五山の送り火と言えば京都の夏の風物詩の1つです。元々は、お盆で帰ってきた先祖を再びあの世へ送るための儀式でした。
でも、今では京都だけでなく全国的に人気があるイベントとなっています。五山の送り火の様子を眺めるために京都を訪れる人も多いでしょう。
そんな五山の送り火について、意味を知ればさらに五山の送り火を楽しむことができるはずです。
目次
五山の送り火の意味は精霊送り|歴史あるお盆の風習を知ろう
五山の送り火は8月16日20時から
https://www.youtube.com/watch?v=7ZT2QnbeWCE
京都の五山の送り火は、毎年8月16日の20時から行われます。この日程は、お盆の最終日と同じ日になっています。
お盆といえば、地域によって時期が少しずつ違うこともありますが京都の場合は8月です。そして、送り火なので夜です。
実際に京都でない場所でも先祖をお盆で迎えた後に自宅などで送り火を焚いてあの世へと再び送り出しますよね。
地域によっては、お祭りを行ってみたり灯篭流しを行う時期でもあります。先祖の供養をするだけでなく、自分たちの厄を払う行事でもあります。
通常の自宅での送り火の時間が15時から19時までの間で行うことが多いですよね。そう考えればすべてが終わった時間帯とも言えます。
五山の送り火の始まりははっきりしない
実は、五山の送り火は誰が何のために始めた儀式であるか?という点がはっきりしない行事なのです。
大きな行事だからはっきりしないとは思えないですよね。由緒ある所以があると思っている人も多いでしょう。
こんな行事が成り立ちがはっきりとしないのに長年続いていると思えばすごく不思議な話ですよね。
五山の送り火は、16世紀後半に京都の年中行事として始まったと言われています。まだ、都が京都にあった
五山の送り火の起源は諸説あるので1つ紹介しておきましょう。主に伝説が中心となっているので余計に真偽がわかりにくいのです。
如意ヶ嶽の山麓にある浄土寺が火災にあったとき、本尊の阿弥陀如来が山の山頂で光明を放ったという故事があります。
その後、疫病が流行った時に弘法大師がこの伝説に習って山腹に「大」の字の形に護摩壇を設けて行をしたのが由来になっていると言われています。
宗教的なことが由来になっていない節もあります。その説は、京都の山で森林伐採を行い過ぎて山が剥げてしまったからということがあります。
剥げて開いてしまった斜面を利用したのであれば、逆に面白い発想ですよね。今もなかなかスペースが空いたからと言って送り火を始めようとは思いませんよね。
死者の霊を再びあの世へ送る儀式
五山の送り火は、死者の霊を再びあの世へ送るための儀式です。元々、お盆の時期は先祖があの世から戻ってくる時期ですよね。
それは京都だけの話ではないと思います。地域ごとに特色があるかもしれませんが、お盆の行事を行う場所が多いでしょう。
自宅でも送り火を焚いて、先祖を再びあの世へ送る習慣がある地域が多いと思います。地域によっては、川に流すという方法をとる場合もあります。
五山の送り火は、その儀式の大規模なものであると言えばわかりやすいかもしれません。
なので、街で五山送り火を見かけるとそっと火に向かって手を合わせる人が多いです。本当は祭のようににぎやかに行う儀式ではありません。
死者や先祖に想いを馳せながら静かに自分の中の想いと向き合うための時間なのかもしれませんね。
生きている者は、自分の普段の生活に精一杯であることが多いです。だからこそ、先祖供養を疎かにしてしまっていることも多いでしょう。
現代人であれば、お墓が家の近くにないという理由もあって先祖に手を合わせる機会がグッと減っていると思います。
だからこそ、年に1回だけ五山の送り火の日だけは先祖に想いを馳せてみませんか?今のあなたがここに存在しているのも先祖がいてくれたからです。
その先祖に感謝を伝えて、思い出してあげるだけで運気が上向きになるということもありますよ。
大文字の呼び方
正式名称は、五山の送り火と言われていますが呼び方が何通りもあります。まず、よく聞くのが「大文字焼き」ではないでしょうか?
