主が誰なのかわからないのです。
メッセージカードが届いた人は、しばらくの間、周りを気にしてしまうのは仕方がありません。
そんなイギリスのバレンタインですが、日本との共通点もあります。
それはチョコレートも、プレゼントとして欠かせないものであること。
実はバレンタインにチョコレートを贈るというという習慣の発祥の地は、イギリスなのです。
19世紀半ばまでは、バレンタインとチョコレートは結びつきがなかったのですが、1861年にイギリスの老舗であるチョコレートブランドの「キャドバリー社」が新しいタイプのチョコレートを作り出し、その後1868年に発売したとされる贈答用のチョコレートボックス。
ヴィクトリアンスタイルのキレイなボックスが、人気を博したことがキッカケとなり、バレンタインにはチョコレートを贈るという習慣になったのです。
当時チョコレートの空き箱を取っておく人がたくさんいたといわれています。
北欧のバレンタイン
北欧のバレンタインデーは、「恋人たちの日」というよりは、「友達の日」という方が近いものです。
男女関係なく、友達に対してメッセージカードや、ちょっとしたプレゼントを贈ったりして、日頃の感謝の気持ちを表します。
ハート型は愛だけではなく、「感謝」を意味していることから、街にはハート型のオブジェや飾りなどが溢れているのです。
贈り物は決まっていませんが、多くの人が「チューリップ」を贈ります。
「チューリップ」の花言葉は花の色によって、違うのですが全体としての花言葉に「思いやり」や「博愛」といった意味があるのです。
そのためこの時期になると北欧の街には、いろいろな色のチューリップが並んでいて、見た目にも華やかな街になります。
台湾のバレンタイン
台湾にはバレンタインデーが2回あるとされているのです。
私たちと同じ2月14日は、1回目のバレンタイン。
「男性が女性に」プレゼントを贈るのが主流となっていて、花束が多いのですが、あまりこの日が盛り上がることはありません。
というのも、台湾の人たちにとってのこの時期は、一年で一番盛り上がるともいえる「旧正月」が近いから。
どうしても「旧正月」を優先してしまうので、バレンタインに力を入れる人は少ないのです。
2回目のバレンタインデーは、7月7日。
日本では「七夕」として認知されていて、笹の葉に願い事を書いた短冊を飾って楽しみますが、台湾にはこの文化はありません。
その代わり、この日は日本のバレンタインデーと似ているところがあり、カップルのためのレストランでのディナープランや、ホテルの宿泊プランなどが出てきたり、ジュエリーやお菓子などのお店がにぎわい始めるのです。
プレゼントはこちらも「男性から女性」に贈るのが主流となっています。
台湾の男性は、女性に尽くす人が多いというイメージがありますが、年に2回となると男性にとっても負担が大きいものです。
近年では、日本の文化が台湾に入っていっていることもあり、都市部の方では日本のバレンタイン・ホワイトデーを取り入れる動きも見られます。
韓国のバレンタイン
韓国のバレンタインは、日本とほぼ同じだといえるのです。
「女性から男性」にチョコレートを贈って、想いを伝えるというもの。
日本と同じで、バレンタインが近くなってくると、街中にはチョコレートを売るお店が増えてきて、甘い匂いが漂います。
日本と違うのは、大きなバスケットにチョコレートを詰めて、ラッピングも華やかにして贈るので、バレンタインにチョコレートをもらった男性は目立ってすぐわかってしまうのです。
もともとは本命にしか、チョコレートを渡すことがなかった、韓国のバレンタインですが、日本の「義理チョコ」や「友チョコ」といったスタイルが、韓国の女の子たちに伝わったことで、少しずつ韓国でも増えてきているといえます。
バレンタインだけではなく、ホワイトデーも同じで、もともとはなかったホワイトデーですが、日本のバレンタインと同じように、韓国にも根付いてきているのです。
韓国では毎月のようにカップル向けの記念日があり、そのどれもが毎月14日になっています。
韓国のカップルにとっては、大切なイベントはバレンタインだけではないようです。
チョコレートにまつわる日本だけのバレンタインデーの習わし
日本の本命チョコは女性から男性へ贈るもの
日本ではバレンタインのチョコレートには、さまざまな種類があります。
「本命チョコ」は「女性から男性」に贈るチョコレート。
日本にバレンタインが浸透していくキッカケともなった、女性が男性に対して抱いている、想いの詰まっているチョコレートのことです。
