日本全国で行われるどんど焼き。
お正月飾りを燃やすことで有名ですが、そのほかには何を燃やしたらいいのでしょうか。
「そもそもどんど焼きってどんな行事だっけ?」というあなたに向けて、どんど焼きについて解説していきます。
どんど焼きで燃やすものや注意すべき点、全国各地のどんど焼きについてまでご紹介していきます。
どんど焼きについて詳しく知れば、もっとお正月らしく過ごすことが可能です。
昔から続く伝統的な行事、どんど焼きについて知識を深めよりどんど焼きを楽しめるようになっていきましょう。
目次
どんど焼きは小正月の火祭り|地域によっても呼び名が違う
1月15日の小正月に行われる火祭り
どんど焼きとは小正月である1月15日に行われる火祭りのことです。
まず、小正月とは何なのかを確認しておきましょう。
小正月とは大正月といわれる1月1日と対になる言葉で、1月15日のことを指しています。
旧暦の15日といえば満月の日です。
新暦となって今では1月15日は満月とは限らなくなってしまいましたが、旧暦では小正月は新年最初の満月の日だったのです。
つまり、どんど焼きは新年最初の満月の日に開催される火祭りだったということになります。
今でも満月には不思議なパワーを感じますが、その昔、満月には神聖な力が宿るとされていました。
満月の力に加えて、火の浄化の力も合わされば、その力は倍増するでしょう。
こうしたことを期待して行われるのが本来のどんど焼きであったのです。
どんど焼きで願われるのは、豊作、無病息災、商売繁盛、家内安全、子孫繁栄など多岐にわたっています。
地域のお祭りなので、その地域に起こる一年間の厄災を払いたいという願いもこめられています。
こうした祭りは日本特有のものではなく、アジアやヨーロッパでも行われているそうです。
新年に火を焚き健康や幸せを願いたくなるのは、人種にかかわらず人類共通の気持ちなのかもしれませんね。
どんど焼きはお祭りや正月、神事にまつわるものを燃やす
どんど焼きでは火を焚きますが、その火はただ燃えているのではなく目的があって燃えているものです。
どんど焼きは基本的にお祭りや正月、神事にまつわるものを燃やす行事です。
例えば、お正月飾りはお正月が済めば不要になるものですが、普通のゴミとしては捨てづらいものでしょう。
例えば、しめ飾りは歳神様の目印となり、歳神様が宿る場所ともなったものです。
一度でも歳神様が宿ったものだと考えると、普通のゴミとして捨てるのは忍びないという気持ちになるでしょう。
そうしたものを燃やすためにどんど焼きはあります。
他にも燃やすものには地域差がありますが、基本的には神様にまつわるものを燃やします。
そして、燃やすものからご利益を頂くのがどんど焼きです。
燃やすものと、それから得るご利益については後ほど詳しく解説していきます。
また、どんど焼きの煙は歳神様が帰るための手段となるとも考えられています。
お正月に各家にやってきた歳神様は小正月にどんど焼きの煙に乗って、それぞれの場所へ帰ると考えられていたのです。
やってきた神様が帰るための煙を、神様にかかわるものを燃やすことで作り出していたというわけです。
どんど焼きの起源は平安時代の遊びにあり
どんど焼きはいったいいつ始まったものなのでしょうか。
どんど焼きの原型であると考えられているのは、平安時代の遊びです。
平安時代の貴族たちは毬を使った遊びをしていました。
毬を使った貴族の遊びといえば蹴鞠を思い浮かべるかもしれませんが、そのほかにも杖を使って毬を渡し合う現代でいうところのホッケーに似た遊びもあったようです。
そして、その遊びで使われていたのが毬杖(ぎっちょう)と呼ばれる杖です。
この毬杖は普段は遊びの道具として使われていましたが、1月15日に宮中で行われる占いの道具として使われていました。
その占いというのが三毬杖。
三毬杖では毬杖を三本使います。
三本に束ねられた毬杖に扇子や短冊を添え、陰陽師が歌いながら焼くのです。
そして、その焼け具合で物事の吉凶を占っていたとされています。