1番最初に火がつく文字が「大」であることからそんな呼び名になったと言われています。ただし、大文字焼きに限っては京都以外でも行われていることがあります。
なので、京都の五山の送り火と区別をつけるという意味もあり京都では「大文字焼き」という呼び方を受け付けないという場合もあります。
ただし、京都でも江戸時代では「大文字焼き」と呼んでいたという記述が残っています。それから、しばらく大文字焼きという呼び名が浸透していたようで昭和になってからもその呼び名を使う人も多かったと言われています。
今でも一定数の人は「大文字焼き」と呼んでいるので意外と大文字焼きという呼び名を受け付けないのは、最近の京都だけかもしれません。
逆に送り火という呼び名は、明治以降に広まった新しい呼び名です。特に五山の送り火という言い方は、戦後あたりかららしいです。
なので、現代でも京都の庶民たちは「大文字焼き」と呼んでいることも多いそうです。意外と面白がったメディアが作った印象の1つなのかもしれませんね。
「大」「妙」「法」など五山の送り火の文字の場所と意味
東山は大文字の「大」
午後8時の開始と共に火がつけられるのが「大」の文字です。大の文字は、東山如意ヶ嶽の中腹部に火がともされます。
大の字の1画は80mで第2画は160mとなっています。そして、第3画は120mの長さになります。
大は規模が大きいだけでなく、標高も最も高い位置にある文字なので遠くからでも見えやすい文字でもあります。
でも間近で見ると、とても迫力があります。
松ヶ崎は「妙法」
大文字が点灯した後、10分後に妙法に火がともされます。松ヶ崎西山・東山にそれぞれ妙法という文字が描かれます。
妙法は、法華経の信仰に由来していると言われています。妙法は日蓮宗の題目である南無妙法蓮華経からとられた言葉であると言われています。
それは、松ヶ崎の住人が日蓮宗に改宗したという歴史にちなんでいると言われています。
西方西賀茂は「船形」
船形は、妙法の文字の5分後に西賀茂妙見山で火をつけられます。その船の形にも意味があります。
それは、西方寺を開いたとされる慈覚大師円仁が、船に乗っていた時に南無阿弥陀仏と唱えたところ暴風雨が止まったという伝説があるからです。
南無阿弥陀仏を唱えて嵐が収まったということから船形になり航海や旅行の祈願にもなっています。
大北山は「東大文字」
船形と同じタイミングで妙法より5分後に左大文字に火が入ります。左大文字と呼ばれる理由は、1番最初に点灯する大の字の左に見えるからというのが主な理由です。
嵯峨は「鳥居形」
最後に火がつけられるのが鳥居形です。鳥居形は、北嵯峨の曼荼羅山に火が入ります。鳥居形は、愛宕山の参道にある鳥居に由来していると言われています。
鳥居形の会場は、京都屈指の観光地でもある嵐山近くです。なので、観光客も鑑賞しやすい位置でもあると言えます。
同時に灯篭流しを眺めることもできます。夏の終わりを感じることができる場所かもしれませんね。
幻の「い」の送り火
五山の送り火の火文字と言えば、大、妙法、船形、鳥居形、左大文字ですよね。だけど、実は「い」という文字が存在したと言われています。
その「い」という文字は、明治時代には既になく現代の形になっていたらしいです。「い」のことが詠まれている歌があります。
これまでは、長い期間、その歌の場所が京都市左京区の標高439mの向山が有力だと言われていました。
最近になって京都大学の教授が向山へ現地調査を行ったところ、送り火に使われるスペースが見つからなかったそうです。
今も火文字が灯されている山には送り火に使う薪を置く場所があるそうです。通常あるべきスペースがないことによって疑念が出てきました。
そして、向山にはほかの五山の送り火を行う場所のように社寺もないのです。
そういった通常であれば存在するものがないということも理由となり定説が覆されることになりました。
そして、周囲の山も同じく調べたところ、標高391mの安養寺山にそれらしき場所が発見されました。
山野標高100メートル程度の場所に山肌を削って作られた場所がありました。その場所は平らで薪を置く場所としてもぴったりであるということです。
ほかの送り火の場所と同じくまきを置くことができる上に近くに寺の跡地のような場所も見つかったので、この場所が新しく「い」があった場所として有力だと言われています。
