
密教の護摩供養の火を司る護法善神であり、東南を守護している十二天の一尊である火天。
この火天の真言を唱えることで、どのような効果があるのか、そしてそもそも火天とはどのような姿をしているのか、そして手印や梵字、真言の唱え方について説明していきたいと思います。
火天のご利益をいただきたいと思っている人は、ぜひ参考にしてください。
目次
火天は東南を守護する十二天の一尊
仏教においては天部の一尊、そして密教においては十二天の一尊として東南を守護しているといわれており、古代インド神話のアグニが元となっているのが火天です。
アグニは、インドラ、ソーマとともにヴェーダ三神の一尊とされており、非常に重要な神様とされてきた、火の神ですが、仏教に取り入れられるようになってからは、お寺で行われる護摩供養の火を司り、煩悩を焼き尽くすといわれています。
護摩供養の際に上がる炎は、地上と天界を結ぶ悪割を果たしているとされており、地上で供えられた供物を天に運ぶのが、この火天なのです。
また、火天は地上と天界をつなぐ使者の役割を果たしているともいわれています。
火天は、一般的には白い髪と髭に赤い体、四本の腕を持ち、それぞれの手に仙杖や水がめ、三角印や数珠を持つ姿をしています。
火天の真言と梵字
火天の真言は“オン アギャナエイ ソワカ”です。
「火天に帰依し、火天たてまつり、供養します。」という意味を持っており、火天を信仰する気持ちが真言に込められていると考えることができるでしょう。
また、火天の梵字は“ア”と読み、この一字で火天を表す文字となっています。
火天のご利益を授かりたいと思っているなら、この梵字“ア”を常に身に着けて持ち歩くようにすると良いでしょう。
そうすれば、火天の加護を受けることができるとされているのです。
火天の真言のご利益
では、火天の真言を唱えることでどのようなご利益を授かることができるのかについて、説明していきましょう。
護摩供養の際にあがる炎を司り、人の煩悩を焼き払うことができるとされている火天にはほかにもさまざまなご利益があります。
まとめて確認していきましょう。
煩悩を焼き払う
火天は、その炎の力によって人の煩悩を焼き払ってくれるといわれています。
焼き払ってくれるのは、煩悩だけではなく、人が抱えてしまう見苦しい執着や嫉妬、恨みや妬みなどといった負の感情も焼き払い、取り去ってくれるともされるのです。
不浄なものはすべて焼き払ってくれるのが火天なので、人の汚れた感情も取り去ってくれるといわれるのでしょう。
不浄なものを焼き払うということで、トイレや台所といった場所の不浄も焼き払ってくれるといわれています。
人間関係のトラブル解消
火天の真言には、人間関係のトラブルを解消するという効果もあります。
火天が執着や妬みなどのマイナスの感情を焼き払ってくれることで、人間関係においてトラブルになる原因でもある感情を持たず、人と接することができるため、トラブルにならない、またはトラブルになっていた関係を解消することができるとされるのです。
仕事関係や学校関係で人との付き合い方に悩んでいる場合には火天の真言を唱えて効果を授かれるようにしましょう。
困難や苦難を打ち砕く
火天の真言は、苦難や困難を打ち砕き、前に進む力を与えてくれるといわれています。
苦難や困難は前世からくるトラウマやカルマが深く関わっている場合がありますが、火天の真言を唱えることでこのトラウマを解消する効果を与えてくれるのです。
そのため、自身が乗り越えられなかったことにトラウマが関わっているのであれば、火天の真言によって苦難や困難が打ち砕かれ、先に進めるようになっていくでしょう。
子宝や子孫繁栄
ヒンドゥー教においては、人が食べたものを消化し、体内に栄養を巡らせること自体が、火天の為す業とされてきました。
そして、それによって健康となり、子孫繁栄できる体を作ることができる…と巡り巡って、火天の真言を唱えることは、子孫繁栄につながる、健康につながるなどといわれるようになったのです。
また、子供を授かることができる健康な体をつくるのは火天の力…と考えることもできるため、火天の真言を唱えること=子宝を授かれるともいわれています。
正しい道や未来を照らす
火は暗いところ明るく照らします。
火天は火を司ているため、真っ暗で迷子になりそうな道を照らし、正しい道へ導いてくれるとされるのです。
これは火天の真言を唱えることで、正しい道を示してもらうことができるとされており、同時に、無知を火天の炎で焼き尽くしてくれるともいわれるため、無知を手放した新しい自身で正しい道を選び、進む力も手に入れることができるとされています。
火天の真言の唱え方と手印
引用元:e国宝 - 十二天像 火天
火天の姿は、苦行者のを象徴した仙人の姿をしていますが、だからこそ、火天の真言を唱えて効果を得るには、すべての煩悩を取り払った状態で唱える必要があります。
火天の真言が残った煩悩を焼き尽くしてくれますが、それ以前に自身の煩悩をできるだけ切り離した状態で真言を唱えるようにしましょう。
自らの願いを火天に聞き届けてもらい、力を借りるには余計な煩悩は手放すべきなのです。
また、火天の手印は火天印といいます。
右手の親指は第一関節で内側に軽く折り曲げ、人差し指も第二関節で軽く内側に倒すようにし、残りの3本はまっすぐに伸ばします。
これが、火天の手印です。
火天をお祀りしている寺社
火天を祀る寺社は全国に多く、“火の神様”“火避けの神様”として火に関するご利益を授かることができるとされているのです。
ただし、“火天”として祀っている寺社は少なく、別の名前の神様として祀られていることがほとんどです。
秋葉山本宮秋葉寺(静岡県浜松市) | 鎮火、火防の神である秋葉三尺坊大権現が祀られている | ||
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笛吹神社(奈良県葛城市) | 火之迦具土神がご祭神となっており、古くより火の神として信仰されている | ||
戸隠神社(長野県長野市) | 火之御子社は境内にあり、こちらでは火に関連する神を祀っているとされている |
占い師CRISSのワンポイントアドバイス「火天の真言を唱えてご利益をいただごう」

火天の真言を唱えることで、自分にとって不要なものを手放すことができ、さらに前に進む力を授けてくれるの。
火天は明るく正しい未来へ進む力を与えてくれるから、人生の岐路に立って迷っている人は、ぜひとも火天真言を唱えてその力を授かってね。
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