この三毬杖は宮中だけでなく、庶民の間にも広まっていきました。
庶民の間で行われるようになった当初は、子どものお祭りだったようです。
火を使うお祭りを子どもの手で行うなんて現代では信じられませんが、昔は材料の調達から組立や飾りつけまですべて子どもたちが行っていました。
しかし、子どもの数が減ったことから、やり方は変化し大人が行うことも増えてきました。
火を使うという危険性があることから、都市部ではどんど焼きを行う地域は減っており、神社でしか行われなくなってきたようです。
平安時代から続いてきたどんど焼きですが、現代では数が少なくなり存続が危ぶまれています。
だからこそ、どんど焼きの意味や歴史について知り、今残っているどんど焼きを大切にしていきたいものですね。
どんど焼きの名前の由来「尊と」「どんどん燃える」「青竹のはじける音」
どんど焼きは不思議な音を持つ行事ですが、その名前の由来は何なのでしょうか。
その由来には諸説ありますが、有力なものをいくつか紹介していきましょう。
まずは、どんど焼きの際のお囃子が由来だとする説です。
どんど焼きの炎は歳神様を見送る尊い炎です。
そのため「尊とや尊と」と囃しながら火を燃やしていたのが、変化してどんど焼きになったという説があります。
他にはどんどん燃える炎の様子から、どんどんの部分が抜き出されどんど焼きとなったとする説も有力です。
また、どんど焼きでは青竹が燃やされるのですが、その青竹が燃えはじける時の音からどんど焼きとなったとも言われています。
どの説が正しいかは分かりませんが、どんど焼きという名前は親しみやすく覚えやすいものですね。
どんど焼きは地域で異なる呼び名がある
どんど焼きは地域によって呼び名が異なります。
それは、訛りによる違いというような差異ではなく、まったく違う行事に感じられるような呼び名です。
まず、どんど焼きと呼ぶのは東北や四国、九州、西日本などです。
中部地方や北陸地方、京都では左義長と呼ばれます。
これはどんど焼きの由来である三毬杖(さんぎっちょう)から来る呼び名で、どんど焼きと同じ行事のことです。
歳徳神(としとくじん、とんどさん)を祀ることが主体だった地域では、どんど焼きと呼ばれることが多いようです。
九州地方の一部地域では鬼火焚き(おにびたき)、鬼火、ほっけんぎょう、ほうけんぎょうと呼ばれ、1月6~7日に行われます。
他にも、山形や神奈川では、道祖土焼(さいとやき)、長野では三九郎(さんくろう)と呼ばれています。
これらはほんの一例でしかなく、どんど焼きはそれぞれの地域で行われるものであったためそれぞれの地域での呼び名があると考えていいでしょう。
各地区の子ども会で行われていたような行事であるため、全名称を知るのは難しいのです。
地元の交流の場にも|無形文化財指定されているものもある
地域ごとに行われるどんど焼きは地元の交流の場になっています。
そして、中には無形文化財指定されているものもあります。
国の重要無形民俗文化財として指定されているどんど焼きは次の5つ。
神奈川県の大磯町のどんど焼き、富山県下新川郡入善町上野邑町地区の塞(さい)の神まつり、島根県大田市五十猛町大浦地区の五十猛のグロ、滋賀県近江八幡市の左義長、岐阜県海津市の今尾の左義長祭。
ここではこの中の一つ、神奈川県大磯町のものについてご紹介していきましょう。
神奈川県大磯町のどんど焼きは1月14日に行われ、子どもたちが主体の道祖神のお祭りです。
子どもたちは1月7日の松の内が過ぎると、正月飾りを集めて回ります。
そして、青年らとともに町内に大竹を立てて、境に道きりのシメを張り、お仮屋を作って子どもたちが籠るのです。
お祭り当日に燃やされる火で団子を焼いて食べると風邪を引かないとされており、みんなこぞって焼いて食べます。
このお祭りは各世代の交流の場ともなっており、地域住民にとって大切な行事となっています。
どんど焼きでは何を燃やす?燃やすものからご利益を頂く
どんど焼きで正月飾りを燃やせば一年間無病息災&厄払い
どんど焼きでは燃やすものによって得られるご利益が違うとされています。