安養寺山は、向山から北東に1km程度の場所にある山です。今後は、その寺のことを調べたり、近隣の住民たちが持っている伝承を集めて研究を進めていくそうです。
わからなかったことが解明されていくのは面白いですよね。
五山の送り火のビュースポット|おすすめの見どころを紹介
全て見たい
五山の送り火を見るのであれば、1つの文字だけでなく全てを眺めたいと思っている人も多いかもしれません。
でも、みなさまご存知の通りに京都は高さ制限があり高い建物がありません。よって、広く見渡すことができる場所は少ないと言えます。
ホテルやレストランで有料プランが販売されている場合もありますが、数が少ないので比較的に高額になりがちです。
また、五山の送り火は静かに火をつけるので花火大会のように音が聞こえる訳ではありません。
花火大会であれば、音だけでも臨場感を味わうことができるので本体が見えなくても楽しむことができる場合もありますよね。
ちなみに五山の送り火全て見ることができると言われているのが京都駅ビル空中経路や京都タワーの展望台です。
毎年少しずつ条件が変わるので事前にチェックしておきましょう。実は、京都市内には無料で全ての文字を眺めることができる場所もあります。
それは、イオンモール京都五条です。京都駅の近くのイオンモールではないので間違えないように注意しましょう。
イオンモール五条では五山の送り火の日には屋上駐車場が解放されます。元々、大規模な駐車場なので身動きができないというほどの混雑はありません。
どちらかというと観光客よりも地元向けの場所となっています。最寄り駅は、阪急西院駅となります。
おすすめホテル&レストラン
五山の送り火をじっくりと眺めたいのであれば、やはりホテルやレストランが最適であると思います。
真夏の暑い時期なので体調のことを考えて選んでみましょう。レストランであれば京都タワーホテルのレストランがぴったりです。
全ての文字から距離がありますが、ほどよく全てを眺めることができるでしょう。京都駅の近くということもあり、アクセスも抜群です。
また、烏丸にある日興プリンセス京都も送り火を眺めることができるプランがあります。食事をとるレストランで送り火を眺めることはできません。
でも、専用プランの人のみが屋上で五山の送り火を鑑賞することができます。観覧する時間が決まっているので食事は五山の送り火の鑑賞の前後いずれかになります。
京都ホテルオークラは周囲に高い建物がないことで有名です。なので、五山の送り火を鑑賞することはできます。
ただし、全ての送り火を見ることはできません。最上階であれば眺めることができますが、それぞれの位置に違うレストランが入っていることもあり難しいです。
どれか文字を決めて鑑賞する方が良いかもしれません。まずはリーズナブルなホテルを紹介します。
京都ガーデンホテルとルビノ京都堀川では船形以外の文字を全て眺めることができます。
ただし、客室からは眺めることができないので注意してください。客室内から五山の送り火を眺めることができるホテルはハイクラスが多いので1泊50万円以上にもなります。
ホテルグランヴィア京都、リッツカールトン京都、ブライトンホテル京都、ウェスティン都ホテル京都などです。
抽選販売の場合もあるので事前に宿泊方法についても調べておきましょう。予算を抑えるのであれば、ホテルの屋上で鑑賞できるホテルを選ぶ方が良いかもしれません。
「大文字」のビュースポット鴨川
五山の送り火と言えば、大きな「大」の字ですよね。その大文字が良く見える場所は鴨川です。
特に丸太町大橋から御薗橋や鴨川の堤防周辺、吉田山展望台になっています。また、出町柳から北大路までの鴨川沿いもよく見える場所になります。
どちらかというと、四条など京都の繁華街よりは北のエリアになりますね。じっくりと座って眺めるよりは、歩きながら目入るくらいがちょうど良いかもしれません。
「妙」のビュースポット 北山通
妙のビュースポットは、北山通です。特に北山通から北の通りの方が良いと言われています。北山でよく見えるということもあり、宝ヶ池自動車教習所の付近もよく見えると評判です。
宝が池の球戯場のすぐ上に妙の文字が灯るのでちょうど良い場所になります。少し近すぎるかもしれませんが、大きく見えるので悪くないでしょう。
