
ナーガはインド神話における蛇の神様で、水や天候を操る、または宇宙を支えているといわれています。
ナーガはインド神話の神様ですが、日本にも蛇の神様は存在し、また龍神とも深い関わりがあるとされているのですが、その複雑な関係について今回は詳しく説明していくことにしましょう。
ナーガの王であるナーガラージャや、ガルーダ、日本神話に登場するヤマタノオロチとの関係に至るまで解説していくので、ナーガについて詳しく知りたいという方はぜひ参考にしてください。
目次
蛇のナーガとはどんな神様?

まずは蛇神であるナーガがどのような神様でどのような力を持っているのかについて説明していきます。
発祥やどんな姿をしているのか、どのような役割を持っているのかを知っていきましょう。
インド神話を発祥とする蛇の神様
ナーガとは単体の呼び名ではなく、インド神話に登場する蛇神の一族のことを指すとされています。
インド神話が起源となっており、正確には雄がナーガ、雌はナーギーと呼ばれます。
経典におけるナーガの姿はインドコブラそっくりの容姿をしていますが、それぞれの地域の伝承によってその姿はひとつに留まることなく、頭が7つある蛇神の姿をしていたり、上半身は人間、下半身は蛇の姿をしている場合もあるため、正式にはこの姿…と決まっているわけではないようです。
また、ナーガにもさまざまな種類がいるとされており、神の使いや人のそばに寄り添うといったナーガもいる一方で、悪事を働き人々を苦しめるナーガも存在するとされています。
天候を操り雨をもたらす信仰の対象

ナーガは地下世界パーターラに独自の王国を築き、そこで生活しているとされています。
土中に潜り、地下世界で生活しているため、大地に潤いを与える雨やその雨が流れ込む川、そしてそもそもその雨が降る、降らないなどの天候もすべてがナーガの息吹であり、ナーガの力として考えられてきたのです。
そのため、ナーガは水や天候を司る神様であるとされてきました。
大雨によって洪水が起こればそれをナーガの怒りと捉え、恵の雨を求めてナーガに祈るなど、水や天候に関する信仰対象とされてきたのです。
宇宙を支えて秩序を保つ
ヒンドゥー神話においては、ナーガが世界そのもの、宇宙全体を支える神様と考えられています。
ヒンドゥー神話で神々が寝台として横たわっているのは千の頭を持つ大蛇、シェーシャナーガの背中です。
その背中にヒンドゥーの神・ヴィシュヌ神が安心することで宇宙の秩序が保たれていると考えられることから、ナーガ=宇宙を支えている存在と考えられるようになったといえるでしょう。
また、蛇は地を這い、地中に潜り、ときには地上において空へ向かって頭を持ち上げます。
飛べるわけではありませんが、木の上から滑空を見せる種類もいることからナーガ=蛇神は世界の端から端までを知り尽くし、繋ぎとめる存在であるとされているのです。
中国や日本における蛇神のナーガ

中国や日本においても、呼び名は違えどナーガと同じ信仰対象となっている存在がいます。
ここでは、日本における龍神、そして仏教に伝わるブッダを助けたとされる蛇神の存在について説明していきたいと思います。
龍神として信仰の対象
中国や日本においては、龍神がナーガと同じ形で信仰されています。
日本において、龍神は天候を操り、水を操る神様であるとされていますが、この起源は縄文時代の蛇信仰です。
そこに、中国の龍信仰やナーガ信仰が融合し、現在の龍神信仰が生まれたとされています。
水の神であり、五穀豊穣の神であり、そして守り神でもあるという龍神信仰は蛇信仰から始まり、時を経て現在の形となったのです。
中国で生まれたとされる龍は、巨大な自然のエネルギーが具現化された想像上の生き物であるとされており、皇帝の権威の象徴となると同時に日本へと伝来していったと考えられています。
これが弥生時代後期のことなので、日本で生まれた蛇信仰と中国で生まれた龍神信仰が溶け合っていく様子が時代を追うごとにはっきりと見て取れ、そこに平安時代頃インド神話のナーガが仏教に取り入れられたことで現在の信仰の形となったといえるでしょう。
仏陀を守護した仏法の守護神

仏教においても、蛇神の信仰は存在します。
もともとコブラが存在しない中国ですが、中国では龍神信仰があり、仏教における八部衆の中に竜が挙げられています。
ただし、ここでいう“竜”の姿はほとんど蛇に近いものであり、特に菩提樹の下で瞑想する釈迦を雨風から守ったとされているムチャリンダという八代竜王のうちの一神はコブラのような姿をしています。
このムチャリンダもナーガの一種とされているのです。
仏陀の一族である釈迦族を造形化した記号もナーガが元となっていることから、仏陀が息子にナーガ族の王となるようにという意味を込めて“ラーフラ”と名付けたという説も残っています。
代表的な蛇神の王「ナーガラージャ」

ナーガの王は“ナーガラージャ”と呼ばれますが、このナーガラージャは1人ではありません。
ここでは、ナーガの王・ナーガラージャと呼ばれる蛇神の中でも代表的な神様を紹介していきたいと思います。
カドゥルー
インド神話に登場するナーガの祖とされているのが、カドゥルーです。
1000体のナーガを生んだとされており、ナーガたちの頂点に立つ存在であるといわれています。
ヒンドゥー教の聖典であるマハーバーラタに登場するカシュヤパ仙の妻であるとされており、インド神話における蛇神の世界観を形成する存在であるとされているカドゥルーは、後ほど説明するナーガとガルダと呼ばれる鳥の因縁のきっかけとなっている存在でもあるのです。
アナンタ

