
軍荼利明王(ぐんだりみょうおう)は、五大明王の一尊です。
煩悩を焼きつくす力を持つ軍荼利明王として知られていますが、何の神様かと疑問を抱いている方が少なくありません。
怒りの表情をしていますが、スピリチュアルな意味やご利益を紐解いていくと、現代人の悩みにも寄り添う神様、仏様だとわかります。
軍荼利明王の真言やお祀りしている寺社もあわせてご紹介しますので、内なる怒りや執着を手放したい方やツキがないと落ち込んでいる方は特に参考にしてください。
軍荼利明王の真言やご利益で這い上がりましょう。
目次
軍荼利明王は何の神様?スピリチュアルな意味
軍荼利明王は五大明王の中で南方を守護している憤怒尊です。
とても歴史が古い仏様であり、密教独自の有力や大日如来の分身でもあります。
軍荼利明王は何の神様か、クンダリーの意味などをご紹介します。
軍荼利は「クンダリー」、とぐろを巻いた蛇のこと
軍荼利明王は、サンスクリット名「Kuṇḍalī(クンダリー)」または「Kuṇḍalin(クンダリン)」の音写です。
「クンダリー」とはとぐろを巻いた蛇のことだといわれています。
「巻かれた」という意味があり、生命エネルギーや精神力の象徴でもあります。
ヨガ思想において、クンダリーは尾てい骨あたりのチャクラエネルギーを指します。
覚醒すると、チャクラを通して上昇し、悟りや覚醒に繋がると信仰されているのです。
クンダリーとチャクラの関係からも分かるように、スピリチュアルな意味もある軍荼利明王です。
怒りの表情をしている仏様ですが、導師的な存在でもあります。
甘露を入れる壺という意味も持つ
グンダリーは甘露を入れる壺という意味があります。
甘露とは、仏教において不老不死や悟り、智慧の象徴だといわれています。
装飾された壺という意味も併せ持ち、その中に悟りなどのエッセンスが入っているのです。
壺は単なる容器ではありません。
甘露を入れる壺であることから、煩悩を清めて智慧を変える象徴となります。
前項のとぐろを巻いた蛇とあわせて考えると正反対に感じるかもしれませんが、実は一体したものです。
軍荼利明王は女神から男尊になった仏様
軍荼利明王の語源である「クンダリニー」から女性的霊力だとわかります。
女性的な宇宙エネルギー、それはインド哲学において女性原理を明確に表しています。
しかし、女神が覚醒すると、脊髄をチャクラが通じ上昇して、男性原理の象徴であるシヴァ神と合一してインド密教の基本思想が関係して男尊になりました。
日本に伝わる過程において、軍荼利となって神格化され、日本密教に触れて大日如来の怒りの男性化身として受容されたといわれています。
本来は女性的な霊力でしたが、明王体系に組み込まれる時に再構築されて男尊になったということです。
しかし、現在でも、軍荼利明王の中に女性性が強く残っています。
母性的かつ癒しの特性がある貴重な明王の一尊なのです。
軍荼利明王のスピリチュアルなご利益
軍荼利明王のご利益を読み解いていくと、深いスピリチュアルな意味があると分かります。
厄除けやご加護というご利益だけではないのです。
浄化や覚醒と関わるスピリチュアルな意味ですから、軍荼利明王のご利益について詳しくご紹介します。
煩悩を滅却してくれる
三毒と呼ばれる煩悩、「貪欲」「怒り」「無知」を軍荼利明王は滅却します。
煩悩を毒蛇が焼き払うことで、清浄な心に近づけるスピリチュアルなご利益があるのです。
執着や自己否定などが浄化されると、魂がクリアになり、浄化が進んでいくでしょう。
煩悩に打ち勝つようになれば、感情エネルギーの変容にも期待が高まります。
怒りや悲しみを敢えて否定せずに力に変えていけば、内面をサポートすることにもなります。
負の感情を封じ込めることなく、扱い方を学び、高い次元に昇華させる効果があるということです。
障害を排除してくれる
軍荼利明王は内面や精神面での浄化によって魂レベルでの再スタートを促します。
新しい流れを呼び込むスピリチュアルなご利益が遂行するためには、障害は不要です。
不要な障害を取り除くことで、運命を切り開くという大きな意味を持っていると分かります。
これは、かの有名なヒンドゥー教の「ガネーシャ」と同じご利益です。
軍荼利明王もガネーシャも障害を排除して守護する存在。
それぞれの仏様、神様を信仰している方は、外的、内的なブロックを同時に浄化して前進する道が開かれていくといわれています。
チャクラを活性化する
軍荼利明王はチャクラが活性化するのを助ける守護者です。
煩悩を焼き尽くすことで、クンダリニーエネルギーがチャクラをとして覚醒する力の象徴だから。