片想いの相手に贈る時は、「告白」の意味を持ちますが、お付き合いをしている相手に贈るなら、「愛の証」の意味になります。
「本命チョコ」としては、気合いを入れて、手作りに挑戦する女性もいれば、金額が高めではありますが高級チョコを贈る人が多いといえるのです。
手作りの場合は、チョコレートに限らず、ケーキや相手の好きなお菓子など、好みに合わせて用意することも増えてきていて、一概にチョコレートでなくなってきているといえます。
どちらにせよ、「本命チョコ」には、特別な思いを込めて、特別なものを用意するものです。
義理チョコ
「義理チョコ」も「女性から男性」に贈るチョコレートです。
その対象となるのは、恋愛感情のない相手である、友達や職場の男性。
「義理チョコ」は贈る対象となる人が、多くなりますので、手ごろな価格のチョコレートだったり、間違って「本命チョコ」だと思われないように、わかりやすく区別のつくチョコレートだったりします。
なかには大袋に入っているチョコレートやお菓子を、スーパーで何種類か買ってきて、ラッピングだけ自分でしたものを配る、という人もいるのです。
また「本命チョコ」を作るついでに「義理チョコ」も作ってしまうという女性もいますが、その場合は「本命チョコ」とは別のものを作って、区別をつけていることが多いといえます。
日頃お世話になっている人に渡す場合もあり、人間関係がメインとなっているともいえるのです。
「本命チョコ」はバレンタイン当日に渡したいところですが、「義理チョコ」は前日に渡してしまうという人も、少数派ですがいるのは事実。
どこか「本命チョコ」とはラインを引いているのが「義理チョコ」なのです。
友チョコ
「友チョコ」は「女性の友達同士」で贈り合うチョコレート。
「友情の証」といった意味が込められていて、友達に贈ったり、交換し合うなどするもの。
さまざまなチョコレートが出ていますので、相手のことを考えながら選ぶ時間でさえも、楽しみながら「あの子にはこれがいいかな…」なんて考えたりします。
かわいいチョコレートを選んだり、面白いチョコレートを選んだり、センスが大切になっている傾向もありますが、みんなで贈り合うことで、いろいろなチョコレートを食べることも出来るので、女性にとってもバレンタインの楽しみの一つとなっているのです。
手作りチョコを「友チョコ」として準備する人も多く、現在では、「本命チョコ」「義理チョコ」よりも、「友チョコ」に力を入れている女性も少なくありません。
なかには「本命チョコ」や「義理チョコ」は用意しないけれど、「友チョコ」は準備する、といった人もいるのです。
自分チョコ
「自分チョコ」は「自分へのご褒美」として、自分で買うチョコレート。
ご褒美なので、高級チョコを買う傾向が強いといえます。
バレンタインになると、たくさんの商品が発売されますが、世界のショコラティエがコラボをしたり、有名店がバレンタイン限定で販売している限定商品など、いつもでは買うことが出来ない、バレンタイン限定の商品がたくさんあります。
そんなチョコレートを、自分で買って、ゆっくり味わうという贅沢な時間を過ごす人も増えてきているのです。
事前に情報を仕入れて目星をつけておくなど、情報収集にも余念がありません。
「本命チョコ」よりも「自分チョコ」にお金をかける人も多くなってきているのです。
ファミチョコ
家族に贈るチョコレートを、「ファミチョコ」といいます。
父親や兄弟、子どもなどに愛情をこめて贈るものです。
それぞれに渡す場合もありますが、アソートセットなどのたくさん入っているチョコレートを買ったりして、みんなで一緒に食べるというチョイスもできます。
そのため自然と自分が食べたいと思うものになったり、珍しいものを購入している傾向にあるのです。
また贈り物にするといっても、家族なので家に置いてあることに変わりはありません。
チョコレートそのものを見て選ぶのではなく、チョコレートのパッケージを重視して選んで、カンや箱は自分で使いたいという人も少なくありません。
逆チョコと俺チョコ
「逆チョコ」は「男性から女性」に贈るチョコレート。
昨今増えてきたのは、バレンタインフェアの会場でも、よく見かけるようになった、男性の姿です。
甘いもの好きな男性が増えていることと、バレンタインチョコレートが多様化してきていることから、男性の方から女性にプレゼントすることも、自分の彼女に買うことも増えてきています。
また男性が買うチョコレートには「俺チョコ」と呼ばれるものがあり、これは男性が自分で食べるために買うチョコレートのこと。