ここですと、少し近すぎるかもしれませんが、それだけに迫力の送り火を見ることができます。
少し移動すると法、船形、大文字などほかの文字も見ることができる場所があるのでちょうど良いと言えるでしょう。
「法」のビュースポット高野川堤防
法のビュースポットでも最も有名なのが高野川堤防です。出町柳駅で電車を降りて、北へ向かって20分ほど歩きましょう。
高野川堤東岸だけでなく、河合橋から松ヶ崎浄水場あたりがよく見えます。 ほかには妙と同じく北山通もおすすめビュースポットです。
松ヶ崎橋から京都ノートルダム女子大学付近がよく見えるでしょう。また、松ヶ崎大黒天交差点付近もおすすめです。
この交差点であれば、法だけでなく妙も同じく眺めることができる位置となっています。
近づいて大きく見たいのであれば、北山通の松ヶ崎大黒天交差点もおすすめです。こちらは、地元の人に人気があるということもあり近くへいくとすぐにわかるでしょう。
「船形」のビュースポット北山通
賀茂川堤の北山大橋から西賀茂橋付近です。 三条駅から市バス 37 上賀茂御薗橋下車でアクセスできます。 地下鉄の北山駅下車で北山橋まで行き、そこから北の方向へ川沿いを歩いていくのも良いでしょう。 賀茂川沿いから観る船形も情緒があって人気です。
「左大文字」のビューススポット金閣寺
左大文字は、西大路通の西院から金閣寺近くがベストスポットとなっています。 阪急西院を降りて、西大路通りを北に向かってすすめばよく見えます。
また、三条駅から京都バスに乗って市バスの63~65に乗って円町駅前で下ります。出町柳駅から市バスの102か203に乗って北野白梅町で降りても大丈夫です。
でも、1番のビュースポットは金閣寺です。他のエリアよりは少し混雑もマシになっています。
「鳥居形」のビューススポット広沢池
鳥居形が最もよく見える場所は、渡月橋の近くです。嵐山エリアになります。嵐電の嵐山駅で降りるとアクセスも便利です。
ほかには、三条駅から京都市バス 63か 64に乗り11の嵐山で降ります。また、広沢池付近もおすすめです。
京阪三条駅から市バスの10 59に乗り山越で下車してください。アクセスが不便であることから比較的空いているといえます。
また、五山の送り火と同じく嵐山地区にて開催される精霊流しも眺めることができます。両方楽しむことができます。
五山の送り火と一緒に楽しみたい京の盆送り行事
京都では迎え火でなく精霊迎え
京都ではお盆の時期の少し前に精霊迎えを行います。日程で言えば、8月7日から10日頃にあたります。
精霊迎えは、お盆にご先祖様があの世からこの世に戻る時に迷わないように迎えるための行事です。
あの世からこの世に戻る時に通る6つの道で迷ってしまうと言われています。
その6つの道は六道の辻のことを指しています。六道の辻はあの世とこの世を結ぶ道であると言われています。
これは、歌にも詠まれており小野篁がこの六道の辻の井戸を通ってあの世とこの世を行き来していたという伝説が残っています。
昼は宮中に仕えて、夜はあの世で閻魔大王の仕事を手伝っていたと言われています。今でもあの世とこの世の境目であると言われている場所なので気を付けましょう。
ふとしたきっかけであの世へと入り込んでしまうかもしれませんよ。話は精霊迎えにドります。
京都では精霊迎えとは呼ばずに「おしょらいさん」や「六道まいり」と呼ぶそうです。また、おしょらいさんは儀式そのものの名称さけでなくご先祖様のことを指す場合もあります。
お精霊さんは、大きく区分すると2か所での実施となります。1か所目は、東山区の珍皇寺です。
二か所目は、上京区の千本えんま堂です。京都の中でも東側に住んでいる人は、先祖を珍皇寺に迎えに行くそうです。
そして、北側のエリアに住む人は千本えんま堂に行くと言われています。要は近い方のお寺に行くということですよね。
珍皇寺のあたりは埋葬地に近い場所にあり、あの世とこの世の境目と言われている六道の辻という名前があります・
千本えんま堂も同じく古い埋葬地が近いこともあり、あの世とこの世の境目が近いとされてきたのです。
あの世とこの世の境目と聞くと怖いですが、理想的に考えると昔の人は亡くなった人に会いたかったのかもしれませんね。
何もない時にあの世に足を踏み入れるということは良くないことです。でも、お盆の時期に先祖を迎えにいく場所であれば神聖な場所のように感じてきませんか?