軍荼利明王のスピリチュアルなご利益によってチャクラが活性化すると、特に第一チャクラ、第二チャクラ、第三チャクラに影響が大きいといわれています。
生命力や安心感が整い、感情や創造性が高まり、自己肯定感や行動力も上がっていくのです。
内側からのエネルギーが上昇すれば、結果的に前進のチャクラが活性化していくでしょう。
強力な結界で邪気から守ってくれる
軍荼利明王はスピリチュアルな視点において「結界の仏」と呼ばれることがあります。
強力な結界によって守ってくれるのは、邪気や悪霊、ネガティブなエネルギーです。
防御力が高く外敵から身を守ることができます。
空間浄化の効果もありますから、外敵となるのはそこにはいられなくなります。
また、オーラを強化することで外敵の侵入を防ぐ効果としても表れて、軍荼利明王は身を守る結果を張ってくれていることが分かるでしょう。
軍荼利明王の真言と意味
軍荼利明王の真言には三昧耶真言、甘露軍荼利真言、金剛軍荼利真言があり、目的に応じて用いります。
どの真言も深いスピリチュアルな関連する意味だけでなく、エネルギーが込められているといわれている真言です。
- 三昧耶真言(軍茶利明王三昧耶真言)
「ナウボウアラタンナウ・タラヤヤ・ノウマクシセンダ・マカバサラクロダヤ・トロトロ・チヒッタチヒッタ・マンダマンダ・カナカナ・アミリテイ・ウン・ハッタ・ソワカ」 - 甘露軍荼利真言
「オン アミリテイ ウン ハッタ」 - 金剛軍荼利真言
「オン キリキリ バザラ ウン ハッタ」
三昧耶真言(軍茶利明王三昧耶真言)の意味は、明王の誓願を表すもので、甘露軍荼利真言は不老不死や癒しや延命目的に使われます。
金剛軍荼利真言は防災や降魔のために使用され、破邪の力を持っています。
密教において軍荼利明王の象徴や本質を表す梵字です。
軍荼利明王の真言の唱え方と手印
軍荼利明王の真言の唱え方
軍荼利明王の真言を唱える場合は、静かな部屋で呼吸を整えて始めます。
腹式呼吸を用いると真言に集中しやすくなります。
ゆっくりとしっかりと発音しながら唱えましょう。
軍荼利明王の真言を唱える回数は、7回あるいは21回、108回が最適だといわれています。
毎日回数を決めて継続して唱えてください。
軍荼利明王の手印
軍荼利明王の手印を真言を唱える際に取り入れると深いご利益を授けられます。
軍荼利明王の手印は「大瞋印(羯磨印)」と呼ばれるものです。
軍荼利明王を含む憤怒相の明王に用いられます。
煩悩や障害、魔を破る力を持つ手印で、修法に積極的に使われます。
軍荼利明王と不動明王の違い
軍荼利明王も不動明王も日本密教で重要な忿怒尊です。
時に同一視される方がいらっしゃいますが、明確な違いがありますのでご紹介します。
軍荼利明王の役割は執着や煩悩を焼き尽くして生命力を強化しますが、不動明王は煩悩を絶ち切って迷いを鎮める存在です。
修行者を守護して覚悟を象徴する役割も不動明王にあります。
姿にも違いがあります。
牙をむき出しにして蛇を巻いて怒りの表情をしているのが軍荼利明王。
一方、不動明王は同じように怒りを表しますが、それは太く短い眉と口を大きく開けることで表現しています。
不動明王のご利益は、厄除けや魔除け、心願成就、願望成就、煩悩や悪習の断ち切りなどです。
ご利益は似ている部分がたくさんあります。
軍荼利明王をお祀りしている寺社
- 東寺の講堂(京都府)
- 醍醐寺(京都府)
- 大覚寺(京都府)
- 明王院(京都府)
- 高尾算薬王院(東京都)
- 高山不動(埼玉県)
- 鹿野山神野寺(君津市)
- 常福寺(三重県)
- 尊延寺(大阪府)
軍荼利明王は五大明王の一尊ですから、不動明王らと共に祀られている寺社が多いようです。
京都の寺社に祀られているのも有名で、東寺や醍醐寺などで拝観する方がたくさんいらっしゃいます。
関東地方にも軍荼利明王を祀る寺社が点在しています。
全国的にも拝観できる寺社はありますので、気になる方はお近くの寺社を調べてみましょう。
占い師sakuraのワンポイントアドバイス「軍荼利明王のスピリチュアルなご利益にあやかろう」

スピリチュアルなご利益や観点からみると、軍荼利明王は煩悩を焼き尽くして執着などを断ち切る浄化の仏です。
軍荼利明王のスピリチュアルなご利益にあやかるためにも、真言の意味を知って唱える、または祀られている寺社に参拝にいきましょう。
悪縁や邪気から身を守る効果があるのは、怒りの姿をしているからかもしれません。
軍荼利明王は試練を乗り越える力を授けてくれる仏様です。