アナンタは“無限”や“永遠”を意味し、千の頭を持つナーガの王であるとされています。
インド神話においてヴィシュヌ神の寝床となっており、ヴィシュヌ神が横たわっているのはこのアナンタの背中です。
千の頭を持つ巨大な蛇の姿をしており、頭には卍の印、多くの装飾を施す豪華絢爛な姿をしています。
数多く存在するナーガやナーガラージャの中でも最も強力であり、最もナーガとしての根源的な存在であるとされているのが、このアナンタなのです。
ヴァースキ
ヒンドゥー神話の中で、シヴァ神の首に巻かれているのがナーガラージャであるヴァースキです。
世界を揺るがす大仕事を担った蛇といわれています。
神々と魔族は不死の霊薬アムリタを手に入れようとし、海に山を静め、それを軸としてその軸にヴァースキを巻き付け、綱の代わりにしたのです。
双方をと魔族が交互に引っ張り合い、海が渦を巻き、そこからアムリタが生まれました。
自らの身体を差し出し、世界をつなぐ役割を果たしたことで、ヴァースキもナーガラージャの一神と数えられているのです。
ムチャリンダ

仏陀が菩提樹の下で悟りを開いた後、7日間にわたる大嵐から仏陀を守り抜いたとされているのが、ナーガラージャ・ムチリンダです。
仏陀の身体を七重に巻き、自らの頭を持ち上げて仏陀の頭上に屋根をつくり、風雨や寒さだけでなく害虫からも仏陀を守ったとされています。
この姿は多くの仏教美術で見ることができ、絵画や像にされているため、見たことがある人も多いのではないでしょうか。
嵐が去ったあと、ムチャリンダは僧侶の青年に姿を変え、仏陀に帰依したとされています。
タクシャカ
ナーガのタクシャカは、カドゥルーから生まれた1000のナーガのうちで最も狡猾であるとされ、これまで紹介してきたナーガラージャとは違う一面を持っています。
ヒンドゥー神話においては正しい政治を行ってた英雄アルジュナの孫、パリクシット王を自ら昆虫に姿を変えて近づき、噛みついて毒で殺害するなど、恐ろしい蛇神とされていました。
しかしその後、仏教に取り込まれてからは徳叉迦龍王(とくしゃかりゅうおう)と名前を変え、ムチャリンダと並び八大龍王の一員となり、仏教を守護する存在となったのです。
蛇神をお祀りする日本の神社

日本国内でも、各地に蛇を祀っている神社が存在します。
ここではその中でも、蛇神を祀っている、または蛇に所縁のある神社を紹介していきたいと思います。
これらの神社は、蛇が祀られていたり、ご祭神が蛇の姿をしている、または実際に神様の使いとされている生きた蛇に会えるなど、蛇神に所縁が深い神社となっています。
蛇が祀られている神社だと、基本的には金運や開運のご利益があるとされており、ナーガと同じご利益があるというわけではありませんが、蛇神様の力を授かりに参拝してみるのも良いでしょう。
こちらでは関東の蛇を祀る神社をさらに詳しく紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
蛇の神様ナーガに関するよくある疑問

ここまでナーガについて説明してきましたが、ナーガについてさらに知りたいと思っていることがあったり、疑問を抱いた人もいることでしょう。
ここでは、多くの人が疑問に思っているナーガについての情報を、さらにQ&A形式でお伝えしていこうと思います。
- 女性のナーガはいる?
- ナーガとガルーダの関係は?
- ヤマタノオロチはナーガの一柱?
- ナーガとラミアの違いは?
女性のナーガも存在します。
その場合には、ナーギー、またはナーギニーと呼ばれます。
ナーガを1000体生んだとされているカドゥルーが代表的な女性のナーガとなりますが、男性のナーガと同様に水の守護者であると考えられています。
また、ナーギーは大変美しく時に人に姿を変えて人間の世界に入ってくることもあるとされているのです。
ナーガは蛇の神であり、ガルーダはとても大きな鳥の神です。
この2神は宿敵関係にあるとされています。
ガルーダは母親がナーガに苦しめられた復讐からナーガを襲うとされており、ナーガを食べてしまうと言われていることから、ナーガ族の敵とされてきました。
しかし、八部衆の一員としてお互いに守護者としての役割を担っているなど、関係が複雑であるとも考えられています。
ナーガの中には頭がいくつもある姿をしているものもいるため、混同されてしまうこともありますが、実際にはヤマタノオロチとナーガはまったくの別ものとなり、ヤマタノオロチはナーガではありません。
ヤマタノオロチはスサノオによって退治される悪い龍というイメージが強いのではないでしょうか。
実際にナーガの中にも狡猾なタクシャカなど、ヤマタノオロチに似た存在もありますが、あくまで日本神話に登場する伝説上の巨大な蛇でしかなく、ナーガには数えられないのです。
ラミアはギリシャ神話の女性の姿をした怪物であり、身体の半分が人、半分が蛇の姿をしているとされています。
ナーガも時には同じ姿で描かれることもありますが、その性質は大きく異なります。
ナーガはあくまでも神聖な存在であり、神の一柱です。
ラミアは元は美しい女王であり、ゼウスとの関係によって嫉妬したヘラにより子供を失い、醜い怪物へと姿を変えた悲劇的な存在とされています。
成り立ちやその特徴に大きな違いがあり、生まれたのもインド神話・ギリシャ神話とそれぞれ違うことも覚えておきましょう。
占い師CRISSのワンポイントアドバイス「ナーガは私たちにも恵みをもたらしてくれる蛇の神様」
インド発祥であり、インドやタイなどで信仰されている存在で、一見日本とは無縁に思えるかもしれないけれど、ナーガ信仰は平安時代には日本へ伝わってきていて、そこから形を変えて龍神信仰として日本にも強く根付いているの。
そして現在では水の神様、五穀豊穣の神様とされているのね。
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