燃やすもの別のご利益について見ていきましょう。
まず、どんど焼きでは正月飾りを燃やすことが多いですが、これは無病息災と厄払いのご利益が期待できます。
正月飾りはお正月にやって来る歳神様をお迎えするためのグッズです。
それをどんど焼きで燃やすことで、歳神様をお見送りし無病息災のご利益を得られるのです。
また、神聖なものを燃やした炎は、厄災を祓ってくれるとも考えられています。
どんど焼きで正月飾りを燃やせば、その一年間は無病息災と悪霊払いの効果が期待できたというわけです。
昔は病気をしてしまったり、悪いことが起きてしまったりするのは、悪霊のせいだと考えられていました。
だから、炎によって厄払いをしておくことは、とても大切だったのです。
一年の始まりの時期に炎によって清めておく。
どんど焼きは、いい一年のスタートを切るために必要な行事だといえるでしょう。
書初めはどんど焼きで燃やすと字が上達する
お正月には書初めという伝統的な行事があります。
これは1月2日に習い事を開始すると上達するという謂れがあるためで、書初めで書いたものは1月7日の松の内までは家に飾っておきます。
よくできた作品ならそのまま保存しておきたくなるところですが、1月15日にはどんど焼きで燃やすのがいいとされているのです。
どんど焼きで書初めを燃やすと字が上達するという言い伝えがあります。
焼いた時に炎が高く上がるといいとされているので、焼いた時の炎にも注目してみてください。
今でも字のうまさは重要ですが、昔は字が上手なことは今以上に重要視されていました。
だから、多くの人が字の上達を願って書初めを行い、書をどんど焼きで燃やしていたのです。
「書初めは冬休みの宿題として学校に提出」など、どんど焼きで燃やすわけにはいかない事情もあるでしょうが、書初めを行うのならどんど焼きで燃やすようのものも書いてみるようにしましょう。
どんど焼きで書初めを燃やせば、字が上手になるというご利益が得られます。
現代でも宛名書きなど、字が上手な方がいい場面はたくさんあります。
字が上手くなりたいと願うことが、字の上達の第一歩。
ぜひ、書初めをしてそれを燃やすところまでをセットで行ってみてください。
願いごとを書いた紙を燃やして安全祈願
どんど焼きの炎は神様をお見送りするための聖なる炎です。
そんな炎は、私たちの願いを叶えてくれるとされています。
叶えたい願いがある場合には、その願いごとを書いた紙をどんど焼きで燃やしてしまいましょう。
願い事はどんど焼きの煙となり、山へと帰っていく歳神様が持って行ってくれます。
そして、歳神様がその願いを叶えてくれるとされているのです。
願いごとは何でも構いませんが、特に一年の安全祈願をするといいとされています。
新年には他にも願いごとをする機会があります。
初詣などで神様を感じる機会も多いこの時期に、神様をお見送りする炎に安全を祈願してみてください。
「願いごとをしてみよう」と聞くと、さまざまな願いが思い浮かぶかもしれません。
しかし、一年の無事に過ごす安全というのは、何よりも大切だということを忘れないでください。
大きな願いごとを叶えるという意気込みも大切ですが、安全に無事に一年を過ごすということもとても大切です。
自分の叶えたい願いと安全に対する願い。
二つの願いごとを書いた紙をどんど焼きでは燃やしてみてください。
どんど焼きでだるまを焼く焼かないは地域によって差がある
どんど焼きは神様に関係のあるものを燃やす行事。
こう聞くと「じゃあこれは燃やせる?あれはどうだろう?」といろいろな疑問が湧いてきますよね。
どんど焼きで燃やしていいか迷うものの代表といえば、だるまでしょう。
だるまとは縁起物で白目の状態で売られ、願掛けをしながら片目を描き入れます。
そして、願いが叶ったらもう一つの目を入れるというもの。
つまり、たくさんの願いが詰まった置物であり、普通のゴミとして捨てるにはためらわれるものです。
このだるまをどんど焼きで焼いていいかどうかについては、これという正解はありません。
それは地域によって違いがあるからです。