昔は、今と違い火葬することが少なかったと言われています。特に庶民は土葬を行う訳でもなく、そのまま野に捨てるということが弔いの儀式だったのです。
そうなると、亡くなった人がその場に幽霊として存在しても不思議ではなかったのかもしれませんね。
また、もしかすると今のように完全に亡くなってから埋葬していたとは限らないので何かの拍子で生き返ってしまった人もいたのかもしれません。
お寺では迎え火を焚くのでなく、迎え鐘をつきます。珍皇寺の参詣者は水塔婆を納めてから迎え鐘をつきます。
そして、槙の葉を求めてご先祖様を迎えます。千本えんま堂でも同じく、参詣者は迎え鐘をつきます。
そして、戒名を書いた経木に槙の葉で水をかけてご先祖様を迎えます。お精霊さんで迎えられたご先祖様は五山の送り火によって、再びあの世へと戻っていきます。
松崎題目踊りは日本最古の盆踊り
京都には、日本最古の盆踊りがと言われている松崎題目踊りがあります。盆踊りも現代はお盆の行事というよりは生きている人が楽しむ行事に変化していますよね。
昔の盆踊りは踊る人がみんなお面をかぶることで死者が混じっていてもわかりにくいという特徴がありました。
盆踊りは死者が生きている者が踊っている中にまじりあって踊ると言われていますよ。実際に死んでしまった人が踊っていると驚いてしまいますよね。
題目踊りというのは、盆踊りのように風俗的な行事と少し違い宗教的な行事です。この題目踊りの舞台は、京都の中でも京都市左京区松ケ崎という狭い地域で行われます。
元々、この松ケ崎に住んでいる人は日蓮宗の信者ということでこの地区では日蓮宗の宗教的な行事が地域の行事となっているのです。
この行事の中心となるものがこの題目踊です。題目踊りを行うのは、毎年8月15日と16日の夜です。
ちょうどお盆の日程ですよね。地区内の涌泉寺の境内で題目踊りは実施されます。盆踊りのように華やかな踊りをイメージしますが、地味な踊りで地域の人だけで踊ります。
地味と言っても荘厳な踊りです。格調の高い調子の唄に合せます。そして、扇をもって静かに踊るのです。
題目踊りの次にサシ踊りを踊りますが、サシ踊りは地味な踊りで鳴く楽しい踊りになっています。
このサシ踊りに関しては地区の人でなくても参加することができます。8月16日の題目踊りは、五山の送り火の妙法が点灯されてから開始になります。
妙法が点灯する山を裏山と呼ぶことに関連していると言われていますよ。また、昔に宗教を変更して良いことになり、この地区の住民全員が日蓮宗に改宗した時に喜びを表すためであったという言い伝えもあります。
ただ、盆踊りの元の意味のように亡くなった先祖たちを供養するという意味を持つ行事でもあるのです。
嵐山の灯篭流し
嵐山では、灯篭流しが行われています。その灯篭流しの日程は、8月16日なので五山の送り火と同じです。
嵐山灯篭流しは、昭和24年に戦争で亡くなった人を供養したことが始まりだと言われています。
そして、京都には五山の送り火というお盆の行事がありますが、その送り火と同じような意味を持つようになったのです。
この灯篭流しもお送り火のように先祖を再びあの世へ送り出すための行事です。灯篭の場合は、ご先祖様に灯篭に乗ってもらってあの世へと帰ってもらうのです。
また、京都市内ということもあり灯篭流しの会場から五山の送り火を眺めることもできますよ。
時間帯も19時から21時なので同じと言えます。灯篭流しの場所は、中ノ島公園と渡月橋北橋詰の臨川寺前公園です。
受付で水塔婆1枚がついている灯篭を1,000円で購入します。そして、戒名、施主名を書き、水塔婆や灯篭にも記入してもらいます。