一昔前には、バレンタインフェアの会場は女性でごった返していたものですが、現在では男性の姿もあり、バレンタインの多様化が進んできていると感じることが出来ます。
ホワイトデーは日本だけのもの
バレンタインデーに対して、3月14日はホワイトデーがあります。
ホワイトデーは、日本独特なものなので、世界にはないのです。
近年韓国や台湾には、ホワイトデーの文化が伝わっていることから、必ずしも日本だけのものではないのですが、発祥は日本のもの。
もともとのホワイトデーは、バレンタインにチョコレートをくれた相手に返事をするというものでした。
これは「もらったものにはお返しをする」という、日本人の文化に基づいて生まれたものなのです。
現在ではあまり知らない人も多いものですが、ホワイトデーに返すものには、意味があって、知らずにお返しをすると、全く違った意味に捉えられてしまうことも。
一般的には、いい意味としての返事になるのは「キャンディー」の大好き、「マカロン」の特別な人、「マドレーヌ」の仲良くなりたい、「キャラメル」の安心する、「バームクーヘン」の幸せが続きますように、「金平糖」の好き、「アクセサリーなど身につけるもの」の好意がある、です。
あまり良くない意味としての返事になるのは、「クッキー」の友達、「マシュマロ」と「グミ」の嫌い、「ホワイトチョコレート」の考えさせて、「チョコレート」や「マフィン」「和菓子」「ケーキ」「ドーナツ」などの意味はない、など。
現在はこれらの意味を考えずに、相手のことを考えて何を贈るか決めている人が多いといえます。
バレンタインに観てみたい!バレンタインやチョコレートにまつわる映画
バレンタインデー
ジュリア・ロバーツ、アシュトン・カッチャーをはじめとした映画「バレンタインデー」。
ほかにもジェシカ・アルバ、キャシー・ベイツ、ブラッドリー・クーパー、アン・ハサウェイなど、豪華なキャストがたくさん出ています。
さまざまな想いで過ごす人々の、さまざまなバレンタイン当日を描いた短編集。
誰もが憧れるロマンチックなバレンタインだけでなく、男女のいろいろな想いが交錯する、泣いたり笑ったりできる作品です。
ブルーバレンタイン
リアルな恋愛を描いた映画「ブルーバレンタイン」。
ライアン・ゴズリングとミシェル・ウィリアムズが夫婦を演じています。
幸せな時と、そうではない辛い時期が誰にでもあり、どこか共感するところを見つけることが出来る作品でもあるのです。
幸せな場面と、辛い場面が交互に描かれていて、考えさせられる場面も多く、「自分なら…」とさまざまな意見を感じることができます。
夫婦の始まりと終わりを描いている、切ない物語。
チャーリーとチョコレート工場
チョコレート工場が舞台の映画「チャーリーとチョコレート工場」。
ミュージカルにもなっている、ファンタジー作品。
チョコレート工場の見学に出かけることになったラッキーな子ども達と一緒に、ウィリー・ウォンカのチョコレート工場の不思議な世界を体験できます。
実際に日本でも手に入れることの出来る、ウォンカチョコレートを片手に、チョコレート工場へ出かけましょう。
ホワイトバレンタイン
韓流の映画「ホワイトバレンタイン」。
雪景色など、映像がとても美しく、ノスタルジックで童話のようなお話。
伝書鳩を介して繋がる運命的な二人が、どんな答えにたどり着くことになるのか、初恋とすれ違いが切なくて、もどかしい韓流ラブストーリです。
ショコラ
主人公のヴィヴィアンヌが営むチョコレート店が舞台の、映画「ショコラ」。
主人公ヴィヴィアンヌは不思議な力を持っていて、お店に来るお客さん一人一人にぴったりのチョコレートを見抜きます。
そんなヴィヴィアンヌの力もあってお店は人気店となるのです。
たくさんのチョコレートが出てくる、バレンタインにぴったりの映画。
チョコレートが人の心を溶かしていく、あたたかいお話です。
占い師 RINのワンポイントアドバイス「バレンタインは大切な人に気持ちを伝える日!」
世界中のバレンタインとはちょっと違う、日本のバレンタインですが、大切な人に想いを伝えるというところは、世界共通です。
そしてこれからも少しずつ形を変えていくことになると、考えられるバレンタインデー。
思い思いのバレンタインの楽しみ方を、見つけるためにも、日本と世界のバレンタインの歴史や違いを知って、改めてバレンタインに気持ちを伝えてみてください。
「好き」という気持ちだけではなく、「あなたのことを大切に想っている」という気持ちを、伝えるには、バレンタインは最高のキッカケとなるのです。