だるまは縁起物なのでどんど焼きで燃やしてもいいとする地域もあれば、どんど焼きでだるまを焼くと目がつぶれるからダメだといわれる地域もあります。
燃やしてはいけないとされる地域もあれば、だるまを焼くのがメインとなっている地域もあります。
「どんど焼きでだるまを焼きたい」と思ったのなら、まずは自分の地域のどんど焼きのマナーをチェックする必要があるでしょう。
だるまは願いが叶っても叶わなくても、一年で供養し新しいだるまに買い替えるべきだとされています。
もし、地域のどんど焼きでだるまを燃やしてはいけないという場合には、お寺や神社でお焚き上げをしてもらいましょう。
そうすれば、どんど焼きでだるまを燃やせなくても、だるまを供養することができます。
もちろん、どんど焼きで燃やせる場合には、それがだるまの供養となりますので利用してください。
人形はNG!のし袋を燃やして縁起物を神様に返す
魂が宿っている気がして普通ゴミに出しづらい人形。
これもどんど焼きで燃やせればと考える人が多いでしょうが、実は多くのどんど焼きで人形やぬいぐるみを焼くことはNGとされています。
これは環境問題が大きく関係しています。
昔とは違い、環境問題に厳しくなった今、どんど焼きでは有害物質が出る恐れのあるものは燃やせません。
人形はやぬいぐるみには化学繊維やプラスチックが使われていることも多く、どんど焼きで燃やすには適さないのです。
また、どんど焼きで燃やすものは神様に関係あるものという条件にも適していません。
人形やぬいぐるみを捨てる場合には、自分でお清めをして白い紙や布に包み普通ゴミに出すのが簡単です。
神社やお寺で行われる人形供養に出すのもいいでしょう。
どんど焼きで燃やせるのは、神様に関係があるもの。
のし袋は燃やすことができますが、これも水引がプラスチックの場合には外して燃やすようにしましょう。
環境問題に配慮さえすれば問題はありません。
縁起物は燃やして神様にお返しし、また良いことが巡ってくるように願いましょう。
どんど焼きに参加するときに注意すること
どんど焼きは服装に注意!火花ややけどに注意する
どんど焼きは火祭りであり、炎が燃えさかる行事です。
竹や藁などで作ったやぐらや小屋を燃やすので、かなり大きな炎となります。
そのような祭りに参加するのだから、服装には注意が必要です。
動きやすい服装で参加することはもちろん、どんど焼きでは火に近づくこともあります。
燃やしたいものがあるのなら、炎に投げ入れる際には火に接近しなければなりません。
となると、火の粉が飛んでくることは十分に考えられるでしょう。
寒い時期ですが、ナイロン製の上着を着ていると火の粉が飛んできて穴が開いてしまうことがあります。
聖なる火ではありますが、お気に入りの上着に穴が開いてしまうのは嬉しいことではありません。
そうならないように、火で溶けてしまう素材の上着は避けるようにしましょう。
また、火に燃やすものを投げ入れる際には、軍手を着用するようにしましょう。
これはやけどを防ぎ、煤で手が汚れるのを防ぐためです。
炎を使うお祭りであるということを念頭に置いた服装をしてどんど焼きに臨めば、どんど焼きを問題なく行うことができるでしょう。
また、火の影響で暑くなることも考えられますから、温度調整ができるような服装を心掛けることも大切です。
火から離れると寒いけれど、火に近づくと暑い。
どんど焼きではそうした温度変化にも対応できるようにしておきましょう。
どんど焼きは子どもの行事!小中学生が中心で大人は見守りと火の始末
子どもに火を使わせることは心配なことですが、どんど焼きは多くの地域で子どもが中心となって行うものです。
火を使う機会が減ってしまった現代において、どんど焼きのような大きな火に触れる機会は子どもにとって貴重です。
ぜひ、子ども中心に行わせるようにしていきましょう。
近年では子どもの数自体が減ってしまい、なかなか子ども中心というのも難しくなってしまいました。
しかし、それでもなるべく大人は見守り役に徹し、子どもに材料集めから火の管理までやらせてみましょう。