なので、事前に先祖の方の戒名などを用意してから向かいましょう。特定の人物の名前でなく、「○○家先祖代々」という形でも大丈夫です。
受付で書いてもらうという形ですが自分で書くことも可能となっています。供養祭壇に水塔婆を供えてから焼香をし、ご先祖様に手を合わせましょう。
そして、夜になると灯篭流しが始まります。灯篭は、自分で組み立てるのでなくスタッフが組み立てて流してくれます。
自分で流すという趣旨の儀式ではないので注意しましょう。川に灯篭を流すという趣旨の儀式なので川の状態にも左右されてしまいます。
増水や渇水の場合でも天気がよければ行います。雨の場合は、夕立であれば時間をずらし少なければそのまま行います。
また、同時に祭壇で川施餓鬼法要もおこわ慣れます。お盆の時期の先祖供養と施餓鬼法要はセットですよね。
この法要は、近隣のお寺が輪番制で担当していきます。なお、現地に足を運ぶことができれば地元の人でなくても参加することができるそうです。
年に1度の行事なので参加してみても良いかもしれませんね。
京の七夕
七夕と言えば、夏を代表する行事ですよね。元々、七夕も願い事を叶えるための行事だけでなく夏の厄払いの行事となっています。
京都で七夕のイメージはあまりないかもしれません。でも、最近になって京都でも七夕の行事が行われるようになりました。
始まったのが平成ということもあり、宗教的な行事よりは観光要素の強い行事かもしれません。
開催時期は、旧暦の七夕と同じく8月上旬から8月下旬となっています。四条地区と堀川地区の2か所でライトアップイベントが開催されます。
堀川地区の会場の方は、光のトンネルもあり下手なイルミネーションよりも美しい景色が広がります。
また、少し出店があったりして夏祭りとして楽しむこともできるでしょう。近年はコロナ禍によって中止されています。
願いごとのみ郵送やインターネットなどで受け付けているという状況です。集められた願い事は、全てお焚きあげされます。
みんなの願い事が叶って、早く京の七夕が実施できる日が来ると良いですよね。
五山の送り火の楽しみ方|無病息災を願って
コロナ禍では送り火縮小
五山の送り火は、コロナ禍であっても実施されている伝統的な行事です。でも、通常の規模での開催はされませんでした。
コロナ禍なので縮小されています。ただ、元が無病息災や疫病を祓うための行事なので今のタイミングでは実施するべきです。
五山に火は灯しますが、通常のように遠くから見て字の形がわかるような規模では燃やしません。
なので、離れて眺めてもぼんやり火がついているくらいにしか見えません。もはや、火がついているのかどうかもわからない位置もあります。
ただし、京都市を中心として放送しているKBSにて五山の送り火の生中継がありました。
テレビの中継だと肉眼で見るよりもかなり近づいてくれるのでわかりやすいと思います。今年は、わかりやすいからこそ火文字になっていないこともよくわかりました。
家で火文字を眺めることができれば移動する必要もなく、涼しい場所なのでゆっくり楽しむことができるでしょう。
花火大会でもオリンピックでもテレビの方がよく見えるということもありますよね。だから、五山の送り火でも同じことが言えます。
最近では、五山の送り火を楽しむことができるプランを販売しているレストランやホテルなども増えてきています。
京都自体に高い建物が少ないということもあり、場所は限られているので早めにチェックしておくことが大切です。
来年以降は、再び以前のように特別な日としてお出かけできると良いですね。
護摩木は無病息災に