地域にもよりますが、子どもたちは家々を回り正月飾りなどを集めて回ります。
そして、竹を切りどんどを組み、火を点け燃やします。
これらを行うことは、火を扱うまたとない機会となるだけではなく、地域とのつながりを深められる機会でもあります。
こんな貴重な機会を子どもから奪うことはやめて、大人はサポート役となってください。
ただし、使い方を間違えると火が危険なものであることに変わりはありません。
火の始末に関しては、大人がきっちりと確認をし火災が起きないようにしてください。
火災となってしまっては、どんど焼きの存続が危ぶまれるだけでなく参加者の命の危険があります。
子ども主導にはするけれど、安全面にはしっかりと配慮する。
このことがこれから先もどんど焼きを続けていくために必要なことです。
どんど焼きで燃やすものにも注意!プラスチックや金属は除く
一昔前であれば、どんど焼きで燃やすものにはタブーとされているもの以外、特に気にすることなく何でも燃やしていました。
しかし、現代ではそういうわけにはいきません。
それは、燃やすことによって有害物質が出ることが知られてきたからです。
竹を燃やすことによって起きる炎で燃やして問題がないのは、自然な物質だけです。
そのためプラスチックや金属は除いてから燃やさなければなりません。
プラスチックを燃やすとダイオキシンのような有害物質が出ることもあるため、そうした可能性は排除しなければならないのです。
どんど焼きがいくら聖なる炎であっても、その火で有害物質を出していては問題視されてしまうでしょう。
こうした環境問題への配慮から、しめ飾りもスーパーで買ったものは持ち込み禁止とする地域もあります。
しめ飾りもプラスチック製のものが増えてきており、見ただけでは判別することが難しいものもあるためです。
プラスチックや金属などの燃やしてはいけないもの・燃えないものが付属している場合は、外してからどんど焼きに持ち込むのがマナーです。
昔からの伝統的な行事を現代に即した形で行うようにしてこそ、これから先も長い間どんど焼きを続けていくことに繋がるのでしょう。
環境問題への配慮は地域差が大きいものですが、気にし過ぎるということはありません。
プラスチックや金属は除き、どんど焼きの炎で燃やせるものだけを燃やし、すべてを歳神様に持っていっていただきましょう。
どんど焼きでは燃やすものにも注意して楽しんでください。
どんど焼きは地域行事として参加する
どんど焼きは地域で行われるものです。
その地域の歳神様を迎えるのに使用したものや、神様にまつわるものを皆が持ち寄ります。
地域のつながりが薄れてきている現代において、地域の人たちが集まる行事は貴重です。
そうしたつながりを持つための行事だということを意識して参加しましょう。
また、地域によっては子どもたちが、どんど焼きで燃やすものを集めて回ることもあります。
違う世代の人たちが交流を持てるのも、どんど焼きの魅力の一つです。
どちらの立場であっても積極的にどんど焼きに参加し、どんど焼きを盛り上げていきたいものです。
わずらわしいとされることも多い地域住民とのつながりですが、何か有事の際にはこうしたつながりが助けてくれるのも事実。
いつもは気が向かないという人も、どんど焼きの日くらいは地域行事として参加するようにしてみましょう。
どんど焼きで食べる縁起のいい食べ物と行事食
するめや昆布あぶって食べると健康と家内安全
どんど焼きの炎で焼くのは、ものだけではありません。
その火で調理したものを食べると縁起がいいとされているものがあるのでご紹介していきます。
まずは、するめと昆布です。
新潟ではどんど焼きの炎でするめをあぶって食べるのだそうです。
あぶり方は長い竹竿の先にするめを吊るして行います。
このするめを食べると風邪を引かないとされていて、どんど焼きの会場でするめが売られていることもあるようです。
他にも昆布をあぶって、家族と分け合って食べることは家内安全につながると考えられています。
するめや昆布をあぶる地域は珍しく、初めて見た人は驚くかもしれません。
ですが、神様を見送るための炎であぶるなんて特別な経験はどんど焼きのときにしかできるものではありません。
可能ならばするめや昆布をあぶってみて、食べてみるといいでしょう。
どんど焼きの行事食の定番!餅・団子・繭玉
どんど焼きで各地で食べられる定番のものはお餅です。
地域によって団子と呼んだり繭玉と呼んだりしますが、どんど焼きで食べるために作られます。
団子を作る日には地域差があり、前日に作る地域や一夜飾りは縁起が悪いとし2日前には作っておく地域などさまざまです。
どんど焼きでは、団子を刺す木にもこだわりがあります。
ミズキ、柳、ナラ、山桑、ヌルデの枝を使用することが多いようです。
枝に刺された団子は、どんど焼きで神様にまつわるものを燃やした残り火で焼かれます。
焼いた団子は好きな味付けで食べましょう。
どんど焼きの残り火で団子を焼くというのは難しいものです。
火力の調整はできないため焦げやすいので、アルミホイルに包むのが上手く焼くコツとなります。
上手に団子を焼いて、美味しくいただくためにも、枝の先につけた団子にアルミホイルを巻いてみてください。
また、団子は穀物でできています。
その団子をどんど焼きで頂くということは、次の五穀豊穣を願うことになり豊作祈願となると考えられています。
どんど焼きではお汁粉や豚汁が振る舞われることも
どんど焼きの会場では、お汁粉や豚汁といった汁物が振る舞われることが多くあります。
寒い時期に温かい汁物が頂けるのはとても嬉しいものですが、こういった汁物はただ頂くだけではなくもう一つの楽しみ方があります。
それは、どんど焼きの残り火で焼いた餅や団子をここに入れるというもの。
団子を入れればお汁粉は食べ応えのあるものになりますし、豚汁はお雑煮に変身します。
ぜひ、どんど焼きでお汁粉や豚汁が配られていたら、そこにプラスしてみてください。
全国のどんど焼きイベント
どんど焼き「松焚祭」(宮城)
松焚祭は日本でも最大級のどんど焼きです。
宮城県の大崎八幡宮で行われ300年もの歴史があります。
1月14日に始まり正月飾りを燃やし、その炎にあたると無病息災のご利益がある点では他のどんど焼きと変わりありません。
松焚祭で特徴的なのは、御神美を目指して裸参りと呼ばれる行事があることです。
これは江戸時代の中期ごろには行われており、現代でも続けられています。
白鉢巻き・白さらしを巻きいた人たちは、口には私語を慎むための「含み紙」と呼ばれる紙をくわえています。
そして、右手には鐘を左手に提灯を持ち、大崎八幡宮を目指して数千人が列をなすのです。
仙台市の無形民俗文化財にも指定されている伝統的な行事です。
この松焚祭で燃やせるのは門松・松飾・神社の授与品等とされています。
受付不可能なものとして、人形・ぬいぐるみ・書類・写真・遺影・位牌・鏡餅・ビニール製品等、神事と関わりのないものが挙げられていますので持ち込みたい場合には注意してください。
由緒あるどんど焼きの炎で、歳神様をお見送りしましょう。
日本三大火祭・道祖神火祭り(長野)
長野県野沢で行われる野沢温泉道祖神祭りは、日本三大火祭の一つであるどんど焼きです。
野沢温泉道祖神祭りは毎年1月13日から15日に行われます。
厄年の男たちが14日の夜に社殿を組み、初子が生まれた家は初灯篭を奉納するのが習わしです。
本番は15日。
社殿前では点火役と防火役が激しい攻防戦を繰り広げます。
激しい炎が立ち上る様は、迫力満点です。
他にも長野では道祖神火祭りという名前で、各地でどんど焼きが行われます。
長野県の飯山市では107の集落のうち90以上の集落で道祖神火祭りが行われるのです。
長野県のあちこちで小正月の頃には、立ち上る炎が見られるでしょう。
近江八幡左義長祭り(滋賀)
滋賀県で行われる近江八幡左義長祭りは、3月の中旬に行われる奇祭です。
織田信長も参加したとされる伝統的な行事で、無形民俗文化財に指定されています。
左義長祭りでは、穀類や乾物などの食材を使ったダシが作られ、担ぎ棒を通して担がれます。