五山の送り火では、護摩木を燃やして無病息災を願いお焚きあげを行います。護摩木に自分の名前や病名を書きます。
その護摩木を火文字の火床の割木の上にのせます。そして、焚き上げると、護摩に書いた病名の病気が癒えるという言い伝えがあります。
受け付けは、銀閣寺の門前で15日と16日に行われています。
左大文字である北山でも同じく護摩焚きが行われます。19時頃から法音寺の親火台で護摩木がたかれます。
その護摩木の火で点火されるのです。15日から金閣寺門前で、家内安全、無病息災、交通安全の護摩木を受け付けています。
また、船形と鳥居形でも同じく受け付けており場所は西方寺前と化野念仏寺駐車場となっています。
妙法の文字に関しては護摩木は受け付けていないので注意しましょう。
送り火を水に浮かべて飲む
五山の送り火は眺めるものではありますが、同時に行う行事もあります。元は先祖をあの世に送り返すというだけでなく、闇に浮かぶ大きな火文字を見ながら悪気退散を願うのです。
まず、1つ目の火文字に火がついている間にそばを一杯食べると厄災を逃れることができるというジンクスがあります。
そして、次に行う儀式が少し面白いのです。簡単に説明をすると、水を飲みます。ただ単純に水を飲むだけではないのです。
水や酒を盃に注ぎ、その盃の中に送り火を移して飲むと中風にかからないといわれています。
中風とは現代の病気でいう脳卒中などの後遺症で手足が麻痺してしまう症状を指します。
また、ほかにも火文字の燃え残りの消し炭を粉末に砕き病封じとして飲む習慣もありました。
ほかには、良くないジンクスですがこの日に使う予定だった薪を他の用途で使うとたたりがあるという話もあります。
翌日の消炭には泥棒除けのご利益がある
五山の送り火と言えば、山に火文字を描き燃やすというイメージが強いかもしれません。ですが、その翌日にも行事が控えているのです。
翌日は朝の早い時間帯から東山如意ケ嶽の山頂に人がたくさん集まります。護摩を燃やすだけでなく、火床に残った消し炭にもご利益があると言われています。
その消し炭を集めて半紙にくるみます。そのくるんだ半紙に水引をかけます。そして、家の門のあたりに吊るしておくと厄除けのお守りになります。
そのお守りは厄除けを行うことができるだけでなく、盗難除けにも効果があると言われていますよ。
地元の家の門で見かけることも多いでしょう。元々、大文字の火床を作る東山如意ケ嶽はハイキングコースとしても人気があるスポットです。
京都市内や琵琶湖を眺めることもできるので景色を眺めたい人にも人気がある場所です。でも、送り火の日は入山禁止になってしまうので注意しましょう。
送り火の「大」の火床は山の中腹ですが、入ることができないので消し炭が欲しい人たちは翌日に山頂を目指すのです。
占い師秋桜のワンポイントアドバイス「京都の盆送り行事「五山の送り火」で先祖の霊を見送って」
だけど、本来は物見遊山的な感覚で眺めるものではないのよ。五山の送り火は、家庭で行う送り火と意味あいは同じよ。
お盆にこの世に戻ってきたご先祖様があの世に戻るためのものよ。ご先祖様は火などの灯りを目印にして帰るのよ。
京都市内で五山の送り火を見かけた人が手を合わせるように、一緒に手を合わせてみませんか?
ご先祖様がいて、だからこそ自分がここに存在しているということがわかっていてもあまり実感できないわよね。
だからこそ、先祖を供養する日ということを意識してみると良いわよ。夏の夜の1日に思いを馳せてみましょう。
また、その日だけは特別な日として五山の送り火だけのディナーを楽しんでみても良いかもしれないわね。
ほかにも宿泊をしたりと楽しむことができるはずよ。