その年の干支を題材に2~3ヶ月かけて作られるダシは、見ごたえのあるものです。
そして、各奉納町は左義長をぶつけ合うケンカを行います。
ケンカの末に日牟禮八幡宮まで担がれた左義長は担ぎ棒を抜かれ奉火されます。
これには、火除け厄除けの願いが込められています。
左義長作りには長い時間がかけられ、大切に守りながら担いできたものです。
この左義長が燃えていく様子を見て、涙を流す人も多くいます。
左義長祭が終わると滋賀に春が来ると言われており、このお祭りは春を告げるイベントでもあります。
春日の大とんど(奈良春日大社)
奈良県で行われる春日の大とんどという行事も、どんど焼きの一種です。
「大」という字がついていることからも分かる通り、規模が大きく春日の大とんどで燃える炎は5メートルを超えます。
春日の大とんどが行われるのは、奈良公園周辺の最大規模の芝生が広がる飛火野です。
飛火野に大きな炉を作り、そこで春日大社の初詣で集められたお守りや正月飾りを燃やします。
お守りの効力は一年間で、新しいお守りを授与するときに古いお守りは返すのが習わしです。
そのため、初詣を終えた春日大社にはたくさんのお守りが集まっているのです。
そのお守りを焼くための行事として春日の大とんどはあります。
炉の大きさは75立方メートル。
大きな炎が上がりますが、日中に行われるのでそれほど派手さは感じられないでしょう。
しかし、炎の近くまで行くこともできますし、持ち込んだものを燃やすこともできます。
開催されるのは1月の第四土曜日、縁起物は直接会場へ持ち込めば無料で燃やしてもらうことができます。
多くのどんど焼きは1月15日に行われますから、春日の大とんどは遅いと言えるでしょう。
ですが、逆にいえばこれはどんど焼きで燃やし忘れたものがあっても、春日の大とんどで燃やせるということでもあります。
縁起物を処分するチャンスはそれほど多くないので、春日の大とんどまでに燃やし忘れたものがないかチェックしてみてください。
持ち込み品の受付は午後6時からです。
また、雨天時は日時が変更されるので注意が必要です。
火を使う行事なので、雨は大敵なのです。
日にちが変わるだけでなく、開催時間も変わることが多いので、情報を見逃がさないようにしていきましょう。
福岡県久留米市大善寺・鬼夜(福岡)
福岡県の久留米市にある大善寺では鬼夜(おによ)と呼ばれる行事があります。
1月7日に行われる鬼夜は1600年もの歴史があるとされています。
鬼夜はこの地を荒し、人々を苦しめていた賊徒を松明を照らして探し出し討ち取ったことが始まりだと言われています。
鬼夜で使われる火は大晦日に火打石で取り、1月7日まで燃やし続けられます。
そして本番の日、裸の男衆は松明を持って禊をし、参道から社殿を往復するのです。
夜には大松明6本に火がつけられ、火花と爆竹音が鳴り響きます。
鐘や太鼓も鳴らされ、祭りはとても盛り上がります。
他のどんど焼きに見られるように、正月飾りを燃やすようなイベントではありませんが、炎を使うこの時期のお祭りです。
魔を祓う神事でもあり、厄除けのご利益が期待できます。
日本三大火祭の一つにも選ばれ、重要無形民俗文化財にも指定されています。
裸の男たちが火の粉を浴びる勇壮な姿は見ごたえ抜群。
参加する機会があれば、見逃さないようにしましょう。
占い師 小鳥のワンポイントアドバイス「どんど焼きは正月終いだけじゃない!地域交流の役割も」
歳神様を迎えるために使用した正月飾りは、どんど焼きで燃やされます。
そして、お正月にやってきていた歳神様はその煙に乗って元々いたところへと帰っていくのです。
どんど焼きが終われば、いよいよ正月気分も終わりです。
そして、どんど焼きには正月終いとしてだけの役割だけでなく、地域交流の役割も担っています。
地域ごとに行われ、子どもが主体で行われるどんど焼きは、各世代が触れ合う絶好の機会となるのです。
火を使うのは危険で有害物質が出る。
子どもの数が減ってきた。
どんど焼きは少なくなる一方ですが、大切な行事として今も行われている地域では大切にしていきましょう。